WSL(ワールドサーフリーグ)公認の「The Open Surfing Miyazaki Series」第2弾、「WSL QS2,000 The Open Surfing 宮崎プロ」は28日、宮崎市木崎浜で最終日を迎え、肩から頭オーバーのパワフルな波を舞台に男女の王者が決まった。逆転劇や激戦が相次ぎ、白熱の一日となった。
女子の準々決勝では、パリ五輪9位の松田詩野が18歳の高橋結奈を退けて貫録勝ち。続く準決勝では松野杏莉が8.33を叩き出して日向プロジュニア女王の松山黎音を破り、QSで初の決勝進出を決めると「めっちゃうれしい」と笑顔を見せた。
一方、もう一つの準決勝では川瀬心那が松田との対決を制覇。終盤にはプライオリティを巧みに使って松田の自由を奪い、勝負強さを発揮して決勝に駒を進めた。



女子決勝は川瀬と松野の頂上決戦。川瀬は序盤から7.00で主導権を握ると、残り5分にダイナミックなターンを決めて7.67を追加。2本のグッドスコアを揃えて優位を築いた。
松野も果敢に攻め、7.27を叩き出して食らいつき、ラストは残り10秒で渾身のワンターンに挑む。ビーチ全体が固唾をのんで見守る中、スコアは6.47にとどまり逆転ならず。

川瀬の勝利が確定した瞬間、両手を突き上げた川瀬に松野が歩み寄り、抱擁して健闘を称え合った。川瀬は2023年12月の日向プロ以来となるQS2勝目を飾った。
川瀬心那が宮崎プロ制覇!練習成果を爆発させる

ワールドサーフリーグ(WSL)QS2000「ジ オープン 宮崎プロ」の女子ファイナルで、川瀬心那が見事優勝を果たした。松野杏莉とのハイレベルな接戦を制し、久しぶりの栄冠を手にした彼女が、勝利の喜びと勝因を語った。
強敵とのハイレベルなファイナル「絶対に負けない」
ファイナルの相手は、予選から高得点を連発していた松野杏莉。「すごい上手い選手なので、自分もそれに負けないくらいのいいサーフィンをしよう」と強い気持ちで臨んだ。序盤に7.00ポイントを叩き出し、ヒートの主導権を握る。しかし、松野も7.27ポイントで応戦し、試合は一進一退の攻防に。
勝負を決めたのは終盤。「もう1本いいスコアがないと逆転される」と冷静に状況を判断した川瀬は、セットの大きな波を捉え、ビッグアクションを披露。これが7.67ポイントとなり、激戦に終止符を打った。
バリ島での特訓が結実「練習の成果を発揮できた」
今大会の勝因の一つに、海外でのトレーニング経験がある。最近出場した試合は小波コンディションが多く、インドネシア・バリ島での練習の成果を発揮できずに悔しい思いをしていたという。
「今回は波にも恵まれて、練習の成果を発揮できたと思うので本当に良かったです」。ウルワツのビッグウェーブにチャージした経験が、宮崎の波でも臆することのない、ダイナミックなサーフィンへと繋がった。
ファンへ感謝「久しぶりの優勝、とても嬉しい」
インタビューの最後に、最近ではサーフボードシェイプも初めて、サーフボードへの関心が高まったという川瀬は応援してくれたファンへの感謝を口にした。
「なかなかいい結果を残せずにいたんですけど、久しぶりに優勝できてとても嬉しいです。これからも頑張ります」。苦しい時期を乗り越えて掴んだ勝利を糧に、彼女のさらなる活躍に期待が高まる。



男子は準々決勝で渡邉壱孔が稲葉玲王との死闘を制した。5.51が必要な状況で残り3分、波を待ち続けて掴んだ1本で7.83を叩き出し、渾身のガッツポーズ。
稲葉のラストチャレンジを振り切って逆転勝ちを収めた。準決勝では渡邉と小林桂が逆転に次ぐ逆転の死闘を演じ、小林が6.70を決めてファイナルへ。

男子決勝は小林と須田喬士郎の対決。QSアジアランキング2位の小林は序盤からリードを奪い、冷静に試合を運ぶ。追う須田は終盤、深いボトムターンから豪快なスプレーを上げて4.87をマークするも逆転には届かず。

小林は残り3分でバックアップを5.13に引き上げ、合計10.80で勝利を確定させた。9月の「Midas Capital Omaezaki Pro QS2,000」に続く今季QS2勝目。ついにQSアジアランキング首位に浮上した。
「スタートではなく、どう終えるか」シーズン2勝目を挙げた小林桂が語った逆転劇の裏側

今季アジアリージョンで2度目の優勝という快挙を成し遂げた小林桂が、激闘の末に宮崎で掴んだ勝利の喜びと、シーズンを通した成長の軌跡を語った。
人生初の「ワンシーズン2勝は超嬉しい」
「It’s not how you start, it’s how you finish」
「ワンシーズンで優勝2回は初めてなので、超嬉しいです」。優勝直後のインタビューで、彼は素直な喜びを爆発させた。
今年から変更したアジアリージョンのシーズン序盤は思うような結果が出ず苦しんだが、「スタートが良くなくても、どうフィニッシュするかが大事」という言葉を胸に戦い続けた。
その言葉通り、シーズン後半に見事な逆転劇を演じ、今大会の勝利でランキングトップの座も手に入れた。
激闘のファイナル、勝敗を分けた後半の集中力
ファイナルは、互いに譲らないシーソーゲームの激戦となった。集中力を切らさず戦い抜いた彼は、「ファイナルで優勝するのと2位ではポイントが大きく違う。これでCS(チャレンジャーシリーズ)に入れるか決まると思っていた」と、勝利への強い執念が最後の粘りを生んだことを明かした。
不調からの脱却。後半戦、覚醒の理由は
シーズン前半の不調から後半にかけて劇的にパフォーマンスが向上した理由について、彼は「試合運びの修正」と「メンタルコントロール」を挙げた。
インドで行われたアジア選手権後、コーチから「もっとベーシックにやった方がいい」との助言を受け、自身のサーフィンを見直したという。
「いつもやりすぎちゃうタイプ」と自己分析する彼は、あえてリラックスすることを意識。御前崎、田原、そして今大会と3連戦の疲労が蓄積する中でも、冷静さを保ち続けたことが最高の結果に繋がった。
次戦はイエロージャージで。「みんなの応援でランキングも上がった」
最後に、応援してくれたファンやスポンサーへの感謝を述べ、「人生初のシーズン2勝で本当に自信になった。みんなの応援でランキングも上がった」と語った。
次戦では、ランキングトップの証であるイエロージャージを着用して戦う。「次の徳之島も頑張るので、応援よろしくお願いします」と力強く締めくくった彼のさらなる飛躍から目が離せない。
女子優勝:川瀬心那
2位:松野杏莉
3位:松田詩野、松山黎音
男子優勝:小林桂
2位:須田喬士郎
3位:野呂海利、渡邉壱孔
2025/2026 WSLアジアQSランキング
今大会の結果で2025/2026 WSLアジアQSランキング男子は、小林桂がケトゥ・アグス(INA)を逆転してトップへ。3位のディラン・ウィルコクセン、4位の鈴木仁は変わらず。女子は中塩佳那が首位、松岡2位、鈴木莉珠3位は前回の田原から変わりない。
Asia – 2025/2026 Men’s Qualifying Series Rankings(9/27付)
1位:小林桂 11,760点
2位:Ketut Agus(INA)11,048点
3位:Dylan Wilcoxen(INA)9,398点
4位:鈴木仁 7,338点
5位:金沢呂偉 6,824点
https://www.worldsurfleague.com/athletes/tour/mqs?regionId=6&year=2025
Asia – 2025/2026 Women’s Qualifying Series Rankings(9/27付)
1位:中塩佳那 14,408点
2位:松岡亜音 13,010点
3位:鈴木莉珠 12,420点
4位:池田美来 10,180点
5位:野中美波 9,944点
https://www.worldsurfleague.com/athletes/tour/wqs?regionId=6&year=2025
次回のQS 2000 は、10月17-19日の大会期間で鹿児島県 徳之島で開催される「Tokunoshima Town Pro QS 2000」となる。
今後のWSL ASIAのQS大会予定
10/24-31 フイリピン / クラウド9
QS 6000「Siargao International Surfing Cup」
11/5-11 台湾 台東
QS 6000「Taiwan Open of Surfing」
11/17-23 フィリピン / バレア
QS 4000「Baler International Pro QS4000」
6000はオーストラリアとの共催。2000、4000はアジア。
これからのWSL CSの大会は9/29-10/5、ポルトガルでCS 第4戦 「EDP Ericeira Pro」。10/11-19、ブラジルでCS 第5戦 「Banco do Brasil Saquarema Pro」と続く。
大会特設サイト:https://theopensurfing-japan.com/
大会公式Instagram: https://www.instagram.com/the_open_surfing/




