TOKYO HOTTEST SURF SPOT

TOKYO HOTTEST SURF SPOT

潮の香りが漂い出している日本最大の消費の地である東京。サーフィンは何処へ向かうのか。
 


photo & text by Takashi Osanai

 

5月10日に発売されるBlue.誌の特集で全国のサーファーにアンケートをとり、帰ってきたものを集計すると、30代と40代で全体の7割近くを占めた。同じ号の取材で話を聞いた山口県のサーフショップによると、関門海峡を越えて九州から、峠を越えて山陽方面からやってくるビジターも少なくないという。そのビジターの大半がミドルエイジ。地元も含めて、10代、20代は少なく、「それは全国的な傾向なんじゃないでしょうか」とおっしゃられた。日本サーフィン連盟(NSA)の大会などで見る光景も同じ傾向で、新顔は少ないが昔からの顔ぶれは多く、そのまま年を重ねているのだという。

キッズが少なく、サーフィンを始める人も30代以降がほとんど。そのような傾向においては「カルチャーの継承にも黄信号がともるのではないか」というご指摘も頂いた。専門誌は読まず、所得はあるがサーフカルチャーに関する知識はない。

ケリー・スレーターって誰ですか?

それでも十分にサーフィンは楽しめるのだから、ということだ。

物事を重厚に浸透させるには、トップダウンとボトムアップの両方のアプローチが必要となる。サーフィンの場合も同様で、業界内と業界外からのアプローチがあって、サーフィンという対象への関心の総量は最大化する。だから、業界内においては世界最先端のプロサーフィンと地域のローカルのコンテストは両方とも必要で、さらに業界の外からのアプローチがあることが望ましい。両側からのアプローチがあって、世間という世の中においてサーフィンの魅力の発信力は最大となる。

ただ、ひとつ大きな前提がある。

サーフィンの魅力を広めたいのなら、というものだ。

とかくサーフィンは閉鎖的なスポーツで、保守的なサーファーも多い。が、もうそんな時代ではないというのが私見だ。

アメリカでもケリー・スレーターらニュースクール世代の台頭以降、サーフィンは大衆的になったという論調がある。マスメディアが注目し、サーフィンをはじめとしたエクストリーム・スポーツが確立され、エンターテイメント化し、アメリカ内陸部の人たちでさえサーフィンを知る状況が生まれている。アメリカのサーフィン・ジャーナリストであるジェイミー・ブリシックは「もはやサーフィンはビッグファミリー的ではない」と言ったが、それが世界の潮流である。そもそもサーフィンが抱く魅力というのは、いち個人のサーファーが語って語りきれるほど小さなものではない。

日本でも、金融危機、昨年の震災を経て、サーフィンによって育まれたサーファー独特の感性は今の時代にマッチするものとなっている。自分たちだけが波に乗れて楽しめればいいというスタンスは、時代錯誤の、了見の狭い解釈に思える。排他的に海側へ引きこもらず、海側からの視点を積極的にもっと発信すべきであると考える。

そう思うと、今春、東京に誕生した3つのスポットへの興味は尽きない。

オープン時には雨にも関わらず入場制限がおこなわれた代官山のサタデーズサーフ。ガンダムが送迎する台場のダイバーシティで、数多のファッションブランドが軒を並べ、上階にはメイドカフェもあるというカオス状態のなかで生き残りをはかるHLNAゾーン。ひっそりとした趣きの祐天寺に開かれたショールームで、ショーン・ステューシー手がけるサーフボードのコレクションがのぞめるS DOUBLE

いずれも並みいるエンターテイメント界のライバルたちを向こうに、10〜20代の視線、興味、関心を広く獲得し、ファッションだけではなくアクションにまで引きずり込む。そんな可能性を秘めた場所である。

日本最大の消費の地である東京には、今、潮の香りが漂い出している。