10月6日(土)から7日(日)まで神奈川県茅ケ崎市パークで開催されていたJPSAジャパンプロサーフィンツアー2018 ロングボード最終戦「クリオマンション 茅ヶ崎ロングボードプロ」が終了。男子では井上鷹が JPSA初優勝。女子では田岡なつみが優勝し2年連続グランドチャンピオンを獲得した。
「湘南のコンテストで、こんなに良い波での開催はなかった」と細川哲夫JPSA理事長が言うほど、素晴らしいコンディションで行われた大会初日の茅ヶ崎パーク。大会最終日は、前日の午後から吹き始めたサイド・オンショアが強まり、面を乱した。
しかし、ファイナルに近づくに連れて嘘のように風は弱まり、男女ともファイナルはクリーンなコンディションで行われ、奇跡のような波で最終戦に相応しいクライマックスを迎えた。
男子のファイナルは、今シーズンも全ての試合でファイナルへ勝ち上がり圧倒的な強さで2年連続のグランドチャンピオンを決めた浜瀬海、2014年の新島で優勝経験のあるファイナルの常連ではある堀井哲、2016年の千倉で優勝し、自らのシェイプボードで参戦の櫻岡甲太、そして今シーズンは浜瀬を脅かすほどのタクティクスを身につけた17歳の井上鷹という4名が勝ち上がった。
男子ファイナルは、オープニング・ウェイブで17歳の井上鷹と浜瀬海が波を取り合い、井上が奥から波をキャッチ。そしてカーヴィング、ハング10、5、リエントリーと素晴らしいコービネーションで6.75をスコアして、素晴らしいスタートを切る。浜瀬も波を立て続けて波を掴むも、焦りからか思ったようにスコアが伸びない。堀井はレフトブレイクで6.15をスコアして好スタート。櫻岡はじっくりと波を待つ。
ヒート後半に堀井が今度はバックハンドで3.90をスコアしてトップに。しかし直様、井上が1本の波で2度のハング10を入れるなど多彩な技のバリエーションを披露して6.65をスコア。再びトップに躍り出る。
浜瀬も長いハング5〜10のコンビネーションでファイナルのベストスコアとなる6.80をスコアして井上を追撃する。しかし、6ポイントを2本揃えている井上を逆転するにはニード6.6。最後は優先権を持った井上が浜瀬をマーク。そのままタイムアップとなり、井上鷹が悲願のJPSAロングで初優勝を決めた。
「最高に嬉しいです。今回の試合はセミファイナルでは自分のライディングが出来なかったんですが、ファイナルでは自分のサーフィンで勝ててよかったです。今シーズンは優勝にあと一歩で届かなくて、グラチャンも逃してしまって、少し落ち込んでいたんです。でも最後に勝ててよかったです。来年の予定はまだ決めていないですが、今年のJPSAのショートも残り2戦あるんで、この調子で頑張りたいです。」と、井上鷹がコメント。
田岡なつみが今季2勝目をあげ2年連続グラチャンに花を添える
女子のファイナルは、田岡なつみと小山みなみのグラチャン争いの二人による直接対決。そこに3年連続というロング女子のグラチャン記録を持つ吉川広夏、そしてセミファイナルでエクセレント・スコアをたたき出した菅谷裕美が今大会絶好調でファイナルへへ勝ち上がった。
30分間の熱い戦いの火蓋が切って落とされた。ファイナル開始直後から仕掛けた小山が5.00をスコア。田岡も負けじと4.50をスコアした。田岡はすぐにバックアップを揃え、ファイナルをリード。小山は優先権を持って波を待った。
田岡がコンスタントに波を捕まえスコアを伸ばす中、対する小山はヒート中盤に4.75をスコアしてトップに躍り出る。2位となった田岡はニード4.70と追い込まれた。しかし自分のペースを乱さず黙々と仕事をこなす田岡。その姿には、勝利への熱い思いが感じられた。
吉川はTバーよりのピークを狙っている他の3名を余所に、一人別のピークで淡々と自分サーフィンを披露。多くの経験を積んで、海外のイベントへのインビテーションを受けるスタイルマスター吉川は、日本一と言われる圧倒的なノーズライドの妙技を連発。その優雅なスタイルに誰もが魅了された。
セミファイナルで本大会のベスト・シングル・スコアとなる8.00のエクセレントをスコアした菅谷裕美。ファイナルでは日本のトップ3を前に固くなったか、それまでの自分のサーフィンを見せることが出来なかった。
残り時間7分でアンダープライオリティで波をつかんだ田岡は長いハング5からクローズセクションでのリエントリーをコンビネーション。ガッツポーズを見せるほど自分でも納得のライディングが6.00をスコアして大逆転。
そして、最後まで優先権を持って波を待った小山の前には逆転出来るだけの波は入らず、田岡なつみが小山みなみとの直接対決に勝ち、2年連続でのグランドチャンピオンを獲得した。
田岡なつみのサーフボードを削るプロサーファーの尾頭 信弘や、ムラサキスポーツをはじめとする彼女のスポンサーもビーチで彼女の勝利の喜びを分かち合った。
「ファイナルでは、セミファイナルでのミスを修正しようと心がげていました。今回の試合には、大学の後輩やスポンサーの方々が会場で応援してくださって力になりました。いつも近くで応援してくれている家族や友人に本当に感謝したいです。」と、田岡が涙ながらにコメント。
「今日のこの瞬間のために毎日トレーニングしてきたので勝てて本当に嬉しいです。今回は色々な思いがあっての優勝だったので、本当に嬉しかったです。プレッシャーで空回りしてしまったヒートもあったんですが、ファイナルは自分の最大限の演技ができました。グランドチャンピオンで2連覇、3連覇することがプロになる前からの目標だったので、来年はJPSAに全戦出場して、3年連続グランドチャンピオンを目指します。」
最終戦で優勝できなかったことが悔しい
「2年連続のグランドチャンピオンを獲れて嬉しいですけど、今回の最終戦で優勝できなかったことが悔しいです。」と、浜瀬がコメント。「ファイナルでは井上選手も凄く素晴らしいサーファーで、最初の波を彼に取られたのと、最後に優先権を持っていなかったのが敗因だと思っています。来年も更にパワーアップして戻ってきたいと思っているので引き続き応援お願いします。」
今シーズンのJPSAロングボードサーキットがこれで終了した。結果は浜瀬海と田岡なつみが2年連続でグランドチャンピオン獲得という結果。日本のロングボードも完全に世代交代といった感じか。
しかし、今大会で感じたことは、男女とも若い選手が育っているということ。ある意味で今回の17歳という若い井上鷹の優勝に象徴されるように、新しいマニューバーにチャレンジする選手が育っている。日本では向かう所敵なしの浜瀬海にも来シーズンは新たなライバルが登場するかもしれない。来シーズンのロングボードシーンも楽しくなりそうだ。
2016年のバリでプロ公認を得た山本誠愁。攻めのサーフィンでQFを1位でラウンドアップしセミファイナルまで勝ち上がったが、インタフェアで惜しくも敗退となった。来季の活躍が期待できる選手の一人。
今シーズンは開幕優勝を果たし、好調だった秋本祥平だったが今回はセミファイナルで敗れた。
3度のグランドチャンピオンである森大騎。セミファイナルではファイナルを目前に浜瀬と井上に敗れた。
惜しくもルーキーオブザイヤーは逃したものの来シーズンの活躍に期待がかかる関口海璃
今回も大会協賛を続けていただいている明和地所さんが中心となって、ビーチクリーン活動を行った。集めたゴミと引き換えに抽選券を配布。表彰式後に抽選会を行い、ビーチクルーザーやアイスクリームギフト券など、多くの人が最後まで残り様々な賞品をゲットしていた。来年も多くの人が笑顔になる素晴らしい大会が、この茅ヶ崎で行われることを願いたい。
JPSAロングボードツアー第5戦(最終戦)「クリオマンション 茅ヶ崎ロングボードプロ」
男子優勝:井上鷹
2位:浜瀬海
3位:堀井哲
4位:櫻岡甲太
女子優勝:田岡なつみ
2位:小山みなみ
3位:吉川広夏
4位:菅谷裕美
JPSAロングボード2018年度グランドチャンピオン。男子は浜瀬海、女子は田岡なつみ
JPSAロングボード2018年度ルーキーオブザイヤー。男子は西口京佑、女子は大村結衣
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