五十嵐カノアはオープニングラウンドを突破。二度と来たくなかった場所から、お気に入りの舞台へ。五十嵐カノア、Jベイでの進化を語る

南アフリカ、東ケープ州ジェフリーズベイ(2025年7月12日土曜日) – ワールド・サーフ・リーグ(WSL)チャンピオンシップ・ツアー(CT)第10戦、コロナ・セロ・オープン・J-ベイは大会2日目。

 

一晩でスウェルはサイズアップし、スーパーチューブスには4~6フィートの波がブレイク。男子のオープニングラウンドは、現地時間の午前 7 時 33 分から 30 分間のヒートでスタートし、その後、女子と男子のエリミネーション・ラウンドが行われる。

 

 

男子オープニング・ラウンドで五十嵐カノア(JPN)はH2で、ルーキーのジョエル・ヴォーン(AUS)、アレホ・ムニーツ(BRA)と対戦。

カノアはスタートから高速ターンでセクションを抜けて5.83をスコア。ワンライドでボードを交換したカノアは、後半に6.50、更にラストウェイブでは7.83をスコアして1位で勝ち上がった。

 

五十嵐カノア WSL / Kody McGregor
五十嵐カノア WSL / Kody McGregor

 

素晴らしいコンディションとなったジェフリーズベイで行われたヒートで、見事なパフォーマンスを披露したカノア。試合後のインタビューで、彼がこの地で遂げた劇的な成長の軌跡と、その裏にある名コーチの存在について語った。

■ 苦悩のルーキー時代「夜も眠れなかった」

 

2016年のルーキーシーズンに初めてJベイを訪れたカノア。しかし、最初の2年間は「二度とツアーカレンダーに載らないでほしい」と思うほど、この世界屈指のパーフェクトな波に苦しめられたという。

 

「ラインを抜けられず、レールを入れることすらできませんでした。本当に難しい波で、一年で唯一、夜も眠れなかった大会です。翌朝、ヒートで恥をかくのが怖かった」と当時を振り返る。完璧すぎるがゆえにサーファーのわずかな欠点をも浮き彫りにするJベイの波は、若き日の彼にとって大きな壁だった。

 

五十嵐カノア WSL / Alan van Gysen

 

しかし、彼は諦めなかった。毎年オフシーズンにもこの地を訪れて練習を重ね、経験を積むことで波への理解を深めていった。その努力が実を結び、今では「ツアーで一番好きな大会の一つ」と語るほど、自信を持って波に乗れるようになった。

 

 

 

■ 勝利の鍵を握る名コーチ、ジェイク・パターソン

 

彼の成長を支えるもう一つの大きな存在が、コーチであり、Jベイで2度の優勝経験を持つレジェンド、ジェイク・”スネーク”・パターソンだ。

 

「ジェイクはいつも僕に多くの洞察を与えてくれます」とカノアは語る。波の角度やライン取りに関する的確なアドバイスは、他の選手が見逃すようなチャンスを掴むための鍵となっている。「彼のおかげで、他の人には見えない波の何かを見ることができる。僕の強さはジェイクのようなコーチがいることから来ていると感じます」と、その絶大な信頼を口にした。

 

かつての苦い経験を乗り越え、たゆまぬ努力と名コーチの導きによって、Jベイを得意の舞台へと変えたカノア。彼の強さは、経験と知識が融合した先にあることを証明してみせた。

 

 

H3でコナー・オレアリー(JPN)は、ヤゴ・ドラ(BRA)、マシュー・マクギリヴレイ(RSA)と対戦。ヒートはヤゴ・ドラの度肝を抜くバックハンドのフルローテーション・エアで開始。エクセレントの9.33をスコアしてヒートは完全にヤゴ・ドラがコントロール。コナーは惜しくも3位で敗者復活ラウンドへ回った。

 

 

ライブで観る

コロナ・セロ・オープン J-ベイは、2025年7月20日(日)まで開催される。このイベントは、WorldSurfLeague.comおよび無料のWSLアプリでライブ放送される。

詳細については、WorldSurfLeague.comをご覧ください。