文、写真:山本貞彦
7/14-17の日程で「第39回 全日本級別サーフィン選手権大会(2022)」が、福島県南相馬市北泉海岸で行われた。昨年の全日本の大会に続く開催となる。
今年は有観客にて開催予定 だったものの新型コロナ感染増大の影響で、急遽、会場内は選手、帯同者、スタッフのみとし、観客との動線を分けての運営となった。
この大会は選手の技術レベルを判定する「サーフィン検定テスト」において得た級区分別 に、実施される全国大会。その元となるサーフィン検定は全国の支部で行われていて、種目はショートボード、ロングボード、ボディボードで1~5級の階級で分けて行われている。
支部予選を勝ち上がった選手が出場できる全日本と違い、級保持者であれば誰もが出場可能。また、級認定がなくても正会員登録をしていれば、5級保持者と同様資格として大会に参加できる(ただしポイントの付与はされない)。
よって、今大会の参加人数はショートボードが419名、ロングボードが152名、ボディー ボードが54名で合計625名となり、過去最大となった。開催日程も3日から4日開催に変更 し、さらに選手が集中しないように、各クラスがなるべく1日で終わるように工夫された。
また、今大会も開会式、閉会式は行わず、さらに競技ルール説明などは全てオンラインで実施。大会進行のライブ&スコアと結果発表もネット配信にて行い、掲示板等に選手が集中しないよう対策が行われた。
会場となった北泉海岸。天気は戻り梅雨で曇りから雨混じりだったものの、波はコンスタントにあった。一時は頭オーバーのセットも入る素晴らしいコンディション。ここ福島は いつも波がある素晴らしいサーフポイントだ。
この試合のレギュレーションは1ヒート15分で乗れる本数も10本と限られている。プライ オリティルールもあるので、刻々と過ぎていく時間の中で、勝ち上がるための戦略には冷 静な判断も求められる。
今大会の各クラス1級、2級には3月と7月に開催されたJPSAプロトライアル合格した長沢 侑磨、鈴木一歩、小濃 来波、森 大斗、渡邉 壱孔、庄司莉花らもおり、熱い戦いが繰り広げられた。
特に今回、エルサルバドルで開催された「ISAジュニア世界選手権大会」に出場した渡邉 壱孔、長沢 侑磨、鈴木 莉珠らは格段に上手くなっており、この海外の経験が実った結果と言えるだろう。
さらに男子、女子とも3級、そして、4、5級でも実力ある選手が目白押しで、見逃せないヒートが続いた。
ただ、それでも浮かれていられないことがある。それは先日の「ISAジュニア世界選手権大会」での結果を見る限り、世界のレベルが一段上がったことが確認できたからだ。
オリ ンピックにサーフィンが入ったことで、世界各国も本気で選手育成に力を入れている。
CT選手経験者をコーチとして招聘したり、今や国を挙げてバックアップ体制を整えている。インドネシアではWSLのQS5000を開催したり、和井田理央をCTに押し上げるために国、業界が団結してフォローしている。
コロナ禍で渡航が難しかったこともあり、日本人選手の海外経験が少ないのは紛れもない事実だ。国内はもちろんのこと、海外でも経験を積ませるために、協会単独では限界がある。
だから、業界全体で選手をバックアップする体制を整えることが、今や急務だろう。
鈴木 莉珠
今年に入って3月のWSL「ASIA OPENチャレンジカップ」のU-16で優勝に続くビッグリザルトとなった。戦い方を覚えたことで、時間内にまとめることができるようになったのが勝因。
渡邉 壱孔
昨年はこのクラスは4位だったものの、今年に入ってISA世界ジュニア、JPSAプロトライアルと激戦を戦った経験が実を結びつつある。サーフィンも自信に満ち溢れた演技が印象的だった。
澤田 七奈緒
JPSAでは鴨川、日向のプロトライアルに挑戦し、AMシードを年間通して獲得。着実に実力を上げてきた澤田も今大会で大きな成果
小林 咲喜
中塩との一騎討ちの様相となった決勝。冷静な判断が優勝をもたらした。サーフィン自体にスピードがついたことで、技をかけた後が安定。メイクできるようになったことが結果につながった。
中塩 ひかる
プロサーファーの兄の裕貴、姉の佳那をもつ中塩4兄妹の4女、12歳。試合終了直前のプラ イオリティ・インタフェアーで準優勝となったものの勝負にこだわる姿勢は姉譲りか。
石川 拳大
勢いのあるボーイズ、ジュニア勢を相手に試合巧者ぶりを見せた石川拳大。今年もファイナリストになって、ベストライディング賞をゲット。
髙井 汰朗
まさかの初戦敗退。波のチョイスにミスがあったか。でも、サーフィンは確実に上手くなっている。切り替えて、Go!Next!
堀井創
JPSAの堀井哲プロの実弟。セミ、ファイナルと風も強く吹くコンデイションであったもののキレた波を選んで完璧なノーズでの演技披露。昨年の3位だった雪辱を果たす。
平野海童、武知実波、水野亜彩子のトリオで今大会のMCと解説を担当。
入場ゲートで検温と問診票の提出を行い、問診票確認済みとしてリストバンドを装着。これで試合会場に入場できる。感染症対策のため、受付時間は各クラスごとにずらして調整。
パドルアウトは5分前。試合中の選手のプライオリティを判断するために、次のヒートはこの旗の付近で待機。
大会会場では出場者及び関係者を対象として南相馬市によるアンケート調査が実施された。これは南相馬市がサーフタウンとしての魅力を高めるために行われたもの。これからのさらなる復興に向け大切なデータとなる。(写真は担当の北原氏) https://www.nsa-surf.org/news/detail/115
大会結果
ショートボード/メン1,2級
優勝:渡邉 壱孔 (千葉銚子:ボーイズ)
2位:長沢 侑磨 (横浜:ボーイズ)
3位:石川 拳大 (学連:メン)
4位: 安室 弦 (徳島:メン)
ショートボード/マスター 1,2級
優勝:松倉 円 (北海道:シニア)
2位:鈴木 重紀 (福島:シニア)
3位:小嶋 大地 (宮城仙台:シニア)
4位:大江 良太 (茨城北:シニア)
ショートボード/メン・マスター 3級
優勝:石山 汰一 (千葉東:ボーイズ)
2位:岩崎 弘樹 (湘南西:ジュニア)
3位:藤谷 日向 (湘南茅ケ崎:ボーイズ)
4位:川畑 永芯 (宮崎:ジュニア)
ショートボード/メン・マスター 4,5級
優勝:桑原 ノア (湘南西:ジュニア)
2位:岩本 功太 ( 千葉東:メン)
3位:木村 健人 (新潟1区:ジュニア)
4位:箱谷 拓人 (静岡2区:ボーイズ)
ショートボード/ガールズ 1,2級
優勝:鈴木 莉珠 (千葉南:ガールズ)
2位:清水 ひなた (横浜:ガールズ)
3位:窪田 怜 (川崎:ガールズ)
4位:登坂 祐妃 (湘南藤沢:ガールズ)
ショートボード/ウィメン 1,2級
優勝:澤田 七奈緒 (湘南茅ケ崎:ウィメン)
2位:菱沼 富美 (千葉南:Sウィメン)
3位:大江 なぎさ (千葉西:Sウィメン)
4位:百合草 綾 (宮崎:Sウィメン)
ショートボード/ガールズ、ウィメン 3級
優勝:森 舞果 (静岡3区:ガールズ)
2位:平田 咲帆 (宮崎:ガールズ)
3位:小田 唯鈴 (湘南西:ガールズ)
4位:木津 優芽 (千葉東:ガールズ)
ショートボード/ガールズ、ウィメン 4,5級
優勝:小林 咲喜 (茨城南:ガールズ)
2位:中塩 ひかる (山形:ガールズ)
3位:岡 海那 (静岡伊豆:ガールズ)
4位:倉持 恵 (茨城南:Sウィメン)
ロングボード/メン 1,2級
優勝:堀井 創 (湘南藤沢:LBメン)
2位:武田 真一 (宮城仙台:LBメン)
3位:伊藤 竜彦 (福島:LBメン)
4位:北村 健一 (千葉銚子:LBメン)
ロングボード/メン 3,4,5級
優勝:平田 拓海 (学連:LBメン)
2位:本宮 世雅 (湘南藤沢:LBメン)
3位:中野 道明 (福島:LBメン)
4位:小泉 祐樹 (東京:LBメン)
ロングボード/マスター 1,2級
優勝:大池 義博 (埼玉南:LBマスター)
2位:小山 俊樹 (千葉西:LBマスター)
3位:海野 敏郎 (デフ:LBマスター)
4位:鈴木 正彦 (湘南藤沢:LBメン)
ロングボード/マスター 3,4,5級
優勝:鯨岡 誠 (湘南鎌倉:LBマスター)
2位:野地 洋孝 (埼玉南:LBマスター)
3位:本宮 剛史 (湘南藤沢:LBマスター)
4位:杉本 裕樹 (埼玉南:LBメン)
ロングボード/ウィメン
優勝:北村 亜希子 (千葉銚子:LBウィメン)
2位:大石 梨花 (静岡3区:LBウィメン)
3位:市川 恵里香 (静岡3区:LBウィメン)
4位:河合 妃富美 (湘南藤沢:LBウィメン)
ボディボード/メン1,2級
優勝:榎戸 崇人 (千葉東:BBメン)
2位:佐藤 海斗 (千葉東:BBメン)
3位:鍵和田 福司 (湘南茅ケ崎:BBメン)
4位:飯高 大輔 (千葉東:BBメン)
ボディボード/メン 3,4,5級
優勝:加藤 修一 (湘南茅ケ崎:BBメン)
2位:上野 芳正 (湘南茅ケ崎:BBメン)
3位:村上 栄治 (湘南藤沢:BBメン)
4位:望月 実 (静岡伊豆:BBメン)
ボディボード/ウィメン 1,2級
優勝:大木 咲桜 (湘南鎌倉:BBウィメン)
2位:鵜澤 百亜菜 (千葉東:BBウィメン)
3位:鈴木 知子 (千葉西:BBウィメン)
4位:安見 春香 (千葉東:BBウィメン)
ボディボード/ウィメン 3,4,5級
優勝:安井 美紀 (愛知:BBウィメン)
2位:芳本 みどり (埼玉南:BBウィメン)
3位:小松崎 鈴 (千葉東:BBウィメン)
4位:的場 有美 (千葉東:BBウィメン)
南相馬市長賞
ショートボード/ガールズ 1,2級
鈴木 莉珠 (千葉南:ガールズ)
ベストライディング賞
ショートボード/メン1,2級
石川 拳大 (学連:メン)
敢闘賞 ショートボード/メン・マスター 4,5級
桑原 ノア (湘南西:ジュニア)
・ サーフィン検定 この検定は自分のサーフィンのレベルを把握してもらうことを目的としている。この級別大会では各クラスのファイナリスト(1級保持者以外)に、現在取得している級から 一つ級が昇級できる(自動認定手続きの資格が与えられる)仕組みになっている。大会の級別クラス分けは下記の通り。 全17クラス予定
ショートボード/メン 1,2級=キッズ、ボーイズ、ジュニア、メンクラス(1988年1月1日以 降生まれ)の1,2級保持者
ショートボード/マスター 1,2級=シニア、マスター、Gマスター、カフナクラス(1987年 12月31日以前生まれ)の1,2級保持者
ショートボード/メン・マスター 3級=ショートボード男子全クラスの3級保持者 ショートボード/メン・マスター 4,5級=ショートボード男子全クラスの4,5級保持者 ショートボード/ガールズ 1,2級=ガールズクラス(2004年1月1日以降生まれ)の1,2級保 持者
ショートボード/ウィメン 1,2級=ウィメン、シニアウィメンクラス(2003年12月31日以 前生まれ)の1,2級保持者
ショートボード/ガールズ、ウィメン 3級=ショートボード女子全クラスの3級保持者 ショートボード/ガールズ、ウィメン 4,5級=ショートボード女子全クラスの4,5級保持者 ロングボード/メン 1,2級=ロングボード男子LBメンクラス(1978年1月1日以降生まれ) の1,2級保持者
ロングボード/メン 3,4,5級=ロングボード男子LBメンクラス(1978年1月1日以降生ま れ)の3,4,5級保持者
ロングボード/マスター 1,2級=ロングボード男子LBマスタークラス(1977年12月31日以 前生まれ)の1,2級保持者
ロングボード/マスター 3,4,5級=ロングボード男子LBマスタークラス(1977年12月31日 以前生まれ)の3,4,5級保持者 ロングボード/ウィメン=ロングボード女子全クラスの1,2,3,4,5級保持者 ボディボード/メン 1,2級=ボディボードメンクラスの1,2級保持者
ボディボード/メン 3,4,5級=ボディボードメンクラスの3,4,5級保持者 ボディボード/ウィメン 1,2級=ボディボードウィメンクラスの1,2級保持者 ボディボード/ウィメン 3,4,5級=ボディボードウィメンクラスの3,4,5級保持者
https://www.nsa-surf.org/license/
主催:一般社団法人 日本サーフィン連盟(NSA)
公認:国際サーフィン連盟 (ISA)
後援:経済産業省、復興庁、スポーツ庁、海上保安庁、環境省、福島県、 福島県教育委員会、南相馬市、南相馬市教育委員会、
一般社団法人 南相馬市観光協会、一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会
協賛:一般社団法人 日本サーフィン連盟オフィシャルパートナー各社、 有限会社 湘南ちがさき屋十大
協力:日本サーフィン連盟 福島支部、福島県サーフィン連盟、 一般社団法人 ウォーターリスクマネジメント協会
・大会結果
https://www.nsa-surf.org/wp-content/uploads/2022/07/2022allranking_result_all-1.pdf
・級別選手権 ハイライト動画
Day1
https://youtu.be/33bYJv0AOnk
Day2
https://youtu.be/1RcGP7x3aGY
Day3
https://youtu.be/gMLFyHaxapY
Day4
https://youtu.be/_YtgE7oqjtE
・大会ホームページ
https://www.nsa-surf.org/match/39th_alljapanranking2022/