取材、記事:山本貞彦 5/30日(火)~6/7日(水)の日程で、2024年パリオリンピック選考の大会となる「2023 ISA ワールドサーフィンゲームス」が エルサルバドルにて開催される。本日、今大会に向けてチーム「NAMINORI JAPAN」は、エルサルバドルへ向けて羽田空港より出発した。
強力な布陣。NAMINORI JAPAN
今回の日本代表となるチーム「NAMINORI JAPAN」は、これで5大会連続の代表で、前回の世界大会で優勝した五十嵐カノア。それに新しく稲葉玲王と脇田泰地というメンバーが加わった。初代表となる稲葉、脇田は、日本だけでなく海外でも実績がある実力者であり、期待は高まる。
そして、女子は現在も日本女子のトップを走る都筑有夢路。同じく東京オリンピックに出場し、ビッグウェイブにも定評のある前田マヒナ。そして、怪我からの復活を遂げ、パワーアップした松田詩野。前田、松田が4大会連続、都筑は3大会連続での選抜となり、経験に優る強力な布陣となっている。
今大会はオリンピック選考会ということで、大陸別(アフリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニア)に選出された男女各4名、上位入賞した選手がオリンピックへの出場が決まる。これは国枠ではなく、個人としての正式な代表ということで、選手にとっては重要な大会となる。
また、残りのアメリカ大陸の男女各1枠については「パンアメリカンゲームス」からの選出となり、今大会でアメリカ大陸を代表する男子ランキング上位5名と女子ランキング上位5名が、その「パンアメリカンゲームス」への出場権を得ることになっている。
今大会には前大会の東京オリンピックに出場した28人の選手が参加。その中には、金メダルのカリッサ・ムーア(USA)と日本代表の銀メダルの五十嵐カノア(JPN)、銅メダルの都筑有夢路(JPN)ら、メダリストも顔を揃える。
また、WSLはCT第6戦の「Surf Ranch Pro」が、5/27-28 アメリカ カリフォルニアで行われることで日程はタイトながら、五十嵐カノア、カリッサ・ムーアをはじめ、歴代世界チャンピオンのガブルエル・メディーナ(BRA)、フィリッぺ・トリード(BRA)、ジョン・ジョン・フローレンス(USA)らも出場し、それぞれの国の代表を目指す。
現在、WSLのCT枠でパリオリンピックに出場が確定している選手が4名いる。それがテレサ・ボンバロ(POR)、ジョアン・ディフェイ(FRA)、ブリサ・ヘネシー(CRC)、タティアナ・ウェストンウェブ(BRA)の4人だ。
4月の時点でISAから「この4人は今年度のWSLツアー終了時、女子CTサーファー枠の8人に入ることが確実ということで、オリンピック予選システムに従って出場権を獲得した。」と発表された。
また、今大会は新たにチェコ共和国、インド、ラトビア、モーリシャス、トリニダード・トバゴの5ヶ国が加わり、過去一番となる64ヶ国が参加。
その代表選手となるのは297人で、このうち132人(参加選手の44%)が女性アスリート。これはISAが掲げるジェンダー平等を体現するもので、女性のサーフィン地位向上を実践している大会となっている。
出発前の囲み会見では酒井理事長(NSA)、牛越強化委員長(JPSA)から激励の言葉が送られ、大野ヘッドコーチからは「選手、コーチ、スタッフのチーム一丸で知識と魂を込めて、選手をバックアップしていきます!」と挨拶。
今回、日本から出発するのは都筑有夢路、松田詩野、脇田泰地の3人(五十嵐カノア、稲葉玲王、前田マヒナは個々で現地へ合流予定)。そして、監督は宗像富次郎氏、栄養士の松本恵氏、マネージャーの大石純也氏、道幸もも氏らが同行する。
大野修聖ヘッドコーチと田中樹コーチが帯同。
また、今大会にはJPSAと連携強化したNSA強化委員会から、大野修聖ヘッドコーチと田中樹コーチが帯同。プロとして経験の長いキャリアを活かし、選手が気兼ねなく相談ができ、活躍できる環境を整える。
今大会の会場は2バンク。ラ・ボカナ(ライト/レフト)とエル・スンザル(ライト)で試合が進行する。男女とも別れて試合が進むことで、選手、コーチも二手に分かれる。さらにリパチャージ(敗者復活戦)に回ると、完全にセパレートとなる大会だ。
そこについては、ラ・ボカナ(ライト/レフト)は大野。エル・スンザル(ライト)を田中で、それぞれ担当する予定。
大野、田中両コーチは、「自分たちの役目は、ジャッジが何を評価しているのかを客観的に把握し、ヒートの組み立て方を選手にアドバイスすること。そして、一番は選手が自信を持って(試合に)臨めるようにしたい」と語ってくれた。
松田詩野と都筑有夢路
囲み会見で、都筑有夢路は意気込みと今のモチベーションをこう答えた。
「CSでは敗退してしまったので、帰国を3日早めました。それで気持ちも切り替えることができたので、あとは向こうで練習して自分の調子を上げていきたいです。
この大会でアジア1位を決めることができれば、(オリンピックまで)1年間準備ができるので、ここで決めたいという気持ちが強いです。」
自分が活躍することで感動してもらえたり、笑顔になってもらえたら良いな
「前回の東京オリンピックの時はコロナ禍で悲しいニュースが多かったですよね。でも、自分がオリンピックに出たことで、みんなが笑顔になったことがすごい嬉しくて。
だから、今もそれを届けたいという気持ちがすごくあって。自分が活躍することで感動してもらえたり、笑顔になってもらえたら良いなっていう気持ちがあるので、それをできるように頑張りたいと思います。」
また、4大会連続の日本代表入りの松田詩野は、大会に向けてこう語る。
「小さい時から、サーフィンの魅力をたくさんの人に伝えたいっていう気持ちがすごくあって。それは今も変わらずあるんですけど。それを伝えられる大きな舞台がオリンピック。
まだ、そのオリンピックは自分が手にしていないので、その悔しさもすごく良いモチベーションになっています。」
自分としては新しいスタートで失うものも無い。
「日本でトレーナーとトレーニングできたことと、暑さ対策(ランニング、サウナ)を行ったことで、調整はしっかりできました。
2021年(オリンピック最終予選)のISAがエルサルバドルだったので、今回はリベンジじゃないですけど、そういう想いが強いです。ただ、自分としては新しいスタートで失うものも無いし、楽しめるかなとも思っています。」
今大会はCT選手含め強豪が揃う。
その他、各国の出場メンバーを改めて見ると、やはり、CT選手含め強豪が揃う今大会。
オーストラリアからジャック・ロビンソン、イーサン・ユーイング、リアム・オブライエン、タイラー・ライト、サリー・フィッツギボンズ、ソフィー・マカロック。
アメリカはジョン・ジョン・フローレンス、グリフィン・コラピント、タイラー・ガンター、カリッサ・ムーア、キャロライン・マークス、ブリアナ・コープ。
ブラジルはガブリエル・メディーナ、フィリッぺ・トリード、ジョアオ・チアンカにタティアナ・ウェストンウェブ、ルアナ・シルバ、シルバナ・リマ。
フランスからジョアン・ドゥルー、マキシム・フスナット、ジョアン・ディフェイ ヴァフィネ・フィエロ、ポーリン・アド。
カナダはエリン・ブルックス、コーディー・ヤング。
イタリアはレオナルド・フィオラバンティ、ジェシー・メンデス。
ポルトガルがフレデリコ・モライス、テレサ・ボンバロ。
南アフリカはジョーディ・スミス、マシュー・マギリヴレイ。
コスタリカはカルロス・ムニョスなどなど。
日本はオリンピック出場について、男女とも3枠獲得が目標。
その中でもアジアで特にライバルとなるのが、インドネシアとフィリピンだろう。インドネシアからはWSL CT選手の和井田理央やカトゥ・アグース、カイラニ・ジョンソンら。そして、フィリピンからはクラウド9、日向で優勝したジョン・マーク・トコンやニルビー・ブランカダなどもエントリーしている。決して油断できない存在だ。
日本はオリンピック出場について、男女とも3枠獲得が目標。現在、五十嵐カノアが「2022 ISAワールドサーフィンゲームス」で金メダルを獲得。男子総合優勝したことで、日本は男子1枠を獲得済み。
今大会で何としても男女1枠ずつを獲得することで、最終予選となる2024年の大会(「2024 ISA ワールドサーフィンゲームス」は来年2/22~3/2までプエルトリコで開催)に弾みをつけたいところ。
今回のエルサルバドルは東京オリンピックの最終選考となった場所でもあるし、日本代表もそれぞれが経験も積んでいる。必ずや良い結果を出してくれるだろう。
我々は日本からエールを送って、応援しよう!頑張れ!日本!Go!Naminori Japan!
名 称 :2023 SURF CITY EL SALVADOR ISA WORLD SURFING GAMES
主 催 : 国際サーフィン連盟(ISA)
期 間 : 2023年5月30日(火)~6月7日(水)
開催地 :El Sunzal / La Bocana, El Salvador
日本代表NAMINORI JAPAN 派遣選手
・スケジュール(※ 現地時間)
5月30日:開会式 及び 競技1日目
5月31日~6月6日:競技
6月7日:競技(最終日)後、閉会式
大会ライブはこちらから。
・ISA HP
https://isasurf.org/event/2023-surf-city-el-salvador-isa-world-surfing-games/
また、日本代表ニュースはこちらから。
・NSA HP NEWS
https://www.nsa-surf.org/news/
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