千葉県鴨川市東条海岸(マルキポイント)で開催中のJPSA さわかみ S.LEAGUE 25-26《S.ONE》第3戦「鴨川プロ」は大会最終日を迎えた。天候は晴れ、風はサイドオフ。波のサイズはコシ〜ハラで、朝7時満潮から昼にかけて引いていく潮回りとなった。

この日もブレイクは全体的にワイドでつながり気味。昨日までと同様、どの波を選ぶかが勝敗を分けるコンディションとなり、純粋な技量に加え、波のポテンシャルを見極める力が問われる展開に。対応力の高いオールラウンドなサーファーが着実に勝ち上がった。


女子はクォーターファイナルH-3の再開からスタート。中塩佳那と松田詩野がここをラウンドアップ。


続くセミファイナルH-1は、今大会で勢いを見せる野中美波と川瀬心那の対戦。野中がエクセレントの8.00ポイントをマークし主導権を握るが、川瀬が2本をまとめて逆転に成功。
しかし終盤、野中がミドルの波を的確に捉え、ニード4.35の状況から4発当てて5.25ポイントをスコア。冷静な試合運びで逆転し、決勝進出を決めた。


セミファイナルH-2は中塩佳那と松田詩野。序盤は互いにスコアを伸ばせない展開が続くが、中塩が掴んだセットがクリーンにブレイク。ノートリムで4発を当て込み、7.25ポイントのベリーグッドスコアでリードを奪う。松田もアグレッシブに攻め続けるが波のポテンシャルに恵まれず、スコアは4点台に留まり、中塩がそのままファイナルへ。
女子ファイナル野中美波vs中塩佳那

11時スタートとなった決勝は野中美波と中塩佳那のカード。引きに向かう潮回りの中、セット間隔は長くなり、序盤は互いに様子をうかがう展開。試合を動かしたのは野中。サイズのある波を迷いなくテイクオフし、ストレートアップを決めて6.25ポイントをスコア。

中塩も5.00ポイントで応戦するが、野中が5本目の波でパワー、スピード、フローを兼ね備えた3ターンを披露し、8.00ポイント。これが決定打となり、中塩は逆転のチャンスを得られないまま試合終了。野中美波が今シーズン《S.ONE》初優勝を飾った。
女子優勝は野中美波


「ファイナルで一番いい波に乗れて、自分のサーフィンを見せれて、8点もスコア出来ての優勝だったので凄く嬉しいです。
最初の6.25の波ついて「あの波は、凄く良いなと思ったんですけど、テイクオフしたら意外と早くて、これは1発だなと思って、なのでクオリティを上げないとという感じで、縦にアクションを入れて6.25出せて良かったです。

エクセレントの波は「行くか迷ったんですけど、行ってみたらダブルアップしてきて、3発キレイに入れられたんで、凄くラッキーでした。
今回は波数が少ないヒートが多かったんですけど、その中でもプライオリティを持って、しっかり最後まで待って、良い波を掴むっていうことが出来たので、次からも自分を信じて待つ場面では待とうと思います。


男子クォーターファイナルは好カードが続いた。稲葉玲王と伊東李安琉の対戦は伊東が主導権を握り逃げ切り勝利。




金沢呂偉と西慶司郎は、西が序盤に2本をまとめてラウンドアップ。森友二と佐藤魁の茅ヶ崎対決は僅差で佐藤が勝利した。


大音凛太と西優司の一戦はドラマチックな展開に。鴨川をホームとする大音が試合をコントロールする中、西は終了5分前までノーライド。しかし右へ移動して掴んだ波で6.75ポイントをマークし、一気にニード3.00ポイントまで詰め寄る。
残り2分、大音もプレッシャーをかけて右へ移動するが、西が再び波を掴み4.00ポイントで大逆転。土壇場での集中力が光った。


セミファイナルH-1は伊東李安琉と西慶司郎。西が7.75と6.00を揃え、トータル13.75ポイントで大きくリード。伊東は逆転を狙った大技に挑むもインコンプリートが続き、西が決勝進出を決めた。


H-2は佐藤魁と西優司。西がオープニングからサイズのある波でクリティカルなターンを連発し、8.00ポイントのエクセレントをマーク。さらに7.00をバックアップに揃え、佐藤をコンビネーションに追い込んでファイナルへ。
西慶司郎と西優司による兄弟ファイナル。

その決勝はランキング1位の西慶司郎と2位の西優司による兄弟対決。セットはさらに長く、ブレイクもまあらな状況。先手を取ったのは弟の優司。クォーターファイナルで大逆転を演じたエリアに移動し、すぐに5.00ポイントをスコア。

兄の慶司郎は10分間ノーライドが続く苦しい展開となり、その間に優司がセットをとらえて9.00ポイントの今大会ハイエストスコアを叩き出す。終盤、慶司郎がようやく4.25ポイントを返すもニードは9.75。波は入らず、そのまま試合終了。西優司が第2戦の静波に続く《S.ONE》2連勝を飾った。
西優司がS.ONEで2連勝。


「普段通り楽しくサーフィン出来ました。うまくサイクルがはまって、良いライディングができて良かったです。」と西優司が語った。
兄の慶司郎とのファイナルについて聞かれると「ヒートを通して、どっちが良い波に乗るかの戦いだなと思っていたんで、そこをリズムよく行けたので良かったなと思います。楽しい4日間でファイナルデイに8点と9点を出せて凄く嬉しいです」


兄弟揃って勝利者インタビューを受けた準優勝となった西慶司郎。「優司とヒートして、前回の2戦目のファイナルで優司にやられていたんで、リベンジしたいなって思っていました。結果は2番ですけど、まだ自分がランキング1番をキープしている笑。ここから後半戦、バリとグランドファイナルと続くので来年に向けてしっかりと準備して挑みたいと思います。」
ランキング争いを兄弟でしている西優司。兄がまだトップであるということに「悔しいっすね。バリと最終戦をしっかり調整して、またファイナルで当たれるように頑張ります。
今回は長男の修司にコーチングしてもらっていたので、右の波がいいよって言われて、自分では波も見ず委ねました。笑
今シーズンのS.LEAGUE 25-26ロングボードツアーはすでに全日程を終了し、残すは来年4月開催のグランドファイナルのみ。
ショートボードは今後、《S.ONE》第4戦、《S.TWO》第4戦、マスターズ第3戦が、2026年3月31日から4月4日までインドネシア・バリ島クラマスビーチで開催される。
《S.ONE》ショートボードは全4戦中3戦の合計ポイントでグランドファイナル出場者が決定し、さらにグランドファイナルを含む全5戦中4戦の合計ポイントによってリーグチャンピオンが争われる。
その舞台となる次戦のバリ大会は、《S.ONE》にとっては最終ランキング上位18名のクオリファイと最終戦への進出を懸けた重要な一戦であり、《S.TWO》にとってはS.ONE昇格を賭けた正念場となる。引き続きS.LEAGUEの動向は下記からチェック!
S.LEAGUE:HP
https://sleague.jp/
JPSA:HP
https://www.jpsa.com/

JPSA さわかみ S.LEAGUE 25-26 《S.ONE》ショートボード第3戦「鴨川プロ」
日程:12/5-7
場所:千葉県鴨川市東条海岸(マルキポイント)




男子
優勝:西優司(¥1,200,000)
2位:西慶司郎(¥450,000)
3位:伊東李安琉、佐藤魁 (¥230,000)
女子
優勝:野中美波(¥450,000)
2位:中塩佳那(¥220,000)
3位:川瀬心那、松田詩野(¥120,000)
プレゼンターは
さわかみグループ代表 澤上様
株式会社横浜ビール 高橋様
ReWaveによるビーチクリーンを実施。会場に集まった選手、スタッフ、ギャラリーが一体となり、海岸清掃。




