写真、リポート:永島未知子 先週のポルトガル「Caparica Pro」を皮切りに始まった春のQSヨーロッパレッグ。そこの終了からほんの数日しか経っていない本日4月4日。ポルトガルからスペインはZarautz (サラウツ)に移動し、QS1500「 2018 Pro Zarautz pres. by Oakley」が始まった。大陸続きのヨーロッパらしさが感じられるスケジューリング。
さて、このQS1500「2018 Pro Zarautz pres. by Oakley」に日本から出場するのは千葉・館山をホームグランドとする粟田 海(あわだ かい)、生(なる)の粟田兄弟。「Caparica Pro」から引き続いての参戦になる。ともに出場開始はラウンド2から。
最初に登場したのは兄の海選手。この日のロータイドは午後2時。波のサイズはフラットに近い前日からセットで頭以上は余裕にあるぐらいと、一気にサイズアップ。海選手の試合が始まる11時頃になるとそれまで続いていた南東よりの風はやむ気配はなく、むしろ時より強風。サイドオフショアとなり、乗れる波を選ぶのに苦戦を強いられそうな状況であった。
ヒートが開始すると1番最初に乗ったのは海選手。しかしやはり波と風に苦戦したのか、思うようなライディングにならず、その後も何本かテイクオフするも、なかなか核となる1本が出てこない。焦りとは裏腹に波の方は途中で、巨大なおばけセットまで入ってくる始末。誰も乗れない膠着状態を経て残り5分。
このとき海選手がラウンドアップするのに必要なポイントは3.81。チャンスは十分だ。そして、そこからラスト1分前。それまで沖にいたのが、手前に移動していた海選手。ライトの波を掴むと、波を乗り繋ぎながら3発ターンを決める。点数は4.37。本来ならラウンドアップ、となるところだったが、その少し前に他の選手がアベレージを上げていた。…悔しい3位敗退となった。
海「今日の波はワイド過ぎて、のりしろがない。前のヒートまではそれなりに厚いながらも乗り繋げられる波が沖からきていた。その沖からの波に乗ろう、乗ろうとし過ぎてしまった。サラウツの波は満ち引きでの状況変化が激しい。試合中の25分間でよく変わった。その変化に早く対応できていればよかった」。
海選手の「QS1500 2018 Pro Zarautz pres. by Oakley」はここで終了したが、そのままヨーロッパに残り、4月下旬にまたポルトガルで開催される「QS3000 Pro Santa Cruz 2018 pres. by Oakley」に参戦する。
「QS1000、QS1500でチャンスだったのでポイントがもらえればと思いましたが、次はQS3000。それでも試合であることには変わりがないので、1つでも勝っていければ。次の試合まで2週間くらい時間がある。その間にポルトガルでサーフィンしようと思っています」
試合に来るのもそうだが、試合と試合の間の時間もすべて自分でコーディネートしている海選手。言葉も問題がないようで、試合中に他国の選手とコミュニケーションを取って知り合いになり、そこから関係を発展させ、この2週間はそれまで大した知り合いもいなかったポルトガルでのフリーサーフィンを楽しむようだ。その行動力を持って十分楽しみ、次の試合では結果を残せることを期待したい。
海選手のヒートが終了してから数時間後、ロータイドを過ぎた15時過ぎに弟の生(なる)選手の出番となった。ロータイドの前後を含み、荒れていた波は少しサイズが下がり、風も弱くなり、そのおかげで波の形は午前中に比べるとずいぶんキレイな形。
だったのが、生選手のヒートが始まり数分でコンディションは一気に変化。沖の方に思えた灰色の雲が近づき、雨が降り出すと、弱かった風がいきなり強くなりはじめた。しかし生選手は天気が荒れ始め、ハードコンディションになる前にバックハンドの波で6点を出すと、続く2本目でも5.27をスコア。そのまま最後まで逃げ切りトップ通過を果たした。
— ラウンドアップおめでとうございます。
生「ありがとうございます。疲れました。3本しか乗ってないのに。パドル疲れですかね。途中、セットの中で1回転してましたよ。それでも最初の6点を出せて落ち着けました。前の兄ちゃん(海選手)のヒートを見ていて、早めに決めないとツラそうだなと。後半は体力も落ちるし。他の選手も乗っていなくて、コールが聞こえなかったけど、トップスコアに入る1本だろうと。
— 後半、体力はけっこう落ちる?
生「けっこう落ちる。今回25分だったのですが、最後の5分は疲れと集中力も落ちて、スコアも相変わらず聞こえない。そうしたら疲れがドッとでちゃって。そうしたら乗れなくなっちゃいました(苦笑)」
-「天候が変わりハードコンディションになりそうだ」、と試合前に予測していたと聞きましたが?
生「空をみたら黒くて、これは変わるだろうなと。雨も降って、風向きもオフショアからオンショアになるだろうなと。なんとなくですがそう思いました。今日の試合は日本ではあまりないようなコンディション。セットがくるとボンボン入るけど、入らないとぴたっとやむ。5分刻みで試合を組み立てろ、と入る前にアドバイスをもらいました」
— ラウンド3に向けては?
生「ラウンド3からはハードそう。トップシードも入ってくるし。誰がうまいとか気にすると気になっちゃうから、チェックはするけどそれは置いておく。いつも通り、普段やっているようにサーフィンができれば大丈夫だと信じている」
—前回の「Caparica Pro」ではクォーターファイナルまで進出。調子がいいように思えます。そのリズムは継続中ですか?
生「今のところ(笑)。Caparicaは思ったより波が自分に合って。そのリズムが継続できればいいけど、日によってコンディションが変わっちゃうんで(笑)。そこをうまく(安定するように)調整できたらいけるんですけど(笑)」
— ナイーブ!
生「いつも通りやろうと頑張るんですけど…。でもなんだかんだ兄ちゃん(海選手)だったりと、周りがサポートしてくれるのでうまくやれています。とりあえず明日のラウンド3をこなして、(Caparica Proのときのように)賞金がもらえるラウンド5までいきたいです」
「QS1500 2018 Pro Zarautz pres. by Oakley」の2日目のファーストコールは4月5日(木)、現地時間で朝8時(日本時間15時)。粟田 成選手のヒート15は順調に進めば、現地時間10時45分頃(日本時間17時45分頃)。ライブ中継もされるので、ぜひ日本からも応援をよろしくお願いします。
http://www.worldsurfleague.com/events/2018/mqs/2679/pro-zarautz-pres-by-oakley