WSL QS3000「whitebuffalo Hyuga Pro」は大会3日目。会場の宮崎県日向市のお倉ヶ浜海岸の天気は曇り。今日も北からのサイドオフの風が吹く。波はヒザ、セットでモモ。引きから揚げ込みに変わり、サイズはコシハラまでアップ。
今日は女子のR-2(ラウンドオブ16)、クォーターファイナルと男子はR-4(ラウンドオブ16)を行って終了。これで女子はベスト4、男子はベスト8まで絞られた。
朝はセット間もあり、波も一番小さかったことで、まだポテンシャルある波が割れる左のバンク(会場正面から見て)を選手は使用。ただ、波は薄くシャバシャバ。今回、このコンディションで攻めるというのが、エアーという演技。これについてはメイクすれば、アベレージ。高さと難易度が考慮されれば、グッドからエクセレントが出た。
リップに関しては、板を振ってスプレーを出しても点は出ない。レールワークと当てこむ位置をしっかり見られている。それに加え、流れ(フロー)ある演技か。当てるぞ!と構えて演技すれば、当然、そこで一呼吸遅れるから流れは止まる。そこもジャッジは見ている。小波でもそれを意識した選手が、勝ち上がる結果となった。
アジアランキングの上位で勝ち残りは、3位 Ketut Agus (IDN) 、4位 田中大貴、8位 西慶司郎、10位 John Mark Tokong (PHL) 、12位 Bronson Meydi (IDN) は勝ち上がり。敗退は5位 西優司、7位の和井田龍貴 (IDN) 、9位 金沢呂偉となった。
勝ち残りの選手のランキングは、古川海夕が39位、上山キアヌ久里朱が56位、大原洋人はノーポイント。この3人はCSのランキング争いに入るためにも、優勝が絶対条件となる。
続いて女子。アジアランキング1位の野中美波、2位都築虹帆、10位 脇田紗良、18位 池田美来がラウンドアップ。敗退は 3位 松岡亜音、4位 Kailani Johnson (IDN) 、5位 松永莉奈、9位 松田詩野という結果。
今年度はCS参加人数は、アジア枠で男子がランキング上位5名(+ワイルドカード1名)、女子は上位3名(+ワイルドカード1名)となっている。
今回出場していない男子のランキング1位 Oney Anwar (IDN) のベスト4のポイント合計が6,300点。なので、この大会で優勝して3,000点が入ると、CS参戦争いが俄然、優位になる。
女子は1位野中美波が 11,049点、2位 都築虹帆 9,802点とこの2人が大きくリード。今日の結果でも勝ち残っていることで、3枠のうち2枠がほぼ確定か。そうなると3枠目を狙って激しい争いとなるだろう。
また、宮崎勢の生き残りの男子は伊東李安琉、増田来希と女子は畑ハイネ、渡辺愛、芳田花瑚は全員今日で姿を消した。しかし、波乗りのスキル、オリジナリティは素晴らしいものがあった。今シーズンはこのメンバーに注目だ。
フロントサイド・エアリバースを決めた都築虹帆が8.25をスコア。
都築虹帆
昨年の御前崎のプロジュニアでもエアリアルを見せたが、今大会のエアリバは今まで一番キレイに回った。ジャッジも今大会でのエクセレントスコアの8.25ポイントで評価。これで女子のトータルハイエスト、14.25ポイントを獲得。
エアーが決まった後のアピールありの、上がってからの笑顔止まらん状態に、こちらも笑顔。練習の成果が身を結んだ結果でした。
日本人女子として初めて試合でフロントサイド・エアリバースを決めた都築虹帆。「めっちゃ嬉しいです。飛び出してからの記憶があまりないんですが、気付いたら決まっていて。手を挙げちゃって、(エアの高さ)めっちゃ低いけど。
対戦相手が松岡亜音選手で、彼女は上手い選手なので、警戒していたんですが、だからこそ、あそこでエアを選択したし、戦えて本当に楽しかったです。」
脇田紗良
自分で「小波マスター」と自虐気味に言うけど、基本ができているから、どんな波でも乗りこなせるのだ。スムースなレールワークが紗良の持ち味。スランプも乗り越え、CS参戦枠獲得に燃える。
「朝はサイズが小さかったんですが、面も良くて自分の好きな波だったんですが、今はサイズがあるけど風が入っていて、バンプがあって引っかかりやすい波だったので少し苦戦しました。自分には、今回は絶対条件というか、優勝しか目指していないので、明日もこの調子で頑張ります。」
野中美波
海外のCS、QS参戦経験で自信もあるのだろう。スキルが向上、試合運びも上手くなった。アジアランキング1位の実力は間違いない。今大会でも優勝候補筆頭です。
「見ているときは、良い波も入ってき、あの波に乗ろうと思っていたんですけど。海に入ったら波が来なくなってしまって焦ってしまいました。でもいっぱい波に乗ることを意識して、それができて良かったです。チャレンジャーシリーズを回るようになって、多くの海外選手と戦って凄く自信を持つことができました。」
池田美来
実力はありながら、最後に取りこぼすことが多かった池田。単純に試合に勝つことに執念を燃やす。今大会は田中樹コーチ帯同で、試合に臨む。優勝するポテンシャルは十分あるから、あとは実行のみ。
「1本7点のライディングを出すことができたんですけど、それ以外は納得いってないので、たまたま、あの7点の波が来てくれて凄く良かったかなって思っています。ラッキーでした。
なかなか5点以上のライディングが出せなくて、自分で行き詰まっている感じがしたんですけど、落ち着いてしっかり待とうという気持ちはありました。詩野ちゃん(松田)は先輩で凄くサーフィンも上手いし、一緒に戦えて本当に嬉しかったです。」
松田詩野
サーフィンが力強くなっていた。怪我からの手術後にトレーニングを地道に行ってきたことがよくわかる。
切り返す時に板が流れることがあったが、しっかりホールドしてレールを入れていた。これは脚力も相当鍛えたことがうかがえる。
前回フィリピンで行われたQS3000で優勝しランキング9位に浮上した松田。今回は惜しくも5位でフィニッシュとなった。
須田那月
もう少し波がある試合で送り出したかった。本人も悔しい想いもあるだろうけど、今までの素晴らしい成績は記録と記憶に残ります。本当にお疲れ様でした!
「最後のヒートは思ったよりいい波に乗れず、私の最高のパ フォーマンスを見ている皆さんには伝えられなかったかもしれません。(選手として)ラストヒートでしたけど、16年間の総まとめみたいな感じだったので、試合が終わった後は一気に16 年間のことが思い出されました。泣くつもりはなかったけど、ホーンが鳴った後に海の中で泣いてしまいました。」
上山キアヌ久里朱
何かが乗り移ったごとく、キレキレのサーフィンを魅せたキアヌ。本日のシングルハイエストの8.25ポイント(都築虹帆と同点)。さらにバックアップ 7.00点で、トータル 15.25ポイントでこちらも今大会のハイエスト。
「8.25の波は、すごく良い波で、乗る前 から高得点が出る確信がありました。最後まで演技をしようと思って良いターンが 3 発入りました。最後はコケてし まいましたが良かったです。」
しかし、ヒート後に足を攣るアクシデント。チームメイトの大原洋人に足を伸ばしてもらって、何とか歩けるように。
エアの成功率では今大会一の古川海夕
「体を温めるために何本か乗ろうかなと思っていたんですけど、乗ったときの感触が良かったので、1発目からエアを狙ったら決まったっていう感じでしたね。相手のことは考えてなくて、自分との勝負だと思っていました。小さい波でもテールが上がると点数が出るので、それを狙ってテールを上げに行きました。」
素晴らしいパワフルなバックハンドを披露した松岡亜音
会場のイベントブース。ステージでダンスパフォーマンスが行われ、多くの観客を集めていた。
男子ラウンドオブ16結果
女子ラウンドオブ16結果
女子クオーターファイナル結果
明日の男子クオーターファイナル・マッチアップ
明日の女子セミファイナル・マッチアップ
明日のファイナルデイは、7時にファーストコール、 7時半スタート予定。 男子QF→女子SF→男子SF→女子ファイナルl→男子ファイナルの予定。
whitebuffalo HYUGA PRO QS3000
大会オフィシャルサイト
https://www.worldsurfleague.com/events/2023/qs/116/whitebuffalo-hyuga-pro/