写真、リポート:山本貞彦 カイアマ、NSW/AUS(2018年1月5日金曜日)-アンダー18のWSLジュニア世界チャンピオン決定戦である「2017WSLジープ・ワールド・ジュニア・チャンピオンシップ」は大会2日目。会場のボンボビーチの天候は晴れ。
昨晩から急激にサイズダウンし波のサイズは1-2ft。風は無風、時折、オン気味だが、微風。今日は女子のR-2のみ消化。潮回りは朝の5時が干潮なので、昼に向けて上げ込む。
コンディションが悪化するなか、北アメリカ2017年のジュニア・クオリファイング・シリーズ(JQS)チャンピオンであるアリッサ・スペンサー(USA)は、巨大なフロントサイド・ターンのエレクトリック・パフォーマンスで、ここまでのイベント・ハイエストとなるパーフェクトに近い9.50をたたき出した。
本日行われた女子のラウンド2に出場の脇田紗良 、松田詩野は、ここで残念ながら敗退。今大会は13位という結果で終了となった。
脇田紗良。
田中樹コーチと相談の上、左のポイントを選択。紗良のスキルならアベレージを2本揃えてから、右正面に行く選択肢も残す。
作戦は当たったものの、緊張からかワイプアウトで点は伸びず。相手選手のキラ・ピンカートン(USA)にコンボにされる展開。
しかし、残り3分を切って初めてキレた演技を見せ、7.10ポイントでコンボを外す。ニードは8.74ポイント。
続いて、掴んだ波はなんと試合終了10秒前。スムースな切り返しとスピードある演技でキメた3発!得点コールはヒート終了後。
結果は8.57ポイントとわずかに届かず、ここで敗退が決まる。しかし、最後の2本の演技でトータル15.67ポイントは立派な数字。
本人曰く、「コンボだし、最後は思いっきりやろう」と思ったことがこの結果につながった。その感覚がつかめたのならこの敗戦は無駄にならない。自分の力を知ることができたなら、また次のステップに上がることができる。頑張れ!紗良!
松田詩野。
脇田と違って、右寄りの正面を選択。イコール、相手選手のタイナ・ヒッケル(BRA)と波を取り合う戦いを選んだ。
脇田と同じ左側の作戦もあったが、本人が右を選択したことが大きな理由。そこは選手の意思が尊重される。それは、作戦で左を指示しても、選手の気持ちが右を選んでいること。選手が左を選ばないということは、つまり、その選手が左の波が見えていないということでもあるから。
だから、右のポイントだったわけだが、惜しいのは相手に先攻されたこと。そして、脇田と同じワイプアウトが大きな敗因。相手とやりあうのなら、演技を完了するのがマスト。
最後は上げ込みで波数が減ってそのままタイムアップ。残念ながら悔いの残る試合となった。
サーフィンは将棋やチェスにも似るスポーツ。相手選手、波、時間、順位、プライオリティで大きく駆け引きが必要。
ワイプアウトしていなかったら、逆転のポイントが6点台ではなく、5点、4点台の可能性もあったはず。逆転に必要なポイントが高ければ、それだけ波のチョイスも難しくなる。つまり、波を選ぶ範囲も狭くなる。
試合で追い込まれないようにするにはどうしたらいいか。そのヒートの条件を把握すること。今回なら波数が減ることやプライオリティーがあるからこその先手だったはず。もし、先攻されたなら、そこから切り返して少しでもポイントを離されないこと。そうすれば、逆転も可能だった。
そのことが今回の試合で学べたはずだ。この敗戦は大きな一歩。次に繋げよう。頑張れ!詩野!
http://www.worldsurfleague.com/events/2017/mjun/1755/jeep-world-junior-championship
http://www.worldsurfleague.com/events/2017/wjun/1756/jeep-world-junior-championship-womens
2017WSLジープ・ワールド・ジュニア・チャンピオンシップ・ウイメンズ・ラウンド2結果:
ヒート1:アリッサ・スペンサー(USA)16.00 def.ソフィ・ベル(ZAF)4.63
ヒート2:ザーリ・ケリー(AUS)11.16 def.ケイラ・ノゲイラ(ZAF)7.27
ヒート3:サマー・マセード(HAW)14.26 def.エリー・ターナー(GBR)9.30
ヒート4:アリッサ・ロック(AUS)10.60 def.ソル・アギーレ(PER)8.33
ヒート5:キラ・ピンカートン(USA)15.84 def.脇田紗良(JPN)15.67
ヒート6:タイナ・ヒンケル(BRA)11.93 def.松田詩野(JPN)9.27
2017WSLジープ・ワールド・ジュニア・チャンピオンシップ・メンズ・ラウンド2:マッチアップ
ヒート1:フィン・マギル(HAW)対カウイ・ヴァスト(FRA)
ヒート2:和井田理央(IDN)対ジョニー・ゲレロ・ヤウリ(PER)
ヒート3:リーフ・ヘーゼルウッド(AUS)対オーシャン・マセード(HAW)
ヒート4:ジョン・メル(USA)対上山キアヌ久里朱(JPN)
ヒート5:西優司(JPN)対 マルコ・ミニョ(FRA)
ヒート6:ジョアン・チアンカ(BRA)対 テオ・ジュリエット(FRA)
ヒート7:コール・ハウシュマンド(USA)対 小笠原由織(JPN)
ヒート8:ジョシー・フォークナー(ZAF)対 マックス・エルキントン(ZAF)
ヒート9:タイラー・ガンター(USA)対 イーライ・ハンネマン(HAW)
ヒート10:ライランド・ルーベンス(USA)対 フォード・ヴァン・ヤールスフェルト(ZAF)
ヒート11:マイキー・マクドナー(AUS)対 ルーカス・ライス(AUS)
ヒート12:アディン・マセンキャンプ(ZAF)対 テ・ケフケフ・バトラー(NZL)