NOJILAND FILMこと菅野大典氏が、現地からオーストラリアの最新情報を伝えてくれる【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第27回となる今回はステファニー・ギルモア8度目の世界王者、ワーホリ萩田泰智、相澤日向、ジャックと馬庭彩。
取材、文、写真:菅野大典
9月のゴールドコースト。
天候の悪い日もありましたが、晴れた日はすっかり春の陽気になり暖かい日が多く続きました。
水温はまだまだ冷たいですが、体温の高いオージーは水着1枚で海遊びしている姿も。
コロナウイルスの感染者の状況は先月と同じく減少傾向にあり、国全体で週に6000人程となっており、死亡者も減少してきています。
9月はスクールホリデーが重なっていることもあり、街の様子を見てみてもどこのレストランやパブにも人が溢れており活気がある様子。もちろん街中やショッピングモールでさえもマスクを着用している人の姿は見られません。
国外からの観光客や旅行に出る人も増えており、人々の動きが益々活発になってきている感じがあります。
ステファニー・ギルモアが見事8度目の世界王者に
今月の一番のニュースはなんと言っても、オーストラリアに再びWSL世界王者のタイトルが戻ってきたという事。
CTシーズンを5位で終えたステファニー・ギルモアがWSLファイナルズに出場し、5連勝の破竹の快進撃を繰り出し見事8度目の世界王者に輝きました。
8度目のタイトルという歴史的偉業を成し遂げたステファニー・ギルモア。PHOTO: WSL / Nolan
ステファニー・ギルモアのホームポイントであるクーランガッタでもこの話題で盛り上がっており、34歳の素晴らしいアスリートがオーストラリアに明るいニュースを届けてくれました。
ゴールドコーストの波の状況は上旬にスウェルが入り、しばらく地形の悪かったD-BAHもいいコンディションに。
奥のウォールでは、AUSTRALIAN BOARDRIDERS BATTLEのクイーンズランド予選が開催。
週末と重なり多くのサーファーがいい波を堪能していました。
その後は典型的な9月の時期といった感じで、波のないコンディションが続きました。
同じD-BAHでもこの違い。ゴールドコーストで1番波のない時期は8〜10月といった感じです。
夕暮れ時のスナッパーロックス。小さめながらも形よく穏やかな波が割れ、ロングボードやミッドレングスの板を中心に楽しまれています。
バーレーヘッズで 2022 King & Queen Of The Point開催。
9月17日には”2022 King & Queen Of The Point”の大会がバーレーヘッズで開催。
この大会は、9月16日から18日に行われているバーレーフェスティバルの一環のイベントで、小さな規模での大会ながらも賞金総額は5000ドル。近隣に住んでいるサーファーからしたら嬉しい大会で、バーレーヘッズのローカルサーファーを中心に多数の選手が参加していました。
週末は多くの人で賑わうバーレーヘッズ。
試合のフォーマットも通常のベスト2ウェーブトータルではなく、ベスト1ウェーブの20分ヒート。これは、コロナ期間中から毎年開催されているオーストラリアンオープンのシリーズでも同様のフォーマット。
選手によりリスクのあるマニューバーをする事、高得点を出すサーフィンを心がけさせる事を目的とした意図が含まれており、QSサーファーの育成の場になるように設けられたルールとなっています。
波は岩の上でブレイクするスモールコンディションの1−2ft。それでも選手の素晴らしい演技により白熱のバトルが繰り広げられていました。
素晴らしいパフォーマンスを見せていたホリー・ウィリアムス。残念ながらセミファイナルで敗退してしまったが、サーフィンの実力はピカイチ。
攻めすぎて岩に乗り上げる姿もたくさん。
躊躇なく攻めのサーフィンを見せていたアリッサ・ロック。ラウンド1では8ポイントを出すなど好調なサーフィンを見せていたが、ファイナルでは良い波を見つけれずに3位でフィニッシュ。WOMENSで見事優勝したアイラ・ハパッツ。ファイナルでは1人波を見つけ出し他の選手を圧倒。8.33ポイントを叩き出しチャンピオンに輝いた。
現在ワーキングホリデーで滞在中の萩田泰智もこのイベントに参加。ラウンド1を勝ち上がり、ラウンド2ではバリエーションのあるサーフィンでグッドレンジとなる6.17ポイントをスコアするもハイレベルなヒートを勝ち上がることができず惜しくも敗退。
多彩なサーフィンを披露したタイチ。
同世代のオージーサーファーとも顔見知りになり、毎日刺激を受けながらワーキングホリデー生活を満喫している様子。すごくいい環境でサーフィンができていますと話してくれた。
タイチと同じヒートを戦ったクーパー・デービス。
完璧なフルローテーションを決めイベントのハイエストスコアとなる8.83ポイントを叩き出したオスカー・ベリー。
ジュニアながら強豪選手を倒し見事ファイナルへ進出したタイ・リチャードソン。ファイナルでは他の選手に圧倒され4位となったが、立派な結果。
今年1月にこの場所で行われたビッグイベントのシングルフィンコンテストで優勝しているマディー・ジョブ。さすがバーレーヘッズの波を知り尽くしているローカルサーファーといった波選びでファイナルまで進出の3位。
ラウンド2からずっと同じヒートを勝ち上がりファイナルまで駒を進めた相澤日向とキーフ・バトラー。WSLの試合とは違い選手みんながリラックスして試合望んでいるように感じました。
ファイナルでは開始早々に7.67ポイントをスコアーし優勝かと思われたが、中盤に逆転され惜しくも準優勝となったヒナタ。
キレキレのサーフィンで高得点を連発していたキーフ。CSでは思った結果が出せていないが、サーフィンの実力は本物。見事優勝に輝いた。
WOMENSファイナリスト、左からアイラ・ハパッツ、トゥル・スタリング、アリッサ・ロック、サフィ・ベット。
MENSファイナリスト、左からキーフ・バトラー、相澤日向、マディー・ジョブ、タイ・リチャードソン。
この週はD-BAHでもキラジュニアチームチャレンジが開催。オーストラリア中からボードライダーズクラブが集まり、ビーチにはサーファーが集まっていました。
各ボードライダーズが一丸となって代表選手を応援するのがチーム戦のいい所。
波は残念ながらスモールダンパーコンディション。
毎ヒートごとに勝ち上がった選手が担ぎ上げられ、ビーチは熱気に包まれていました。
週の後半には待望のスウェルが入りようやくサイズアップ。
久々にこのシマシマ模様となったレインボーベイ。
ジャックと馬庭彩。
NSW州のあるポイントに行ってみるとジェットスキーを使いながらトレーニングをするジャック・ロビンソンの姿がありました。
トップ選手の中では当たり前のように使われているジェットスキー。オーストラリアの選手の技術向上には欠かせないものとなっています。
今年のCTシーズンを2位で終えてWSLファイナルズに出場を果たしたものの、思ったようにヒートを進めることができずにイタロ・フェレイラ敗退してしまい、2022年のシーズンを3位で終えたジャック・ロビンソン。
それでも今年のジャックの活躍は目を見張るものがあり、突出したチューブスキルとエアーの技術だけでなく、他のマニューバーや試合運びを含めた技術の上達には、WSLのタイトルを獲得するという事に対してとても努力してきたという事が感じさせられました。
この日、他のサーファーが到底テイクオフできない場所からいとも簡単に波に乗り、何度も大きなバレルに身を包んでいたジャック。
実力のある若いオージーの選手がたくさんいる中でもイーサン・ユーイングと共に1つ上のレベルを行くジャック。オーストラリア国内では久しぶりの男子のオージーからの2023年度のワールドタイトルへの期待が高まっているように感じます。
この日、唯一女の子で1人パドルアウトして行った馬庭彩。
激掘れの波に果敢にチャージするサイちゃん。
現在ゴールドコーストのグリフィス大学に通う彩ちゃんは、9月初旬に御前崎で行われたホワイトバッファローのQSとプロジュニア、JPSA茨城に参戦後に2週間だけ大学のテストを受けるためにオーストラリアへ束の間の帰国。
そして10月はまた千葉県の南房総で行われるJPSAとプロジュニアに参加するためにまた日本へ行き、その後はフィリピンのQSへ参戦予定。
現在アジアプロジュニアランキング3位で次の南房総ではワールドジュニア代表が決定する。
『同世代に仲の良い友人でありライバルのサーファーがたくさんいる事がとても刺激になるし、本当に幸せな事です』と、話してくれて、サーフィンの試合を心から楽しんでいる様子。
自分の車もゲットし、今では1人でサーフィンも大学も通って時間を無駄にする事なく文武両道をこなしています。
自慢の愛車を披露してくれたサイちゃん。多忙ながらもしっかりと目標を見定め突き進んでいます。
波のサイズのあるコンディションが少なかったものの、サーフィンに関わるイベント事も多く、気温も暖かくなり、街の雰囲気も活気に溢れていたゴールドコーストからの9月のニュースでした。
私事ですが10月の前半はパンデミック以来の一時帰国を3年ぶりにするので、空港の様子など気づいた事も含めて次回の記事で書きたいと思います。
菅野大典:オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。
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