ASPロングボード・ウイメンズ・ワールドチャンピオン ケリア・モニーツ インタビュー
昨年の11月に中国の海南島で行われたASPウイメンズWLT「スウォッチ・ガールズ・プロ・チャイナ」で優勝した、ハワイ出身である20才のケリア・モニーツは、2度目のASPウイメンズ・ワールド・ロングボード・タイトルを獲得し、プロサーフィン界の歴史に刻まれた。そんなケリアが昨年末に緊急来日。コンテストのこと、プライベートのことなど。キュートなケリアにインタビュー。
photo:kenji sahara
2年連続のワールドチャンピオン、おめでとうございます。今の心境は?
まず第一に、2度も連続してワールドチャンピオンになれて驚いている感じです。そして、とても素晴しい経験が出来たと思っています。ガールズサーファー達のレベルは上がっていて、勝利を手に入れることはとてもハードな事でした。特にチェルシーとのファイナルは昨年に続いて2度目。そこで勝てたなんて信じられませんね。
今年はワールドチャンピオンとして試合に臨んだけど、プレッシャーは感じていた?
海南島に入る前は全くプレッシャーは感じていなかったのですが、会場入りして選手たちと合流してからは、ずっと緊張していましたね。
今回のイベントは、前半で危ない場面もあったようだけど、自分ではコントロール出来ない力が加わっていたのかな?
今回の試合では、ずっと緊張していたから、ワイプアウトが多かったんです。試合を通して、波乗りは完全にコントロール出来てはいなかったと思います。ヒート中も、ロースコアが多かったので自分が勝ち上がれるとは思えないまま海から上がり、ビーチで自分が勝ったことを聞かされることが何度もありました。とにかく今回のイベントはどのヒートも最悪でしたね。最初のラウンドがベストで、そこから、どんどん調子が悪くなって。常に対戦相手に追い付くことに必死でした。
今回の試合に向けた特別なトレーニングとかをしていたの?
いいえ。フィジカル・トレーニングは全くしていませんでした。フィジーやパナマとかに楽しいトリップに行って、サーフィンするだけ。それがトレーニングになっていたと思います。
今回ハイスコアを連発していたチェルシーとのファイナルに戦略とかはあったの?
自分にとって最悪な状況でファイナルを迎えました。だからこそ、パーフェクトな波を見つけて、楽しんでベストなサーフィンをしようと思っていました。そして、忍耐強く波を待って、ファーストウェイブで、ファイナルのベストウェイブとなる7ポイントをマークして、チェルシーにプレッシャーを与えられました。ヒート終盤にシーソーバトルになったけれども、自分を信じて、上手く自分自身をコントロール出来たのが良かったのだと思います。
ケリアは今の女子のロングボードシーンをどう見ている?
世界のガールズサーファー達は凄く成長していますね。グレイスフルなターンやノーズライドをはじめ、フェミニンなサーフィンが出来るひとが本当に多くなって来ています。それが注目を集める要因となり、今後はもっとイベントが増えてくれると良いですね。若い女の子が増えて来ているし、日本でもフレッシュなサーファーが増えて来ていますからね。
そんな盛り上がりを見せるシーンで、ケリアとチェルシーが3年間連続でトップ2。それはどう感じている?
1年目はチェルシーが優勝したけど、それまでは2戦でワールドタイトルが決まっていたから、彼女はタイトルは獲得出来なかった。私は1戦だけの優勝でワールドタイトルを獲得出来てラッキーだったと思っています。私たちのサーフィンは、サーフィンのスタイルが似ていて、クラシックなノーズライドやターンがジャッジに気に入られているのかも知れないですね。チェルシーはワールドタイルを獲得出来ていませんが、彼女はそれに値するひとなので、私は彼女がいつか必ずチャンピオンになると思っています。
私たち兄弟は父をリスペクトし、父のようになりたいと思っています。
ケリアのお父さんがハワイのサーフィンレジェンド「トニー・モニーツ」で、素晴しいサーフィンファミリーで育ったのは有名な話だよね。3人の弟たちの名前も最近よく聞くようになったけど、男ばかりの環境がサーフィンのコンペティションへ導いた?
いつも家族でサーフィンしていたので、競争しながら成長した感じです。父が有名だったので、子供の頃から、どこの海へ行っても、とても良くしてもらえました。父の影響は凄く大きかったです。私を含め兄弟は全員、父をリスペクトしていて、父の謙虚な姿勢や、控えめな性格とか、何事に対しても感謝する気持ちを忘れないところなど、父のようになりたいと思っています。
セス、ジョシュ、アイゼアといった私の弟達は凄く才能のあるサーファーで、2、3年もすれば間違いなく凄く有名になると思います。彼らは私なんかよりも素晴しいサーフィンが出来て、今は自分がロキシーからスポンサーされているから名前を聞く機会も多いかもしれないけど、サーフィンだけで見たら彼らの方が何倍も上手いんです。
サーフィンのスタイルは、ショートもロングもやるんだよね。やはりロングが多い?
今はロングボードが好きですね。友達と一緒にショートボードもしますけど、ロングボードをやっているときの方が海を楽しめる感じがしますね。
ケリアは凄く女性らしく、優雅な美しいサーフィンだと思うけど、目指しているスタイルはある?
まさに女性らしく、優雅な美しいサーフィンが目指すスタイルです。自分が育ったワイキキでは、みんながエレガントで綺麗なサーフィンをしていたので、それを見ながら自分のスタイルを作って行った感じです。カシア・メダーのスタイルが大好きで、自分はカシアのカリフォルニア・クラシック・スタイルと、ハワイのスタイルをミックスさせたいです。コンペティション自体もあまり好きではないですね。たまに出るのは良いけど、一年中ツアーを回るとかはストレスが大き過ぎる感じです。
ケリアが使っているサーフボードの特徴を教えてくれない?
私のコンペボードはちょっと変わっていいて、小さくて、より多くのターンをしてマニューバーがイージーに描けるようなボードを使っています。コンペではビッグターンでスコアを出さなくてはダメだから2+1のハイパフォーマンスボード。ラウンドピンテール、スモールノーズでノーズロッカーも弱め。フリーサーフィンでは、ほとんどノーズライドばかりなので、普段用には、ちょっと大きめなシングルフィンを使っています。
コンペティションは自分にとってヘッドゲームで、メンタルが全てなんです
最近、サーフィン以外でハマっていることはある?
ショッピングが大好きなんです。バッグとか、シューズとか。日本でのショッピングも楽しんでいます。2年前からカリフォルニアのマンハッタンビーチに住んでいて、そこで友達と過ごすが楽しいです。日本の滞在後はハワイで家族とクリスマスを過ごす予定ですけどね。
ヒートの前にヘッドホンで音楽を聞いていたけど、どんな音楽が好き?
ヒップホップ、ポップ、ラップなど沢山の音楽を聴きますね。でも、今回の大会中は、1曲しか聞きませんでした。Hillsong の「Oceans 」これはクリスチャンソングなんですけど、凄く良い曲で、心を落ち着かせて、集中出来るようになるんです。いつもはアップビートな曲も聴くんですが、サーフィン・コンペティションは自分にとってヘッドゲームで、メンタルが全てなんですね。サーフィンのシーン、勝つイメージを心に思い描いくんです。時に考え過ぎて、ワイプアウトとかもしてしまうので、心を落ち着かせるためにこの曲を聴いていました。
サーフィンはスポーツだけど、必ずしもスポーツとは言い切れない部分がある。
コンペティションを目指すサーファーへアドバイスをください。
常に正しいと思う理由を持ってコンペティションをしてください。サーフィンはスポーツだけれども、必ずしもスポーツとは言い切れないところは、海や波が、それだけで人々をハッピーにするということ。そこが他のスポーツとは違う部分で、サーフィンを上手くやろうという部分に集中し過ぎると、目標やゴールが不明確になってしまう。とにかく自分が楽しくて、幸せで、トレーニングしたりコンテストに出ていれば、必ず結果がついて来ると思います。
ワールドチャンピオンを獲得したケリアのこれからの目標は?
サーフィンをもっと多くの人にやってもらえるために、何かやれればと思っています。いちばん思うのは、サーフィンをしたことないけど、出来るかなぁと思っている人に、一緒にやろうと誘って、海の素晴しさを教えて上げて、みんなにサーフィンをやってもらいたい。あとは、またワールドチャンピオンになること。次の年も、その次の年もワールドチャンピオンになりたいです。ケリーみたいにずっとなれたら良いですね。ライバルは、やっぱりチェルシーです。2014年のプランは何も決まってないですね。プランは直前になって分かるんです。今までそうだったし、これからもそうだけど、ロキシーのシューティング・トリップは行きたいですね。
最後にケリアの作り方のレシピがあるとしたら?
それは素晴しい両親を持つことですね。私を完璧な人間に育ててくれたと思います。全ては両親のお陰だと思っています。
※ケリアの最新情報はこちらから
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