パーフェクト10が2連続でスコアされた伝説のパラサーフィン大会。ジャパンオープン初代チャンピオンが決定

文:静波パラサーフィンフェスタ 実行委員 松本真季

ALL PHOTO:shujiizumo

 

2028年ロサンゼルスパラリンピックへの追加検討競技となり今後大注目のパラサーフィン。2023年4月22〜24日にかけて一般社団法人UNIVA主催で 第2回静波パラサーフィンフェスタ が開催された。会場は静岡県牧之原市にある静波サーフスタジアム。初日はパラサーフィン体験会 2~3日目は競技大会が催された。

 

 

初開催となる競技大会JAPAN OPENには、カリフォルニア、ハワイ、オーストラリアからも海外選手が出場し、約40名のアダプティブサーファーが集結。国際色豊かな大会となった。観客動員数も3日間で3,258名と盛り上がりを見せた。

 

 

初日は初心者向けの体験会が開かれ、県内外から約30人が参加。湘南拠点のサーファーズコミュニティーNami-nicationsスタッフのサポートを受けた参加者は、波の感覚をつかみながら堂々のライディングを披露した。

 

 

参加者からは満面の笑みが見られ、「障がいがあるからと避けてきたチャレンジをここで体験させてもらえた。サーフィンって最高っすね!」「ボランティアの皆さんに支えてもらえて波に乗れました。Naminicationsの皆さんと波に乗ると、安心感はもちろん、楽しさも倍増しました。感謝です。」といった声もあり、会場内は波に乗る喜びをみんなが共有できたピースフルな体験会となった。

 

駐車場スペースでは、地元事業者らによる飲食ブースや音楽ステージ、ライブペイント、パルクールなどのイベントも催され、多くの人で賑わっていた。

 

MARK ‘MONO’ STEWART(右)とJosh Bogle(左)

プロサーファーのエキシビジョンも観客を興奮させた。
 サーフスタジアム契約ライダーの池田未来・佐藤季・三輪紘也 地元プロサーファー、海外選手・パラサーフィン日本代表選手や井上兄妹、大橋寛子プロロングボーダーによるセッションも行われた。

 

 

JAPAN OPEN 初日(フェスタ2日目)は予選。2日目(フェスタ3日目)に決勝を実施。ISAが定めた国際ルールに則り試合が進められた。決勝はライト2本、レフト2本、計4本のライディングスコアのうち、ベスト2スコアの合計点で争われた。両日とも気温15度前後で風が冷たく、選手の体温維持が心配された中の試合となった。

 

Mark Mono Stewart

KNEEL

そんな中、KNEELクラス決勝ヒートでは、オーストラリアの絶対王者 Mark Mono Steward 選手が決勝1本目のライドでチューブを決め、パーフェクト10を出し会場は熱狂した。さらに、2本目 もパーフェクトバレルで共にパーフェクト10ポイントをたたき出しトータル20ポイント獲得。サーフィン界に新たな歴史を刻んだ瞬間となった。

Mark Mono Stewart選手は、「波の中にいるときに音が聞こえた。人々が叫んでいるのが聞こえた。そして出てきたとき、最高に興奮して、素晴らしい気持ちを抑えきれなかった!選手やスタッフを含め日本のアダプティブ/パラサーフィンチームは本当に素晴らしい。来年もまた戻ってくるのが楽しみだ。」とインタビューで述べた。

 

 

STAND1

加藤真吾選手は、バックハンドで連続ターンを狙った攻めのライディングを披露。スナップをいれた際どいクリティカルなトップアクションでレフト7.33、レフト7.07 トータルスコア14.4ポイントを獲得、見事優勝に輝いた。

STAND2

右足が義足の伊藤建史郎選手はトップアクションから板を返し波にダイナミックにアプローチ。そのままターンでしっかりパワーゾーンに戻りカービング。巧みな連続マニューバーで観覧席からは歓声があがった。ライト7.33 レフト7.6でトータル14.93ポイントを獲得し、クラス優勝を果たした。

 

STAND3

世界選手権でメダルを獲得している実績を持つ勝倉直道選手は、綺麗なラインで滑らかにライディング。
体調不良によりレフトは辞退したものの、ライト6.17、ライト3 トータル9.17ポイントを決め、見事クラス優勝を果たした。

 

PRONE1

アメリカからエントリーの Parker Olenick選手は、美しいライディングで会場に魅了した。ライト6.83とライト5.67でトータル12.50をメイクしクラス優勝を果たした。

 

PRONE2

世界選手権で何度も入賞経験がある藤原智貴選手。
ボトムからトップを上手に使い、安定のライディングでライト6.67、レフト6.8、トータル13.47ポイント獲得し、見事クラス優勝を果たした。

SIT

夏はカヌー、冬はスノボの自然派パラアスリート辰己博実選手は、SITクラスでエントリー。2刀流アスリートとして注目を集めた。見事なアクロバティックライドを披露し、レフト6.83 レフト7.33トータル14.16ポイントをマークしクラス優勝を果たした。

Vision Impairment1

視覚障害があるクラスは、サポーターにうねりの位置、距離、タイミング、ボードの向きを指示してもらいながらテイクオフする。波の音とサポートの指示を頼りに体の感覚と微かな光の感覚のみで波に乗る。VI1は葭原茲男選手のみエントリー。3本目までノーライドと苦戦していたものの、4本目ヒートで波をキャッチしテイクオフ。レフトで4ポイントを獲得した。

Vision Impairment 2

VI2には、2選手がエントリーした。藤崎しげる選手は、研ぎ澄まされた感覚で見事テイクオフ。パワーゾーンをキープした美しいライディングで、ライト2.0、レフト7.83のトータル9.83をマークしクラス優勝を果たした。

 

解説MCはJPSAやサーフィンの大会で活躍するNICOさん、水野さん。
巧みなトークでアダプティブサーフィンの魅力を届けてくれた。

 

 

アダプティブサーフィンは、サーフィンが持つ競技性の魅力でもある「スタイル」をより引き立たせるのが特色であり、面白さでもある。選手個々の身体機能に合わせて、キャッチ ザ ウェーブする姿から、学ぶことも多い。

 

STAND1 近藤選手の決勝ライディング。テイクオフの安定感と速さが抜群なライディングを披露し準優勝。

 

上肢に障がいがあるStand 1クラス 近藤健太朗選手は、以下のように述べた。
「片手パドルでスピードが出づらいので、パドルレッスンを受けている。板をぶらさず、正しいポジショニングを意識することで、テイクオフ成功率を上げられるようになった。」 

 

 

ジャパンアダプティブサーフチームJAST代表の伊藤建史郎選手は、「国内では初の国際大会ということで、国内外から自分と同じハンディを持った選手と戦える事が嬉しく誇りに思いました。世界に向けて大きな1歩を踏み出せました!!!」とコメント。

 

「自身よりもハンディが多い選手たちの近くで大会を共有出来たことが素晴らしく、可能性は無限大だと感じた大会になりました。これからのアダプティブサーフィンを世界に広める意味では今大会は有意義で次世代にも繋げなれるようにします!!! 関係各社ならびに、サポート戴いた方々にも感謝の気持ちを伝えます。」と今後のパラサーフィン界の発展に期待を述べた。

 

絶対王者の歴史的瞬間を、そして日本のパラサーフィン界をけん引する選手たちの圧巻パフォーマンスを、ここ静波のパーフェクトスウェルで世界に発信できたことは、日本のパラサーフィンに世界中から注目を集めるきっかけとなるだろう。

 

○JAPAN OPEN 2nd Adaptive Surfing Championship
配信アーカイブはこちらから視聴可能


4/23(Sun)予選 :https://www.youtube.com/live/Nsr0Bufa1DE?feature=share


4/24(Mon)決勝 :https://www.youtube.com/live/nTfC2DgQrn4?feature=share

 

和楽器アーティスト邦楽2.0
シンガーソングライター東田トモヒロ氏、車椅子レゲエアーティストJahli氏、ハワイから参戦のJoshによるライブパフォーマンス

山本拓也氏によるライブペイント。

ALL ALL JAPANによるトークショーやNATSUKI氏によるパルクールショー。

駐車場スペースでは、地元事業者らによる飲食ブースや音楽ステージ、ライブペイント、パルクールなどのイベントも催され、多くの人で賑わっていた。

 

 

名称:静波パラサーフィンフェスタ JAPAN OPEN 2nd Adaptive Surfing Championship
日程:2023年4月22日(土)~24日(月)
主催:一般社団法人UNIVA
会場:静波サーフスタジアムPerfect SwellR(静岡県牧之原市静波2220)
来場者数:JAPAN OPEN2日間1853名(静波パラサーフィンフェスタ3日間では3,258名)
参加団体:牧之原市
JAST (Japan Adaptive Surf Team)、
Nami-nications、NSA (Nippon Surfing Association)
OnestepSELSEA、allallJAPAN、スイングビーチホテル
榛原総合病院、日本福祉車両協会、宮崎メディカルサーフチーム、
BLATworks.
後援:NSA、静岡県牧之原市、サーフスタジアムジャパン(株)
特別協力:公益財団法人星いきいき社会福祉財団