
南アフリカ、東ケープ州ジェフリーズベイ(2025年7月13日(日) – ワールド・サーフ・リーグ(WSL)チャンピオンシップ・ツアー(CT)第10戦、コロナ・セロ・オープン・J-ベイが、3~5フィートのコンディションの中で開催。男子のラウンドオブ16が35分ヒートで行われた。
男子ラウンドオブ16のヒート3では、五十嵐カノア(JPN) は クロスビー・コラピント(USA)と対戦。
WSL ランキング 3 位の五十嵐カノア(JPN)は、ワールドタイトル争いへのチャンスを得るため、WSL ファイナルへの復帰を目指しているが、ファイナル 5 のプレッシャーから解放されたクロスビー・コラピント(USA)は危険な対戦相手だ。
そんなクロスビーが5.50をスコアしてヒートが開始。しかし、カノアもクリティカルなポジションでのビッグターンを何度も決めて6.33をスコアしトップを奪い取り、激しいデッドヒートが展開される。
両者とも決定的なスコアがない中でバックアップを上げたクロスビーが再び逆転。カノアは優先権を持ってビッグセットを待つ。
後半に入り、カノアが波を掴み4.17をスコア。再びトップに躍り出る。クロスビーは優先権のない中で果敢にチャージを繰り返すがスコアを伸ばせない。

残り5分を切って、ビッグセットをつかんだカノアは、ポケットでのクリティカルなレイバックスラッシュを何度もメイク。インサイドまで駆け抜けてコンプリート。7.17というヒートベストを叩き出し、見事クオーターファイナルのベスト8進出を決めた。
五十嵐カノア、タフなコンディションを制し準々決勝へ

南アフリカのジェフリーズベイで開催中のCT第9戦「Corona Open J-Bay」。大会は強風が吹き荒れるトリッキーなコンディションの中、ラウンドオブ16が行われ、五十嵐カノアが見事なヒート勝利でベスト8進出を決めた。
ヒート後のインタビューで、彼は厳しい戦いの内実と、シーズン終盤のランキング争いへの熱い思いを語った。

「カットバックのやり方を忘れたかと思った」 厄介なJベイの風
「僕自身が観戦のプロになったような気分でしたよ」と、五十嵐は冗談めかしてヒートを振り返った。オフショアが強く吹き付ける今日のコンディションは、トッププロにとっても極めて難易度が高かった。
「カットバックのやり方を忘れちゃったかなって思うくらいでした。とにかく波の最後まで乗り切れればそれでハッピーだって感じでしたね」。
普段であればサーフィンを躊躇するようなコンディションでの戦いは、彼に多くを気づかせた。「こういうコンディションは、普段なら絶対パドルアウトしない。でも、こういうヒートがある場合に備えて、練習しておくべきなんでしょうね」と語り、厳しい環境での勝利の重要性を強調した。


高まるプレッシャーをパワーに変えて
この勝利で準々決勝進出を決めたカノア。WSLファイナルズ出場権をかけたランキング争いが激化する中、プレッシャーについて問われると、彼はポジティブな姿勢を見せた。
「今夜ファイナルデーに残れるとわかってベッドに入れるのと、今すぐ家に帰るためのフライトを予約するのとでは、大きな違いがありますからね」と安堵の表情を見せつつも、「シーズンの後半は一つ一つのヒートが本当に重要です」と気を引き締める。
「僕にとってはエキサイティングですよ。良い戦いだと分かっているから、時々興奮して夜なかなか眠れないことがあるくらいです」。プレッシャーを力に変え、彼は戦いそのものを楽しんでいる。
「もちろん、イタロやヤゴのようなベテラン勢が常にトップ5にいますが、僕やジャック、レオ、グリフィンのような若い世代がトップ5のポジションをかけて戦っている。だから、楽しいんです。」
重要な一戦を制し、勢いに乗る五十嵐カノア。世界の頂点を目指す彼の挑戦は、これからも続いていく。
ヒート7では、コナー・オレアリー (JPN)が、世界ランク4位の強豪イタロ・フェレイラ(BRA) と対戦。ヒートはスローな展開。
コナーはビッグセットを選び、ポケットでパワフルなバックハンドを披露。エクセレントの8.50をスコアして素晴らしいスタートを切る。イタロは5.33で応戦する。


コナーは後半に入り、スモールウェイブながらクリーンなターンをメイクし、バックアップ4.33をスコア。イタロをニード7.51に追い込む。
完全にリズムが狂ったイタロはグッドセットを掴むもワイプアウト。最後にイタロは7.00をスコアするも逆転ならず。コナーが逃げ切り、見事ラウンドアップを決めた。
絶好調のコナー・オレアリー、ファイナルデーへアクセル全開!
大会を通して好調を維持するコナー・オレアリー。この日も朝の第1ヒート以来となるエクセレントスコアを叩き出し、その勢いは止まらない。インタビューでは、好調の秘訣とファイナルデーへの熱い意気込みを語った。
快進撃の秘訣は「良いお守り」
インタビュアーから昨日に続き「マジシャンのよう」と評された快進撃について、オレアリーは「良いお守り(good juju)があるんだと思うよ」と笑顔で答えた。
「こういう場所で良いポイントを出せるのは嬉しいし、自分が正しいことをやっているという自信にも繋がる。良い感じだね」と、メンタル面の充実を好調の要因に挙げた。

王者イタロとの攻防「自分の判断にがっかりした」
ヒート終盤、元世界王者イタロ・フェレイラがエアリアルを狙う緊迫した場面があった。しかしオレアリーは冷静だった。「心拍数が上がったというより、彼にチャンスを与えてしまった自分の判断にがっかりした」と振り返る。
「彼のような相手には少しの隙も与えられない。今回はラッキーだった。ファイナルデーに向けてもっと引き締めないと」と、勝利の中にも課題を見出し、気を引き締めた。
目標は「史上最高のバックサイドサーフィン」

このポイントブレイクでのグーフィーフッターの優勝者は過去に2人しかいない。3人目の偉業への期待がかかる中、オレアリーは大会前に抱いた大きな目標を明かした。「ここで誰も見たことのないような最高のバックサイドサーフィンを披露したいんだ」。
そして、来るべきファイナルデーに向けて力強く宣言した。「この調子を維持して、あとはもうアクセル全開、ブレーキなしだ。行こうぜ!」
コナーのクールでアグレッシブなサーフィンが、ファイナルデーの主役となるか。期待は高まるばかりだ。