岩見天獅が終了間際の大逆転でQS初優勝! 脇田紗良が今季初勝利。松田詩野が準優勝。インド初のQSイベント終了

優勝した岩見天獅と脇田紗良 WSL / Tim Hain

マハーバリプラム・ビーチ、タミル・ナードゥ州、インド(2023年8月19日土曜日) – マハーバリプラム・ビーチでは、タミル・ナードゥ・インターナショナル・サーフ・オープン・ワールド・サーフ・リーグ(WSL)クオリファイング・シリーズ(QS)3,000イベント最終日が開催された。

 

 

最終日は女子のセミファイナルからスタート。女子セミファイナルではヒート1でパリ五輪の出場権を条件付きで手に入れた松田詩野と中塩佳那が対戦。中塩は千葉の一宮で行われたQSとプロジュニアでW優勝して、その勢いのままインド入り。

 

中塩佳那 WSL / Tim Hain

 

両者ともスタートから高得点をマーク。松田は優先権のない中、セカンドウェイブをミドルから掴み、5.90をスコアしてトップに躍り出る。中塩はじっくりと波を待つ作戦だ。

 

松田詩野 WSL / Tim Hain

 

それに対して松田はキープビジーでチャージを続け、バックハンドのソリッドターンを連発し6.75をスコア。中塩はニード7.65と追い込まれ、波を掴むもワイプアウト。スコアを伸ばせない。ラストウェイブでも攻めるも逆転ならず。そのまま松田が中塩を抑えてファイナルへ勝ち上がった。

 

松田詩野

 

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「カレントが強くて。良い波なんですが当てるときに流れがあって難しくて、100%の力を出し切れなかったんですけど、ファイナルを楽しみたい」と松田が言った。

 

ヒート2では脇田紗良が佐藤李と対戦。ヒートはスローな展開で、脇田がインサイドのリエントリーで4.25をスコアしてヒートをリード。そのまま両者とも波に乗らず後半戦へ。しびれを切らした佐藤が波を掴み2本の3点台を揃えて逆転。

 

脇田紗良 WSL / Tim Hain
脇田紗良 WSL / Tim Hain
佐藤李 WSL / Tim Hain

 

優先権は脇田の中、佐藤は岩の前でブレイクする掘れたライトをキャッチ。インサイドを決められなかったが、ビッグターンを決めて5.50をスコア。リードを確実に広げていく。残り5分で脇田も2ターンのコンビネーションで5.00をスコア。逆転に成功する。

 

 

残り時間3分、佐藤のニードスコアは3.75だが、思ったようなスコアリング・ウェイブを掴めない。逆に脇田はラストウェイブでエクセレントの8.00をスコア。最後は貫禄のパフォーマンスで脇田がファイナル進出を決めた。

 

男子セミファイナルではヒート1で小濃来波とキアン・マーティンが対戦。スタートから小濃が5.00をスコア。ここまで思ったような結果が出せずにいた小濃が今回がキャリア最高の結果を残した。

 

小濃来波 WSL / Tim Hain

 

そして、やはり昨日素晴らしいパフォーマンスを披露したキアンが再び火を吐いた。キアンはビッグセットを掴むとクローズセクションでのリエントリーをメイク。6.75をスコアすると、続けてコンビネーション・マニューバーで5.50を叩き出し、ヒートスコア12.25と小濃にプレッシャーをかける。

 

小濃は優先権を持って波を追いかけるも波を逃す痛恨のミス。再び優先権はキアンに。キアンはインサイドでエアリバースを決めるなどし6.25をスコア。小濃も4.00をスコアして食い下がるがニードスコアは8.00と大差をつけられ、小濃は惜しくもここで敗退。 QS3000で3位フィニッシュとなった。

 

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ヒート2ではケトゥ・アグスと岩見天獅が対戦。スタートから岩見が5.75をスコア。アグスは得意のパワーサーフィンを見せるもワイプアウト。逆にじっくりと波を吟味して掴んだ波で岩見はエクセレントの8.00をスコアして、アグスをコンビネーションに追い込む。

 

ケトゥ・アグス WSL / Tim Hain

 

アグスは全く波のとリズムが合わずスコアを伸ばせない。逆に岩見はバックアップを6.75まで上げる。アグスはヒート終盤にスコアを集めるも時すでに遅く、岩見が見事ファイナルへ勝ち上がった。

 

 

女子ファイナルは松田詩野と脇田紗良

 

 

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男子のセミファイナル終了後にコンディションが上向くのを待ってインターバルを設けた。

 

女子のファイナルは松田詩野と脇田紗良というマッチアップ。松田詩野は好調なバックハンドをスタートから披露。クローズするセクションで派手なスプレーを上げるリエントリーで5.00と3.25をスコアする。

 

脇田紗良のストレートアップ WSL / Tim Hain

 

脇田はセミファイナルのラストでエクセレントをスコアした波で再び6.00をスコア。バックアップ3.25をスコアしてヒートをリードする。松田もそれに応戦し、ソリッドなバックハンドターンを決めるも最後がメイクできず逆転には至らない。

 

そんな中で脇田が再び左奥までつながる波を岩前からキャッチ。ソリッドなターンを連発してエクセレント・レンジの7.50をスコア。松田はニード8.50と追い込まれてしまう。その後、松田は優先権を持って波を待ち続けるが、そのまま時間だけが過ぎていく。

 

松田詩野 WSL / Tim Hain

 

残り時間10分、ビッグセットをつかんだ松田は、バックハンドで2ストロングターンを決めコンプリート。ヒートのハイエストとなるエクセレントの8.10をスコア。逆転は出来なかったがニードスコアは5.40まで下がった。

 

優先権は脇田、残り時間5分で、松田が波を掴むもスコアは4.00と僅かに届かず。最後までチャージを続けた松田だったが、脇田紗良が逃げ切り、見事今シーズン初となるQS3000での勝利を手に入れた。

 

脇田紗良 WSL / Tim Hain

 

私たちは同じ年で、子供の頃からジュニアで戦ってきたんです。ファイナルは詩野とのこれまでで最もハードな戦いでした。彼女が8点を出した時は緊張しましたが、優勝できてうれしいです。今年はCSにクオリファイできなかったので、CSに戻るのが目標です。

なので今回3,000ポイントをゲットできたは自分にとって大きいですし、本当にうれしいです。WSLがインドで開催されるのは歴史的に初めてのことなので、ここで優勝できて最高です。ここに来て、新しい経験をすることができて最高です。ありがとうインド。今後も気を抜かずQSに出てポイントを稼ぎたいので、応援よろしくお願いします。」

脇田紗良 WSL / Tim Hain
脇田紗良 WSL / Tim Hain

 

男子はキアン・マーティンと岩見天獅

 

 

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男子ファイナルはキアン・マーティンと岩見天獅。スタートから激しいサーフィンを見せたキアン。インサイドでダブルアップする波をつかんで乗り切り、6点と5点をいきなりスコアする。

 

岩見天獅 WSL / Tim Hain
キアン・マーティン WSL / Tim Hain

 

岩見も6.25をスコアして追い上げるも、キアンが再びビッグセットをつかんでブローテールリバースを披露。ヒートハイエストの7.50をスコアしてリードを広げる。キアンは更にバックアップを7.20まで上げて、岩見を追い込んでいく。

 

岩見天獅 WSL / Tim Hain

 

残り時間は10分を切っていた。追い込まれた岩見だったが、最後まで勝負を諦めずチャージを続け、ヒートハイエストとなる7.55をスコア。しかし、逆転には至らなかった。

 

残り時間は僅か。優先権を持ったキアンは岩見を完全にマーク。波を乗らせない作戦だ。そして終了間際に大きなセットが入る。最初のセットに二人がパドルするが、優先権を持ったキアンが波を掴む。

 

岩見天獅 WSL / Tim Hain

 

そして、残り時間1分を切り、その後に入った波を岩見天獅が掴んだ。波はダブルアップし、カーヴィングターンから深いボトムターンへ繋ぐ。最後のビッグ・クローズセクションで大きなリエントリーをメイク。これが成功してエクセレントの8.75をスコア。終了間際のラストウェイブで大逆転優勝を決めた。

 

 

「本当に嬉しすぎて。最後の逆転だったので、興奮し過ぎて、いま何も考えられないです。最初ニードか8.5だったじゃないですか。その時から絶対に出せると思って待っていたので。それで1本7.55出して、7.1だったら絶対に出せると思っていたので。最後の波にパドルしたときはもう集中してて何も覚えてないぐらいです。

 

今年前半は全然勝てなくて、期待に応えることができなかったんですけど、ここで優勝することができて、QS3000ポイントがゲットできたので、ここから勢いに乗って勝ちたいと思います。これがQS初優勝なので、このことはずっと忘れません。波、人々、食べ物、文化など、インドが大好きです。」

 

 

これで岩見天獅はQSアジアランキングで3位にジャンプアップ。脇田紗良も3位、松田詩野は7位に浮上という素晴らしい結果で幕を閉じた。来年もさらにビッグになって戻ってくる予定のイベント。今年悔しい思いをしたインドのサーファー達が来年はどのような成長を見せるか楽しみだ。

次回のWSLアジアのQSイベントは、8月24日~28日に静岡県御前崎市ロングビーチで、昨年女子のQS1000とプロジュニアで行われた「OMAEZAKI PRO 2023」男女QS1000となって開催される

 

ファイナリスト WSL / Tim Hain
岩見天獅と脇田紗良 WSL / Tim Hain

 

タミル・ナードゥ・インターナショナル・サーフ・オープン結果

男子
優勝:岩見天獅
2位:キアン・マーティン
3位:小濃来波、ケトゥ・アグス

女子
優勝:脇田紗良
2位:松田詩野
3位:中塩佳那、佐藤李

 

Asia – 2023/2024 Men’s Women’s Qualifying Series Rankings

2024年チャレンジャーシリーズ出場はアジアから男子6名、女子4名

 

今回大会は2024年のチャレンジャー・シリーズ(CS)に出場する選手を決めるための予選となるQSイベント。2024 CSクオリファイの地域別内訳に関しては、アジアは男子6名、女子4名が2024年チャレンジャーシリーズに出場できる。

その内訳は男子がリージョナルQSランキング上位5名+リージョナル・ワイルドカード1名、女子はリージョナルQSランキング上位3名+リージョナル・ワイルドカード1名 。

2023/24シーズンのQSでは、2023年4月から2024年3月までに開催されたイベントのトップ5がカウントされ、最終的なCSクオリファイが決定となる。

 

 

オフィシャルサイト

Tamil Nadu International Surf Open

https://www.worldsurfleague.com/events/2023/qs/169/tamil-nadu-international-surf-open/main