五十嵐カノアと大原洋人がクオーターファイナル進出。男女ベスト8決定。チャレンジャー・シリーズ第3戦レクサスUSオープン3日目

カリフォルニア州ハンティントンビーチ(2025年8月2日土曜日) – ワールド・サーフ・リーグ(WSL)のチャレンジャー・シリーズ第3戦「レクサス US オープン・オブ・サーフィン・プレゼンテッド・バイ・パシフィコ」。

 

パワーとプログレッションの素晴らしいショーケースが、ファイナルデーの対決を前に、レクサス US オープン・オブ・サーフィン・プレゼンテッド・バイ・パシフィコを新たなレベルへと引き上げた。


マラソンデーを通して見られたエクセレントなスコアは、巨大なエアアタック、パワフルなパフォーマンス、ヒーロー、スポイラー、そして高揚と失意のドラマが、ファイナルデーの舞台を彩り、サーフ・シティ USA の歴史に新たな1ページを刻んだ。

 

エンシニータス出身のリーバイ・スローソン© WSL / Pat Nolan

 

リーバイ・スローソンは、ラウンドオブ16で素晴らしいパフォーマンスを見せ、この日の戦いを締めくくったが、ラウンドオブ32と16の五十嵐カノアが、再びヘッドラインを飾るパフォーマンスを披露した。

 

 

アネット・ゴンザレス・エチェバリ © WSL/Kenny-Morris

 

女子ラウンドオブ16では、アネット・ゴンザレス・エチェバリとアリッサ・スペンサーの間にインターフェア判定があり、アネットが2023年USオープン・オブ・サーフィンの優勝者、ソイヤー・リンドブラッドなど強豪選手たちが揃うファイナルデーに進出。

 

ナディア・エロスターベ© WSL/Kenny-Morris

 

本日のトップ 5 モーメントには、イアン・ゴウベイアのフルローテーションでイベント最高得点 9.00 を獲得したシングルウェーブ、勢いの止まらないソイヤー・リンドブラッド、マテウス・ハーディの魔法のようなパフォーマンス、そして五十嵐カノアの堂々とした姿が含まれている。

 

マテウス・ハーディ © WSL/Kenny-Morris

マテウス・ハーディが快進撃を続けている。ハーディは、ラウンドオブ32でのエアリアル技で、ラウンドオブ16ではバックハンドのパワーを発揮し、ヒート合計 15.33 を記録して、2025 チャレンジャー・シリーズ初のクオーターファイナル進出を決めた。

 

しかし、トップは、2 回連続のファイナルデー進出を勝ち取った、バスク地方のナディア・エロスターベの圧倒的なパフォーマンスだった。

 

  • 男子クオーターファイナル
    HEAT 1
    マテウス・ハーディ ブラジル
    ディミトリ・プーロス アメリカ
  •  HEAT 2
    マイケル・ロドリゲス ブラジル
    五十嵐カノア 日本
  • HEAT 3
    大原洋人 日本
    タロー・ワタナベ アメリカ
  • HEAT 4
    ケイド・マトソン アメリカ
    リーバイ・スローソン アメリカ
  • 女子クォーターファイナル
  • HEAT 1
    ヴァヒネ・フィエロ フランス vs
    ブリサ・ヘネシー コスタリカ
  • HEAT 2
    ソフィー・マカロック オーストラリア vs
    ソイヤー・リンドブラッド アメリカ
  • HEAT 3
    ナディア・エロスタルベ バスク vs
    ティーア・ゼブロウスキー フランス
  • HEAT 4
    ヨランダ・ホプキンズ ポルトガル
    アネット・ゴンザレス・エチャバリ バスク

 

 

ラウンドオブ32:五十嵐カノアがHBで力強いパフォーマンスを繰り広げる

 

 

現在のCT 3位のハンティントンビーチ出身、五十嵐カノアは、イアン・ゴウベイアが9.00のハイスコアを記録する中、15.73の素晴らしいパフォーマンスを見せ、ホームの観客を熱狂させた。残念なことにヒート中にチャレンジャー・シリーズ 1 位のジェイコブ・ウィルコックスは、怪我のため途中棄権となった。

 

 

インタビュアー: ものすごく面白かったですよ、カノア。バックフリップやロデオ、エアーなど、あらゆる技を繰り出していましたね。

 

五十嵐カノア: いや、ただハンティントンが本領発揮してくれただけですよ。波がすごく良くて、僕は…なんて言うか、ただフリーサーフィンをしているような感じでした。ちょっと変な感じでしたね。

友達がみんなビーチにいたので、なんだか不思議なヒートでした。彼らの前でサーフィンをしているような感覚で。まるで放課後にみんなでお互いに技を見せ合っているような感じでした。

何もメイクはできなかったんですけど、すごく楽しかったです。波が本当に良くて、みんな100本くらい波に乗ったんじゃないかな。ええ、僕にとって、これぞハンティントンの楽しさの真骨頂って感じです。

 

このサイズが好きなんです。これより大きいと少し難しくなるし、小さいとちょっと力のない波になっちゃう。だからこの3フィートくらいのサイズが、ハンティントンにとって最高の状態だと思います。

 

五十嵐カノア © WSL/Kenny-Morris


インタビュアー: チャンピオンシップ・ツアーとはペースが違いますね。CTにはもちろんプレッシャーがありますが、こうして地元に戻ってきて、これからタヒチに向かうにあたって、この楽しい気持ちはどのように準備につながりますか?

 

五十嵐カノア © WSL/Kenny-Morris

 


五十嵐カノア: そうですね、まあ、試合があろうがなかろうが…今週のUSオープンでは、どのみち明日の夜には出発する予定だったので。だから、ええ、今日家に帰ったら荷造りを始めないと。本当に何も変わりませんよ。波がこんなに楽しいから、どっちにしろ今日は2回サーフィンしていたでしょうし。だから、僕にとっては全く違いはないです。

 

唯一の違いは、ジャージを着ていて、2時間じゃなくて30分しかサーフィンできないことくらいかな。でもそれ以外は、ただサーフィンをして、家に帰ったら毎日タヒチの準備をする、という感じです。


インタビュアー: タヒチにはどんなサーフボードを持っていく予定ですか?


五十嵐カノア: 短い板は持っていきません。ここで乗っているボードは全部ガレージに置いていきます。JSサーフボードの連中が、タヒチ用のボードをたくさん送ってくれたんです。昨日の夜それを取りに行ったんですけど、脇に抱えたら、すごく重くて、まるでボートみたいに分厚くて…。

こっちで使っているエポキシの板を手に取ると、すごく良くて軽くてワクワクするんですけど、でもタヒチに着いた途端、あの重いボートみたいな板が、爪楊枝みたいに感じることになるのは分かっています。

だから、すごい頭の切り替えが必要ですね。でも幸運なことに、タヒチには何度か行っているので、チョープーでのビッグウェーブの前日にハンティントンでサーフィンすることには、ある意味慣れています。

 

インタビュアー: 2つの異なる世界を生きているんですね。カノア、おめでとうございます。この後行われるラウンドオブ16で会いしましょう。

 

 

見事ラウンドオブ16を1位で勝ち上がり、ファイナルズデーへの切符を勝ち取った2度のUSオープン・チャンピオンである五十嵐カノア。クオーターファイナルのヒート2ではブラジルのマイケル・ロドリゲスと対戦する。

 

 

インタビュアー: ヒートの途中で新しいボードに切り替え、ファイナルズデーへの道を切り開きましたね。カノア選手、あのヒートでは何を見せたかったですか?

 

五十嵐カノア: ええ、そうですね…、ここハンティントンでサーフィンするなら、こういう時が一番好きなんです。オンショアの時は…まあ、オンショアで風が強い時は誰もいないっていうのが主な理由ですけど。でも、こういうコンディションだと、もっと波に乗れるし、もっと早く海から上がれる気がするんです。5本か10本波に乗ったら、家に帰れますからね。

 

でも、本当にここでサーフィンするのが大好きで、それに、ここは本当に特別な波なんです。サーフィンするのは難しいです。僕のベストウェーブのうち2本は、確か3番目か4番目の優先権を持ってた時でした。誰も見ていなかったんですけど、僕はあの波が良い感じになるって分かってたんです。ラッキーなことにうまくいきました。すごく楽しかったし、新しいボードも試せたので、いい一日でした。

 

五十嵐カノア © WSL / Pat Nolan
五十嵐カノア © WSL / Pat Nolan

 

インタビュアー: ここハンティントンビーチでのファイナルズデーに進出ですね。この観客の前で競技できることは、あなたにとってどれほど特別ですか?

 

五十嵐カノア: ここで試合をするのは本当に大好きです。桟橋に僕のバナーが掲げられていて、『カノア HB ‘til we die(死ぬまでハンティントンビーチ)』って書いてあるのを見ました。本当にそういう気持ちなんです。ここで育ちましたからね。ここの学校制度を経験しました。

 

五十嵐カノアのバナー © WSL / Pat Nolan

 

サーフィンの授業は海でありましたし。ええ、彼らが僕に、サーフィンをして、上達するためのプラットフォームを与えてくれたんです。そして、他の生徒より少しだけ楽をさせてくれた校長先生や先生方には本当に感謝しています。だから、本当にそれに感謝しています。

 

インタビュアー: ここビーチにはたくさんの友人やファンがいると思いますが、世界中で見ている人たちに何か言いたいことはありますか?

 

五十嵐カノア: ありがたいことに、世界中に僕を応援してくれる人がたくさんいます。アメリカにいる人たちの多くは、ここのビーチにいます。ライブで応援してくれている日本のファンの皆さん、みんな、いつも応援ありがとうございます。

本当にこの大会はスペシャルなイベントなので。ファイナルズデーも本当に楽しみなので、このまま続けて次のラウンドも頑張ります。ありがとうございます。

 

10年前の借りを返したい。大原洋人のUSオープンでの逆襲が始まる

 

大原洋人 © WSL/Kenny-Morris

 

大原洋人は、見事に仕事をやってのけた。ヒート残り10分で4位と厳しいい展開。しかし、そこから6点台後半を2本揃え、4位から1位にジャンプアップして、逆転トップでラウンドアップを決めた。

 

アナウンサー (ミッチ・サラザール): ヒロト、おめでとう。4位から一気に1位までジャンプアップしましたね。本当に厳しいヒートでした。母国で見ている視聴者のために、ここレクサスUSオープン・オブ・サーフィンで戦うことがどれだけ難しいか、少し説明してもらえますか? 今日はここまでどのヒートも接戦でした。

 

大原洋人: いやー、ヒートの序盤は本当にひどいものでした。ええ、最初の12分か11分くらいまで波に乗れませんでした。それからは、とにかく波を捕まえようということだけ考えていました。そして、5点か6点台を出せれば最高だと。

 

それで、残り7分か6分くらいになって、もう1本乗って、同じようなスコアを出せれば勝ち上がれると思いました。だから、あまり緊張とかはしていなくて、最初の波を逃して、じゃあ次はどれがいい波か見極めよう、という感じでした。今日の午後はすごくトリッキー(難しいコンディション)なので。でも、2本波に乗れて最高です。

 

大原洋人© WSL / Pat Nolan
大原洋人© WSL/Kenny-Morris
大原洋人© WSL / Pat Nolan

 

アナウンサー: おめでとうございます。素晴らしいヒートでしたね。元チャンピオンとして、クォーターファイナル(準々決勝)進出です。ビーチにはたくさんの応援がありますが、オンラインで見ている日本の皆さんへ、何か大きなメッセージはありますか?

 

大原洋人:まず早朝応援ありがとうございます。久しぶりにクォーターファイナルまで来れて、とりあえず嬉しいし、ほっとしてます。でも明日最終日で、10年前の借りというか、その時は優勝したんですけど、10年以降いい結果出せなかったんで、ここで久しぶりに表彰台上りたいなって思ってるんで。皆さん、たくさんの応援よろしくお願いします。

 

 

 

大原洋人はクオーターファイナルH3でマリブのジャパニーズブラッド渡部太郎と対戦する。

 

昨日持ち越しとなった池田美来のヒートは、アリッサ・スペンサーがスタートからエクセレントを叩き出し独走態勢。2位争いを演じた池田は最後まで食らいつきラスト2本で6.60 と 5.03をスコア。惜しくも逆転ならず3位となり、17位でフィニッシュとなった。

 

西慶司郎 © WSL / Pat Nolan
加藤翔平 © WSL / Pat Nolan

 

男子ラウンドオブ32はH3に西慶司郎、H4に五十嵐カノア、H6に大原洋人と加藤翔平がクレジット。西慶司郎と加藤翔平は大応援団の歓声をパワーに変えて、好調なサーフィンを続けたが惜しくも敗退。

五十嵐カノアと大原洋人がラウンドオブ16へ勝ち上がった。

 

 

2015年には優勝したが、ここ数年は、USオープンでリズムを掴めなかった。今日の成功の要因は何だと思いますか?という質問に対して大原は、「ええ、そうですね、ここ2年ほどは、ここで結果を出すのに苦労していました。」と認めた。

 

「でも、ここは僕の場所みたいな感じがするんです。以前優勝したこともありますし、ここの波が大好きなんです。特に波が日本みたいに感じられるので。でも、今年は絶対に勝ちたいというか、良い結果を出したいです。

 

でも同時に、自分のサーフィンに集中していて、すごい結果を出そうとかは考えていません。ただ自分のヒートに、一本一本の波に集中して、それでヒートを勝ち上がれて嬉しいです。」と語った。

 

 

 

明日のファイナルでは、クオーターファイナルのH2に五十嵐カノア、H3に大原洋人が登場。

 

今回も日本サーフィン連盟強化部からコーチや撮影・分析のためのカメラマンを派遣し、現場で指導を行う。

 

がんばれ!日本!

 

ライブ観戦

レクサス US オープン・オブ・サーフィン・プレゼンテッド・バイ・パシフィコは、2025年8月3日(日)まで開催されます。このイベントは、WorldSurfLeague.com および無料の WSL アプリでライブ中継されます。

詳細については、WorldSurfLeague.comをご覧ください。