ソウル・サーファー・シリーズ① 【トム・キャロル・インタビュー】

ソウル・サーファー・シリーズ① 【トム・キャロル・インタビュー】

通算26のワールド・ツアー優勝、3度のパイプ・マスターズ・タイトル獲得(87、90、91)、そして1983年と1984年にワールド・タイトルを獲得した、レジェンド・サーファーのトム・キャロル。現役をリタイアした今でも仲間のビッグ・ウェイブ・サーファーであるロス・クラーク-ジョーンズとともに、ディスカバリー・チャネル・テレビ・シリーズのストーム・サーファーズのためにビッグスウェルを捜し世界を旅する。52歳となる現在もワイメアのザ・デイに行われる「エディ」の招待選手であり続けるトム・キャロル。ビッグ・ウェイブに挑み続ける不屈の精神、海とサーフィンに対する熱いハートにインタビューした。

interview by Emiko Cohen / photo by GORDINHO

 

waimea photo by GORDINHO

 

 

Q:今シーズンもエディー・アイカウの招待選手に選ばれた事をどう感じていますか?
トム『もの凄く嬉しいし、光栄な事だと感じている。』

 

Q:選ばれた訳は何だと思います?
トム『うん、いい質問だね。ハワイアンウォーターと私の関係が長く、そして深いからだろうか。今でも大波にチャレンジしている事を世間にアピールできているし。何より自分の健康も含めて、チャレンジが続けていられる環境が保持できているというのは、とてもラッキーな環境だと思うし、周囲にいつも感謝している。歳をとるごとに、感謝の気持ちが大きくなる。(笑)』

 

Q:ハワイの大波サーフィンの練習といっても、一年中波があるわけじゃないし、大波のスキルをキープするのはとても大変なことだと思うんですが、、、、どの様なトレーニングを普段からなされているんですか?
トム『君の言う通りだ。何もしなければ、やはりあの波には対応できない。僕は普段から耐久力、精神力、柔軟性を保つトレーニングをを陸上で続けているだけでなく、近場の海で波があがれば必ずアウトに出てキャッチする様にしている。冬になるとシドニーでも大波が立つし、ビクトリアや西ヨーロッパまで足を伸ばせば、十分ワイメアの練習になる様な究極の大波にも巡り会える。プラス、同年代のロス・クラーク・ジョーンズの存在。彼との《励ましあいに競い合い》は、モチベーションがズレないでいられる大切な要因になっているんだ。』

 

WAIMEA photo by GORDINHO

 

 

Q:ワイメアでのサーフィンはトミーさんにとって特別なものなのですか?
トム『もちろんだよ。ウネリが近づき持ち上げられる感覚を受けながら、バックサイドでレイトドロップ。あの感覚の虜になっているよ(笑)。それだけじゃない、何かワイメアは特別なんだよな。海からの景色。ラインナップの雰囲気。取り囲まれる空気。上手く口で説明しきれないけど、すべてが《ワイメアでしか味わえない感覚》なんだ。』

 

Q:ワイメアの大波乗りを成功させる為の態度というのは、《怒りにも似たアグレッシブさ》、それとも《レイドバックな波とのハーモニー》?
トム『どちらも大切なものだよ。冷静でなければ正しい判断を下せなくなるし、アグレッシブでなければ激しい波にテイクオフできずに終わってしまう。僕たちの間では《自己を超越する事》と言うのだけど。。。。どんな状況であっても《自分の中核をしっかり持つ事》が出来れば、冷静な判断が出来、大波をキャッチできると僕は信じている。』

 

Q:今シーズン、年末にはハワイに大波が押し寄せ、エディー開催かと思われました。現在どんな調整をされていますか?
トム『心身とボードの準備だけだなく日常の事を整理も。ワイメアのウネリが来たら、いつでもハワイに飛べる様に整えてある。』

 

photo by GORDINHO

 

 

Q:2009年にワイメアのコンテストが行なわれた時、確か練習中にヘビードロップからワイプアウト。結果、足首を骨折されたのですよね?そこから何を学びましたか?

トム『自分が壊れやすい物体である事を認識させられたと同時に、ワイメアのパワーは馬鹿にしてはいけないんだな、と。大自然を超越できるのではないかと《奢りをもった瞬間からアクシデントのチャンスは大きくなる》んだ、と。マザーネーチャーの機嫌しだいで、身体をまっぷたつにされるかもしれない。《焦らずに波を選ぶこと》を改めて教えられた様に思う。それにしても俺は幸運だった。あの後、骨は上手く繋がり、リハビリした後にまた大波のラインナップに加われる様になったのだから!』

 

Q:今シーズン、エディーが行なわれるとしたら、誰が面白いサーフィンを見せてくれると思います?貴方以外で。(笑)
トム『ケリー(スレーター)、ロス(クラーク・ジョーンズ)、シェーン・ドリアン、グレッグ・ノール、ネイザン・フレッチャーあたりかな。』

 

Q:ファンからのサポートで期待することは?
『エディーのコンテストは常に世界中の人から、サーフィンをやらない人からも、注目されるイベントだ。家からでも会場からでもいい、今年も多くの人が興味を持ってイベントを観てくれたらこんな嬉しい事はない。』

 

Q:個人的に今大会に期待している事は?
『今までに味わったことのない波《究極の集中力とチャレンジ精神》が必要になる様なコンディションでイベントが行なわれます様に!!』