第29回ジュニアオープンでジュニア岩瀬 裕哉、ガールズ中塩 佳那、ボーイズ岩見 天獅、キッズ髙井 汰朗が優勝。

文、写真:山本貞彦

 

10/29-31の日程で「第29回ジュニアオープンサーフィン選手権大会(2021)presented by マルハニチロ」が茨城県日立市河原子北浜海岸で開催された。

 

 

この大会は当初は9/25-26の予定であったものの、新型コロナウィルス感染拡大により緊急事態宣言の延長で延期。10月開催となったことで日没時間などを考慮し、大会期間を2日から3日間にして行われた。

 

 

この試合も無観客とし、万全な感染対策が行われた。会場に入るためには、事前に配布された駐車証が無いと入場ができない。選手は2週間前からの検温に加え、健康チェック表の提出。選手の帯同者は1名と限定し、会場に入る人数を徹底的に制限をした。

 

 

 

さらに会場ではゼッケンカウンター、ビーチアクセスのための出入り口も1箇所として、選手は必ず検温場を通る動線を作った。また、人の密集を避けるために、大会進行スケジュールやヒート表などは全てウェブで見られるようにし、できる限りの対策を今回も行った。

 

無観客ということもあり、全ての試合のライブ映像はオンタイムで視聴できるようになっており、さらにライブスコアのページも別に用意。各カテゴリーの終了したヒートのスコアやジャッジ内容も見ることができ、選手だけでなく、視聴者にも見逃した試合の結果を把握できるようにしたのは評価が高い。

 

会場には大会進行情報、ライブスコア等がアクセスできるQRコードを掲示。

 

当日の朝、コンディションを見てから競技説明やレギュレーションの発表がオンラインで行われるのも、新しいシステム。会場内ではMCからのコールだけでなく、NSAの大会特設ページにすぐアクセスできるようにQRコードも貼り出され、いつでも進行の状況を把握できるように工夫もされていた。

 

 

さて、大会のエントリー数はキッズが61名、ボーイズ 83名、ジュニア 33名、ガールズが45名と総勢222名の選手が参加。昨年はコロナ禍で大会規模を縮小したことで参加には制限があったが、今大会は定員の制限は無し。2019年に比べて参加人数はボーイズが1.2倍、ガールズが1.3倍に増加。キッズに至っては1.7倍と全国から多くの選手が集まった。

 

 

この大会は2021年に開催される国際大会の選考対象大会(ただし、現在はその国際大会が今年中に開催される予定がないので、この限りではない)となるために、アマチュアだけでなく、多くのプロ選手(出場資格は18歳以下)も参加するものとなった。

 

 

 

大会初日の会場は台風20号からのウネリも入り、胸から肩サイズ。最終日でも腹胸をキープして、キッズにとっては頭サイズとグッドコンディションとなった。

 

まず大会初日はボーイズクラスからスタート。今回の大会では一番参加人数が多く、ラウンド1では24ヒート。1ヒート15分とはいえ、決勝までは6回戦うというハードスケジュールだ。

 

ボーイズ優勝:岩見 天獅

 

強化プロとして参加している岩見 天獅に加え、先日のJPSAで公認プロ資格を獲得している岡野 蓮、松本 浬空、佐藤 利希や全日本で優勝した渡邉 壱孔などジュニア強化指定選手が集う、今やタレント揃いのボーイズクラス。

 

 

ダブルバンクで進行した試合は、AポイントとBポイントでは波のコンディションで差があるものの、両方でコンスタントに先手必勝で攻め続けた岩見に軍配。この優勝で2連覇。身体もでかくなり、太いラインで魅せるサーフィンは別次元だった。今大会はクォーターフィナルで8.75ポイントを叩き出し、ベストライディイング賞も獲得した。

 

ガールズ優勝:中塩 佳那

 

2日目にはガールズとジュニアクラスがダブルバンクで同時進行。ガールズはプロから松岡 亜音、都築 虹帆、川瀬 心那、池田 美来、江口 彩花、佐藤 李の6名が参戦。 これを全日本のガールズ4連覇の中塩 佳那が迎え撃つ。中塩も先日のJPSAの鴨川大会で3度目の公認プロ資格を獲得しており、ほぼプロとしての実力は持つだけに面白い戦いとなった。

 

池田 美来

 

トピックスとしてはクォーターでプロの都築 虹帆、池田 美来と戦った湘南西の庄司 莉花。プロ相手にキレたバックサイドを魅せて1位通過で池田を捲った。池田も調子が悪くなかっただけに残念な敗退。庄司はフロントにまだ課題があるものの、コンスタントに乗ることができれば、これから強くなるだろう。

 

 

 

決勝は松岡 亜音、都築 虹帆、川瀬 心那、中塩 佳那。昨年の決勝組み合わせとほぼ同じでで池田の替わりに川瀬が入り、誰が勝ってもおかしくないメンバー。実力伯仲の中で2本まとめることができたのは中塩 佳那。日立市長杯も獲得で、これでジュニアオープンも3連覇。全日本4連覇、級別4連覇とAMタイトルを総ナメにした。

 

 

岩瀬 裕哉

 

ジュニアクラスにはプロから加藤翔平、松原 渚生、小崎 歩夢、荒木 陸叶、和氣 匠太朗。JPSAプロ公認を得た休場 匠、矢作 紋乃丞、井上 龍一に全日本優勝の鈴木一歩らが戦う。決勝に駒を進めたのは、鈴木 一歩、加藤 翔平、矢作 紋乃丞、岩瀬 裕哉の4人。

 

加藤翔平

 

加藤はセミでトータル16.25ポイントとぶっちぎりの強さで、このまま優勝かと思いきや、決勝ではスタック。岩瀬がその間隙を突いて、終了間際に大逆転で優勝を決めた。

 

終了間際の大逆転勝利を決めた岩瀬 裕哉

 

3日目はキッズクラス。こちらは大幅にエントリーが増えたクラス。選手によっては体格差があるものの、全体的なスキルが向上している。決勝は全日本のキッズ優勝の髙井 汰朗、準優勝の佐藤 頼斗に強矢 凛太郎と高井の弟、髙井 悠二朗。

 

キッズ優勝:髙井 汰朗

 

キッズだけに波に乗る乗る。強矢がしっかりしたレールサーフィンで攻めるも、髙井汰朗が技のキレ、コケない体幹の強さで2本揃えて圧勝。これで全日本に続き、タイトル奪取で2連勝を決めた。

 

強矢 凛太郎

 

この年代は日々成長を続け、日替わりでヒーローが生まれる。今大会で感じたのは、全体的に選手のレベルが底上げされていること。親御さんのフォローも熱い。これも今年開催されたオリンピックの効果なのか。日本のサーフィンも次世代がちゃんと育っていることを実感できた大会だった。

 

 

最後に。サーフィンはフリーとコンペがある。そのコンペの良さは練習してきた成果を試せる場であること。そして、全国から集まる同年代の友達ができること。また、試合での駆け引きなどコンペだからこその楽しさがある。

 

しかし、コンペでは勝敗がある。今は勝ったり、負けたりが普通だ。だから、選手は勝つことばかりに固執しないでほしい。そして、親御さんへのお願いは、負けても怒らないでほしい。子供達にとって、今、一番大事なのは、コンペもフリーも楽しくサーフィンをやることなのだから。Enjoy!Surfing! 

 

 

検査
健康チェック表の提出と検温。ここでクリアすれば腕にリストバンドが装着される。リストバンドは日毎で色が変わる。

会場
スポンサーの「マルハニチロ」のブース。

今回は地元の「相撲茶屋 松光」がイベント限定うどんを販売。

スポーツアロマのブースでは体のコリをほぐす。

選手と大会関係者の動線も分けられ、関係者しか入れないように「立入禁止」とロープで区切り。

ライブMC
今回は大村奈央、間屋口香、関野聡のトリオで解説。

ゼッケンカウンター
検温場の奥にあり、選手は全員ここを通らねばならない。

 

「ジュニア」

岩瀬 裕哉
地元は愛知の伊良湖。ホームポイントは田原のロングビーチ。小学4年からサーフィンを始めて今は16歳。大きなタイトルは初です。将来はプロになって、世界でカッコイイと言われるサーファーになりたいとコメント。

加藤翔平
練習中に左目に板を当てて、もう少しで失明するかもという怪我。しかし、試合ではそれを微塵にも感じさせないパーフォーマンスを見せる。

鈴木 一歩
全日本タイトルに続き、ジュニアオープンでも優勝を決めたかったがバックアップが足りず。惜しくも3位で今大会終了。

矢作 紋乃丞
チューブを決めたのは加藤翔平とこの矢作。矢作の良さは型にはまらないところ。自由な発想が演技に現れる。

松原渚生
今回は波とのサイクルが合わなかったか。セミでは決めきれずに3位敗退。

 

「ガールズ」

中塩 佳那
戦い方を知っている。波の状況に合わせて、素早く作戦を変えることができるのが中塩。また一回り成長した。

川瀬心那
際どいところに当て込むことができるようになったのは、足腰がしっかりしてきた証拠。

松岡亜音
波へのアプローチはピカイチ。パワーゾーンを使ってスプレーを飛ばす。

都築虹帆
女子では一番果敢に攻めるから、ワイプアウトも多い。コンスタントに決められれば、常勝は間違いない。

庄司 莉花
クォーターファイナルではプロ2人に仕掛けた。素早い板の切り返しで6.00ポイントのグッドスコアで先制攻撃。これが最後まで効いて1位でラウンドアップ。

 

「ボーイズ」

岩見 天獅
相手選手、波のコンディション、時間に加えて、プレッシャーとも戦った岩見。決勝では6回も戦っているはずなのに疲れを見せずに完勝。

小濃 来波
寺田 文太
森 大斗

渡邉 壱孔
全日本のボーイズ優勝の渡邉。ラウンド2で痛恨のノンプライオリティーインターフェア。セカンドが50%カットになったことで、挽回ならず。

小川拓也

小川拓也と小川直久
前回のJPSA鴨川の大会に続き、ジュニアオープンのボーイズにエントリー。閃くライディングがあるから、今は経験を積むこと。

小野里弦
大橋海人が開催した「Knot Online Contest」でU-15部門で選ばれた小野。クォーターで敗退したものの、大会でもエアー含めポテンシャルの高さを感じさせるサーフィンを見せた。

 

「キッズ」

髙井 汰朗
強矢 凛太郎
佐藤 頼斗
髙井 悠二朗

髙井 汰朗、悠二朗
兄は中学1年生、弟は小学4年生の仲良し兄弟。2人して表彰台で満面の笑み。

 

 

「第29回ジュニアオープンサーフィン選手権大会(2021)presented by マルハニチロ」結果

 

[ガールズ]
優勝:中塩 佳那(山形)
2位:川瀬 心那(強化PRO)
3位:松岡 亜音(強化PRO)
4位:都築 虹帆(強化PRO)

[キッズ]
優勝:髙井 汰朗(湘南西)
2位:強矢 凛太郎(千葉東)
3位:佐藤 頼斗(湘南藤沢)
4位:髙井 悠二朗(湘南西)

[ボーイズ]
優勝:岩見 天獅(強化PRO)
2位:小濃 来波(湘南茅ケ崎)
3位:寺田 文太(千葉東)
4位:森 大斗(静岡3区)

[ジュニア]
優勝:岩瀬 裕哉(愛知)
2位:加藤 翔平(PRO)
3位:鈴木 一歩(湘南藤沢)
4位:矢作 紋乃丞(湘南藤沢)

 

・ベストライディング賞:岩見 天獅(強化PRO)クォーターファイナル:8.75ポイント
・日立市長杯:中塩 佳那(山形)、岩瀬 裕哉(愛知)
・敢闘賞:髙井 汰朗(湘南西)

※ 出場資格

<アマチュア選手>
下記1から3の項目を満たしている選手が出場できます。
1.2021年度日本サーフィン連盟正会員の選手であること。
2.ジュニアオープンはショートボードの登録選手であること。
3.開催クラスの年齢基準を満たしていること。
 
<プロ選手>(18歳以下のプロ資格を有するNSA正会員外選手)
1.開催クラスの年齢基準を満たしていること
2.日本国籍を有していること。
※プロ選手は現年齢で出場可能なクラスへのエントリーとなります。
※NSAオープン会員登録が必要です。

※ 開催クラス
■キッズクラス(2009 年1 月1 日以降生まれの男子)
■ボーイズクラス(2005 年1 月1 日~2008 年12 月31 日生まれの男子)
■ジュニアクラス(2003 年1 月1 日~2004 年12 月31 日生まれの男子)
■ガールズクラス(2003 年1 月1 日以降生まれの女子)

主催:一般社団法人日本サーフィン連盟
公認:国際サーフィン連盟 International Surfing Association(ISA)

後援:スポーツ庁
   海上保安庁
   環境省
   経産省
   復興庁
   茨城県
   茨城県教育委員会
   日立市
   日立市教育委員会
   一般社団法人日立市観光物産協会
   一般財団法人日本海洋レジャー安全振興協会

特別協賛:マルハニチロ株式会社

協賛:一般社団法人 日本サーフィン連盟オフィシャルパートナー各社
   株式会社デイトライン
   有限会社湘南ちがさき屋十大
   CRYSTAL GEYSER

協力:日本サーフィン連盟 茨城北支部
   I.S.U 茨城サーフィンユニオン
   一般社団法人ウォーターリスクマネジメント協会

 

NSA ホームページ

http://www.nsa-surf.org

NSA ジュニアオープンの大会ページ

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