【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】Australian サーフチャンピオンシップス、バイロンベイ・サーフフェスティバル

現地からオーストラリアの最新情報を伝える【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】。第50回となる8月のゴールドコースト。Australian サーフチャンピオンシップス、バイロンベイサーフフェスティバルがバイロンベイで開催。緊急帰国で感じたこと。

取材、文、写真:菅野大典

 

8月のゴールドコースト。

 

 

春の時期になると吹き始める北風の日が続き、例年よりも少し早い季節の変わり目の月となりました。

 

 

パラソルやガゼボが立てられ海で遊んでいる人も増えてきました。水温はまだまだ低いですが、外気は暖かくボードショーツやビキニでビーチライフを満喫する人も多く見られます。

 

 

 

海沿いの遊歩道には自家製で作られた自転車用のトレーラーが置いてありました。自然で遊ぶ事が本当に得意なオージー。自分で作れるものは作ってしまう人がたくさんいます。サーフボードなども自分でガレージで削って作る人もたくさんいます。

 

 

 

ゴールドコーストの波の状況は、先月からの特大のスウェルが引き続き届き初旬は良いコンディションが続きました。

 

 

今年に入ってからどの場所も良い地形を保っているゴールドコーストのポイントブレイク。今年はたくさん長いライトハンドの波を堪能できています。

 

うねりが小さくなる頃に、ゴールドコーストから車で南へ約2時間の場所へ訪れるとサイズのある波がブレイクしていました。

 

 

今年の冬はゴールドコーストに波があったのであまり訪れていませんでしたが、NSW州の北部はゴールドコーストよりも南うねりを拾いやすく、常にサイズがあるコンディション。サイズが大きすぎてクローズすることはよくありますが、小さすぎてサーフィンをできないという事は滅多にありません。

 

 

近くのポイントも風を交わして良いコンディション。ゴールドコーストから少し離れればまだまだ知られていないポイントがたくさんあります。平日はほぼ貸切で、波の取り合いをする事なく良い波を堪能できました。

 

 

中旬はストームが続き、数日間ビーチがクローズするほどのコンディション。

 

 

 

この時期には珍しく大きな低気圧が東海岸を襲い数日間嵐に見舞われました。

 

 

このストームが去った後はサイズのある波にサーファーも大興奮。数日間サーフィンお預けの後という事もあり、たくさんのサーファーが入水していました。

 

 

 

リップアクションをするタジ・シモン。まとまりが無い波ながらもいい波を掴めば何発もアクションを入れられるのがスナッパーロックス。

 

その後は一気に波もフェードアウトしサイズのないコンディションに。

 

 

大きな北うねりによって砂がなくなり、ずっと良い形を保っていたポイインとブレイクの地形も大きく変わってしまいました。

 

 

 

スウェルマグネットと言われるD-BAHでもこのサイズ。

 

 

どんなコンディションでもホームにいたら必ず海で会うシエラ・カー。USオープンとフィジーで開催するCTの間の束の間でしたが、トレーニングに励んでいました。

 

 

同じくいつも海で見かけるケイデン・フランシス。サイズが小さくなったとはいえ、掘れた波のビーチブレイクがブレイクするゴールドコーストは、エアーやしっかりとしたマニューバーをするのに最適です。

 

8月はオーストラリア各地でイベントも開催。

 

 

 

7月31日から8月8日にはNSW州のポートマッコーリーで、Australian Surf Championshipsが開催しました。このイベントはオーストラリアのショートボードタイトル、パラサーフィンタイトル、ボディボードタイトルが組み込まれており、各州で行われた予選を勝ち上がった選手と招待選手によってイベントが開催されました。

 

 

昨年のアンダー18 ISAワールドジュニアチャンピオンのデーン・ヘンリー。全てのヒートでエクセレントスコアを出しながら勝利し、見事ショートボードタイトルのオープンメンのタイトルを勝ち取りました。PHOTO:Kurt Polock / Surfing Australia

 

 

8月15日から17日にはバイロンベイサーフフェスティバルがバイロンベイで開催されました。

 

 

このイベントは2010年に、サーフィン、アート、音楽、映画などを通して、サーフィンカルチャーを伝えるという目的で創設され、ただサーフィンを競技として競い合うだけのイベントではなく、バイロンベイの街全体でサーフィンに関わる様々なイベントを開催しています。

 

毎年サーフィン界の著名人が多く参加するこのイベントですが、今年も2度の世界王者であるレジェンドサーファーのトム・キャロルをはじめ、多くのサーフィンに関わる著名人が参加しました。PHOTO:@byronbaysurffestival

 

 

ゆったりとした波がブレイクするワテゴスビーチは、サーフィンイベントに最適。バイロンベイの中でも人気のポイントの一つです。

 

 

サーフィンを純粋に楽しむという事に加えて、ジャッジングクライテリアに固執されずにフリースタイルで競われるイベントであったり、サーフィンに関わるアートショーやエクササイズ、フィルムショーやパーティーなど、バイロンベイというサーフィン文化が根付いている特有の場所から発信し、多くの人にサーフィンについて知ってもらう機会を作っているイベントとなっています。

 

 

今年もイベントは大盛況に終わったようで、多くの人にサーフィンの楽しさというものが伝えられた様子でした。

 

 

最後に私事ですが、8月下旬に約10日間ほど日本に帰国しておりました。

 

毎回帰国した時は千葉、湘南、伊豆に行くのですが、今回は主に実家のある東京にステイし、違う場所の海を訪れたり、新しく発足したSリーグの開幕戦である茨城サーフィンクラシックを観戦しに行ったり、静波のウェーブプールを体験するなど、短い期間でしたが貴重な経験をする事ができました。

 

オーストラリアでも感じる事なのですが、海沿いで設備が整い綺麗に整備されている場所では、ゴミも少なく、使用する側も気にして使用しているように感じ、逆に設備がなく整備されていない場所では、自然とゴミが溜まったりしている気がしました。

 


初めて訪れた福島の岩沢ポイント。とても綺麗な駐車場とトイレとシャワーがあり海の中も穏やかな雰囲気に感じました。

 

ざっくりと感じた事で、短期間しか滞在してないのではっきりとした事は言えないのですが、やはり綺麗な場所に身をおいたら綺麗にする事を心がけようと意識するし、すでに汚くなっている場所では、少しくらい変わらないでしょ、となってしまうのかなと感じました。

 

ゴールドコーストでも綺麗に整備されているビーチフロントでは、遊歩道に無料シャワーやゴミ箱などが配備してあり、とても綺麗に保たれている一方で、街中を少し外れた場所などにはゴミが捨てられているのが最近目立ってきています。

 

もちろんそれは、ここ数年で人口が急激に増加したことなどの原因もあると思いますが、逆に今回日本に帰国して東京の街を歩いていて、昔に自分が住んでいた頃と比べて綺麗になったなと感じました。

 

他にもたくさんゴールドコーストとの違いを感じたのですが、一番感じた事は、水難事故が多いということ。

 

今回帰国して10日間くらいでしたが毎日のように水難事故のニュースが流れていて、オーストラリアでもたまに聞く事はありますが、ビーチ遊びが盛んなゴールドコーストでもここまで聞くことはなく驚きました。

 

変なカレントやどんぶかの地形が多い事もそうなのか、消波ブロックなどが埋められている事もあるからなのか、海の知識を持たずに海に訪れる人も多くいるように感じました。もちろん直接サーフィンに関係することでは無いのですが、海に囲まれた土地でありながらも一般人にとってはビーチが身近な遊び場になっている感じがしませんでした。

 

もちろん全ての場所でそういうわけではなく、今回訪れなかった千葉、湘南、伊豆などの地域では、ゴールドコーストと同じように海が遊び場になっている場所もありますし、土地柄の問題もあると思います。

 

オーストラリア全土を見ても、ゴールドコーストのようにビーチフロントが発達している場所がどこでもあるわけではありませんが、ある程度は海と海に関わるものの結び付き、例えば海水浴場があって、その先でサーフィンしている人がいて、そのさらに先でヨットで遊んでいる人がいて、ビーチには散歩をしている人もいれば砂遊びをしている人がいる。といった海に関わるものが一体となっている環境があると思います。

 

そのような環境がもっと各地に増えればもっと海が身近な遊び場になるのかなと感じました。

 

季節の変わり目の月となったゴールドコースト。今月はオリンピックでサーフィンの銀メダルを獲得したジャック・ロビンソンやスケートボードの金メダリストであるサーフスケーターのアリサ・トルーを讃える声をよく耳にしました。夏はすぐそこといった感じでまた海での活動が活発になりそうです。

 

 

 

菅野大典オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして13年余り。サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、昨年は大村奈央の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。