真夏のオーストラリア最新SURFNEWS。新型コロナ最新情報、スナッパーロックス・サーフクラブのクラブチャンピオンシップ開催

NOJILAND FILMこと菅野大典氏が、現地からオーストラリアの最新情報を伝えてくれる【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第18回となる今回は、感染者数が再び増加するオーストラリアのコロナ最新情報、スナッパーロックス・サーフクラブのクラブチャンピオンシップなどです。

 

取材、文、写真:菅野大典

 

 

夏真っ盛りのゴールドコースト。

雨続きだった10月、11月のゴールドコーストですが、12月初旬には晴れ間の広がる日が増え 天気のいい日が続きました。

 

まさにゴールドコーストの夏といった海の景色。
サーフレッスンも賑わっていました。
クリスマスホリデーになりビーチにテントを立てて夏を楽しむ人もちらほら見えましたが、通年の人混みと比べたら約50%といっ た感じです。

 

 

しかしながら月の後半にはまたしても天気の崩れる日が多く、再び雨が降る日が続きました。

 

 

どんよりとした空模様の年末。

 

 

新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多を更新

 

 

コロナウイルスの影響もあり、昨年同様少し静かなクリスマスホリデーを迎えています。

 

ワクチン接種率の上昇により国内の州境を解放し、国境も徐々に開けはじめたオーストラリアですが、必須であるPCRの検査場には常に長蛇の列が広がり、その待ち時間は3、4時間以上も かかるほど。

 

また検査結果を待つのにも3日以上もかかるなど、収集のついてない状況になっています。

 

州境を解放した事が理由か、オミクロン株が原因か、新規感染者は日を追うごとに倍増してお り、現在オーストラリアの新規感染者数は1万人を超える数となっています。

 

もちろんこれは過去最大の人数で、コロナウイルス陽性であったり、PCR検査の結果待ちのためにクリスマスに外出できず自宅隔離で過ごさなければいけない家族も多くいました。

 

 

COVID19dataによる国内の新規感染者数グラフ。

 

 

現在ニューサウスウェールズ州では各地の検査場も検査サンプルを分析する臨床検査ラボも手いっぱいの状況で、そのため州の首相は、具合が悪くなく州保健局からPCR検査を指示されていない者は検査を受けないようにと呼びかけているほどの逼迫具合になっています。

 

また飲食店等では、感染者が滞在したなどの理由でPCR検査を余儀なくされ、その検査結果待 ちにより従業員が働けない状況であったり、ワクチンを打っていない者は接客業をできないといった規制のためによる従業員不足であったりと、1番の稼ぎ時であるクリスマスホリデーの時期に自主的に政府補償なしで休業せざるを得なくなるなどといった深刻な経済問題が出ています。

 

 

あいかわらず週末になると政府へのデモ活動が州境の場所で行われている。

 

 

 

コロナウイルスとの共存路線の政策に舵をとった政府は、再びロックダウンにするという考えは持っておらず、来月にはクイーンズランド州もワクチン接種率90%が確実視されているので、 インターナショナルの旅行者を受け入れる予定となっていますが、今後の不安は残る状態となっ ています。

 

来年はこのコロナウイルスの問題が解消し、少しでも良い方向に向かうことを願っています。

 

 

海はコンディションの良い日が多く、たくさんのサーファーで賑わっている。

 

 

スーパーバンクのラインナップ。綺麗な南うねりが入る日が多くコンディションの良い日が続いています。

 

波の状況は、地形の良い場所も多くサイズにも恵まれ、毎日良いコンディションでサーフィンができています。スナッパーロックスからグリーンマウントは毎日のように、このような景色が広がり、多くのサーファーで賑わっています。

 

 

スナッパーロックスに行けば、アメリカから帰国したステファニー・ギルモアが仲間同士でリ ラックスしながらサーフィンしている姿がありました。

 

7x世界王者ステファニー・ギルモア。リラックスした雰囲気ながらもスタイリッシュでダイナミックなサーフィンで海でも一際目立っていました。

 

10月にゴールドコーストで行われたAUSTRALIAN OPENシリーズで2位になったトーマス・ カルバルホ。新しくオニールのスポンサーがつき、ますますサーフィンに気合が入っている様子で した。

 

スピードとパワー共にトップレベルの選手まで成長したトーマス。来年のQSシーズンが楽しみな選手の一人です。

 

サイズが上がった日のD-BAHではたくさんのカメラマンがビーチにスタンバイしてセッションが 繰り広げられていました。

 

コンディションの良い時は必ずといってカメラマンがいるD-BAH。その数は年々増えているように感じます。
昨年からクイックシルバーからサポートを受けるようになったマッケンジー・ボーデン。綺麗なラインを描いてクルージング。
最近めきめきと実力を上げているブレイク・ネカ。
身体も大きくなり迫力のあるサーフィンを繰り出すクインシー・シモンズ。

別の日のD-BAHでは3x世界王者のミック・ファニングの姿も見られました。30分程ですぐにあがっていってしまいましたが、混雑した中でも良い波をとり、衰えを感じ させない綺麗な力強いサーフィンで、周りのサーファーの目をクギ付けにしていました。

 

オーストラリア人のクリスマスの過ごし方は基本的には家族で過ごしたり、気の合う仲間同士 でビーチで遊んだりといった感じで、この時期は地元で時間を使う選手がほとんど。世界でもトップクラスの選手がたくさんいるゴールドコースト周辺では、スーパースターを見かける機会が多く 見られます。

 

たまたま近所のビーチでサーフィンをしていたら、やたらとうまいサーファーがたくさん入っていたので、その場所にいた知り合いに話を聞いたら、毎年ボクシングデーとなる祝日の12月26日に仲間同士で集まってタッグチームイベントをやっていると言っていました。

 

海での遊びが本当に大好きなオージー。

元CT選手であるソリ・ベイリーも参加していました。

コーチとしてやWSLビーチコメンテイターとしてお馴染みのステイス・ガルブレイスの姿も。

知らないサーファーでもレベルが高い。キレキレのサーフィンをしている人がたくさんいました。

 

ノア・ディーンやジャック・フリーストーン、オーウェン・ライトといった有名人が歴代王者になっ ているこのイベント。みんなでサーフィンをしてビールを飲むといったシンプルな事ですが、オージーはビーチでの遊び方が本当に上手で、天候が悪いながらみんな笑顔で楽しそうにしている様子が伝わってきました。

 

 

スナッパーロックス・サーフクラブのクラブチャンピオンシップを開催

 

 

12月はオーストラリア全土に広がるボードライダーズのシリーズ最終戦が行われたり、プレゼンテーションが行われる時期でもあり、各クラブにとっての年間シリーズの締めの月ともなります。

 

ビッグクラブであるスナッパーロックス・サーフクラブは、毎年12月27日から30日までの期間のウエイティングピリオドを設けてクラブチャンピオンを決めるクラブチャンピオンシップを開催しており、今年はそのイベントがコンディションの良い29日に行われました。

 

 

 

 

フリーサーファーはいるもののゼッケンを着ているサーファーは優先的に波に乗らしてもらえるというのがボードライダーズのクラブの試合の暗黙のルールと言った感じで、スナッパーロックス の極上の波での試合はとても白熱したものとなっていました。

 

 

7x世界王者であるステファニーギルモアも出場。

ビハインドロックからテイクオフしスーパーロングバレルを決め大盛り上がり。大歓声が上がって いました。

昨年度のクラブチャンピオンのミッチ・パーキンソンとスナッパーロックスの波のいい日には いつも現れるラッセル。この場所でエントリーするサーファーに向けてディジュリドゥを吹いて波 運を呼び寄せる行いは名物となっています。

チューブにエアーとなんでもありのミッチ・パーキンソン。ここでサーフィンをやらしたら右に 出るものはいないというほど波を知り尽くしているローカルサーファーで、フリーサーフィンと同 様に遊んでいる感じでヒートをこなしていました。

1999年の世界チャンピオンであるオッキーことマーク・オクールポや2012年の世界王者のジョエ ル・パーキンソンの姿も会場に。

本部テントではキッズサーファーに笑顔で話に答えるステファニーギルモアの姿も見られました。

 

馬庭彩もチームの一員として出場。

 

馬庭彩

 

今年で高校を卒業し留学を終えた馬庭彩ちゃんも、このビッグクラブのメンバーの一員。ラウンド 2では、元世界チャンピオンのジョエル・パーキンソンを含む豪華なメンバーと対戦。

 

馬庭彩

カップケーキを持ってきた姿を隠し撮り(笑)

 

『しっかりとした試合をするというよりも、すごいチューブを抜けたり何か印象に残るライ ディングをしたいって思っていて、その波を待っていたのですが、うまくサイクルが合いませんでした。』とコメントした彩ちゃん。

 

惜しくもこのラウンドで敗退してしまったものの『このような素 晴らしいサーファーがたくさんいる中で試合ができたり、チームの一員として活動できるのは最高の環境です』と、笑顔で試合を振り返ってくれました。

 

 

2022年は再び日本にリージョナルを戻しWSLのイベントを中心に活動するという彩ちゃん。オー ストラリアでの修行の成果を基に頑張って欲しいです。

 

 

ビハインドロックからチューブを抜けスタイリッシュなカービングスラッシュを決める元世界王者のジョエル・パーキンソン。

バックハンドといえばオッキー。と、今でも言われるほどインパクトの強い元世界王者マーク・オキールポのバックハンドアクショ ン。大きなセットを捉えて太いラインを描いたライディングを披露し、会場から大歓声が上がっていました。

タイ・リチャードソン

2週間前にサンシャインコーストで行われたリップカールグロムサーチで優勝し、グロメッツ卒 業の16歳の年を有終の美で終えたタイ・リチャードソン。このクラブチャンピオンシップでも セミファイナルまで残るなど大人と交えてもサーフィンの実力は引けをとらないほどに成長してい る。

 

ジャガー・バー ソロミュー
ジャガーとパーコ

 

そしてこのイベントを制し見事に2021年のクラブチャンピオンに輝いたのは、ラビットの愛 称で知られている1978年の世界王者のウェイン・バーソロミューの息子であるジャガー・バー ソロミュー。

 

ここ数年で身体つきも大きくなり、サーフィンの実力も数段上がった様子。タレント揃いのクラ ブの歴史に新たな名前を刻みました。

 

今年で57年を迎える歴史のあるサーフィンクラブでもあるこのスナッパーロックス・サーフクラブは、間違いなくオーストラリア1とも言えるボードライダーズクラブで、数々のタイトルをとっ ているだけでなく、たくさんの世界王者やCT選手を排出しているクラブでもあり、多くの企業が このビッグクラブを手厚くサポートしています。

 

 クイックシルバーもこのクラブのスポンサーとなっており、メンバー全員にクラブのボードショーツ等を提供したりしている。

テント内にはフィンガーフードやBBQをメンバーとその家族が協力し合いながら提供している。

 

憧れのサーファーや地元のヒーローといった存在のサーファーと直に接する事ができるのがボー ドライダーズの素晴らしいところ。そしてこのクラブチャンピオンシップはメンバー誰もが参加で きるので、10代前半のグロメッツが世界王者と対戦する様なヒートもありました。

 

 

大人も子供も年齢関係なしのこの環境は子供にとってとても貴重な経験になる事でしょう。

 

 

オーストラリアのサーフィンの根底にあるような存在であるボードライダーズ。各地域のクラブ によってそれぞれ仕組みや活動内容は異なりますが、改めてまたこの団体の仕組みの良さを感じ る事ができました。

 

 

2021年はコロナウイルスの影響で州をまたいで行動をする事が難しく、大半はゴールドコー ストからのニュースを中心になってしまいましたが、2022年は可能であればオーストラリアの 別の地域の様子も伝える事ができればと思います。

 

 

また、新たにCTクオリファイを果たした若いオージーサーファーにも注目しながら、その背景にあるオーストラリアのサーフィンの環境なども伝えていけたらと思います。

 

 

2021年オーストラリアサーフィンニュースを拝読していただきありがとうございました。 2022年もまた引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。