強さの秘密と世界への挑戦。まだ見ぬ景色を求め、世界の舞台を目指して躍進する足立海世インタビュー。

ジュニア世代のサーファーとして国内外で活躍する足立海世。日本の未来を担う逸材として注目され、オーストラリアでの武者修行を終えたばかりの彼にサーフィンへの情熱、自身の武器、そして未来への展望を語ってもらった。

 

 

オーストラリアで得た確かな手応え

 

インタビューは、最近のコンディションを尋ねる質問から始まった。ちょうど3週間のオーストラリア・ゴールドコースト合宿から帰国したばかりだという足立海世は、「良い感じです」と笑顔を見せる。

合宿ではひたすら「スキルアップ」に集中。パーフェクトな波には恵まれなかったものの、マニューバー系の良い波で練習を重ね、確かな手応えを掴んだようだ。

 

 

武器は大きなスプレーと滑らかなライン

 

足立海世

 

「サーフィンをしていた父親の影響で、子供の頃から海に行ってて、気づいたらサーフィンを始めていました。」という足立。自身のサーフィンスタイルの武器を問われると、「どんなターンでもスプレーを出せること」と即答。

 

力強さとしなやかさを両立させる彼のライディングの源泉だ。その滑らかさを生み出す秘訣は、「乗っている時に細かな動きをせず、なるべく一つのラインでサーフィンすること」を意識している点にあるという。常にエアリアルなど新しい技にも挑戦し続けるアグレッシブな姿勢も、彼の魅力の一つだ。

 

 

ノースショアの体験と世界で戦う覚悟

 

日本の未来を背負って立つジュニアトップの足立海世

 

 

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キャリアのターニングポイントは「ノースシーズンのハワイでの長期滞在」だと語る。

ハレイワやサンセットビーチといった波で早くから練習を重ねてきた足立は「ビッグウェイブは、そこまで得意とは自分では思ってないです。でも、大きいサイズのチューブとかは、あまり得意じゃないですけど、ハレイワとかサンセットとかのマニューバーの大きい波のほうが、練習してきた分、得意です。」と語った。

 

過去にサンセットビーチで溺れかけた恐怖体験も明かした。「今までのハワイで一番苦しかった」という経験を乗り越え、精神的にも大きく成長した。

 

 

バックハンドのエアリバースの成功率も高い足立海世

 

 

今年開催予定のISA世界ジュニア選手権大会のアンダー18の日本代表として選ばれた足立海世。 エルサルバドルで行われた2024 ISA 世界ジュニア選手権ではU16男子で6位となった。今年こそは優勝を目指すと意気込んだ。

 

海外のライバルとして、同年代のヨーロッパの選手、ルーカス・スキナーの名を挙げる。世界のレベルを肌で感じながら、「CS(チャレンジャーシリーズ)を勝ち上がり、CT(チャンピオンシップツアー)サーファーになりたい」と明確な目標を掲げる。

 

 

「試合が好き」だから楽しめる。

 

足立海世

 

彼はフリーサーフィンよりも「試合が好き」だという。「基本はコンペのほうが自分は重きを置いてやりたいって思ってやってます。試合が好きなので。毎試合、フリーサーフィンをやるような感覚で楽しんでいます」と語るそのメンタリティこそが、プレッシャーのかかる場面で実力を発揮できる最大の要因だろう。

 

足立海世
今回は25-26FWのウエットスーツモデルにも初挑戦

 

自分に最も必要だと感じていることは「いろいろな場所でサーフィンすることです。まだオーストラリアとハワイしか行ったことないので。これからCSとかに出る時に、そこの場所でちゃんと自分のサーフィンができるように、いろんなところでサーフィンして、どこにでも対応できるような技術をつけていきたい。」と未来を見据えて意気込んだ。

 

思い出のライディング映像を見ながら、当時の状況を生き生きと語る姿からは、サーフィンへの純粋な愛情が伝わってきた。

 

バレルとマニューバー、どちらも同じくらい好きだと語る彼の瞳は、すでに次の波、そして世界の舞台を見据えている。若き才能の今後の活躍から目が離せない。

 

取材協力:BEWET