フランスが2025年ISAパラサーフィン世界選手権で3大会連続の団体優勝。伊藤建史郞が金メダルで日本団体6位。

伊藤建史郞(JPN). Photo:ISA/ Pablo Franco

カリフォルニア州オーシャンサイド – 2025年11月7日

2025年ISAパラサーフィン世界選手権(WSPC)のファイナルデー、オーシャンサイドピアのノースサイドで4~6フィートのスウェルが続く中、12人の世界チャンピオンが決定した。

本日優勝した選手たちと、昨日王座に就いた4名を含め、史上初の3つのパーフェクト10ポイントが記録されるなど、限界をプッシュするパフォーマンスが記憶に残る大会となった。

 


フランスは、3大会回連続の団体金メダルを獲得した初のチームとなり、その過程でUSAの総合獲得メダル数に並んだ。

 

チームフランス Photo:ISA/ Pablo Franco

 

合計12個のメダルを獲得したフランスは、これまでで最も圧倒的な勝利を収めた。

5個の金メダルに加え、2個の銀メダル、2個の銅メダル、3個のカッパーを獲得した。USAは3年連続で銀メダルに留まり、ブラジルが銅メダルで表彰台に復帰、オーストラリアがカッパーメダルを獲得した。

 

カイ・コレス、オーストラリアチーム。 Photo: Sean Evans

 

2023年にジョエル・テイラー(AUS)とカイ・コレス(AUS)が登場して以来、このチームメイトは、激戦区である男子プローン1部門で、主に互いに勝利を争ってきた。

今年も例外ではなく、この2人は再び金メダルと銀メダルを勝ち取り、6度の世界チャンピオンであり、パラサーフィンのGOATであるブルーノ・ハンセン(デンマーク)を抑えてフィニッシュ。ハンセンは、オーストラリア人選手たちが台頭して以来、初めて大会に復帰した。

テイラーとコレスはともに歴史的なパフォーマンスを見せ、それぞれパーフェクト10ポイントをスコアした。結局、45歳の元プロボディボーダーであるテイラーが、2023年に初めて獲得した王座を奪還した。

 

 

ビクトリア・ファイギがパラサーフィン史上最多となる6度目の世界王者

ビクトリア・ファイギ、カナダ代表。写真:パブロ・フランコ

 

さらに4選手が金メダル獲得数を伸ばした。リウェリン・“スポンジ”・ウィリアムズ(WAL)、ダヴィ・テイシェイラ(BRA)、アレリー・メディーナ(PUR)がそれぞれ4度目の世界王者となり、ビクトリア・ファイギ(CAN)は6度目の優勝を勝ち取った。

 

ファイギは前記録保持者ブルーノ・ハンセン(デンマーク)の6個の金メダルに並ぶ稀有な存在となった。

過去3年間がんと闘いながらも、40歳のカナダ選手は自身のクラス史上最多の選手数を前に勝利を収め、年々パフォーマンスを高め続けている。

 

「本当に現実とは思えません。光栄に存じます」とファイギは語った。「まさに波乱万丈の道のりでした。私が初めてISAに参加したのは2016年。モノ(マーク・スチュワート)選手の圧倒的な滑りを目の当たりにし、それが私を奮い立たせ、上達を目指す原動力となりました。ええ、今もただ仲間たちに遅れを取らないよう頑張っているところです。本当に楽しい大会でした」

 

アレリー・メディーナ, Team Puerto Rico. Photo: Sean Evans
アレリー・メディーナ, Photo:ISA/ Pablo Franco

 

大会を通じて、同じく3度の世界王者であるメリッサ・リード(イングランド)の強力な挑戦を受けたが、アレリー・メディーナは圧倒的な強さで4年連続の世界タイトルを勝ち取った。

 

8.00というエクセレントなライディングに続き、大会初のパーフェクト10を記録。これにより、他の女子視覚障害(VI)2クラスのファイナリストたちは、彼女を倒すために2つの波の組み合わせが必要となった。

 

リードが巨大なピアボウル・ライトで7.83をスコアし、この条件達成に最も近づいたが、世界タイトルのタイを破ったのは16歳のプエルトリコ人選手だった。

 

 

「今、涙をこらえています。本当に幸せです」とメディーナが語った。「父や母、プエルトリコの皆さん、スポンサーの皆様、そして全ての方々がいなければ、この成果は得られなかったでしょう

あの波は私の目には非常に良く見えました。そして私は全力を尽くしました。これまで積み重ねてきたトレーニングが、ついに実を結んだのです。

この4年間は本当に過酷でした。日々をただ過ごし、毎日、本当に厳しいトレーニングを積み重ね、肉体的に疲れ果てながら。そしてこれが、私がずっと追い求めてきたものなのです。」

 

 

伊藤建史郞が初の世界選手権タイトルを勝ち取った。

 

伊藤建史郞(JPN). Photo:ISA/ Pablo Franco

 

ダヴィ・リマ(BRA)、伊藤建史郞(JPN)、そしてトーマス・ダ・シルバ(FRA)が、それぞれ初の世界選手権金メダルを勝ち取った。15歳のリマは、この大会に初出場ながら、見事優勝を果たした。

 

一方、伊藤は、ファイナルヒートで最後の最後、ブザーが鳴る直前に逆転し、ついに優勝を果たした。48歳の伊藤は、WPSCの10大会のうち8大会に出場し、5回目のスタンド2ファイナル進出を果たしたが、待望の初優勝を感動とともに手にした。

 

伊藤建史郞(JPN). Photo: ISA/Sean Evans

 

金メダルを獲得した伊藤建史郞(JPN). Photo:ISA/ Pablo Franco

 

「ラスト5秒10秒まで、何があるか判らないのが世界戦だと思っているので、最後まで諦めず、最後にラストウェイブに乗れて本当に嬉しかったです。」と伊藤が語った。

「日本代表というよりも個人の自分との戦いだとずっと思ってきたので、そこは自分を貫いて戦えて良かったです。ただ日本チームの応援が最後に自分を勝たせてくれたなと思います」

 

トーマス・ダ・シルバ(FRA)は3年連続で男子VI 1で銀メダルを獲得していた。今年、ダ・シルバはついに初の世界タイトルを勝ち取った。決勝で過去に2位に敗れたサーファー、カーク・ワトソン(AUS)とエリアス・フィグ・ダイアル(BRA)の両方を破っての勝利だ。

 

完全に失明しているにもかかわらず、ダ・シルバはオープンフェイスを攻め、今日の決勝を含め、大会を通して複数のターンを繰り出した。24歳の彼は、ついに優勝を勝ち取り、大喜びだった。

 

トーマス・ダ・シルバ(FRA)Credit: ISA /Sean Evans

 

「とても嬉しい。パドリングでは全力を尽くしたので、本当に良いヒートだった」とダ・シルバは語った。「簡単ではなかった。昨日はもっと楽だったが、今日はファイナルデーだった。だから、フルスロットル、フルスロットル、フルスロットルだった。

僕は毎日、サーフィンの練習や、身体的な準備のために、マルティニーク島やバスク地方、そして実際には世界中のあらゆる場所で、友人たちと一緒に練習している。友人たち、そして僕をサポートし、コーチをしてくれているすべての人たちに感謝している」

 

 

 

2032年ブリスベン大会へ向けて

 

ISA会長のフェルナンド・アギーレは次のように語った。

 

「今週、オーシャンサイドで見たものは、本当に特別だった。サーフィンのレベル、仲間意識、喜び、それは信じられないほどだった。これはパラサーフィンの国連であり、毎年、私の心を満たしてくれる。

10年間、私たちはこの運動を一緒に築き上げてきた。選手たちはこのスポーツを新たな高みへとプッシュし続け、世界はそれを注目している。」

パラサーフィンの成長と発展への私たちのコミットはこれまで以上に固く、このスポーツの未来に胸を躍らせている。パラリンピック競技大会への参加という夢は今も力強く生きている。

私たちは希望と決意を持って2032年ブリスベン大会を見据えている。全ての選手を称えたい。メダルを持って帰る者は数人だが、君たちは皆チャンピオンだ。なぜなら君たちは自国を代表してここに立っているからだ。パラサーフィン万歳。」

 

結果

団体

金メダル – フランス

銀メダル – アメリカ

銅メダル – ブラジル

カッパー – オーストラリア

日本:6位

男子シット

金メダル – ギヨーム・コラン(FRA)

銀 メダル- ジェフ・マンソン(USA)

銅メダル – クリス・オーバーレ(USA)

カッパー – フアン・マヌエル・カマチョ・ソラーノ(CRC)

男子VI 1

金メダル – トマ・ダ・シルヴァ(FRA)

銀メダル – カーク・ワトソン(AUS)

銅メダル – ベン・ノイマン(GER)

カッパー – エライアス・フィゲ・ディエル(BRA)

男子VI 2

金 – ピエロ・ガリアーノ(FRA)

銀 – ルイス・ニコラス・メディーナ(CHI)

銅メダル – ロイ・カルデロン(CRC

カッパー – ジャック・ジャクソン(AUS

女子 VI 2

金メダル – アレリー・メディーナ(PUR

銀メダル – メリッサ・リード(ENG

銅メダル – リン・パイ(CAN

カッパー – サラ・ギブソン(AUS

オープンスタンド 3

金メダル – ルチアーノ・ネム・シルベイラ(BRA

銀メダル – エリック・ダルジャン(FRA

銅メダル – 勝倉直道(JPN

カッパー – ステラ・パペッティ(ITA

男子プローン 2

金メダル – ダヴィ・テイシェイラ(BRA

銀メダル – ホセ・マルティネス(USA

銅メダル – マティウス・ヴァンデルフート(CRC

カッパー – クリフ・グラルトン (AUS)

女子プローン 2

金メダル – サラ・アルマグロ (ESP)

銀メダル – ベアトリス・デュラン (FRA)

銅メダル – セリーヌ・ルリアール (FRA)

カッパー – ハンナ・ダインズ (ENG)

男子プローン 1

金メダル – ジョエル・テイラー (AUS)

銀メダル – カイ・コレス (AUS)

銅メダル – クレウソン・ソアレス(BRA

銅メダル – ブルーノ・ハンセン(DEN

男子ニール

金メダル – リウェリン・スポンジ・ウィリアムズ(WAL

銀メダル – ディジャクソン・サントス(BRA

銅メダル – フアン・マーティン・ディアス・マルティネス(MEX

カッパーメダル – マキシム・カバンヌ(FRA

女子ニール

金メダル – ビクトリア・ファイジ(CAN)

銀メダル – ベラ・クアレスマ(BRA)

銅メダル – エマ・ディーターズ(AUS)

カッパー – エマニュエル・ブランシェ(FRA)

男子スタンド1

金メダル – ダヴィ・リマ(BRA)

銀 メダル- アント・スミス(RSA)

銅メダル -奈良 優(JPN)

銅 – カミロ・アブドゥラ(POR)

男子スタンド2

金メダル – 伊藤 建史郞(JPN)

銀メダル – モーガン・ガレフィ(ITA)

銅メダル – ナフマン・ヤリブ・バルル(ISR)

カッパー – JP・ヴォードリ(RSA)

 

アメリカ・カリフォルニア州オーシャンサイドで開催された「2025 ISA World Para Surfing ChampionshipISAパラサーフィン世界選手権に、今年は8名の日本選手が参戦し、世界の強豪相手に熱戦を繰り広げた。

日本チーム Photo: ISA/Sean Evans
Prone 2 Men 藤原 智貴 Photo: ISA/Jersson Barboza
Prone 2 Men 藤原 智貴 Photo: ISA/Jersson Barboza
Photo: ISA/Jersson Barboza
銅メダル -奈良 優(JPN)Photo: ISA/Sean Evans
銅メダル – 勝倉直道(JPN Photo: ISA/Jersson Barboza

 

STAND 1 奈良 優 選手 3位

STAND 2 伊藤 建史郞 選手 1位

STAND 3 勝倉 直道 選手 3位

SIT 石原 望 選手 5位

VI-2 藤崎 滋 選手 5位

VI-2 WOMEN 西久保 涼子 選手 8位

PRONE 1 真栄城 興和 選手 7位

PRONE 2 藤原 智貴 選手 5位

 

大会オフィシャルサイト

https://isasurf.org/event/2025-isa-world-para-surfing-championship/