撮影:佐原健司 オリンピック会場の千葉県長生郡一宮町釣ヶ崎海岸(志田下)で開催された、JPSAジャパンプロサーフィンツアー2018 ショートボード第7戦「CHIBA ICHINOMIYA PRO supported by 湾岸画廊」が終了。千葉をホームとする高橋健人がJPSA初優勝、女子では野呂玲花がJPSAでは4年ぶりの優勝を決めた。
大会最終日は朝からオンショアが強く、頭から頭オーバーと大会期間中もっとサイズのあるコンディションでファイナルデイがスタート。男子クオーターから開始して誰もが予想だにしないドラマチックなファイナルへと大会は進んでいった。
田中樹、ホームでのラストヒートを終えて涙。
今回のJPSAイベントは、今シーズンで現役を引退する田中樹にとって、彼のホームで行われる最後の試合。そのため、多くのファンがビーチに集結、プロ選手としての最後のイズキの姿を目に焼き付けようと多くの仲間が集まった。
田中樹はQFのH2で田中英義、加藤嵐、松岡慧斗と対戦。そのヒートでイズキはフォアハンドで4.75をスコアするも3位を強いられた。最後まで優先権を持ちポテンシャルのある波を待ったイズキだったが、そこでゲームセット。その瞬間、ホームでのプロ選手としてのヒートが終わった。
ヒート終了後には、ギャラリーから暖かい拍手で迎えられた。拍手のなか涙を堪えながらビーチを歩いていくと父親が待っていた。そして握手を交わし抱き合った。そこに言葉はいらなかった。我慢しきれずに涙がこぼれた。
「正直勝ちたかったです。最後一本乗れたらチャンスあるなと思っていんですけど残念です。でもこの場所で最後にみんなの前でやれてよかったです。泣かないと思っていたんですけど泣いてしまいましたね。今後は選手としてではなく、違う形でサーフィンの発展のためにやっていこうと思います」と、田中樹がコメント。
田嶋鉄兵、高梨直人とともにサーフユニット3Tを組んで新たな時代を切り開いた田中樹。プロとして田中樹が出場する試合は残り2戦。今後は、選手としてではなく新しい形でサーフィン業界に貢献すると語った彼の活躍に期待したい。
田中樹というサーファーが、本当に多くの人に愛されていることを実感できる数日間であった。
高橋健人、怪我を克服して成し遂げたJPSA初優勝。
男子のファイナルは、誰がこんなドラマチックなエンディングを予想していただろう。男子は大原洋人、加藤嵐、田中英義、高橋健人というオール千葉勢によるファイナルとなった。それは昨日、高橋健人が勝利者インタビューで言っていたこと。
しかも、高橋以外は全員が勝って当然の日本のチャンピオン・クラスの選手。高橋は「当たって砕けろの気持ち」でヒートに挑んだのだ。
今大会で気合いのサーフィンを見せていた高橋健人。ファイナルでもスタートからバックハンドのビッグ・リエントリーをメイク。5.67をスコアして会場が大歓声に包まれる。続けてフォアハンドでビッグエアも披露。インコンプリートだがヒートを楽しんでいるようだった。
各選手がハードなセクションを攻めていたため、インコンプリートも多かったが、高橋は少しづつリードを広げていった。勢いの止まらない高橋は、再び十八番のバックハンドで凄まじいスプレーの上がるリエントリーで7.60をスコア。トータル13.27でヒートを完全にコントロールした。
2年連続グラチャンで現在ランキング3位の加藤嵐は、トップスコアを7.10に塗り替えて2位につける。3位の大原はバックアップを探す。
ヒート後半に入り、4位だった田中英義がフォアハンドのソリッドターンで8.67をスコアして2位のポジションへ。再び高橋健人は、8.07のエクセレントをスコアしてトータル15.67として2位の田中英義との差を大きく広げる。完全に自分のペースを維持したまま、サーフィンを諦めるほどの大怪我から完全復活を見せた高橋健人がJPSA初優勝を決めた。
「言葉がありません。何年か前に足を怪我して、そこから試合に出れなくて悔しい思いをした時期があったんですけど、そんな時も支えてくれたスポンサーさんたちに、やっと恩返しができて本当に嬉しいです。」と、高橋健人が涙ながらにインタビューに応えた。「今回は千葉のトップサーファーとのファイナルで、そんな彼られに勝てて信じられない気分です。次の最終戦も優勝狙っていきます。」
野呂玲花がJPSAで4年ぶりの優勝
女子のファイナルにも感動的なエンディングが待っていた。勝ち上がったのは野呂玲花、庵原美穂、川瀬心那、渡辺愛の4名。依然としてトリッキーでラフなコンディションでスタートとなった女子のファイナル。ハードな状況ながら各選手ともスコアを出せる波を見つけてライディングする。
野呂玲花はスタートからビッグレフトにチャージしてヒートをリード。川瀬心那はクローズセクションに板を当て込みコンプリート。4.77をスコアして2位につける。
ヒート中盤に野呂玲花は、再びビッグレフトをキャッチ。カーヴィングからホワイトウォーターへの当て込みで6.67をスコア。トータル10.57としてリードを広げていく。虎視眈々と波を狙っていた庵原がラストチャンスにチャージを見せてバックハンドで5.17をスコアするもそこまで。野呂玲花が4年ぶりとなるJPSA勝利を手にした。
いつも明るい野呂玲花だが、その笑顔の裏に絶え間ない努力があった。勝てずに悩んだ末につのだ塾の門を叩き、日々この志田で練習を重ねてきた。周囲からはサーフィンが変わったと言われながらも結果が出せずにもがき苦しんだ。そして、今日その成果が身を結んだ。そして、ここからがスタートだと、つのだコーチは言うだろう。玲花はやればできるんだからと。
そして「家族の支えがあったからこその勝利です」と言葉を詰まらせながら野呂玲花が最後にコメントを付け加えた。
野呂玲花は、2012年 伊豆の今井浜で行われた「RONINプロ 海遊 藤本軌道カップ」でJPSA初参戦にして、アマチュアのままプロ公認を得た試合で優勝という快挙を達成。また2014年のムラサキプロ 鴨川ではビッグウェイブを制し優勝。2016年には今回と同じ志田で行われたQS 1,000で優勝した。
野呂玲花は今回の優勝でランキングも2位に浮上。トップは依然、野中美波ではあるが女子のグラチャン争いも面白くなってきた。
加藤嵐がランキングトップへ。
第7戦が終了してファイナルへ勝ち上がった加藤嵐がランキングトップへ躍り出た。2位にセミファイナルで敗れた辻裕次郎、そして3位に河谷佐助。1位と2位の差は僅か60ポイントという稀に見るクロスゲーム。最終戦の仙台と続けて行われる田原の結果でグラチャン争いに決着。果たしてどんなエンディングが待っているのか。
男子優勝:高橋健人、第2位:田中英義、第3位:加藤嵐、第4位:大原洋人
女子優勝:野呂玲花、第2位:庵原美穂、第3位:川瀬心那、第4位:渡辺愛
すわひめ賞:野呂玲花(賞金10万円)
今大会終了後にサプライズで湾岸画廊スーパーセッションが行われた。
ベストパフォーマー賞:松岡慧斗(賞金7万円)グッドパフォーマー賞:松本コア(賞金3万)
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