日本のサーフィン史に刻まれる「BILLABONG PRO SHIKOKU」でロコボーイの辻裕次郎が優勝!

日本のサーフィン史に刻まれるJPSAとWSLジャパン共催イベント「BILLABONG PRO SHIKOKU」でロコボーイの辻裕次郎が優勝! 


日本のサーフィン史に刻まれた辻裕次郎

 

生見海岸、高知県安芸郡東洋町(2015年6月6日、土曜日)史上初のJPSAとWSLジャパンの共同開催となる「BILLABONG PRO SHIKOKU supported by PLAYER RESORT」は大会4日目。

 

今日の天候は晴れ。風は微風。波のサイズは胸肩へと一晩でサイズアップした。予定では、メンズのR4、R5、ウイメンズのクォーターファイナル、メンズのクォーターファイナルまでを行う予定だったが、コンディションを考慮して、メンズをファイナルまで終了することになった。

 

YouTube Preview ImageDay 4 Highlights – BILLABONG PRO SHIKOKU supported by PLAYER RESORT

 

そして、激しいデッドヒートの結果。メンズのクオーターファイナルは、大原洋人と田中海周、大橋海人と辻裕次郎、仲村拓久未と新井洋人、加藤嵐とオーストラリアのジャクソン・ベーカーという8名の選手が残り、どのヒートも非常に興味深い組み合わせとなった。

 

田中海周

 

大原洋人と田中海周のQF1は、大原洋人がオープニングライドで7.00をスコア。更にバックアップを5.50をスコア。ヒートスコアを12.50としてヒートを終始リード。残り時間2分を切り、辛抱強く波を待ち続けた田中海周がセットの波をキャッチ。大逆転する。しかし、ヒート終了間際に大原洋人が’7.75をスコアして再び大逆転。ヒートスコアを14.75としてSFへ勝ち上がった。

 

大橋海人

 

大橋海人と辻井裕次郎のヒートは、まず大橋海人がフォアハンドで小刻みにスコアをまとめて来る。それに対しライトの波に的を絞り、板が走っている辻裕次郎は、サイズのない小波の全てを使い切ったビッグマニューバーで6.00をスコア。更に5.25をスコアして11.25というヒートスコアでリード。

 

大橋海人

 

大橋はフォアハンドでレフトの波を攻め、ジリジリとその差を縮める。しかし、良い波を全て自分に引き寄せる辻裕次郎は、再びバックハンドで6.65、更にエクセレントの8.00をスコア。最後はコンビネーションで圧勝した。

 

新井洋人

 

新井洋人と仲村拓久未のヒートは、仲村拓久未がファーストウェイブで、カーヴィングとスラッシュのコンビネーションで6.50をスコアしてヒートを開始。続けてセカンドウェイブでも5.75をスコア。さらに畳み掛けるように波を掴み続ける仲村は、ミドルセクションから掘れた波をキャッチ。

 

ポケットで素晴しいスプレーをあげるカーヴィングのコンビネーションでエクセレントの8.50をスコア。あっという間に新井洋人をコンビネーションに追い込んだ。しかし、それで黙っていない新井洋人は5.65をスコアしてコンビネーションをブレイク。更に終了間際のラストウェイブで9.00をスコアするも、逆転には僅かに足らなかった。

 

加藤嵐

 

加藤嵐は、ジャクソン・ベイカーと対戦。ジャクソン・ベイカーは、オーストラリアのミアウェザー・ビーチをホームブレイクとする17才のアップカマーのジュニアサーファー。今回は同じチームライダーの新井洋人を頼って日本にやって来た。

 

ジャクソン・ベイカー

 

ノーマークであったベイカーだったが、沖でセットを待つ加藤を尻目に、プライオリティのない状態で、手前でスコアををゲット。ヒートスコアを12.90とし、加藤をコンビネーションに追い込んだ。今回好調な加藤はすぐにコンボをブレイク。しかしベイカーもその差を広げていく。

 

辛抱強く波を待った加藤嵐は、ラストウェイブで8.75をスコアして大逆転。しかし、終了間際に再びベイカーが大逆転。激しいデッドヒートの末、ベイカーがセミファイナルへ勝ち進んだ。

 

セミファイナルH1は、辻裕次郎と大原洋人 


大原洋人

 

セミファイナルの第1ヒートでは、辻裕次郎と大原洋人が対戦。辻裕次郎がオープニングライドをゲット。絶好調のバックハンドでチャージを見せてエクセレントの8,25をスコア。続けてバックアップも4.5を揃え、波数の少ないコンディションで素晴しいアドバンテージをとる。

 

思うような波を掴めない大原洋人は、じっくりと波を待つ作戦に切り替えた。大原洋人に逆転に必要なスコアは9.00。辻裕次郎はフォアハンドでレイバックスナップを見せるなどしてスコアを刻んでいく。

 

辻裕次郎

 

 

現在ワールドランキング83位の大原洋人は、残り時間10分を切って、再びライトブレイクをフォアハンドでチャージ。6.00をスコアして、辻との差を縮めていく。プライオリティのない大原洋人は7.25をスコアして大逆転。

 

しかし、辻裕次郎の前にそのヒート最大のセットが入り、その波でビッグなマニューバーを描いた辻裕次郎は、このヒート2本目のエクセレントとなる8.60をスコア。神懸かり的な波運を味方に付けた辻裕次郎がファイナル進出を決めた。

 


SF2は仲村拓久未とジャクソン・ベイカー 


 

ジャクソン・ベイカー

 

セミファイナル2は仲村拓久未とジャクソン・ベイカー。仲村が先制攻撃を仕掛け5.00をスコア。ベイカーも3マニューバーで7.75をスコアして戦いの火蓋を切る。

 

仲村拓久未も7.50で応戦。両者譲らぬ攻防が続く。ベイカーも5.50をスコアしてトップのポジションを仲村から奪い返す。戦いは僅差のクロスヒート。ベイカーはプライオリティを持ちセットを待つ。仲村は激しく波を攻め続ける。

 

仲村拓久未

 

ヒート中盤、仲村拓久未はエアリバースとオフザトップのコンビネーションで7.10をスコアして、再びシチュエーションをひっくり返す。仲村がヒートをリード。

 

その後もプライオリティが無い中、スコアを刻んでいく仲村は、残り時間5分を切り、ソリッドなビッグターン2発で7.90をスコア。仲村拓久未がヒートスコア15.40としてリードを広げ、そのままファイナル進出を決めた。

 


ファイナルは辻裕次郎と仲村拓久未 


 

辻裕次郎

 

WSLジャパンとJPSAの記念すべき共同開催となった「BILLABONG PRO SHIKOKU」に相応しい二人がファイナルに勝ち上がった。海の神様を味方につけ、神懸かり的なウェイブマグネットを見せた辻裕次郎と、今シーズンのJPSA開幕戦が行われたバリ島で圧倒的な勝利を手に入れ、その勢いのまま四国入りした仲村拓久未。まさに今の日本のサーフシーンを象徴するサーファー同士の戦いとなった。

 

辻裕次郎

 

ファイナルは、辻裕次郎がアベレージスコアでゲームを開始。仲村拓久未はフォアハンドのストレートアップで6.00をスコアして戦いを開始する。仲村はバックアップに4.60をスコアして、ヒートスコアを10.60としリードを広げていく。30分のファイナルとはいえ、サイズダウンと波数の減少は否めず、両者とも波を辛抱強く待つ。

 

仲村拓久未

 


ヒート中盤に入り、波を辛抱強く待っていた辻裕次郎がセット波をキャッチ。ストレートに上がるバックハンドのリエントリーで7.50をスコア。更に続けて6.50をスコアして、ヒートスコアを14.00として、ファイナルのトップポジションを奪う。

 

そして、再び信じられない波を呼び寄せる辻裕次郎。お手本のような深いバックハンドのボトムターンからストレートアップのリエントリー、物凄いスプレーをあげるカーヴィングで、7.40をスコア。ヒートスコアは14.90となり、その差は更に広がった。

 

辻裕次郎

 

仲村拓久未に逆転に必要なスコアは8.90。そこで再び波を掴んだ仲村は7.15をスコアして、少しづつ差を縮めていく。しかし残り時間は5分を切り、追い込まれる仲村拓久未。最後まで諦めずチャージを繰り返した仲村だったが、そこでタイムアップ。地元の声援を味方に付けた辻裕次郎が、その歴史的なイベントで見事な勝利を手に入れた。

 

辻裕次郎

 

 

 

地元生見での開催と、バリ島での悔しさをバネに、日々練習を重ねていた辻裕次郎。 


今回、クオーターファイナルH-1、H-3、H-4は逆転につぐ逆転。波数少ないからのそれぞれの作戦。待つポイントが右なのか左なのか。波数少ない中、先に2本乗っていくか、1本決めて待つか。プライオリティを使っていくのか、相手から離れるのか。逆に敢えて近づいてプレッシャーをかけるのか。

波が小さいながら、駆け引きが見られた戦いだった。


 

今回ラウンド1から7回勝ち上がり、ファイナル進出した辻裕次郎。そこで手にした勝利の味は格別なものだったはずだ。

久し振りの地元生見ビーチでの開催で、闘争心に火がつき、バリ島での不甲斐ない結果からの悔しさをバネに、地元のビーチで日々練習を重ねていたという辻裕次郎。

 

昨年、悲願のJPSAグランドチャンピオンを獲得し、今までの環境とは違うことが彼の身の回りに起きたはずだ。しかし、そんな状況に溺れる事無く、不屈の精神で挑んだ今大会。勝って兜の緒を締めろ!を自らのスタイルで証明してみせた。

 

この日本のサーフィン史に刻まれる素晴しいイベントで、その燦然と輝く王冠を手に入れたのは生見マスターと呼ばれるに相応しい辻裕次郎だった!

 

 

JPSA、WSLジャパンがひとつになり、素晴しい会場を提供して頂いた四国の人たちに感謝。

 

 

世界を目指す選手のなかには、JPSAのイベントに参加していな選手もいる。今回のWSLジャパンとの共催イベントでは、そんな海外組が顔を揃え、ある意味オールジャパン的な、日本一のサーファーを決定するコンテストとなった。様々な問題はある。だが、この形が世界的に見た日本の有るべき姿なのではないかと感じるイベントとなった。

 


 

明日もイベントは続き、朝8:30にファーストコール。ウイメンズのセミファイナル、EXPRESSION SESSION、ファイナル、そして表彰式が行われる。

 


ウイメンズSFヒート1:庵原美穂 VS 宮坂莉乙子

ウイメンズSFヒート2:橋本恋 VS 川合美乃里


 

撮影、取材:山本貞彦

オフィシャルサイト:http://www.worldsurfleague.jp/

http://www.worldsurfleague.jp/2015/billagongpro/live-jp.php

 

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庵原美穂
川合美乃里
宮坂莉乙子
橋本恋