男女ともベスト8が決定。五十嵐カノアがトリードを下してQF進出。CT第2戦サーフ・アブダビ・プロ大会2日目

五十嵐カノア © WSL / Thiago-Diz

フダイリヤット島、アブダビ、UAE(2025年2月15日土曜日) — 2025年ワールド・サーフ・リーグ(WSL)チャンピオンシップ・ツアー(CT)第2戦となるサーフ・アブダビ・プロの2日目が行われ、男女のクオーターファイナリストが決定した。

終日クリーンなコンディションが続き、世界トップクラスのサーファーたちが、3フィート、距離500メートルの波に独創的なラインを描いた。

女子の予選ラウンドとエリミネーション・ラウンド、男子のラウンド・オブ・16のヒートでは、パフォーマンスのレベルが全体的に向上し、新進気鋭のサーファーたちが名だたる強豪たちに挑んだ。

 

大番狂せが続出し、新たな勝者への扉が開く。コラピント、トリードが敗退

 

ジャクソン・バンチ(HAW)© WSL / Thiago-Diz

 

ジョーディ・スミス(南アフリカ)は、イベント初のエクセレントなスコアとなる8.17を記録したが、ミゲル・プポ(BRA)を破るにはバックハンドでさらに高いスコアが必要だった。そしてプポは2大会連続でクオーターファイナルに進出を果たした。

 

しかし、そんなスミスのスコアが塗り替えられるのに時間はかからなかった。ルーキーのジャクソン・バンチ(HAW)が、2024年の世界ランキング3位である コラピントがまだ海に入っていないうちに、バンチはヒート合計スコア15.73という大差をつけた。

 

男子ツアー最年少の21歳、バンチは3つの異なるエアーとリップへのクリティカルヒットを組み合わせて、シングルウェイブ・スコアとしては最高得点となる9.23をスコア。2023サーフランチ・プロの勝者であるコラピントは、懸命にプッシュしたが、ルーキーが打ち立てたスタンダードには及ばなかった。

 

ジャクソン・バンチ(HAW)© WSL / Manel-Geada

 

「つまり、グリフィンと対戦するというのは、間違いなく世界トップクラスのサーファーと戦うことなんです」とバンチは言った。「自分の最高のパフォーマンスを出し、持てる技をすべて繰り出すしかないと思いました。

 

ここには11月の終わりに来て、セス・モニーツとバロン(マミヤ)と一緒に練習し、いいサーフができました。波が少し速かったので、少しトリッキーでした。そして今は波が遅くなっているので、スピードを落として、時間をかけて、さまざまなスポットでさまざまなターンをすることができます。だから、その波を思い通りにできたことにとても興奮しています。」

 

2人のブラジリアン・ワールドチャンピオンは、連続するヒートで登場し、異なる運命をたどった。2019年ワールドチャンピオンのイタロ・フェレイラ(BRA)は、最初の2つの波でワイルドカードのマテウス・ハーディ(BRA)の扉を閉ざし、2度のワールドチャンピオンに輝いたフィリッペ・トリード(BRA)は、五十嵐カノア(JPN)に敗退した。

 

五十嵐カノア © WSL / Manel-Geada
五十嵐カノア © WSL / Thiago-Diz

 

シャープアイのC1-Carbonテクノロジーを駆使したクアッド・フィンモデルを使用している五十嵐は異次元のパフォーマンスを披露。今大会のヒート合計最高得点となる15.77を記録し、2021年のサーフランチ・プロ勝者であるトリードを破った。

 

「正直に言うと、フィリッペと戦うのは戦略的には一番簡単なんです。つまり全力を尽くすだけでいいのですから。スコアや自分の実力について考える必要はありません。基本的に、波に対して自分の持てる力をすべて出し切るだけです」と五十嵐は言った。

 

日本のコナー・オレアリーは惜しくも敗退© WSL / Thiago-Diz

 

【速報!】五十嵐カノアはクオーターファイナル進出。コナーは9位でフィニッシュ。CT第2戦サーフ・アブダビ・プロ

 

イーサン・ユーイング(AUS)、和井田リオ(INA)、ジャック・ロビンソン(AUS)、ヤゴ・ドラ(BRA)も初日からの勢いそのままにクオーターファイナルへと勝ち進んだ。

 

次世代が主導権を握り、ピックラムとブライアンが先陣を切る

エリン・ブルックス© WSL / Max-Physick

 

女子サーフィン界の新世代をリードするモリー・ピックラム(AUS)とガブリエラ・ブライアン(HAW)、そしてルーキーのエリン・ブルックス(CAN)とベラ・ケンワージー(USA)は、ケリー・スレーター・ウェイブ・カンパニー(KSWC)のテクノロジーで開催されるイベントで歴史的に支配してきたCTベテラン勢を破り、予選ラウンドで大きな勝利を収めた。この勝利により、4人のサーファー全員がクオーターファイナルに直接進出を果たした。

 

ブライアンは最初から攻撃性を発揮し、サーフ・アブダビでパワフルサーフィンを披露した。22歳の彼女は、サーフ・ランチで2度のセミファイナリストに輝いたタティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)と、ツアーで最も長く活躍しているメンバーであるサリー・フィッツギボンズ(AUS)を破った。プールで3度目のCTイベントに出場したブライアンは、すでに自己最高の結果を残している。

 

ガブリエラ・ブライアン(HAW)© WSL / Max-Physick

 

ブライアンのヒートトータルはピックラムに次ぐ2位で、ピックラムはラウンド最高得点の13.83を獲得し、2021サーフランチ・プロ優勝のジョアン・ディフェイ(FRA)と、2025ルーキーのヴァヒネ・フィエロ(FRA)をエリミネーション・ラウンドに送った。

 

ファイエロは素晴らしい波の乗りを見せ、終始接戦を繰り広げたが、ピックラムがこのラウンドで最高の7.23というスコアをレフトの波で出して勝利、フィエロはナイトセッションに回され流こととなった。

 

「シリアスになり過ぎないようにしないと、楽しくないよ」とピックラムは言った。「ぶらぶらして、クルージングして、歌って、とても楽しかった。ナイトセッションが終わってしまって残念です。すべて順調です。明日が待ち遠しいです」

 

17歳のブルックスと18歳のケンワージーは、ツアーメンバーとして初めてCTヒートで勝利を収めた。サーフィンを始めた頃から様々な波で育ってきた彼女らの豊富な経験が、今日ようやく実を結んだのだ。

 

 

ブルックスは、2度のワールドチャンピオンで現在世界ランキング1位のタイラー・ライト(AUS)と2024年のルーキー・オブ・ザ・イヤーのソイヤー・リンドブラッド(USA)と対戦。

 

プールでの最初の2本は不完全燃焼に終わった。しかし、ブルックスは持ち直し、次の2本でスコアを伸ばし、最終ランでヒートの最高得点をスコア。

一方、ライトはフォアハンドで力強い演技を見せ、2本目のレフトでミドルレンジのスコアを出せば、逆転出来るチャンスがあったものの、スタートでつまずいたことで、ルーキーが勝利を掴んだ

 

モリー・ピックラム(AUS)© WSL / Thiago-Diz

 

「私は多くのウェイブプールでサーフィンをしているので、とても快適に感じます」とブルックス。「ここでイベントを開催できることをとても嬉しく思います。とても特別ですし、パーフェクトな波が待っていると思うと、とても楽しみです」と語った。

 

ケンワージーは、アラブ首長国連邦で開催された初の女子CTヒートを制した。カリフォルニア出身の彼女は、CTのベテランであるブリサ・ヘネシー(CRC)とレイキー・ピーターソン(USA)を、両方向で非常に安定した鋭いサーフィンで破った。

 

ベラ・ケンワージー(USA) © WSL / Manel-Geada
ベラ・ケンワージー(USA)© WSL / Max-Physick

 

最初の2本の波でリードを奪ったケンワージーは、続く2本の波でさらにスコアを伸ばし圧倒。 コスタリカ出身のヘネシーは、このヒートで最高スコアとなる6.33をマークし、最後の波で勝負に出たが、クオーターファイナルへの切符を手にしたのはケンワージーとなった。

 

「すごく緊張していました」とケンワージーは言った。「自分自身に『緊張していない』と言い聞かせていました。緊張しないように自分自身を落ち着かせようとしていたんです。でも、それはうまくいきませんでした。すごく緊張していたのです。でも今はとても幸せです。」

 

 

ワールドチャンピオンのマークスとシマーズが、サーフ・アブダビ初代優勝に向けて好スタートを切る

 

キャロライン・マークス(USA)© WSL / Thiago-Diz

 

女子サーフィンの現在の2人の世界チャンピオン、キャロライン・マークス(USA)とケイトリン・シマーズ(USA)は、予選ラウンドで連続してヒート勝利を収めた。

KSWCテクノロジーでマークスとシマーズは前回セミファイナルで対戦し、マークスが2位となった。 今日のヒート勝利により、このペアはすでにクオーターファイナルに進出しており、さらなる結果を目指している。

 

 

 

2023年のワールドチャンピオンであり、パリ・オリンピック金メダリストのマークスは、イザベラ・ニコルズ(AUS)が爆発的なサーフィンを披露したにもかかわらず、ヒートで首位をキープ。

 

ニコルズは、アウトサイドのバレルをディープにメイクし、フィンフリーなアグレッシブターンを何度もして高得点を獲得。

 

しかし彼女のスコアはレフトで低かったため、ヒートを勝利するには0.61足らず。一方、マークスの安定したトップ・トゥ・ボトムのサーフィンは、すべてのスコアでソリッドなものとなった。これにより、現在23歳の彼女は、アメリカでの誕生日当日に勝利を収めた。

 

キャロライン・マークス(USA)© WSL / Max-Physick

 

「私は高いプレッシャーのかかる状況が大好きです」とマークスは言った。「サーフランチでのイベントは、私たちの精神力を試す素晴らしいテストだと思います。 その状況にみんなが対応できるか見てみるのは楽しいです。 人工波プールとはいえ、本能が少しは働いていると思います。」

 

ケイトリン・シマーズ(USA) © WSL / Thiago-Diz

 

シマーズと同じヒートに出場したサーファー3人、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)とワイルドカードのメイシー・キャラハン(AUS)は、最初の波で転倒したが、世界チャンピオンのシマーズはそこから巻き返しを図った。

19歳のシマーズのフリー・フロースタイルは、最初のレフトで際立った。2つの異なるバックハンドバレルに深く入り込み、大きなフィンドリフトでヒートをリードし、その後もそのリードを保ち続け勝利した。

 

ケイトリン・シマーズ(USA)© WSL / Max-Physick

 

「とても面白かったわ。私たち全員が最初の数本の波でうまくできなかったから、みんなで笑っていたの」とシマーズは言った。「それが楽しいところだと思う。スケートコンテストのような感じですね。自分の滑りを計画して、陸に上がって対戦相手と話すこともできるし、それがすごく面白いわ」

 

 

 

リンドブラッド、フィエロがナイトセッションの敗者復活戦をプッシュし、クオーターファイナルへ

 

ソイヤー・リンドブラッド(USA)© WSL / Manel-Geada

 

エリミネーション・ラウンドのナイトセッションで最も良いスコアを記録した2人は、ソイヤー・リンドブラッド(USA)とヴァヒネ・フィエロ(FRA)で、彼らはプレッシャーのなかから抜け出し、クオーターファイナルへと駒を進めた。

 

ヴァヒネ・フィエロ(FRA)© WSL / Manel-Geada

 

このラウンドには、オリンピックメダリスト、ワールドジュニアチャンピオン、2度のワールドチャンピオンを含む12人の女性サーファーが出場し、各サーファーはライトとレフトの2つの波を1つずつ乗り、そのうち最も高い波がスコアボードに記録された。

 

最終的に、リンドブラッドはパワフルなフォアハンドのカーヴィングで10点満点中7.00点を獲得し、首位に立った。彼女のスコアは前の7人のサーファーのスコアを上回り、続く4人のライバルたちを抑えた。

 

ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)© WSL / Manel-Geada

 

ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)は、6.67ポイントを獲得して2位をキープしていましたが、最後のサーファーとなったフィエロが6.70ポイントをスコアし、ハワイアンを上回って逆転。2位となりクオーターファイナル進出を決めた。

フィエロは明日、クオーターファイナル2でマークスと対戦し、リンドブラッドはクオーターファイナル4でブライアンと対戦する。 

 

 

本日の「サーフ・アブダビ・プロ」のハイライトは、WorldSurfLeague.comをご覧ください。

サーフ・アブダビ・プロ女子クオリファイ・ラウンド結果:

HEAT 1: ベラ・ケンワージー(USA)11.77 DEF. ブリサ・ヘネシー(CRC)10.66、レイキー・ピーターソン(USA)9.07

HEAT 2: キャロライン・マークス(USA)12.67 DEF. イザベラ・ニコルズ(AUS)12.07、ルアナ・シルバ(BRA)7.74

HEAT 3: ケイトリン・シマーズ(USA)12.23 DEF. ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)9.50、メイシー・キャラハン(AUS)9.24

ヒート4:モリー・ピックラム(AUS)13.83 対 ヴァヒネ・フィエロ(FRA)12.84、ジョアン・ディフェイ(FRA)9.63

ヒート5:ガブリエラ・ブライアン(HAW)13.34 対 タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)12.33、サリー・フィッツギボンズ(AUS)9.07

HEAT 6: エリン・ブルックス (CAN) 11.80 DEF. ソイヤー・リンドブラッド (USA) 10.40, タイラー・ライト (AUS) 10.30

 

サーフ・アブダビ・プロ・ウィメンズ・エリミネーション・ラウンド結果:

1 – ソイヤー・リンドブラッド (USA) 7.00

2 – ヴァヒネ・フィエロ (FRA) 6.70

————–

3 – ベティル・サクラ・ジョンソン(HAW)6.67

4 – ジョアン・ディフェイ(FRA)6.57

5 – タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)6.47

6 – タイラー・ライト(AUS)5.77

7 – レイキー・ピーターソン(USA)5.70

8 – サリー・フィッツギボンズ(AUS)5.30

9 – ブリサ・ヘネシー(CRC)5.27

10 – ルアナ・シルバ(BRA)5.17

11 – イザベラ・ニコルズ(AUS)5.07

12 – メイシー・キャラハン(AUS)3.43

サーフ・アブダビ・プロ・ウィメンズ・クオーターファイナルの組み合わせ:

HEAT 1:モリー・ピックラム(AUS)vs. エリン・ブルックス(CAN)

HEAT 2:キャロライン・マークス(USA) vs. ヴァヒネ・フィエロ(FRA)

HEAT 3:ケイトリン・シマーズ(USA) vs. ベラ・ケンワージー(USA)

HEAT 4:ソイヤー・リンドブラッド(USA) vs. ガブリエラ・ブライアン(HAW)

 

サーフ・アブダビ・プロ男子ラウンド16の結果:

HEAT 1: イーサン・ユーイング(AUS)13.60 対 デイヴィッド・シルバ(BRA)8.80

HEAT 2: ミゲル・プポ(BRA)13.34 対 ジョーディ・スミス(RSA)11.50

HEAT 3: ジャクソン・バンチ(HAW)15.73 対 グリフィン・コラピント(USA)10.17

HEAT 4: 和井田リオ (INA) 13.90 DEF. コナー・オレアリー (JPN) 13.33

HEAT 5: イタロ・フェレイラ (BRA) 15.17 DEF. マテウス・ハーディ (BRA) 12.60

HEAT 6: 五十嵐カノア (JPN) 15.77 DEF. フィリッペ・トリード (BRA) 12.60

HEAT 7: ジャック・ロビンソン (AUS) 13.83 DEF. リアム・オブライエン (AUS) 13.00

HEAT 8: ヤゴ・ドラ (BRA) 13.67 DEF. ジョエル・ヴォーン (AUS) 12.67

サーフ・アブダビ・プロ 男子クオーターファイナルの組み合わせ:

HEAT 1: イーサン・ユーイング(AUS)vs ミゲル・プポ(BRA

HEAT 2: ジャクソン・バンチ(HAW)vs 和井田リオ(INA

HEAT 3: イタロ・フェレイラ(BRA)vs 五十嵐カノア(JPN

HEAT 4: ジャック・ロビンソン(AUS)vs ヤゴ・ドラ(BRA

 

ライブ中継

サーフ・アブダビ・プロは2025年2月14日、15日、16日に開催されます。このイベントはWorldSurfLeague.com、および無料のWSL Appでライブ中継されます。

詳細については、WorldSurfLeague.comをご覧ください。