レイチェル・ティリーとカイ・エリス=フリントが2025年サーフシティ・エルサルバドル・ロングボードチャンピオンシップで世界王者に輝く。吉川広夏は世界5位。

カイ・エリス=フリント(AUS)レイチェル・ティリー(USA)レイチェル・ティリー(USA)Credit: WSL / Thiago Diz

エルサルバドル・ラ・リベルタ州エル・スンザル(2025年11月6日木曜日) – 本日、レイチェル・ティリー(USA)とカイ・エリス=フリント(AUS)がサーフシティエルサルバドルロングボードチャンピオンシップを制し、2025年ワールドロングボードチャンピオンに輝いた。

歴史的な一日となったこの日、ティリーは6ヒート連続で勝利し、前人未到の3度目の世界ロングボード王座を連覇で勝ち取った。一方、2025年の新鋭からロングボード王者へと躍進したエリス=フリントは、圧倒的な強さで自身初のロングボードタイトルをスコアした。

 

 

この1日限りの競技フォーマットでは、男女のマッチ1とマッチ2で3人制ヒートが行われ、上位シード選手はトーナメント方式で対戦を待った。今大会のナンバー1シードだったエドゥアール・デルペロ(FRA)とアヴァロン・ガル(USA)は、それぞれティリーとエリス=フリントとタイトル・マッチで対戦。ティリーとエリス=フリントは、3戦2勝制の対戦でそれぞれガルとデルペロを破った。

 

 

レイチェル・ティリーの驚異的な快進撃、世界ロングボードチャンピオンシップ2連覇達成

レイチェル・ティリー(USA)Credit: WSL / Emma Sharon
レイチェル・ティリー(USA)Credit: WSL / Thiago Diz

 

 

本日、レイチェル・ティリー(USA)はエル・スンザルで開催された世界ロングボードチャンピオンシップを連覇し、自身3度目の世界タイトルをスコアした。27歳の彼女は、わずか17歳の2015年に初の世界ロングボードタイトルをスコアしている。

 

ティリーはこの大会で8人中7番目のシードだった。圧倒的な強さで6ヒートを連勝し、第1マッチからタイトル・マッチ1、2へと勝利して、2025年世界ロングボードチャンピオンシップを制した。

 

レイチェル・ティリー(USA)Credit: WSL / Emma Sharon
レイチェル・ティリー(USA)Credit: WSL / Thiago Diz

 

「現実とは思えない気分です。本当に疲れ果てていて、あの暑さの中ではただ『どうかこの暑さの中で終わらせてください』と願うばかりでした。今日のすべての努力が今まさに実を結んでいるのですから」とティリーは語った。

「もちろん、それだけの価値は十分にありました。 言葉が出ません。ホノルア・ブルームフィールドとソレイユ・エリコはこれまで3度の世界タイトルを獲得して、私は常に彼女たちに感銘を受けてきました。

彼女たちがその高みを作り上げたのです。私はただその高みを目指してきた。このために懸命に努力してきました。エル・スンザルもエルサルバドルも大好きなんです。今日は全くの無欲で臨み、まさかこんなことが可能だとは微塵も思っていませんでした。

最後のヒートに臨むとき、三度目の可能性を信じ、この全てに神に栄光あれと祈ってました。最初のヒートでのブザービーターから一日中、神様と語り合い、ひたすら祈り続けてました。神様が次々と機会を与えてくれたのです。

 

 

ケリス・カレオパア(USA)Credit: WSL / Thiago-Diz

 

ティリーの驚異的な優勝への道のりは、第1マッチで始まった。常連のワールドロングボードタイトル候補ケリス・カレオパア(USA)が15.27(満点20点)という見事なヒート合計を記録した後、ティリーは7.78が必要だったにもかかわらず、8.33(満点10点)をすかして大逆転勝利。

 

ヒートではエクセレントをスコアした吉川広夏(JPN)Credit: WSL / Emma Sharon

 

ティリーの完璧なフットワークと滑らかなスタイルは、第2マッチでも継続した。相手はロングボードツアーのベテランクロエ・カルモン(BRA)と、2025年大躍進の吉川広夏(JPN)だ。世界ロングボードチャンピオンのティリーは、再びエクセレントな8.17を記録し、第3マッチへ向けて圧倒的なリードを築いた。

 

ホノルア・ブルームフィールド(HAW)Credit: WSL / Thiago Diz

 

ティリーは3度のロングボード王者ホノルア・ブルームフィールド(HAW)と激突。ブルームフィールドの僅差でのリードにティリーは追撃圏内を維持し、7.50を叩き出して勢いを維持した。見応えある攻防でティリーは世界クラスの実力を見せつけ、7.60を叩き出して最終盤にコントロールを握った。

 

ソレイユ・エリコ(USA)Credit: WSL / Thiago Diz

 

その勢いを第4試合に持ち込み、2024年世界ロングボード選手権決勝の再戦に臨んだ。快進撃のティリーが、もう一人の3度のWSLロングボード王者ソレイユ・エリコ(USA)と激突。この対決は期待を裏切らず、ティリーは好調を維持して7.83を叩き出し、エリコをリードした。しかし、エリコの7.17で巻き返しを許すも、ティリーがブザービーター級の魔法のような波でエリコを抑え込み、再びタイトル・マッチ進出を決めた。

 

 

最初のタイトル・マッチで、ティリーはナンバー1のアヴァロン・ガル(USA)に対し、7.00(満点10点)でスタートを切った。続いてティリーが8.00のエクセレントなスコアを叩き出し、ガルをコンボ・シチュエーションに追い込んだ。

つまりガルはティリーに逆転するために2本の波が必要な状況。ガルは7.77で反撃し巻き返しを図ったが、ティリーが7.20をスコアしてガルにさらなる高スコアを要求したため、逆転は叶わなかった。

 

アヴァロン・ガル(USA)Credit: WSL / Thiago Diz

 

タイトル・マッチ2では、プライオリティのミスでガルは出だしで遅れを取った。しかしティリーはそれを活かせず、再びチャンスを得て世界クラスの実力を見せつける7.50を叩き出した。ガルの得点は4.67だった。潮が上げ始めヒートはスローダウンし、スコアリング・ポテンシャルがラインナップに入らないまま最終10分へ突入し、緊張が高まった。

チャンスが訪れた時、ガルはバックハンドのレールワークとフットワークで反撃し、7.17を叩き出して首位を奪還した。しかしティリーは低スコアでも十分だったため、6.00をスコアして再びリードを奪い返し、最終局面で2025年ワールドロングボードタイトルを勝ち取った。

 

 

カイ・エリス=フリントが圧倒的な強さで初の世界ロングボードタイトルを獲得

カイ・エリス=フリント(AUS)Credit: WSL / Thiago Diz
カイ・エリス=フリント(AUS)Credit: WSL / Thiago Diz

 

WSLロングボードツアーで最も技に全力を注ぐ選手の一人として知られるカイ・エリス=フリント(AUS)の初優勝への道のりは、歴史に残るものだった。彼は、3戦中2勝先取方式のタイトル・マッチで、ナンバー1シードのエドゥアール・デルペロ(FRA)を破らねばならなかった。

エドゥアール・デルペロ(FRA)Credit: WSL / Emma Sharon

 

タイトル・マッチ1で圧倒的なコントロール、スタイル、フローを見せ、9.50を含む17.67(20点満点中)のヒート合計を記録したエリス=フリントは、タイトル・マッチ2でも同様のパフォーマンスを披露。デルペロが逆転するには10点以上のライドが必要となる状況を作り出した。

 

カイ・エリス=フリント(AUS)Credit: WSL / Emma Sharon

 

「言葉にできないほど、CJ(ネルソン)が自分にとってしてくれたこと、家族が支えてくれたこと、この人生で犠牲を払ってきた自分にとっての感謝は計り知れないです」とエリス=フリントは語った。

「本当に過酷な道のりでした。自分は少し自信が足りなくて、いつも全てを批判し、何かを改善しようとしている——ボードデザインをもっと良くしたりとか。それは自分にとって染みついている。もっと上を目指し、より良くなり、最高になりたい。可能な限り最高のボードを作り、それを自分の足の下に置きたいんです」

 

これにより、オーストラリアはエリス=フリントの活躍により8度目のワールド・ロングボード選手権タイトルを獲得した。これにはハーレー・イングルビー(AUS)、ハリソン・ローチ(AUS)、4度のロングボード王者ナット・ヤング(AUS)らが含まれる。

 

 

自身のシェイプで、エリス=フリントは最初から最後まで世界クラスのサーフィンを披露した。まず、4度のロングボード王者であるテイラー・ジェンセン(USA)を圧倒的な勝利で下した。

 

テイラー・ジェンセン(USA)Credit: WSL / Thiago Diz

 

エリス=フリントの世界ロングボード選手権制覇への道は、第4試合で2024年世界ロングボード王者テイラー・ジェンセン(USA)との対戦から始まった。エリス=フリントは7.10で存在感を示した。続いてアンダープライオリティで8.17というエクセレントな得点を叩き出し、ジェンセンに8.60以上を要求するプレッシャーをかけた。

 

 

日本の吉川広夏が5位。

 

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2025年WSLロングボードツアー最終戦として、2025年世界ロングボードチャンピオンを決めるワールド・サーフ・リーグ(WSL)サーフシティ・エルサルバドル・ロングボードチャンピオンシップに参戦した吉川広夏。

今シーズンはUSオープンで9位、ベルズで準優勝という結果でベスト8に残った吉川にとってエルスンザルは何度も試合で訪れている場所。波の特性も理解していた吉川は8.43というヒートベストを持ちながら、バックアップを上げられず惜しくも2位でラウンドアップならず。それでも世界5位となり、素晴らしいシーズンを締め括った。

 

 

 

2025サーフシティ・エルサルバドル・ロングボードチャンピオンシップ大会の本日の競技詳細とハイライトは、WorldSurfLeague.comで確認できる。

 

2025サーフシティ・エルサルバドル・ロングボードチャンピオンシップ大会 女子結果:

タイトル・マッチ2:レイチェル・ティリー(USA)13.50   アヴァロン・ガル(USA)12.54

タイトル・マッチ1:レイチェル・ティリー(USA)15.20   アヴァロン・ガル(USA)12.44

第4試合:レイチェル・ティリー(USA)13.40  ソレイユ・エリコ(USA)12.97

第3試合:レイチェル・ティリー(USA)15.10  ホノルア・ブルームフィールド(HAW)12.00

第2試合:レイチェル・ティリー(USA)14.67  吉川広夏(JPN)14.36、クロエ・カルモン(BRA)13.23

第1試合:レイチェル・ティリー(USA)15.83  ケリス・カレオパア(HAW)15.27、タリー・ホワイト(AUS)10.37

 

2025年サーフ・シティUSAロングボードチャンピオンシップ男子結果:

タイトル・マッチ2:カイ・エリス=フリント(AUS)16.00  エドゥアール・デルペロ(FRA)10.33

タイトル・マッチ1:カイ・エリス=フリント(AUS)17.67 エドゥアール・デルペロ(FRA)12.84

第4試合:カイ・エリス=フリント(AUS)15.27  テイラー・ジェンセン(USA)9.17

第3試合:テイラー・ジェンセン(アメリカ)16.17  デクラン・ワイトン(AUS)14.50

第2試合:デクラン・ワイトン(AUS)13.36 マックス・ウェストン(AUS)10.90、ケビン・スクバーナ(USA)6.67

第1試合:デクラン・ワイトン(AUS)12.73  スティーブン・ソイヤー(RSA)11.83、ロジェリオ・ジェイ・アール・エスキヴェル(PHL)10.43

 

サーフシティ・エルサルバドル・ロングボードチャンピオンシップは、サーフシティとコロナ・セロの協賛により開催される。

詳細については、WorldSurfLeague.comを参照のこと。