FISH FRY JAPAN 2012
presented by Blue. Magazine
日時:2012年5月26日(土)
場所:静岡県牧之原市静波海岸
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今年も主催者が会場入りするより前の、早朝3時から出展者のクルマが列を作った。当然、開場時間を待たずして、会場はスタンバイ状態。いつになく熱を帯びての開催だった。オルタナティブ・ボードの国内最大級の祭典だけに、豊富なボードのバラエティは「FISH FRY JAPAN」の真骨頂。今年もさまざまなボードがところ狭しと並んだ。かつてはアライアやハルといったその時々のトレンドに則したボードが目立っていた時期もあったが、昨年あたりからその傾向は弱まりつつある。今年もどちらかというとフィッシュを中心に多種多様なデザインが満遍なく出揃った印象だ。その時々のトレンド・デザインをシェイパーやデザイナーたちが租借し、自分なりの解釈でデザインしているボードが増えてきている証拠だ。
フィッシュ以外では、ミニシモンズからのデザイン派生系もさらに進化した感がある。テストボードでは、タイラー・ウォーレンがデザインした「バー・オブ・ソープ」の人気が相変わらず高かった。その他、テールやノーズのカタチで個性を表現したものも少なくない。ノーズに関してはジェフ・マッカラムの影響か、スクエア・ノーズが際立って増えていた。またミッドレングスの流れからトラッカーやエッグ、ダブルエンダーをアレンジしたデザインなど、乗りやすそうな顔つきのボードも数多く見受けられた。
今年は海外からのゲストも例年以上に多かった。クリス・クリステンソン、スコッティ・ストップニック、マイキー・ディテンプル、クリスチャン・ワック、リチャード・ケンビン、ジャック・ベリ、ジョシュ・ホール、さらに初来日では南サンディエゴのメイソン・ダイヤー、弱冠17歳のウィンダンシーの若手ルーカス・ダークシー、サンタクルズの女性シェイパーのアシュリー・ロイドといった個性溢れる面々が顔を揃えた。削り手から乗り手まで、オルタナティブ・サーフィン界のアイコンが一堂に会するのも、「FISH FRY JAPAN」最大の魅力である。
さらに、5回目にして初めての試みも見られた。例年行なわれていたサーフセッションを、今年は「エクスプレッション・セッション」と銘打って開催。予め厳選された国内外のサーファーたちの熱いサーフィンを、地元サーフショップ「ジャック・オーシャンスポーツ」の長倉氏がMCを務め解説、ビーチを盛り上げた。その名の通り、もっとも印象に残るサーフィンをした人がウィナーというこのセッション。ウィナーに選ばれたのは、クリスチャン・ワックとリチャード・ケンビン、大塚栄くんの3人。しかし、他のサーファーたちもボードの特性と自身の個性を存分に発揮していた。なかでもNAKI氏、勝又正彦氏、平野太郎氏らが、年齢を感じさせないキレたサーフィンを見せていたのが印象的だった。
今年は初めて雨と無縁の開催だっただけに、昼過ぎから来場者数もうなぎ上りに。いまや「FISH FRY JAPAN」は、日本を代表するサーフィン界の初夏の風物詩として定着したカタチだ。いうまでもなく、商業主義とは距離を置き、デザインとクラフトに専心するクラフツマンたちの熱い思いがこのイベントを支えている。その価値観を共有するサーファーが毎年確実に増えていることを、「FISH FRY JAPAN 2012」は教えてくれた。
撮影、取材:冨田隆
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