ジュリアン・ウイルソン・インタビュー
by Peter’Joli’Wilson Translation by yuki
ドラマティックなクオリファイから早2年。2シーズン目を迎えた今季は、プライムと6スターで3位となり、WCT開幕戦では5位、第2戦のベルズでは13位で、現在ワールドツアーランキング9位につけている。そんな注目を集めるジュリアンにインタビューを敢行した。
サンシャインコースト出身だったよね。サーフィンもそこで始めたの? ちょっとその辺のいきさつを聞かせて。
JW:生まれも育ちもずっとサンシャインコースト。そして物心ついた時からサーフィンが生活の一部かな。父も母も、セブとバートのふたりの兄も、みんなサーフィンしてたから、そうなるしかない感じかな(笑)。
サーフィンを始めた時からコンペティターになりたいって思ってたの?
JW:そう意識したことはないけど、家族全員、試合とかには出てた。自分も子供のころはショートとロングと両方の試合に出たりして、両方のディビジョンのジュニアタイトルを持ってるんだ。だからそうだね、ずっとコンペティター志向だったんだろうね。
そのジュニア時代からWCTにクオリファイしてくるわけだけど、それはスムーズに行った? それともかなりハードだった?
JW:2006年にISAのジュニアタイトルを取ったり、ジュニア時代はいろんな試合で勝ってて、かなり順調だった。そのあと2年ちょっとWQSを回ることになるんだけど、それと同時にフィルムの撮影とか、トリップとか、ほかのこともこなさなくちゃならなかった。でもずっとクオリファイするっていう強い希望は持ってたんだ。
2010年にようやく、何とかクオリファイオッケーなポジションまで来たんだけど、そのあとに足首を怪我して、4か月も試合に出られない日々が続いた。ようやく怪我から復帰した時、やれやれ、この遅れを取り戻すのは大変だぞ、って覚悟してたんだけど、スリランカで優勝して、まだチャンスはあるな、って思えた。そのあとUSオープンで負けて、ヨーロッパレッグじゃまるで勝てなくて、ろくな成績を残せなかった。もうそれでチャンスは消えたな、って思ったのと同時にムービーが完成して、そのプレミア試写会だのパーティだのって、そんなことに時間を取られてちゃ、クオリファイなんて遠くなるばかりだよね(笑)。
それでもカナダで3位になって、そのあとのシーズン最後の3試合がカギだったと思う。その時点では、そのシーズンはともあれ、翌年の2011年には何があってもクオリファイするために、少しでもいいシードを手に入れるつもりでハワイに行ったんだ。
“自分ではランキングアップのために何もできない状況で、競争相手が負けてくれるのを願うだけだった。”
クオリファイするには、最低でも2試合ともファイナルに行かなくちゃならないのはわかってた。ハレイワで3位、サンセットで2位になって、自分と同じようなランキングにいたクオリファイギリギリの選手たちが、早々とパイプで負けて、何とかクオリファイできたんだ。パイプに出られなかったのはすごく悔しかったね。トリプルクラウンのポイントリーダーしか出れなかったんだよ。自分は2位だった。2試合の好成績でトリプルクラウンのルーキーのタイトルはとったのに、パイプマスターズには出られなかった。なんか、フェアじゃないなぁ、って納得いかなかったね。翌年ルールが変わったけど、その年の自分はオフザウォールの家から試合を見てるしかなかったし、自分ではランキングアップのために何もできない状況だった。競争相手が負けてくれるのを願うだけでね。
兄貴といろいろ計算してたんだけど、誰と誰がここで負けて、みたいな、全部の条件が揃ってクオリファイできたってわかった時には、ホント信じられなかったよ。
“駆け引きや作戦がつきものでしょ。勝つためには何でもするよ。”
今までのサーフィンキャリアの中で大きな挫折みたいなのって、あった?
JW:う~ん、特にないと思う。生まれてこのかたずっとサーフィンしてて、子供時代を含めれば、なんだかんだ長い時間かかってるからね。長いことずっとWCTに入りたいと思ってやってきた。だから、その時には心の準備もできてたし、自分はそれだけの実力があるんだ、って思えたね。
昨シーズンとルーキーイヤーとは、何が大きく違った? 何か自分なりに変わったところとかある?
JW:クオリファイする前にワイルドカードで何回かWCTの試合を経験してて、まあその時には自分なりには上手くやれてたから、ルーキーの年はもうちょっといけるかな、と思ってた。優勝争いにからむとか、なんかもう少しいい成績を出すとかね。でも、今振り返ってみてルーキーイヤーのランキング9位ってのは、かなりいい成績だなと思うよ。おかしなことに昨年も全く同じ9位。でも大きく違うのは、昨年はポルトガルで優勝してるってことだね。
昨年は最後の最後に逆転、みたいなヒートを多く見かけたけど、ちょっとドラマを演出してみたりしたの? それとも偶然?
JW:一度たりともドラマを演出してやろうなんて思ったことはないし、相手に最後までチャンスを残すなんてことは考えたことないよ。ヒートがスタートしたら、終了のホーンが鳴るまでずっと全開。特に自分が負けてる時にはね。僕はいつも試合じゃそういうやり方をしてきたし、最後まで降参はしないタチなんだ。
イケメンで、クールな王子様って雰囲気なのに、ヒートじゃかなりアグレッシブだったりするよね。どっちが本当の君に近い感じ?
JW:(笑)。僕と対戦した何人かは、僕のことをすごくアグレッシブなヤツだと思ってるかもしれないね。でもさ、僕に言わせれば、それが試合ってものじゃない。ヒートには、駆け引きや作戦がつきものでしょ。勝つためには何でもする。だってさ、勝つためにコンテストに出てるんだから。
“トップレベルの中で戦って勝つには、エアーだけじゃダメなんだ。”
自分はワールドタイトル争いにからむ実力のあるサーファーだと思う?
JW:そう思いたいよ。昨シーズンWCTで優勝できたことは、ものすごく自信になってるね。今は自分で、自分はトップレベルと戦って優勝できるんだ、って確信できてるし、ワールドタイトルも狙える、って思えるようになった。あの優勝は大きかったんだ。ブラジルやフィジーでちょっといい成績を残してて、プライムだけどUSオープンで優勝して、いい感じだった。でもそのあと、なんか逆にいっちゃって、9位とかフランスじゃ13位とかって低迷してて、なんか自分は間違ったことしてるんじゃないか、ってフラストレーションためてた時だったから、あのペニシェでの優勝はものすごくうれしかったよ。
新しい進歩的なサーフィンのヒントとか刺激とかってどんなところから受けるの?
JW:周りにいるサーファーたちがすでに十分に刺激的だよね。今じゃジョンジョンと同じチームだしさ、彼は間違いなく僕の刺激になってる。若い選手、ルーキーたちも簡単にエアーをかましてくるからね。フィリッペ・トリードとかがそのタイプの選手だけど、でもトップレベルの中で戦って勝つには、エアーだけじゃダメなんだ。全部の要素をうまくやれないと勝てない。
ジュリアンがビラボン・プロ・リオのレイ・デーの時に見せたテクニックは「ループリバート」
今シーズンはどんな板に乗ってるの?
JW:そんなに大きくは変えてない。いろんなブレイクに対してそれに合った板をそろえてる感じかな。過去に削ってもらったことのあるシェイパーたちの板の中から、いいやつを取り混ぜて使ってる。JS、チャネルアイランズ、LSD、メイヘムとかね。そのブレイクにあった板ってあるなって思って、それぞれの板やシェイパーを使い分けてるよ。
“彼とのヒートになると普通以上に意識するから、ライバルだって認めざるを得ない”
ライバルは誰? ガブリエル(メディーナ)とかが君のビッグライバルとしてよく取り上げられてるけど。
JW:ミック(ファニング)とパーコは今年かなり手ごわいよね。ケリーはいつだって倒したい相手の一人だし、ジョンジョンも難しい対戦相手だ。怪我の具合がどういうことになってるのか、よくわからないけど、長引きそうなら今シーズンは、そう手ごわい相手ってわけでもなくなるよね。メディーナに関しては、そうだね、ちょっとライバル関係があるのかな。特に彼のほうがそう考えたがってる感じがする。2011年のフランスのファイナルで負けたのは本当に悔しかった。でも、それがあったから昨年のポルトガルで勝てたんだ。ま、だから今のところ僕はイーブンって思ってる。そうだね、彼とのヒートになると普通以上に意識するから、ライバルだって認めざるを得ないだろうね(笑)。
誰を尊敬する?
JW:いろんなスポーツマンを尊敬してるよ。地元のクリケットの選手で、マシュー・ヘイデンっていう選手がいるんだけど、すごく刺激になるし、僕のママのノラも僕に大きな影響を与えてるよ。(ジュリアンはオーストラリアの乳がん撲滅団体の大使を務めている。母のノラは乳がんを克服した一人で、彼のボードのペイントをすべて手掛けている。ジュリアンのピンクのボードはその一つのメッセージ。ヘイデンもピンクのバットを使っている。最近はミック・ファニングもこのジュリアンの活動に協力している)。
以前はナイキのトップライダーだったわけだけど、今はハーレーのライダーだね。何か変わったことはある? 新しいチームはどう?
JW:全スポーツを通しての、ナイキというブランドのチームの一員だったことは、すごい経験って言わざるを得ないよね。世界を回るのもすごく援助してもらったし、ナイキのサーフチームは10人に満たないぐらいの数だったから。でも今のハーレーチームは大所帯(笑)。しかも今シーズンからジョンジョンもハーレーチームに入った。すごくエキサイティングなニュースだよね。素晴らしいメンバーだと思う。ハーレーはすごくよくしてくれてるよ。ナイキの時にはナイキチームのメンバーと旅したりしたけど、今年はまた変わってくるだろね。ジョンジョンの足首が良くなれば、彼と一緒に旅をすることになるだろうし、それはお互いにとって、すごくいい刺激になると思うし、かなり楽しいことになると思うよ(笑)。
ASPアワードの時にエスコートしていた美しい女性は、君のガールフレンドなの?
JW:(笑)。そう、ガールフレンドはいるよ。でもね、ノンストップで旅を続けるような生活をしてるとさ、いろいろ難しい問題もでてきちゃうよね。
ツアー以外になにか計画はある? 例えばサーフトリップとか、ムービーとか。
JW:今のところ、でかいムービーの企画みたいなのはないけど、Xゲームズのために、いいクリップを残そうと頑張ってる。Xゲームスの他のジャンルのスポーツはそこで試合するんだけど、サーフィンに関してはフィルムクリップで勝敗を決めるんだ。90秒のクリップで判定される。ジミー(ジミー・リーズ、ジュリアンの親友でフィルムメーカー)とここ何か月か頑張ってやってるんだけど、結構いい感じだよ。
マイブームは?
JW:ゴルフをよくやるけど、やっぱりサーフィンがメインだね。
http://www.hurley.jp/production/news/2013/04/15002078.html
DOB:1988年11月8日:
在住:クーラム・ビーチ、QLDオーストラリア
身長:6’0”(183cm)
体重:175ポンド(78kg)
スタンス:ナチュラル(レギュラー)
スポンサー:ハーレー・ウエットスーツ&クロージング、ナイキ・フットウェア、レッド・ブル・エナジードリンク、オークリー・アイウェア、ソールリパブリック・ヘッドホン、FCSフィン
シェーパー:LSD、メイヘム、JS、チャネル・アイランド
マジックスティック:6’0 1/2”×18 1/4”x 2 1/4”
http://www.aspworldtour.com/surfers/mens-profiles/julian-wilson/