茨城県大洗町の磯場ポイントで、9月2日からスタートした JPSA2023 さわかみ Japan Pro Surfing Tour ショートボード第3戦「第27回茨城サーフィンクラシック さわかみ杯」は最終日。男子、女子とも本日、優勝者が決まる。
今日の会場のコンディション。晴れ間もある曇り。予報では夕方に雨が降るということだったけれど、朝8時過ぎにはガッツリ降る空模様。昼には晴れたものの、蒸し暑さはMAX。肝心の波はサイズダウンでコシハラ。朝の8時過ぎに満潮、午後1時に干潮となるものの、今日から小潮なので、あまりタイドは変わらず。
岩は隠れているものの、朝からタプタプ状態。波数はあるもののショルダーが無いから、今日も乗ってからパワーゾーンを探すライディング。タルいからカービングの連発でつないで、エンドセクションで一発という繰り返しか。
それでもキレた波をゲットできれば、スピードつけて技も三発は入れられる波もある。ヒート時間が25分になったことで、駆け引きと共に、ポジションニングもそれぞれ別れた形で試合は進行。波の選択と仕掛ける技のバリエーションで勝敗が別れた。
大原洋人 vs 矢作紋乃丞
まずは男子のR-5からスタートして、そのままクォーターフィナルへ。このラウンドのトピックスは第1ヒートの大原洋人 vs 矢作紋乃丞。その波の選択で思うような波が来ないのか、大原は開始から20分経ってもノーライド。
矢作は左手前で、着実にポイントを加算し、ワンサイドゲームの様相が漂い始めた時、大原が動く。サイズはそれほど無かったものの、スピードを活かして3発にフィニッシュで、6.00ポイント。ニードを2.20として、さらに試合終了間際で3.30ポイント出して、大逆転。会場からもどよめく声が聞こえたほど。
松永大輝 vs 塚本勇太
第2ヒートでは松永大輝 vs 塚本勇太。今大会、好調の松永が試合をコントロール。7.00ポイントのヒートハイスコアを持っていたために余裕のラウンドアップかと思いきや、塚本の今大会初のエアーのコンプリートで 6.75ポイント。こちらも終了間際の大逆転というドラマを見せてくれた。
大原洋人と塚本勇太
さて、セミフィナルではその大原洋人と塚本勇太が第1ヒートで対戦。どちらもR-5で運さえも味方につけている2人だったが、ここは馬力を上げてきた大原が、後半に得点をまとめて決勝進出。
西優司と新井洋人。
第2ヒートは西優司と新井洋人。新井はR-5と同じ右寄りで待つ。新井の方の波は技数が入る速いレフト。それを持ち前のスピードでインサイドまで技を入れながら駆け抜ける。片や西は正面寄り。こちらは波数は少ないものの、時折入るセット右よりはデカい。その差がそのまま点差に出る結果に。新井も終了時間が迫る中、波をつかんで攻めたものの、逆転には至らず。西がそのまファイナルへ。
男子ファイナル:大原洋人 vs 西優司
決勝は大原洋人 vs 西優司。大原がリズムをつかみ始めていることを察知した西は、先攻突き放しの作戦か。開始早々、アウト、ミドルと波に乗って攻め立てる。しかし、大原は余裕の構え。その西がセミでもつかんだセットで、7.00ポイントを奪取。これであとはバックアップを上げられればと思う間も無く、大原が攻めに転ずる。
ライトで6.50ポイントを出したと思えば、西の待つ正面寄りに移動。今度はフロントサイドとなるライトの波で、パワー、スピード文句なしの演技で8.50ポイントのエクセレント。
この波で評価されたことがわかった大原は、もう無双状態。再びライトの波で8.75ポイントと西をコンビネーションに追いやるぶっちぎりで、何とJPSAでの初優勝!それにしても試合の運び方やスキルの高さには改めて感心。特に持ち味のスピードにレールの切り返し、板の取り回しは頭ひとつ抜けている。WSLもこの調子で頑張って!
世界で活躍する大原洋人、JPSA初優勝。
「昨日まで全然良い試合ができなくて、久し振りにどうしようかなみたいな、何したら自分が思うように試合を運べるかなって毎日毎日考えていて。昨日の夕方の試合ぐらいから徐々にどうやったら自分のペースを掴めるか分かってきたかなって所で。
今日朝、今もし試合やったら、どういう風に波乗るかなっていうのを考えて練習するようにして、そうしたら波の今日の状況とかも見えてきて、波は待てば来るかなっていう。昨日までは乗りまくって転けまくって焦りまくってみたいな感じだったので、プライオリティ持っている時はしっかり待とうと思っていました。」
「ようやく優勝出来たって感じですね。優勝は嬉しいです。JPSAは志田でやる時ばかり出ていたんですけど、そのタイミングで優勝出来たら良かったんですけど、試合に優勝するのは簡単ではないですし、こうやって茨城に来て難しいコンディションのなかで、優勝できたことは気持ち良かったです。
今回のように自分が苦手だなって思った波でも、やり続ければ、克服できて良い結果が出せたりと、自分の経験値アップみたいな部分が見せられて良かったです。
チャレンジャーシリーズも残り2戦、ポルトガルとブラジルであるんですが、毎回毎回違う海でやるので、他の海でやるとなったら一からやり直しになる感じですね。
追い込まれた時にスコアを出したりとか、苦手意識のあるコンディションでも、どういう風に点数を出すか自分の頭で考えて、引き出すという面では勉強になったかなと。ポルトガルは好きな波なんですけど、ブラジルは毎日コンディションが変わるビーチブレイクなので、そんな色々な波に対応できるようになれたかなと思います。」
川合美乃里 vs 宮坂麻衣子
続いて、女子のセミファイナルのヒート1は、川合美乃里 vs 宮坂麻衣子。前日までの調子の良さで、川合がこのまま決勝に行くかと思いきや、宮坂が先行逃げ切り。川合も波さえ乗れればというシュチュエーションだったものの、ここは宮坂の攻めを褒めるべきか。
大村奈央 vs 清水ひなの
第2ヒートは大村奈央 vs 清水ひなの。ここもベテランの大村奈央が優位かと予想されたが、清水の失うものは無いという若さの強さで、アグレッシブに攻めたことが高評価。なんと大村を破って決勝へ。
女子ファイナル:宮坂麻衣子 vs 清水ひなの
そのファイナルは宮坂麻衣子 vs 清水ひなの。ここも宮坂が先に仕掛けるものの、清水も落ち着いて波を選択。清水はどんな波でもアタックするから、決まれば点が出る。乗ってコケないメンタルの強さもあるのか。一時は逆転してリードする場面も。
ところが、今大会の宮坂は自分のできることを着実に遂行。一つ一つの演技に集中して、危ない場面もリカバリー。自分のサーフィンを魅せて逆転。2019年のバリ大会以来の優勝となった。おめでとう!
バリ島以来4年ぶりの優勝 宮坂麻衣子
「私の優勝は、2019年のバリ島(インドネシア)以来なんです。その年、本当に苦しくって、グランドチャンピオン獲られた方が隣にいるんですけど(解説の須田那月)笑。本当に最後の試合までわからないような接戦で。凄くナーバスになって千葉の最終戦でセミファイナルで負けてしまって、本当に悔しかったのをずっと覚えてて。」
「その次の年からコロナになって、試合が出来ないのが続いて、去年ようやくファイナルに戻ってこれたんですけど、でも2番で優勝できなかったんです。凄く悔しくて、応援してくださった人たちに申し訳ない気持ちと、『私サーフィンどうしたらいいんだろう』ぐらいの気持ちになっちゃって。滅入ったんですけど。でもそんな時でも応援してくださった人がいてくれたので、ここまで来れました。」
ヒート結果、スコアはJPSAのHPから。
JPSAショートボード第3戦「第27回茨城サーフィンクラシック さわかみ杯」
男子
優勝:大原洋人(2000pts, ¥740,000)
2位:西優司(1720pts, ¥360,000)
3位:塚本勇太、新井洋人(1440pts, ¥210,000)
女子
優勝:宮坂麻衣子(2000pts, ¥320,000)
2位:清水ひなの(1720pts, ¥150,000)
3位:川合美乃里、大村奈央(1440pts, ¥85,000)
ベストライディング賞
男子:大原洋人 8.75ポイント
女子:川合美乃里 8.00ポイント
プレゼンター
さわかみグループ 代表 澤上 龍氏と大洗町教育長 長谷川 馨氏
ベストライディング賞
I.S.U 茨城サーフィンユニオン 沼尻和則氏
[大洗トライアル] ※ 公認プロ資格獲得者
・男子: 酒井仙太郎、 浦山斗希 、眞榮城桜斗 、強矢凛太郎 、鈴木耀竣 、岩瀬裕哉
・女子: 鈴木莉珠、 清水ひなの
田中樹コンテストディレクターが今日のコンディションとスケジュールを発表。
今大会はマンオンマンとなる試合から、一人一人の選手紹介と入場シーンをライブでもお届け。
Rewave主導のもと、会場となった磯場ポイントのゴミをビーチクリーン。
男子第5位:矢作 紋乃丞
男子第5位:松永 大輝
男子第5位:平原 颯馬
男子第5位:関口 真央
女子5位:川瀬心那
女子5位:大矢ひいな
女子7位:松山 黎音
女子7位:大澤 宥南
JPSAオフィシャルサイト:http://www.jpsa.com/
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