サリー・コーヘンがカリフォルニアのマリブで行われた「Relik ロングボード・ワールド・ツアー」で3位

 

一昨年、発足したロングボードの世界大会「Relik ワールド・ロングボード・ツアー」。3シーズン目を迎えた今年は、カリフォルニアの聖地マリブで6月22−23日の二日間を使って開催。

 

男子では3Xロングボード世界チャンピオンのテイラー・ジェンセンが、フランスのエドアード・デルペーロを下して優勝。女子は2018の世界チャンピオンであるソレイ・エリコがクロエ・カルモンを下して優勝した。

 

また今回のRelikの大会では、ハワイの次世代ロングボード・シーンを担うサリー・コーヘンが見事セミファイナルまで勝ち上がり初出場にして3位入賞を果たした。そんな彼女に今回の大会に関する話を聞いた。

 

 

 

 

SM:  今回のRelik の大会は初出場だと思うけど、これまで出場してきたWSLイベントなどと比べて違いを感じましたか? 他のイベントにはない魅力などがあれば教えて。

 

Sally: 違いますね。Relikは、ロングボーダーみんなに公平に出場できるチャンスを与えてくれるんですが、WSLイベントは昨年から少し変わったけど窓口が狭い。あと、出てみてすごく感じたのが、ジャッジの仕方が違うなと。WSLのジャッジは、ショートボーダーだと聞いたんですが、何がいいのか、悪いのかがはっきりしてないんです。

 

例えば、ノーズライディングはスタイルを細かくみてくれてないし、ただ長ければ長いほどいいという感じ。ラウンドハウス・カットバックとかしても、点数に加算されない場合もありました。

 

けれど、Relikは、3T (Timing, Temp, Trimming) と、ジャッジの規定があって、フットワーク、レールワーク、ノーズワークを全部みせないと点数にならない。例えばノーズを10秒やったとしても、カットバックなどのレールワークをみせないと、点数がつかない。

 

 

だからノーズ3秒やったら、レールワークをみせるカットバックをして、最後は当て込むとか。それだけじゃなくて、スタイルがプラスされるのがRelik。例えばハングテンする時に、両手をあげたり綺麗なスタイルを見せれば点数にプラスされるけど、WSLは手の形までみないんですよね。やはりRelikはロングボーダーが作ったコンテストだから、バランスの良いジャッジングだなと思いますね。

 

 

SM:  Relikはインビテーションとビデオ投票でのクオリファイがあったと思うけど、サリーは今回どんな形で出場することになったの?

 

Sally: 私はビデオ予選を勝ち抜いて出れたんです。去年もビデオを送ったんですが、選ばれなかった。だから今年もダメだと思ってたんです。ワイキキのアンティー(面倒みの良いハワイアン)とかに「ビデオ送った??」と、言われても、「どうせダメだから」と言って、送らないでいたんです。

 

 

 

 

ビデオをサブミットする締め切りの日。その日、私は、バンザイボールズ(アサイボール)でバイトをしてて、夜9時までの勤務だったんです。夜8時ごろに、ボーイフレンドのトモ(ジェイミー・オブライエンの専属カメラマン)がバイト先にやってきて、いつのまにか、撮ってくれてた私の映像を綺麗に編集してくれてて、それをサブミットしたんです。

 

で、大会の後にわかったんですが、、、表彰式が終わった後にサム・ジョージという サーファーマガジンの創設者が私のところにやってきて、「おめでとう、君は僕が選んだんだよ。送られてきたビデオの数は、今年はものすごく多くて、1000本もあったんだ。それを一本一本みたんだけど、覚えてるよ、君のライディングスタイルは誰よりも綺麗だったから。。」

 

で、、、話は戻りますが、ビデオ予選でベスト16に選ばれて、その後は、投票。一般の人からの投票でベスト8に入り、出場ができることになったんです。

 

 

SM: 今回は、最初からマンオンマンで、R1トリー・ギルカーソン、R2吉川広夏、QFリンジー・ステンレイディ、SFクロエ・カルモンといった強豪選手と対戦が続いていたね。

 

練習の時、みんなが上手くて、場違いなところに来たような気分になっていたんです。だから、まさか勝ち上がれるとは思わなかった。だから勝ちは全く意識してませんでした。必ず対戦相手には、「頑張ってね!」と声をかけていましたよ、始まる前に(笑)。ヒロカ(吉川広夏)は私の友達ですが、彼女のノーズライディングは、本当に綺麗ですよね。スムースで。みんな、本当に上手ですよね。

 

 

SM:  今回のマリブはハワイでいつも練習している波とは違っていたと思うけど、そんな波でのコンテストはどうだった? 

 

Sally: 驚きました、波の違いに。ノースショアではサンセットとかエフカイとかパワーウェイブでいつも波乗りしていて、同じ板を2枚持って行ったら、ロッカーがありすぎるんだか、マリブの波では全然ダメで。。。

 

練習の時はガタガタだったんですが、それを見ていたフィル(元世界チャンピオンのフィル・ラズマン)が、「俺の板を使ってみなよ」と言ってきた。普段なら大会の直前に板を変えるなんてことはしないんですが、「絶対にラインディング変わるよ」ってフィルが言ってくれたのと、あまりにも練習の時、ダメだったから、一か八かで使ってみたら、ライディングが変わったんです。波によって板って変えなきゃいけないんだなと初めて知って、早速カリフォルニアに滞在中に、3枚ロングが入るボードケースを買いました(笑)。

 

世界チャンピオンのフィルと

 

コーチング(元世界チャンピオンのフィル・ラズマン)も受けたようだけど、試合全体を振り返り、コーチングを受けて自分のサーフィンで心掛けていたこととかあった? 

 

Sally: はじめてコーチングを受けてみたんですが、やはり世界チャンピオンになるだけある、フィルは、戦略がうまい。マリブのセットが長いから、じっくりセットを待ってなきゃならない。慌てて小さいのに乗ったらプライオリティを無駄にしてしまうでしょ。

 

自分が待ってる時も冷静に焦らないようにしなければならないけど、逆に自分がプライオリティない時は、相手の真横にいて、プレッシャーかければ相手が慌てて小さいのに手を出す。大きい波も相手が乗らないようなら、ささっと乗れるでしょ。同じポジションにいれば。

 

そういうのってやったことなかったけど、マンオンマンの大会では、そういう駆け引きって技術と同じくらい大事だってこと、フィルに教わりました。後は、人の意見とか他人がどうみてるとか、そういうのを気にしない。自分中心の心で大会に臨むこと。それはとても大切だって、散々言われました。

 

海の中だけでなく、試合の前の日にパーティー行こうとか誘われることがあっても、断る勇気とか、そういうのも試合の一部だと思って整えていかなければならないってことも教えてくれました。

 

 

SM:2019年はWSLのロングボード・チャンピオンシップ・ツアーもシステムが大きく変わったよね。この改革に関して、いまのサリーの立場としてはメリットはあるのかな?

 

Sally: もっと多くの人に、出れるチャンスが与えられるようになりましたよね。今までオーストラリアは予選が3戦あるのに対して、ハワイの予選は、タートルベイの一戦しかなかったんだけど、それも昨年はなくなっちゃって。

 

予選がない地域からは、本戦に出れないって言われて、もう諦めていたんですよね。そしたら、世界のどこの予選を出てもポイントになるってことにシステム変わってくれて、ドアが開いた感じです。お金との相談もありますが、チャレンジしていきたいと思ってます。

 

SM:ハワイでは年々ロングボードの試合が減ってきているように感じるね。一緒に試合に出ている友達とかもいると思うけど、ハワイのサーフシーンで感じていることとかある? 

 

ハワイでロングといえば、ワイキキですからね。ワイキキに行けばみんなロングボーダーですから(笑)そんな人たちが楽しめる祭典みたいな大会は毎年夏になるとたくさんあります。明日から始まるノーズライディングコンテストもそうです。(6/29-30 Hawaiian Noseriding Classic)何秒長くノーズに居られるかっていうので、競い合うんです。それはそれで楽しいですよ。チームチャレンジもあるし。

 

世界大会につながるイベントがないだけで、ハワイらしい楽しい大会はたくさんある。そういうイベントも大切だと思ってます。楽しいのがロングの特徴ですから。それに地元のそういう大会しか出ない選手も、スタイリッシュでかっこいいノーズライディングしますからね、勉強になります。

 

 

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SM:最後に今後の予定、そして目標は?

 

 

みんなそうだと思うけど、ワールドチャンピオン取れたらラッキーですよね。でも、あまりそれに固執してません。今こうやって旅して回れるなんてなかなかできることじゃないから、人生経験になる体験を旅とともに積み上げていきたいです。

 

ロングのコンテストを回りながら、土地の文化とかも学びたいし、習慣の違う別の国の人たちとも大いに関わっていきたいと思ってます。今しかできないと思うから、そういうのって。

 

日本にいるファンにメッセージもお願いします。

 

大会結果よりも、楽しめる人が勝者だと思いますね。今回、大会で結果を出せたのは、楽しむことができたからだと思います。勝つことを意識した途端、パフォーマンスは萎縮しますよね。

 

後は、Relik は全員にビデオ予選のチャンスを与えてくれてるから、ダメ元で、サブミットしてみたらいいと思います。ワイキキのアンティーが言ってくれた様に、ダメでも損になることはないからね!

 

 

「Relik ワールド・ロングボード・ツアー」は10月1-10日、世界でも指折りのハイパフォーマンス・ウェイブとして知られるカリフォルニアのロウワー・トラッスルズで第2戦が行われる予定。https://www.surfrelik.com/

 

 

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Can’t believe this actually happened! I can’t imagine my life without these beautiful people! I’m extremely grateful for all the love and support from my friends and family!

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サリー・コーヘンはハワイのノースショア在住のフォトグラファーGordinhoことポール・コーヘン氏の三姉妹の次女。母は日本のボディボード創成期にプロとして活躍された堺恵美子さんという海の遺伝子を持ち、日本語も堪能なキュートなハワイアン・ガールで日本のサーファー達とも親交が深い。

 

 

サリー・コーヘン:プロフィール

ハワイオアフ島生まれ。日系人。7歳の時に地元ノースショアでサーフィンを始め14歳の時に本格的にロングを始める。現在18歳。高校卒業したばかり。現在、本格的に世界チャンピオンを目指しトレーニング中。主な戦歴にミネフネショートボード3位。デュークミネフネ優勝。ロングUSAチャンピオンシップ2位。WSL宮崎4位。WSLデューク3位。チャイナウエムラ/ティーム&ガールズ優勝。ハワイ州ロングボードU18チャンピオン。WSL キングスクリフU18 優勝などがある。