稲葉玲王・佐藤魁、今日のフランスWSL-QS1500「アングレット・プロ」その1

稲葉玲王・佐藤魁、今日のフランスWSL-QS1500「アングレット・プロ」その1 


ラウンドアップを果たした佐藤魁

 

先週の8月23日に「ソルーズ・ラカナウ・プロ」が終わると、1日で200kmほど南下し、8月25日からヨーロピアン・サマー・レッグ2戦目となるWSL-QS1500「アングレット・プロ」が始まった。

 

大会名にもなっているアングレットはフランスで最初にサーフィンが伝わったとされる歴史的な場所。さらに国際試合が行われるのは10年ぶりということで地元新聞、ラジオ取材まで入るなど開催地側も気合は十分。波も試合を歓迎するかのように23日夜から急に上がりはじめ、移動日の24日はクローズ、大会初日の25日朝はオーバーヘッド、バレルコンディションだった。

 

グーフィー狙いが当たった!

佐藤魁ラウンド3を1位通過!

 

また不安定な天候で有名なペイバスクにおいて、週間天気予報は週末まで晴れマークが並ぶ。つまりは絶好の舞台が用意されているということだ。さて、そんな「アングレット・プロ」に日本から挑むのは先週に引き続いて稲葉玲王、佐藤魁の2名。稲葉はラウンド4から、佐藤はラウンド3からのエントリー。


初日25日はラウンド2で終了と2人の出番はなかったが、本日26日は朝からラウンド3が行われた。波のサイズは前日に比べサイズが落ち、セットで肩、たまに頭。さらにはイレギュラーなことに、途中から試合会場が変更になった。それまで堤防の左側で試合が行われていたのだが、10ヒート目が終わると急遽、堤防を超えた右側へとポイントが変更された。そのポイント変更から2ヒート目、ヒート全体で数えると12ヒート目が佐藤の初戦。

 


 

一番早い選手は11ヒート目が始まって数分したらビーチに降りてきた。そこから順々に他の選手も降りて来る。ビーチには赤、青、黄色のジャージをつけた他3選手が揃い、それぞれにストレッチなどをして準備をしている。しかし佐藤はなかなか降りてこない。やっと降りてきたのは試合開始まで10分を切ったところ。選手控え口から小走りでそのままビーチまで降りてくると、砂浜に腰をおろすも、それも束の間。1分後には沖へ向けてパドルアウトを開始した。

 

試合序盤から果敢に攻めたのはアルドリック・ゴドFRA。ラウンド1から勝ち上がってきたアングレットの隣、ラバンヌをホームとする19歳だ。最初の10分間でリズムよく3本の波を捉えヒートリーダーになると、4本目のライトでは沖まで波を繋いで最後に大きめのターン。目の前であがるスプレーには当然ギャラリーから歓声と拍手が沸き起こる。

 


 

その間、佐藤はレフトの波に2本乗ったが点数は伸びず、他2選手に比べて存在感も薄いように思われた。ローカルパワーを発揮しながらアルドリックがリードし続けていくのかと思われた中盤、佐藤がレフトの波をキャッチ。丁寧にターンを繰り返し沖でフィニッシュすると、これに5.05ポイントが付き逆転。一気にトップへ躍り出た。会場のムードはこれによって変わり、佐藤に触発されたかのように他の選手もレフトに照準を合わせ出す。

 

しかし一番の高得点を出したのも佐藤だった。次の4本目はよりサイズのあるレフトにテイクオフすると、大きなターンを描きながら沖まで乗り継いだ。MCも「なんてパワフル!」というセリフを興奮しながら2度連呼。7.00ポイントがコールされるとギャラリーも拍手で答え、このヒートで一番の盛り上がりを魅せた。その後、途中2位争いがあったが佐藤は最後までリードを守り1位でフィニッシュ。終わってみれば12ヒート目の主役は佐藤だった。

 

佐藤「自分の前のヒートが始まって、そこで初めてポイントが変わったのを知りました。それまでずっと左側の波を見ていたのに(苦笑)。だからそこから自分も右側の波を見始めて、ギリギリまで見ていたからビーチに降りるのが遅くなったのです。作戦ですか? 波を見た結果、グーフィを狙おうと。そうですね、10分くらいで決めました。それぐらいの時間しか見れなかった(笑)。試合が終わって、次に繋げられて良かったというのが率直な感想。次のラウンド4はトップシードが出てくるな。そういう感じです」。

 

本日はメンズのラウンド3終了後、同時開催されているレディスのラウンド2、4ヒート目までが行われた。

 

明日は今日より波の上がることが予想され、メンズのラウンド4が行われるだろう。そのラウンド4、12ヒート目に本日活躍した佐藤魁、稲葉玲王はその次の13ヒート目にトップシード選手としてクレジットされている。稲葉はラウンド4が初戦だ。ファーストコールは朝7時。フランスは日本より時差が7時間遅れ。朝から順調にラウンド4が行われれば、彼らの試合は日本時間の夕方以降となる。19時30過ぎくらいだろうか。

 

「アウェイ感ですか? ありますよ! 日本人2人だけですし」と佐藤がいうように、フランスで奮闘する彼らに是非エールを! ラウンド4のレポートもお楽しみに。

 

 

 

朝9時過ぎ。自分の試合まで3時間はあるが真剣に波を見つめる魁くん。試合がないとわかっていた前日とは雰囲気がまるで違う。隣にいるのは一緒に行動しているジョーガン選手。彼もラウンド4に勝ち上がった

試合開始まで10分を切ったところでやっと出て来たガイくん。その後なぜか笑顔になって走り出す。

試合直前に何を考えていたのかを聞くも本人にとっては無意識に近い行動だったらしく最初は首をひねられた。「集中してたと思う」

5.50ポイントを出した3本目のレフト。この1本で流れが変わった

(↑その3本目の続きです)

7.00ポイントを出した4本目。コンテストエリアぎりぎり、隣のビーチまで乗り継いだ

6本目ではエアに挑戦。着地に失敗したので点数はつかなかったが、ポテンシャルはアピールできた。「この日本人、なかなかおもしろい」とこのヒートを見ていたギャラリーは思っただろう

試合が終わり海から上がった後、ギャラリーからの拍手に答えるガイくん

ヒート後すぐに大会のオフィシャルカメラマンから動画インタビューが申し込まれました。「なぜ彼にインタビューを申し込んだかって? いい波を見つけて乗って、7点を出したからだよ」

試合後に自分のヒートの点数表をチェック。「1本目どんなのに乗ったのかな?……海外の試合は点数の降り幅が大きい」とも言っていました。自分の思う点数と実際の点数のギャップを改めて感じているよう

「2本持って降りたけど、これを選んだのはラカナウのときにいい点が出せたから」

「アウェイ感はあるけど考え方次第では、誰も自分のことを知らないから海の中ではやりやすい。それよりもビーチに人がいっぱいいることの方が……」。ギャラリーの多さに最初は戸惑ったようだ。それも次第に慣れていくだろう

ラウンド4から登場のレオくん。これは初日のフリーサーフィン後に撮影したもの。活躍に期待!

 

photo&TEXT BY  Michiko NAGASHIMA

オフィシャルサイト:

http://www.worldsurfleague.com/events/2015/mqs/1276/pro-anglet