11/24 JPSAショートボード特別戦 「さわかみチームチャレンジ」が千葉県勝浦市部原海岸で行われた。千葉の部原海岸は過去ASP(現 WSL)のCTが開催された場所。JPSAが開催されるのは、初めてとなる。
昨年、さわかみグループ代表の澤上 龍氏の発案による「都道府県対抗マラソンのように、実力ある選手が集まって戦う」というコンセプトをサーフィンに導入したのがこの大会。その今年のチームチャレンジの概要は下記の通りだ。
【大会概要とルール】
チーム数:9チーム
チーム構成:選手4名+コーチ1名(計5名)/ 1チーム4名のうち、男女最低各1名の混成チームとする
試合形式:
「グループラウンド」
1ヒートは3チーム各2名の6名ヒートで対戦 / 同じチームの選手が2人ずつ出場
グループの3チームごとに2ヒートを行う
各グループ1位の3チームは「ノックアウトラウンド」へ進出
2位の3チームは R-2へ進出、3位は敗退
2位の3チームで1ヒートを行い、1位のチームのみ「ノックアウトラウンド」へ進出
「ノックアウトラウンド」
1ヒートは2チーム各2名の4名ヒートで対戦 / 同じチームの選手が2人ずつ出場
1回戦1位の3チームに、2回戦1位の合計4チームでセミファイナルを戦う
勝ち上がったチームがファイナルへ。敗退したチームは3位決定戦へ。
ポイント:ヒート内での順位に応じて配分し、チームポイントを計算
「グループラウンド」チームの1位(10pt)、2位(6pt)、3位(4pt)
「ノックアウトラウンド」選手の1位(10pt)、2位(6pt)、3位(4pt)、4位(0pt)
レギュレーション:チーム全体で 得点、マキシマム本数、プライオリティを共有
・1ヒート「グループラウンド」20分
「ノックアウトラウンド」25分 / 決勝30分
・スコア:「グループラウンド」ではチームのベスト2ウェイブカウント
チームポイント合計でグループ内の順位が決まる
「ノックアウトラウンド」は各選手のベスト2ウェイブカウント
チーム順位は各選手順位によるチームポイントで決定
・マキシマムウェーブ:「グループラウンド」チーム全体で7本
「ノックアウトラウンド」 チーム全体で9本
勝敗について:同点の場合、チームのライディングスコアによって勝敗が決まる
「グループラウンド-R1」では各ヒートのベスト2ウェイブカウント合計4ウェイブ
「グループラウンド-R2」では、ベスト2ウェイブカウントで決定
※ ベストウェイブカウント合計で勝敗が決まらない場合、チームライディングスコアのハイポイント順、それでも、決まらない場合は順次カウントバックして勝敗を決定
「ノックアウトラウンド」では、ベスト2ウェイブカウントで決定
チームポイントが同点の場合、チームのライディングスコア各選手ベスト2ウェイブカウントの合計によって勝敗が決まる
※ ベスト2カウントの合計で勝敗が決まらない場合は、チームごとのライディングスコアのハイポイント順、それでも決まらない場合は順次カウントバックして勝敗を決定する
その他:チームはヒート毎に出場者を選抜
「グループラウンド」の1回戦と2回戦では、1選手は1ヒートにしか出場できない。各チームの選手4人全員が、グループラウンドで必ず1回出場すること。
「ノックアウトラウンド」では、1人の選手は1度しかヒートに出場できない
前もってセミファイナルとファイナルのヒート出場選手を先に決定すること
決定後は、出場選手を変更することはできない
今年度はJPSAオフィシャルブランドの6チームに、JPSAからU-19選抜チーム、NSA(日本サーフィン連盟)チーム、NSSA(日本学生サーフィン連盟)チームが加わり、全部で9チームが参加することとなった。
【出場チーム / 選手&コーチ】
Team O’NEILL
選手:荒木陸叶、森下波瑠、川合美乃里、中塩佳那
コーチ:堀川建裕
Team ムラサキスポーツ
選手:田中英義、大原洋人、古川海夕、馬庭彩
コーチ:嶋田俊一郎
Team BILLABONG
選手:安室丈、鈴木仁、川瀬心那、矢作紋乃丞
コーチ:仲村拓久未
Team ROCKHOPPER & WAVEWARRIORS
選手:西慶司郎、三輪紘也、和氣匠太朗、目良麻里亜
コーチ:髙梨直人
Team ROXY & QUIKSILVER
選手:野中美波、都築虹帆、松野杏莉、山本來夢
コーチ:金子藍
Team The RLM Rubber
選手:松永大輝、松永莉奈、本郷拓弥、藤田彪成
コーチ:松野海斗
Team JPSA U-19選抜
選手 :加藤翔平、鈴木一歩、田中健跳、松山黎音
コーチ:河村海沙
Team NSSA (日本学生サーフィン連盟)
選手 :金沢呂偉、小松凛輝、伊藤大河、原田葵
コーチ:世良英生
Team NSA (日本サーフィン連盟)
選手 :田邊大成、石山汰一、寺田文太、木津優芽
コーチ:塚本勇太
さて、会場は晴れ。サイドオンの風が強く吹いて面を乱す。波のサイズはコシハラ。部原はビーチとリーフが混在するポイントで、もともと癖のある波だが、今日は風の影響もあって、さらに難しいコンディションとなった。
通常の大会の場合は個人戦となるが、この大会はチーム戦だ。マキシマムウェイブやプライオリティをチームで共有するために、チームとしての戦略が必要。順位でポイントがつくために、試合の中で、的確な状況判断が求められることで、さらに難易度が上がった。
試合の見どころは「グループラウンド」では2回目の戦い、1回目の順位で自分たちが何位なら1位抜けなのか。2位、3位なら同点も考えて、自分たちの個々の演技の点をあげることが必要となる。そのために限られた本数で効率よく乗り分けることが求められる。
「ノックアウトラウンド」は特にヒート後半になっての順位争い。プライオリティー、マキシマムウェイブが共有だからそれを意識しながら、チームの中でどちらが乗るのか、どちらが相手をブロックするのかなど、瞬時に判断して、攻めと守りを同時に行わなければならない。
順位によって、刻々と攻守が変わるから、ポジショニングも変動。1位が10点だが、2位6点、3位4点、4位0点となるので、相手チームが2位3位なら同点になる。そうなるとチーム全体の得点で勝敗がつくから、よりハイポイントを狙うことが必要となる。毎ヒート、違った戦いが見れるのもこの大会ならではだ。
さらに「ノックアウトラウンド」では、事前に出る選手を決めなくてはならず、対戦相手チームの構成を考えて、チームの割り振りを考えなければならない。エースを温存するのか、それとも目の前の試合を必ず勝つ布陣で臨むのか。ここら辺の予想も面白いところ。
さて、その第2回「さわかみチームチャレンジ」の優勝はTeam BILLABONG。「グループラウンド」は1位抜けができず、2位でラウンド2へ。そこで仲村拓久未コーチは、もう一度、安室丈、鈴木仁を送り込む采配。これが見事にハマって「ノックアウトラウンド」へ。
さらにセミファイナルでは同じく安室丈に矢作紋乃丞が攻めに攻めて、1位2位を確保。チームROXY&QUIKSILVERの野中美波、都築虹帆を撃破して決勝進出と勢いに乗った。
その決勝では先攻必殺の縦へのアプローチからインサイドまでスピードある演技を見せた鈴木仁が1位をキープ。好調だったTHE RLM rubber相手に、そのままヒートをコントロール。
チームの川瀬心那には自由に演技をさせる余裕まで見せて完勝。個々の地力だけでなく、チームワークの良さ。そして、メンバーの組み合わせと、相手の出方の読みも完璧な戦いぶりでした。おめでとう!
この「チームチャレンジ」は、男女混合で行うことや、プロだけでなく、アマチュア、学生など新しい要素も加えたことで、普段の大会では見られない新しい一面を見せてくれた。参加している選手自身が楽しめるだけでなく、見ている自分たちも楽しめる今大会。来年の更なる発展に期待大だ。
「さわかみチームチャレンジ勝浦」
優勝:Team BILLABONG. (賞金 100万円)
2位:Team The RLM rubber(賞金 40万円)
3位:Team ROCKHOPPER & WAVEWARRIORS
各チームごとに色分けされたブースを会場に設置。
ヒートの時はライブ映像も見れる特設ブースへ移動。残った選手とコーチで一緒に試合を分析して、次の作戦を立てる。
JPSAの海洋環境保全活動プロジェクト「ReWave」。選手、スタッフ全員で海岸をビーチクリーン。
JPSAのYoutube「Catch Up」。今回のレポートはプロボディーボーダーでタレントの白波瀬海来が担当。カメラマンは酒井まい。