Calling The Sea—–胸のすく写真集
細やかに海の表情をキャプチャーした本—Calling The Sea—が発売され話題を呼んでいる。撮影はアーティスティックなパッションとインテレクチュアルな好奇心を併せもつ稀有な映像作家、芝田満之。先般、東京千駄ヶ谷のスロープ・ギャラリーで、そのCalling the seaの作品展が始まり本人にインタビューを試みた。
インタビュー&写真:李リョウ
海をテーマにしたきっかけというか、理由はあるんですか?
海がテーマというより、そこから逃れられないじゃない。我々はね。だから向きあうことにした。
制作期間はどのくらいですか?
7年くらいですね。
すべて撮り下ろしですか?
はい、この本のために撮りました。
過去の作品も含めて芝田さんの作品からは印象派の画家にも影響を与えた日本画的なテイストを感じます。
他にもそういってくれた人がいます。日本画は好きですよ。すごく好きかな。日本画は好きだけど作品を作る上で意識したことはないんだよね。でも無駄なものをそぎ落としていくとそうなっちゃうんだよね。
作品の制作を進めているうちにサーファーがいらなくなった。サーファーいらない、そして太陽もいらなくなった、でも光だけ欲しい。(笑) そして水平線だけになった。それでどうするかってなったんだよね。7年かかってやっと完成したという感じかな。
「サーフフォトグラファーで食っていた頃からサーフィンのアクションを撮るより夕日を歩くサーファーを撮る方が好きだったんだよね。」
サーフフォトグラファーの頃からアクションよりもイメージありきだったんですか。
サーフフォトグラファーで食っていた頃からサーフィンのアクションを撮るより夕日を歩くサーファーを撮る方が好きだったんだよね。『サーフマガジン(旧)』の取材で使われるのはアクションがほとんど。でも自分が面白いと思うのはそれじゃあないんだ。
だから面白いと思ったものも撮ってくるけど編集部が選ぶのはアクション。でも使わなかった写真も褒めてくれたんだ。「使わないけど、こっちの方が君は良いよ」って。じつはその本のアートディレクターだった人が今回の本をデザインしてくれた白谷敏夫さんでディレクションがユミ夫人。いろいろな方の世話になりました。
今回の写真集は作家の池澤夏樹さんがエッセイを寄せていますね。
以前、仕事を一緒にさせてもらったことがあって、書いてくれないかなってメールを送ったら「いいよ」って即答があったんです。それで写真のサンプルを送ったら気に入ってくれたのか、すぐに返信があったんだ。「真剣に書きます」って(笑)。ドンピシャの文章を書いていただけました。写真と一緒に楽しんでいただけたら幸いです。
芝田 満之 MITSUYUKI SHIBATA
1955年生まれ、葉山在住。
ロマンティックで情緒的な写真はサーフィン界のみならず、様々な分野から支持され、広告を中心に雑誌のエディトリアルや映画・CMなどの映像も多数手掛けている。映画では近年多くの国際映画祭に招待された「コトバのない冬」の撮影を手掛けた。生活のベースはあくまでも海、そしてサーフィンであるという姿勢は変わらない。
作品展Calling the Sea はSlope Galery にて 2018年3月30日まで
http://www.buenobooks.com/slopegallery/