私たちの工場は九十九里にありますが、ユーザーは日本全国で真冬を通してサーフしています。ウエットスーツの保温性能を上げ、いかに厳しい冬でも快適にサーフ出来るよう、毎年厳冬期にフィールドテストを行っています。これまで真冬の北海道でサーフィンするには、5mm厚など重くて動きにくいドライスーツが必要でした。しかし3mm厚のドライスーツの保温性が向上すれば、中にもう一着1mm厚のインナースーツを重ね着することで、軽くて動き易い厳冬期用のスタイルが生まれるのではないかと開発チームは考えました。
今年の秋冬モデルは、2014年1 月21日から2 月4 日まで、道北から道東へかけ波を求め、外気温ー10~17°C、海水温1~ -1°Cの中、テストを重ねました。同行したクルーと車中で暖をとり、まずインナーに『1mm厚のロイヤルインナー』を着て、アウターに新素材のAG t i tan105_3mm厚を採用したコンセプトモデル『Vanquish-W』を重ね着し海へ向います。
目の前に広がるフィールドは強い北よりのサイドショア、ー1°Cの水温、サイズは腹~胸、もちろんキャップ、グローブも最高保温のロイヤルシリーズで完全装備です。着用した中に1mm、外に3mmの組み合わせは、内側の生地どうしの摩擦は滑らかです。様々な厚みや素材で試してみましたが、防水性が確実な軽量ドライスーツと保温性を確保するインナーとのベストマッチで、凍てつく海でも理想通りのパフォーマンスを体感出来ました。
ドライスーツの開発目的は、ウエットスーツ内で体温により温められた空気が海水への熱の流出を防ぐ断熱効果を得ることにあります。したがって完全な密封・防水が必要となり、精度の高い製法が求められます。どんなに注意してドライスーツのパーツを断面接着で貼付けても、繊維の内部を伝わる毛細管現象を防ぐことは出来ません。完全な防水のためにはラバー面同士を密着させる必要があります。そのため密封が求められる部位には、専用のコテによるジャージの焼き剥がし接着とテープ補強を施しています。
完全な製法で作られた製品でもミクロのピンホールを肉眼で発見することは出来ません。水密試験室では、全ての完成品へエアーを注入し人形水槽へ沈め、前面、背面、それぞれ5分間かけて気泡の泡立ちの有無を検査します。試験は、首と手首を密封し水槽に沈め、エアーを2気圧注入して行います。パンパンに膨らんだドライスーツ表面の気泡の有無を、試験者の手によりステンレス格子の水面下で確認します。試験に合格した完成品は、乾燥室で強制乾燥し、お客様にお渡ししています。1点でも水漏れが減るよう、技術の向上に努めています。
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