2013年6月2日(日):千葉県長生郡一宮町釣ヶ崎海岸 ASPジャパンメンズスターツアーの第1戦、国内最大級の4スターイベ ント「QUIKSILVER OPEN JAPAN」は大会最終日。ファイナルデイは天気予報通り、北よりの強いサイドオンショアと雨が降る震えるようなタフなコンディションのなか、クオーターファイナルからスタートした。しかし、試合が進むにつれ雨も上がり、ファイナルを迎える頃には晴れ間も見え始め、白熱したサーファー達の熱気に引き寄せられるかのように、悪天候の中でも多くのギャラリーを集めた「QUIKSILVER OPEN JAPAN」がクライマックスを迎えた。
コナー・コフィン(USA) QFヒート1:コナー・コフィン(USA)対 クーパー・チャップマン(AUS)
ファイナルデイのオープニングヒートはスローな展開となったが、クーパー・チャップマン(AUS)が続けて波を掴み、2つのビッグターンを見せて、ヒートをリードする。パワフルなターンを見せるコナー・コフィン(USA)も、スコアを重ねジリジリと差を縮め、逆転に成功。しかし、クーパーも5.67をスコアして逆転。その後、コナー・コフィンはハイスコアを狙い、チャージを繰り返すが、気持ちだけが空回りしているようで技のインコンプリートが続き逆転できない。ラストウェイブで起死回生のビッグターンを見せるコナーだが僅かに逆転出来ず、クーパー・チャップマン(AUS)がセミファイナルに勝ち上がった。
QFヒート2:ギャレット・パークス(AUS)対 ミッチ・クルーズ(AUS)
今回のイベント唯一のパーフェクト10をマークしたミッチ・クルーズ(AUS)が、オープニング・ウェイブから、ハイスピードのビッグターンを繰り出し、エクセレントの8.17をスコア。ヒートをスタートから大きくリードする。逆にギャレット・パークス(AUS)には昨日までのシャープなサーフィンが見られない。ミッチ・クルーズは、しっかりと2つのビッグマニューバーを描き、ライディングをコンプリート。バックアップも6.83をスコアしてギャレットをコンビネーションに追い込んだ。さらにヒート終盤にはクローズセクションでエアドロップなリエントリーを決めて7.43をスコア。バックアップも塗り替えて、圧倒的な強さでセミファイナル進出。
技が単調になり過ぎたビノ・ロペス(BRA) QFヒート3:デイヴィ・キャスルズ(AUS)対 ビノ・ロペス(BRA)
ヒートはスタートからビノ・ロペス(BRA)がエアリバースを決めて5.33をスコア。再びカーヴィングとエアリバースのコンビネーションで6.00をスコア。それに対するデイヴィ・キャスルズ(AUS)はより良い波を選び、得意のカーヴィングターンを炸裂させ、7.00、5.40をスコア。ヒートスコア12.40としてヒートをリードした。エアリアルに固執していたビノ・ロペス(BRA)はビッグなフルロテーションで応戦するも思ったようにスコアが伸びない。ヒート終盤にデイヴィ・キャスルズ(AUS)は早い波にテイクオフすると、クリティカルセクションにヴァーティカルなリエントリーを決め、8.00をスコア。ヒートスコア15.00として、勝ち上がった。
QFヒート4:マイキー・ライト(AUS)対 大野修聖(JPN)
日本の期待を一身に集めた大野修聖は、オープニング・ウェイブから、その期待に応えるかのように素晴しい波をキャッチ。バックハンドの深いボトムターンから、クリティカルセクションへのハードなリエントリーを決め、カーヴィングターンのコンビネーションから更にフローターでセクションを抜けて、7.83をスコア。続けてレフトの波を掴んだ大野は、ビッグターンのコンビネーションで5.33をスコア。幸先の良いスタートを切る。今回のイベントでは波とのリズムが合わず、厳しい試合展開を強いられてきたマー大野だったが、クオーターファイナルは良い試合展開。
更に素晴しいレフトの波を掴んだ大野は6.50をスコア。ヒートスコア14.33とする。しかし、マイキー・ライトはビッグなエアマニューバーを見せて9.00をスコア。続けて5.47をスコアして逆転。残り時間10分となった。マーが逆転するためには6.55が必要だ。再び5.93をスコアして、差を広げるマイキー。大野もレフトブレイクでビッグ・リエントリーを決めるもセカンド・マニューバーがインコンプリート。最後は優先権を持ち、いい波を待ち続けた大野だったが、惜しくもここで敗退。イベントを5位でフィニッシュした。
前半のリードが保てず、逆転負けを喫した大野修聖。点の出るバックハンドで勝負したいところだったが、うまく相手に押さえられた。エアーで勝負できないのもマイナスだった。得意とするトップでえぐるサーフィン。気になるのは、そのえぐった時に止まることか。
クーパー・チャップマン(AUS) SFヒート1:ミッチ・クルーズ(AUS)対クーパー・チャップマン(AUS)
セミファイナルはクーパー・チャンプマンがファーストウェイブから、高さのあるフルロテーションを決め、9.50をスコア。さらにセカンドウェイブで5.83をスコアして、クーパー・チャンプマンがスタートから、ミッチ・クルーズをコンビネーションに追い込んだ。今大会好調なミッチ。レフトの波でビッグなバックハンド・マニューバーで7.67をスコアし反撃を開始する。続けてライトの波で素晴しいマニューバーを見せて、8.10をスコアしミッチ・クルーズが大逆転。しかしチャップマンも6.40で再びトップの座を奪い返す。追いかけるミッチ・クルーズ。深いボトムターンから3マニューバーを繰り出し9.63をスコア。さらにラストウェイブでも同じ9.63をマークしたミッチ・クルーズ。逆転に次ぐ逆転の激しいバトルを制し、ファイナル進出を決めたは圧倒的なパワーとスピードを併せ持つミッチ・クルーズだった。
SFヒート2:デイヴィ・キャスルズ(AUS)対マイケル・ライト(AUS)
スタートからデイヴィ・キャスルズ(AUS)が、深いボトムターンからストレートアップ。フィンアウトのリエントリーを見せ、6.50をスコア。マイキーもそれに対抗しビッグターンで7.33をスコア。続けて8.17をスコアして、ヒート前半を大きくリードする。ヒート中盤、素晴しいロングウォールのセットを掴んだデイヴィ・キャスルズ(AUS)は、ハードなビッグターンを何度も繰り出し、ビッグマニューバーで8.60をスコアして大逆転。バックアップも7.17とし、ヒートスコア15.77とする。これでデイヴィ・キャスルズ(AUS)の勝利か思ったが、残り時間5分を切り、マイキーがビッグエアを決め、9.63をスコアして大逆転。最後まで試合を諦めないデイヴィ・キャスルズ(AUS)はラストウェイブでフィンアウトのビッグターンを見せるも僅かに届かず。マイケル・ライト(AUS)がファイナル進出を決めた。
マイキー・ライト(AUS)とミッチ・クルーズ(AUS)のオールオージー・ファイナル
ファイナルは、WCTサーファーの兄姉を持つマイキー・ライト(AUS)と、イベント唯一のパーフェクト10をマークした絶好調のミッチ・クルーズ(AUS)というワールドツアー予備軍であり、優勝候補の二人が顔を合わせた。ヒートは、ミッチ・クルーズ(AUS)が素晴しいバリエーションのあるターンをコンビネーションさせて9.17をスコア。素晴しいスタートダッシュを見せる。マイキーも素晴しいターンで応戦。5.83をスコアするが、経験値でも一枚上手のミッチ・クルーズ。セカンドウェイブでもパワードリフトとエアリアルのコンビネーションで8.07をスコア。いきなりマイキーをコンビネーションに追い込んだ。
しかし、マイキーは得意のビッグ・エアリバースを披露。7.33と6.83をスコアしてヒートスコアして14.16とする。それでも17,24のヒートスコアを持つクルーズを逆転するには9ポイント以上が必要だ。残り時間10分を切り、好調に波を掴むクルーズ。追い込まれたマイキーは波選びに慎重となる。最後には優先権も失い万事休す。今回のイベントを通して、ハイポイントをマークし続けたミッチ・クルーズ(AUS)が圧倒的な強さを見せ、日本のスターイベント開幕戦での嬉しい初優勝を決めた。
4スターとはいえ、素晴しいサーファーが来日し、刺激的なサーフィンを披露してくれた「QUIKSILVER OPEN JAPAN」。多くの日本人サーファーがインスパイヤーされた事だろう。今回のイベント・ディレクターであるクイックシルバー・ジャパンの吉村氏による挨拶にもあったように、「日本からWCTサーファーを出す事を目標」に開催された今回の4スターイベント。日本人最高位の5位となった大野修聖をはじめ、海外で行われているASPのツアーを回り、世界を目指すサーファーにとって、ポイントを稼ぐ素晴しいチャンスが与えられたのだと思う。自国で行われるというアドバンテージをもらい、多くのサーファーが頂を目指したが、ラウンドオブ16に残った日本人選手は、高梨直人、仲村拓久未、加藤嵐、大野修聖の4名だった。サーフィンのレベルでも再び大きく溝を空けられた感は否めない。この事を多くのサーファーが痛感したことだろう。今年、日本国内で開催されるスターイベントは、神奈川県、愛知県、宮崎県の3大会が予定されている(ASPジャパンのスケジュールをご覧下さい)。7月には3スターイベントが湘南で、4スターイベントが愛知の田原で開催される予定だ。次のイベントでは、どれだけ海外から選手が参加するか分からないが、より多くの日本人選手の勝ち上がる姿が見たい。彼らの活躍に期待し、エールを送り続けよう。頑張れ!日本!
ASP WQS 4★「QUIKSILVER OPEN JAPAN」結果
優勝:ミッチ・クルーズ(AUS)
2位:マイケル・ライト(AUS)
3位:クーパー・チャップマン(AUS)、デイヴィ・キャスルズ(AUS)
5位:コナー・コフィン(USA)、ギャレット・パークス(AUS)、ビノ・ロペス(BRA)、大野修聖(JPN)
昨年のASP JAPANツアーの年間チャンピオンの表彰も併せて行われた。
ジュニア:新井洋人、カデット:仲村拓久未、ガールズ:大村奈央
※グロム:西優司は今年の伊豆の大会で表彰済み。ライブ中継サイト
http://www.aspjapantour.com/webcast/2013/quiksilver/index-jp.php
オフィシャル大会サイト
http://www.quiksilver.co.jp/event/japanopen2013/フォト&キャプション:山本貞彦
今大会、初日から調子が良かったミッチ・クルーズ(AUS)。他の選手と比べても体幹がしっかりしているサーフィン。波に左右されず、自らコントロールするパワーサーフィン。ボトムの深さは良し。ただ、トップでは落とす時が見られる。これが直せれば、プライムでも勝てる。
線がまだ細いがセンス良し。オーエンを超える才能は嘘じゃない。スピードもあり、マニューバー、エアーとすべて良し。
ファイナルの前にはロキシー・エキシビジョン・マッチが行われ、大村奈央、植村未来、野呂玲花、間屋口香が出場した。
関連記事