report & photo: sadahiko yamamoto
昨日はついにこの日が来たんだ!と感動する上映会だった。限定公開となった「MAD DAWG」。サーファーに松岡慧斗と村上舜、蓮。そして制作に当たったハジメさんとカラーズマガジンのヨゲくんが作った新チームの究極なハードコアサーフィン。映像はもち ろん作品としても素晴らしいの一言だった。
スコアするのは未知の波。それは荒々しく大きく、ちっぽけな人間なんかは軽く跳ね返す ような波を追い求め、一年をかけて国内を走り回った。誰も制覇したことがない、ワイル ドで牙を剥く波にチャレンジする姿は清々しく、そこには感動すら覚える。
自分は元々、サーフィンはフリーが好きで、カルチャーだと思っている派だ。日本のサー フィンの歴史を見ても、こちらがメインであったことは周知の事実。コンペよりもスタイ ル。人と争う競技よりも自然、海の中での一表現としてのサーフィンに魅力を感じてい た。
しかし、日本でのサーフィンが衰退していく中、自分が始めたのはコンペ押し。サーフィ ンの一部でもある競技で一般への理解を浸透させる意味合いもあったが、フリーサーフィ ンを輝かせるためには、日本のコンペの実力を上げることが必要だと思ったからだ。
それはサーフィンでいうコンペとフリーは両輪で、どちらも極めることで、初めてカッコ いいものになる。カルチャーだけが突出していた日本が、真の評価受けるためにもコンペ の力をつけることが必須だと思ったのだ。
だから、年間で試合をフル取材したし、自分でジュニア育成の「JJP」も立ち上げたりも した。ここ数年、NSAの活動も実り、波乗りジャパンの活躍も記憶に新しい。コンペの実 力が間違いなく上がってきた日本のサーフィン。
それに併せて、松岡慧斗のハワイで2年連続で残した軌跡。フリーサーフィンでも世界へ アピールできることを自らが実践。日本人でもやれるんだということを証明した。
そして、このタイミング。すべての歯車が噛み合いこのお披露目となったリミテッドリリース。今までもいろんなスタイルのフリーサーフィンはあったけれど、ここまでスト イックに追い求めたものはなかったはずだ。
来年のオリンピックを控えて、その代表候補でもある村上舜がここにいることも間違いな く衝撃だったし、その弟の蓮も兄貴分にも刺激を受けて才能を開花させようとしている。
彼らの「MOBB」仲間には稲葉玲王、脇田泰地、都筑百斗とこちらもコンペ、フリーと実 力豊かな面々も控えている。日本もこれだけできるんだということが改めて確認できたこ とが嬉しかった。
一般だけでなく、日本のプロサーファー、クリエイターにも刺激を与えた今作品。松岡は 「これはまだ50%、まだまだやり続ける」と言う。村上は「この作品が自分のやりたいことであり、好きなサーフィンである」と語り、「これで次の世代につなげたい」と挨拶した。
この映像が日本のサーフィンの新しい幕開けとなったことは間違いない。彼らの活動を広 く知って欲しいと共に、多くのスポンサーにフォローして欲しいと願う。
MAD DAWG
松岡慧斗
村上舜
村上蓮
青木肇
吉田憲右