大村奈央が7位。堀越力、大音凜太がラウンド2進出。日本暫定5位。ISA世界選手権大会3日目現地リポート

堀越力 PHOTO: ISA / Evans

 

写真、リポート:永島未知子 ビアリッツ、フランス、2017年5月22日

 

「ISA World Surfing Games フランス2017」の大会3日目。潮の満ち引きでコンディションが大幅に変わるビアリッツの波。本日朝の引き潮時刻は8時半。その時間になる少し手前に大村奈央のセミファイナルが行われた。

 

ヒート前にコーチと作戦を確認する大村 photo:michiko nagashima
ヒート前にコーチと作戦を確認する大村 photo:michiko nagashima

 

波の大きさは2日目よりも下がり、腰ぐらいのコンパクトなサイズ。風の影響が少ないので面はグシャグシャではないが、潮がめいっぱいひいているため波の崩れ方に特徴があり、技をかける場所を見つけるのが難しそうな波だ。

 

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国旗を使って選手にポジション移動のアドバイスを出すのが波乗りジャパンのやり方 photo:michiko nagashima

 

実際にヒートが開始すると、コスタリカのレイラニが例外的に2発のリエントリーとカービングで6点の1本を出すも、その後が続かずどの選手も得点に伸び悩む。

 

photo:michiko nagashima
ファイナルに進出させたい。チーム全体にも緊張感が走る photo:michiko nagashima

 

接戦は続き10分を切った後半戦に突入すると、それまで1人離れ右側にポジションを取っていた大村奈央に、波乗りチームジャパンから他の選手がいる左側へ移動するアドバイスが出る。プライオリティを持っていた大村奈央。しかし波が思うように入ってこなく、他の選手も乗れていない。

 

大村奈央 Photo: ISA / Ben Reed
大村奈央 Photo: ISA / Ben Reed

 

残り時間5分を迎えた時点で大村は暫定4位。だが上がるのに必要な得点は3.91ポイントと、1本乗れば逆転が十二分に可能。プライオリティをキープし続けた大村は逆転を目指すレフトの波に乗る。しかし得点は3.13ポイント。終了2分を切ると、1本の波にライト、レフト方向にコスタリカのレイラニ・マクゴナグルと、南アフリカのビアンカ・ブイティンダッグが同時に乗る。

 

ヒートを終えて海から上がってきた大村奈央。photo:michiko nagashima
ヒートを終えて海から上がってきた大村奈央。photo:michiko nagashima

 

結果その2人が逆方向に乗った一本に決勝点がつき、逆転につながる波を見つけられず大村奈央のヒートは終了。大村奈央の個人成績は7位という結果になった。

 

そのまま女子の試合はセミファイナル第2ヒートの後、すぐにファイナルが行われた。優勝は開催国フランスのさらに地元エリア出身のポーリン・アドゥ、2位はジョアン・ディフェィとフランス勢がワンツーフィニッシュとなった。

 

photo:michiko nagashima
photo:michiko nagashima

 

その表彰式を下から眺めていた大村奈央に終わってから話を聞いた。

 

大村奈央インタビュー

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—お疲れさまでした。まず昨日はタフでしたね?

 

昨日はタフでしたね。

 

—今朝の疲れは(残っていたか)?

 

まぁ、大丈夫です。できる中では回復させたかな、という感じです。

 

—セミファイナルの試合について、どう思っていますか?

 

またここか、という感じがありました。やっぱりファイナルとセミファイナルの差は今こうやって表彰式をやったように全然差がある。やっぱりそこ(ファイナル)に行きたかったなと。

 

大村奈央 Photo: ISA / Ben Reed
大村奈央 Photo: ISA / Ben Reed

 

—その上がれる差は試合中に感じるものですか?

 

感じないです。終わってから改善するところを見つけます。そうでないと次がないので。

 

—ファイナルに進めなかった今回の原因は何だと思いますか?

 

残り5分の使い方。最初はみんな僅差だったのでよかったけど最後、例えば残り5分でも10分でも、もうちょっと(冷静に)待てるような(時間の)使い方をすればよかったなと。

 

ーこの大会から学んだことは何ですか?

 

試合の戦略的なことが多いです。例えばセミファイナルでの戦略はカレントがヒート範囲内にある状況だったので、そのカレントをうまく使えるように、というのがメインでした。コーチが正式についた初めての試合。これまで知らなかったことや戦略を教えてもらったので、それを今後に生かしていきたいです。

 

photo:michiko nagashima
素敵なパールのジュエリーをつけたまま試合に挑んでいた奈央ちゃん。海の中で無くす心配をしないところがカッコいいです!photo:michiko nagashima

 

—奈央ちゃんの出番は終了しましたが、「ISA World Surfing Games フランス2017」は国別対抗という面も持っています。これから男子の試合が始まっていきますが、波乗りジャパンチーム内での奈央ちゃんの役割は何ですか?

 

一昨日もそうだし、昨日なんて朝7時から夜9時まで男の子たち、試合がないのにずっとサポートしてくれた。団体の順位も大事なので、(男子に対して)できるサポートをしたいです。

 

—サポートされるのは嬉しかったですか?

 

そうですね。それにやっぱりサポートできるのが世界戦(の特徴)だし、世界戦のいいところ。波乗りジャパンチーム内には世界戦が初めての選手もいるので、それを知ってもらいたいし、そうやって日本チームをよくしていくのも重要だと思っています。

 

—今回は最年長? 若手に伝えていく役割も求められているのでは?

 

・・・求められれば!

 

 

—最後に日本で応援してくれている人にメッセージがあればお願いします。

 

応援ありがとうございました。メダルを持って帰りたかったけど、その一歩が大きかったです。その一歩を克服して来年はメダルを持って帰れるよう頑張ります。引き続き応援よろしくお願いします。

 

 

photo:michiko nagashima
photo:michiko nagashima

 

 

女子のヒートが全て終了するといよいよ男子のラウンド1がスタート。当初は日本人男子4名中3名分のヒートが行われる予定だったが、満潮前後の休憩がこの日長く取られたのと、その休憩明けのタイミングで強風が吹き出した影響で試合開始が少し後ろにズレることになった。

 

photo:michiko nagashima
photo:michiko nagashima

 

その影響で男子ラウンド1は堀越力、大音凛音の2名のヒートのみとなった。ラウンド1ということもあるのか、対戦相手となった他国選手のサーフィンとは違うレベルのサーフィンを披露。2人ともそれぞれのヒートを1位通過し、4日目につながるよい流れを作った。

 

試合終了後、今回波乗りジャパンチームの選手キャプテンを務める堀越力に話を聞いた。

 

堀越力 PHOTO: ISA / Evans
堀越力 PHOTO: ISA / Evans

 

—「寿司のうまさを思い知らせてやる」ことはできましたか?(※ヒート前、チーム内のメンバーにそう言っていたらしい)

 

逆に思い知らされました(笑)。最初に気合が入り過ぎてしまったのですが、思ったよりも点数が出てよかったです。最初に調子がよく後で下がるよりも、少しずつ上げていく方が長い目で見るとメンタル的にいいので。このヒートで修正点も見えたし、よい面も見えました。これから修正していきます。(大音凛太選手のトップ通過も決まり、男子ラウンド1の)流れは作れたかなと思います。

 

堀越力 photo:michiko nagashima
堀越力 photo:michiko nagashima

 

堀越力選手、選手としてのキャリアは10年近くになるが、海外の試合に本格的に回るようになったのは今年からとのこと。それが信じられないほど、堂々としているように感じられた。「キャプテンという立場をみんなにうまく使われているような気がする(笑)」と言っていたが、適役でしょう! 

 

堀越力と大音凜太 photo:michiko nagashima
堀越力と大音凜太 photo:michiko nagashima

 

実は堀越選手のヒート開始時は、長い休憩の後であり、さらに強風という悪天候。テンションが下がってもおかしくないと想像できる状況だったが、波乗りジャパンチームの雰囲気はよく、むしろみんな楽しそう。対戦相手国のセネガルチームが隣で音楽を奏でていたおかげもあるが、やはり堀越選手への信頼がベースにあるのだろう。このよい流れのまま、明日の試合も活躍が期待できる。

 

大音凜太 PHOTO: ISA / Evans
大音凜太 PHOTO: ISA / Evans

 

大会4日目は男子ラウンド1が引き続き行われる。田中大貴選手のヒート26は現地時間9時40分開始予定(日本時間16時40分)、小笠原由織選手のヒート34は現地時間12時20分(日本時間19時20分)。野中美波、大村奈央もサポートに専念してくれる。明日もみんなで勝ちにいくぞ、波乗りジャパン!

 

 

大音凜太
大音凜太 噂に聞いた“ライン重視の玄人好みのサーフィン”は本当でした。対戦相手の他国選手のサーフィンと比べると、それがより際立ち、最初に乗った1本から7点をスコア。2位以下の選手を寄せ付けなかった

 

 

オープン・ウイメンズ・メダリスト:
優勝:ポーリン・アドゥ(FRA)
2位:ジョアン・ディフェィ(FRA)
3位:レイラニ・マクゴナグル(CRC)
4位:ビアンカ・ブイティンダッグ(RSA)

 

 

2017 ISA World Surfing Games
開催国 ビアリッツ フランス Biarritz, France
開催日 2017年5月20日~5月28日(現地時間)

 

<派遣選手>

・メンズオープン 

大音凜太 小笠原由織 田中大貴 堀越力

・ウィメンズオープン
大村奈央 7位
野中美波 17位

・スタッフ

酒井 厚志 (選手団長)
吉永 修 (マネージャー)
井本 公文 (マネージャー)
ウェード・シャープ(コーチ)
大石 純也(通訳)

オフィシャルサイト:

http://isaworlds.com/wsg/2017/en/