撮影&現地リポート:永島未知子 パンティン・クラシック・ガリシア・プロの大会3日目は予告通りのウイメンズデイ。波のサイズも1mほどにまで下がり、WSLウイメンズQS6000「Pull&Bear Pantin Classic Galicia Pro」のラウンド4からラウンド5ヒート4までが行われた。
現役CT選手を含むトップシードが出てくるラウンド4。その時点で残っていた日本人選手は田代凪沙、川合美乃里、脇田紗良、前田マヒナの4名。その中でラウンド5に進めたのは前田マヒナ。
1日を通して波のサイズはセットで1mほど。ヒート時間は25分と前日に比べ5分延長されたが、入ってくる波数は少ない。それでもラウンド4が終わるとそのままラウンド5へ突入。ラウンド5は対戦人数がそれまでの4名から3名へと絞られゲーム性が増した。
前田のラウンド5ヒート4の相手はニッキー・ヴァン・ダイク(AUS)とポーリン・アド(FRA)。2人とも現役のCT選手とビッグネーム。
ヒートをリードしたのはニッキー・ヴァン・ダイク。波数が少ないながらも、テイクオフした波ではターンを数発入れ、確実にポイントを稼ぐ。前半の15分ですでに一つ抜けた存在になると、試合のポイントは前田とポーリン・アド、どちらがラウンドアップするかに定まった。
序盤に1本乗って以来プライオリティを持ち続けていた前田は残り時間10分のところでレギュラーの波にテイクオフ。バックハンドのターンを3発決めた。特に最初の2発は返しが目を見張るほど早く、スプレーも舞う。それに5.43のポイントがつき、2位に浮上。
後半になると波数はより少なくなる中、巻き返しを計ろうとポーリン・アドが動く。しかし得点の出る波に乗れず、残り5分の時点をプライオリティは前田のもの。そのままポーリン・アドをマークし、ヒート終了に持ち込んだ。前田マヒナはCT選手を下し、見事ラウンド6へと駒を進めた。
前田マヒナ「波なかったけど、勝ててよかった。ポーリンとは仲いいし、4点(逆転に)必要ってかわいそうだなって思ったけど、でもマークするしかないでしょ。最近小波でもできるようになってきた。前は(小波だと)ボケボケだったけど(笑)。ビーチブレイクを練習しようと思ってもう2ヶ月くらいずっとヨーロッパにいる。その成果もあると思う」
ラウンド4の逆転勝ちから、ラウンド5では冷静な試合運びでCT選手相手にラウンドアップを果たした前田マヒナ。ヨーロッパが好きだとも言う。その調子のままラウンド6でもいい試合をみせてほしい。
明日はサイズアップで再びメンズが再開か。
前田のヒートが終わると、ウイメンズのラウンド5は残り4試合を残したままだがそこで終了した。明日8月30日(木)は波がサイズアップするという予報。メンズかウイメンズのどちらかは朝9時のファーストコールで決まる。しかし2m近くまでサイズアップするという波予報から、メンズの試合が予測される。
その場合に出場する選手は、ヒート順に挙げれば新井洋人、田中大貴、そしてラウンド5に大原洋人がクレジット。
田中大貴「サーフィンの調子だったり身体の調子はすごくいいので、ラウンド4も気を抜かず頑張っていきたいと思います!」
新井洋人「昨日の28日夕方にアメリカ東海岸から到着して、今日1日身体を休めることができた。裸でサーフィンしてた東海岸から、いきなりウエットスーツ。水温の変化も激しいけど、波が上がりそうなので試合が楽しみです」
大原洋人「月曜にパンティンに入って昨日の朝、海に入ったけど水が冷たい。裸でサーフィンできたアメリカ東海岸から来たから、余計にそう感じるのかもしれない。けれど1日休めたので身体は疲れていません。Vans Proで優勝した流れで勝っていきたい」
波のサイズアップとともに、1日中くもり小雨だった本日とは違い、天気の回復も明日は予想される。週末が近いこともあり、ギャラリーも多く詰めかけるだろう。熱く長い、大事な1日になる。
本日出場したけど負けてしまった日本人女子選手
田代凪沙
ラウンドアップに必要な点が6.10のところ、終了まで1分のところでグーフィーの波を掴みターンを繰り返すも5.17。ヒート序盤のサーフィンよりスムーズな動きだったので、試合時間の中で調子を上げていったように見えた。前半に1本、もう少し得点が出ていれば上がれただろうと、結果論だが悔やまれる。9時ファーストコールのところ、試合が始まったのは10時。今朝の冷え込みは特に激しく、ダウンジャケットを着ている人もいたほど。その朝の1時間が響いたのかもしれない。
川合美乃里
「いきなり波がレギュラーに変わった。グーフィーにみんな乗っていて、その波に自分も乗ろうとプライオリティを持って待っていたけど、波が変わってしまった。波運がよくないときに動くとよくない(という流れがある)。だから動かなかったけど、まさかレギュラーがくるとは。今回難しかった」。
17歳、QSに出始めること2年目。話していると伝わってくる目標の高さ、志の強さには隙を感じさせない。QSを回ること、そこで勝つことの大変さも「そんなに早く弱音は吐けない」と、近くにいるけど先を進む先輩選手の姿を見て、自分で自分を律する。来年が楽しみです。
脇田紗良
ロータイドに近い時間帯のヒートで、波のブレイクは長く続かない上にサイズもセットで胸くらいと小波。初日の勢いが期待されたが、波選びに迷いが生じているような印象を受けた。結局このヒートを上がったのは現役CT選手のニッキー・ヴァン・ダイクと、元世界チャンプのソフィア・ムラノヴィッチ。
特にソフィア・ムラノヴィッチはサーフィンをするというより、試合をしていた。ピークにすぐ戻れるコンディションということもあってか、乗れる波はすかさず乗る。短い間にもターンを入れ、結局このヒートのハイスコアはソフィア・ムラノヴィッチ。1番本数を乗ったのも同じく。勝つ、というより負けない、取りこぼさない。年齢が約20歳離れた元世界女王と同じ状況の中を戦ったことで、紗良ちゃんの今後に生きる発見があったと思います。
世界を目指して戦い続ける、日本のサーフ・アスリートたちの活躍を期待し、エールを送り続けたい。がんばれ!日本!
メンズ:http://www.worldsurfleague.com/events/2018/mqs/2786/pantin-classic-galicia-pro
ウイメンズQS:http://www.worldsurfleague.com/events/2018/wqs/2785/pantin-classic-galicia-pro