
2025年3⽉7⽇(⾦)〜3⽉9⽇(⽇)に千葉県鴨川市「マルキポイント」にて、競技サーフィン強化指定選⼿による強化合宿が開催。今回は、ショートボード・ロングボード・ジュニアの強化指定選⼿が⼀同に集まった。

強化合宿3日目のマルキポイントは、昨晩の雨から一転、早朝は風が少し気になるものの、日が昇るにつれて穏やかな晴天となり、春を感じる天候。ハイタイドの時間帯は頭近いセットも入るクリーンな絶好のコンディションで合宿最終日が行われた。
本日はジュニアU18男女のラウンド2、U16男子のラウンド3、U16女子ラウンド2がISAの試合を想定し15分ヒートで行われ、U18男女ラウンド3、U16男子ラウンド4、U16女子ラウンド3。そして最終ラウンドのU18男女R4、U16男子R5、U16女子R4までを実施。
今回の合宿ではスキルと戦い方、タクティクスを見て、コーチ陣が判断する。アンダー16男子は昨日のラウンド2終了後に一次選考が行われ、4名がラウンド3には進めなかった。
本日も朝のミーティングで強化部から「勝ち上がることも大切だが、それが全てではないです。自分の持ち味を見せて欲しい」と説明。「この合宿の結果と4月のジュニアオープンの結果を加味して選考委員会の方で判断させてさせていただきます」と加えた。
また最後の男女U16、男女U18それぞれのラウンドのみ、この2日日間を総合的に見て、もう一度確認したい選手を選りすぐって4人ヒートを行うとした。



その最終ラウンドでは、U16で成功率の高いエアリバースなど圧倒的サーフィンを見せていた髙井汰朗がU18のヒートに組み込まれ、足立海世、岡野 漣、今福カレンとヒートを戦った。そして、期待通りのサーフィンを見せた高井が勝利を収めた。怪我からの復帰戦とは思えない素晴らしい復活の狼煙を上げた。




U18女子では、松野杏莉、鈴⽊ 莉珠、髙橋 結奈、⼩室瑠愛がマッチアップ。バリから帰国後に鴨川での集中練習を行ったという松野杏莉が、ISAやアジア選手権でも実績を残す試合巧者の力を見せつけた。




激戦のU16男子では、松野 太郎 、佐藤 頼⽃、藤⾕ ⽇向 、⽯⼭ 汰⼀ がマッチアップ。レフトの波を掴んでパワフルなバックハンドを決めた松野太郎が6.17をスコアして、好調だった佐藤頼斗の追い上げを振り切りトップで逃げ切った。




U16女子はアップカマーを揃え、一宮に住む⽯⽥ 海夏(みなつ) と⼭本 璃々の仲良しコンビとISAジュニア経験者の森 舞果、メキメキと実力をつけている草深 ⼼虹 (くさふかみく)が登場。
石田と山本のグーフィーコンビも綺麗なロングレフトを掴むも、逆にクリティカルなターンを決めた草深がベスト2を揃えて圧倒。非常に将来が楽しみになるヒートとなった。
全ヒート終了後にJOCナショナルコーチの田中英義氏が今回の総評を語った。「自分が皆さんに伝えたいことは、ひとつのミスで1回戦負けと優勝の差が出るということ。
今回うまく出来た人もそうでなかった人もいると思うのですが、小さなことで結果がガラッと変わるということです。ここで何が良くて何が悪かったかを突き詰めて考えて、それ次に繋げて欲しいと思います、それを紙に書くことが大事で、可視化して目で見ることが大事。」と説明した。
ジュニアの合宿も終わり、最終的な代表選考は4月のジュニアオープン後に行われる。まだISAから詳しい内容も発表されてないので、大会がどこでいつかもわかっていない状況。
12個のジュニアの代表枠は3名の内定が出ているものの、まだ大きく開かれている。ジュニアオープン終了直後に選考結果の発表も行われない可能性があるということなので注意しよう。
注目されるU16&U18ジュニア選手。

⼩野 ⾥弦 (U18世界ジュニア選手権内定)
18歳、静岡県の伊東市出身、ホームブレイクは宇佐美。ジュニアオープンU18で2連覇を飾り、2024年全日本ジュニアクラスでも優勝経験がある。
今回の強化合宿の感想:試合じゃないんですけど、今年の初めの試合の練習として試合のイメージができたっていうか、久しぶりだと試合の感覚とかが、わからなくなることがあるんですけど。次の試合に繋げられるかなって思いました。
今回のマルキのコンディションは:タルかったり、張って良い波なんですけど、なかなか波選びだったりが難しくて、得意技がエアなんで、やっぱエアする波が見つけづらかったですけど、サーフィンとしては楽しかったなと思います。
内定しているISA世界ジュニアへの意気込み:ISAジュニアU-18が今年で最後になるので、金メダルを目指して気合入れて、金メダル獲得そこだけが目標です。前回のISAのブラジルでは13位でよくない結果だったんです。その時エアは決めて点数は出たんですけど、良い波乗れても他の選手よりターンがしょぼかったので、今回はそこを調整していきたいなと思います。

⾜⽴ 海世 U18
17歳、静岡県の伊豆市出身、ホームブレイクは特になく伊豆全体。ハワイのハレイワ・インターナショナルで優勝、マウイのホノルアベイでの試合でも優勝経験を持つ。モルディブのアジア選手権でもU18で準優勝。
今回の強化合宿の感想:講習会とかは自分がサーフィンしていく上で大切なことかなと感じました。
今回のマルキのコンディションは:結構楽しいん波ですね。ファンウェーブって感じ。昨日の夕方の試合後だったんですけど、結構波あって自分的には楽しかったかなって感じです。サーフィンの調子はいまいち良くないんですけどね。
ISA世界ジュニアへの思い:行ける前提で言うなら次は優勝します。今はISAのジュニで優勝することが一番の目標です。
ハワイでチャージすること:ハワイは上手い選手がたくさんいるので毎年行っています。世界で戦うのに、そこでサーフィンするというのが自分の世界チャンピオンになる夢のために、やらなきゃならない場所だと思っています。

岡野 漣 U18
16歳、神奈川県茅ヶ崎出身、ホームブレイクはパーク。ISA 世界ジュニア選手権 U-16 日本代表 (2023年/2024年) JPSA 男子最年少プロ資格獲得(2021年)
今回の強化合宿の感想:こういう試合形式で練習できて、すごい良いと思います。講習とかは結構難しいことも多いんですけど、そういうことを教えてもらったので良かったです。
今回のマルキのコンディションは:そうですね。風がちょっとと良くて、煽られやすいんですけど、でも来ればそう良い波なんで楽しかったです。結構マルキの波との相性がいいです。
ISA世界ジュニアへの思い:今年まず代表に選ばれるように努力して、ISAで優勝を狙っていきたいです。

髙井 汰朗 U16
16歳、神奈川県茅ヶ崎出身、ホームブレイクは平塚の生コン。昨年モルジブで行われたアジアサーフィン選手権U18で金メダル獲得。
今回の強化合宿の感想:今回は去年の9月に怪我(右膝)してしまって、それの復帰戦であったので結構楽しみにしていて、実際やってみても、なんか凄く良い感じで試合ができたので楽しかったです。
今回のマルキのコンディションは:ちょっとタルいとは思うんですけど、結構クリーンですごくいい波です。
ISA世界ジュニアへの思い:ISAのジュニアは2回行ったことあります。その時はR3とか4ぐらいで負けちゃって、良い結果が出せなかったです。その時は単に自分の実力不足かなって思いますね。もっと上手くなんなきゃなって思いました。今年も選ばれて、今年は個人でも団体でも金とれるように頑張りたいです。

松野 太郎 U16
15歳、千葉県の一宮出身、ホームブレイクは志田下。第41回全日本級別サーフィン選手権大会1.2級クラス準優勝、AAAの宮崎市長杯準優勝、仙台のAAで優勝。カリフォルニアのNSSAのU14で3位、U16で3位。
今回の強化合宿の感想:自分の同年代の人たちとずっと何回も試合ができて、自分が本当に学ぶことが多かったです。昨日は初めて講習を受けて、自分が分からないところとか知らない事とかを教われたので、めちゃくちゃ良かったです。
今回のマルキのコンディションは:潮が上げていると本当に波が厚くて、ちゃんと一番いいリップがヒットし難いい波で、凄く難しかったです。
ISA世界ジュニアへの思い:自分もあと何年かしかないので、出れるなら絶対出たいし、鴨川にも来てずっと練習していたから、出たい気持ちが強いです。
今後はISAに出るというひとつの目標と、もっと世界に出て戦いたいので、アメリカとかでもっと試合に出てNSSAでナショナルチャンピオン取りたいです。
世界で戦うのが目標なのでアメリカの子達と試合すると、自分のモチベーションも上がるし、友達もできて英語も身についてくると思うので、そういう感じでやっています。

髙橋 結奈 (U18世界ジュニア選手権内定)
17歳、千葉県旭市出身、ホームブレイクは旧カンポ前。第58回全日本サーフィン選手権大会 ジュニアクラス 優勝
今回の強化合宿の感想:同世代のトップの人たちと試合練習できて、本当の試合じゃないからこそ、やりたいことがたくさんできました。自分の中でこれは駄目だ、こういう試合運びは良いんだなとか、そういうのがわかって良いと思いました。
講習会では、ドーピングとか知らないことが多くて、サプリメントとかでも引っかかっちゃうとか、そういうのがわかって。今回新しく気付けて、知らなかったことを知れて、すごい良かったなと思います。
今回のマルキのコンディションは:個人的に苦手な波で、難しいんですけど、頑張ってますって感じですね。
内定を得たISA世界ジュニアへの思い:今まで代表になったことはないです。ジュニアは今回初めてで最初で最後ですね。今回は楽しむことが一番で、楽しみながら自分のサーフィンをして、勝って最終的にはメダルを取ることが目標です。
でも自分のサーフィンがしたいです。海外での試合は、この前の台湾のQS5000に出たぐらいです。負けちゃったんですけど海外の選手と戦うのがめちゃくちゃ楽しくて、良い経験になりました。ISAも楽しみです。

⾺場 ⼼ (U16世界ジュニア選手権内定)
15歳、静岡県の伊豆出身、ホームブレイクは多々戸浜。アジアサーフィン選手権で2位。全日本選手権ガールズクラスで優勝。
今回の強化合宿の感想:レベルの高いライバルたちの中で、練習試合形式の練習ができたことがよかったなと思います。また講習会ではにドーピングについて駄目なことなんだなっていうのをしっかり頭に入れることができました。
今回のマルキのコンディションは:割れづらくて早くて、でもいい波で、その苦手なコンディションだったけど、いいライディングが15分以内にできて良かったと思います。
ISA世界ジュニア内定の意気込み:世界の同年代の子たちとは全然レベルが違くて、まだまだ勝てるとは思わないけど、その自分の全力を出し切れるように頑張ります。
目標としてジュニアオープン優勝したいなって思っています。あとはQSに出始めたいと思っていて、初めてなので良い結果が出せるとは思わないけど、経験としてしっかり学ぶことが出来たらなって思います。
プロ公認は取ったんですけど登録はしてなくて、まだ迷っています。まだNSAで実力伸ばして、ちゃんとプロになっても勝てるようになってから、もう一回行に取った方が良いのかなって思ってます。プロとして勝てる技術を持ってからかなって思っています。

松野 杏莉 U18
17歳、千葉県一宮出身、ホームブレイクは志田下。NSSA NATIONALS CHAMPIONSHIP 4位、2021年のJPSAランキングで3位。2023年の北泉フェステバルで優勝。
今回の強化合宿の感想:そうですね。今回たくさん良い波があったんです。なので、たくさんいい波で試合できて、とても楽しかったです。勉強になりました。自分の悪いところがたくさん修正できるチャンスがあったので、次の試合に活かせるなって感じました。
講習会では、お酒とかギャンブルとか、そういうのに流されて影響されないように、アスリートっていうのをしっかり肝に銘じて、選手生活を送りたいなと思いました。ありがとうございます。
今回のマルキのコンディションは:バリ島で試合があったんですけど、そこから帰ってきてからすぐ鴨川に来てやってたんですけど、一番いいコンディションですね。波もいいし、ちょっと風強いですけど、それほど強風ではないし、試合しやすいし、みんなも楽しいコンディションではないかなと思います。
ISA世界ジュニアへの思い:ISAジュニアは去年出場させていただいて、エルサルバドルで9位でした。その時は悔しい負け方をしたので、今年はジュニアが最後の年になるので、優勝して自信に繋げたいなって思っています。

高橋花音 U16
16歳、神奈川県茅ヶ崎出身、オーストラリア在住、スナッパーロックスやDバーで練習している。オーストラリアのオッキー・グロムコンプU16で優勝。ISA 世界ジュニア選手権 U16 日本代表(2022年/2024年)
今回の強化合宿の感想:最初、鴨川で練習させてもらってるときに、波に慣れるのが難しかったんですけど、その良い波で試合をやらせてもらったので自分のサーフィン、自分の得意技ができるように頑張りました。
講習会については、自分がその強化指定選手に選んでもらっているってことを常に忘れずに自覚を持って、そういう行いをしないように日頃から気をつけていきたいなと思いました。
今回のマルキのコンディションは:インサイド・ブレイクだったので、なかなか難しいなと思ったんですけど、オーストラリアでもダンパーな波を練習するために、そういうポイントで入っていたので、自分のサーフィンがしやすかったかなって思いました。
ISA世界ジュニアへの思い:ISAジュニアはエルサルバドルに2回いきました。その時は自分のサーフィンを100%見せることは出来なかったんですけど、学んだことも大きくて、自分のサーフィン人生の中でいい経験をさせてもらえたかなって思います。
自分のレベルを上げて、世界の同い年の女の子たちと同じように戦えたり、圧倒的な実力つけれるように頑張って練習していきたいなって思ってます。いまの目標としてはオーストラリアのプロジュニアとかQSとかに出て、自分のサーフィンが評価してもらえるようにやっていきたいなと思ってます。

また今回ジュニアの合宿には池⽥ 美来が、ヒート練習はしないものの最初から最後まで参加していた。怪我は順調に回復してる様子だった期待度ナンバーワンの池田。そろそろ我々の前で元気なサーフィンを見せてくれるだろう。
今回残念ながらインタビューはできなかったが、U16女子でエルサルバドルのISA初参加で9位という成績を収め、アジア選手権U18で優勝した実力のある⽯井 有沙もR1からキレのあるパフォーマンスを披露し注目が集まっていた。
今回の合宿では、ロングボードから始まり、オリンピアン達をはじめ日本の宝であるジュニア選手たちの素晴らしいパフォーマンスを鴨川のクリーンなコンディションで見ることができた。各選手の素晴らしい演技に感動した。
日本を代表するオリンピアンの4人のサーファーのメディア対応の素晴らしさは、アスリートとしての大きな成長を感じざるを得なかった。
そして、ジュニア選手たちの中には、体も大きく大人顔負けのパフォーマンスをする選手から、小さい体で思い切りの良いサーフィンを見せていた子供達に感動。日本の未来を担う素晴らしい宝が育っていることを感じた。
このまま彼らが素晴らしい日本のサーフィン界を背負っていくことを願う。頑張ろう日本。スタッフの皆さんもお疲れ様でした。