
2025年3⽉7⽇(⾦)〜3⽉9⽇(⽇)に千葉県鴨川市「マルキポイント」にて、競技サーフィン強化指定選⼿による強化合宿が開催。今回は、ショートボード・ロングボード・ジュニアの強化指定選⼿が⼀同に集まった。
今回の合宿ではサーフィン技術強化を始め、コンプライアンス研修などが行われた。
強化合宿2日目のマルキポイントは、昨日までの強い風が収まり、朝の潮の上げた時間帯は頭近いセットも入るクリーンなコンディションでヒートがスタート。
午前7時半からジュニアのアンダー16の男女ラウンド1、アンダー18の男女ラウンド1、アンダー16男子のラウンド2が行われ、その後昨日ラウンド1、2が行われたショート男女(シニア)のラウンド3と4が行われた。
またジュニア強化指定選手を対象としたインティグリティの講習、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)講習も行われ、ヒート終了後には強化指定選手、関係者スタッフ全員でビーチクリーンが行われた。
ジュニアの強化指定選手に対して酒井理事長からは「合宿ではヒートだけではなくて、講習にも参加してもらいます。いろいろなことを吸収いて帰ってもらえてたらなと思います。世界戦に向けての選考にもなるので、普段の力を100%出せるように。」
「皆さんは強化指定選手として、日本の未来を背負っています。今回の合宿もJOCからの予算が出て集まってもらってます。ですからサーフィンが上手いだけではなくて、一般のサーファーの人から尊敬されるようなサーファーになってほしい。ならなきゃいけない。厳しいようですが、陸でも尊敬されるような行動をしてください。」とジュニア選手たちに気持ちを伝えた。
またISA世界ジュニアは今年の後半に行われるような方向で進んでおり、春先に行われることはなくなったと酒井氏が発表。(場所は未定)
今回の合宿にはJOCのナショナルコーチの田中樹、田中英義、河村海沙、大石純也も参加し、強化部と共に代表選考を行った。
今回は、2025年開催されるISA主催の3⼤会の選考合宿という位置付けの強化合宿。昨日はISAワールド・ロングボード・チャンピオンシップ(WLC)の日本代表4名が内定。
本日と明日でISA-WSG、ISA世界ジュニア(WJSC)に加えて、第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)のサーフィン競技(ASF)へ出場する選手の1枠を選考する。
ただし、選手名の正式な発表は後日になる(4月以降)。またISA世界ジュニアに関しては今回の合宿の評価に加え、4月に湘南鵠沼で予定されているジュニアオープンの結果を加味しての選考となる。
今回の合宿ではスキルと戦い方、タクティクスを見て、コーチ陣が判断する。アンダー16男子はラウンド2終了後に一次選考が行われ、4名がラウンド3には進めなかった。
本日はシニアのショート男女のラウンド3と4が行われて、シニアクラスは終了。昨日から選手は男女とも6名に絞られ、男子では大原洋人、稲葉玲王、西慶司郎、小林桂、西優司、安室丈。女子は松田詩野、野中美波、中塩佳那、脇田紗良、松岡亜音、都筑有夢路が合宿2日目に参加した。

ヒートの勝敗ではないとはいえ、男子では大原洋人、稲葉玲王、小林桂が圧倒的なパフォーマンスを披露して各ラウンドでトップ。女子は中塩佳那、松岡亜音、脇田紗良がトップを取った。
ラウンド3では自分の理想通りのヒートができたという稲葉。得意のレイバックスラッシュをメイク。バックハンドでもインサイドでビッグリエントリーをメイクするなどし圧倒した。

稲葉玲王
「1回目のヒートは思うように自分の理想通りのヒートができた感じでした。良かったなっていうのと2回目ちょっと調子悪かったので作戦ミスとミスが重なっちゃって、あともう寒すぎて体が固まっちゃいました。
ヒートとヒートの間隔が狭すぎて、1回着替えて暖まったりとかできなかったので、せめてそこにストーブでも置いてくれたら良かったです。
今回は勝敗よりもタクティクスを見せろと言われていたので、何に点数出ているかはヒート見ながら感じていたので、それに応えるように努力しました。
今回は、強化合宿といっても、みんなやっぱ本気の試合として練習してたと思うので、その試合の作戦だったり、そういう駆け引きも結構あって楽しく勉強になったと思います。戦略というか、波を乗らせたりとか自分がうまくそう狙ってる波に乗ったり。」
ビーチクリーンの大切さについて「サーフィンは地球温暖化とかの問題も身近なことなので、そのためにも少しでもできることから始めるというのが大切だと思っています」

自分のやりたいサーフィンができなかったという大原洋人だが、高さのあるテールハイのエアリバースなど攻めのサーフィンを披露した。USオープンの勝者リストに名を連ねる大原にとって、次のロス五輪での日本代表のポジションは絶対に外せないものだ。
しかし、彼にとってその前に叶えたいCTクオリファイという長年の夢がある。そこに向かって日々トレーニングに励み、確実に前進する大原の目標に寸分の狂いはない。
「そうですね。今日は昨日より自分的には良いコンディションになったのかなって思っていたんですけど、1回目と2回目の波のリズムが掴めなくて、自分のやりたいサーフィンが全然できなかったですね。
体的には昨日と変わらず、悪い感覚は全然なかったんです。
試合やる前に今回のこの強化合宿は、試合に勝つ負けるより、もっと違う部分を見てるって言っていたので、それだったらもっと自分らしい演技をしていきたいなという思いが、1回目(ラウンド3)はちょっと強くなりすぎて、空回りした感じでした。
一本一本自分の乗った波でできる演技をしようとしていたら空回りしました。だったので2回目は試合の意識を持って入って、ちょっと取り戻せたかなと思っています」
「今回人数は少なかったですけど、本当に限られた日本の今というかオリンピックとか世界の大会で通用するであろう選手たちだけが集まった試合形式の強化合宿でした。
普段1人で、自分の課題に向かって練習しているのもあるんですが、試合形式で実際にゼッケンを着て、ちゃんとしたジャッジに自分のサーフィンをスコアされて、いま自分自身のサーフィンがどういう位置にいるかとかを確認できるものでした。
周りの選手たちのお陰で良いサーフィンを見れば、もっといいサーフィンししたいなって思うし。例えば自分だったら、こうやってやったんだろうって思う瞬間もたくさんあったし。
普通の練習だけだと周りの選手のサーフィンを見ることはない。自分のサーフィンだけに集中してサーフィンに取り組んでいるので、そう言った面では、強化合宿は良い時間だったなと思います」

バックハンドでのキレのあるサーフィンが目を引いた松田詩野。パリオリンピックでビッグウェイブでのサーフィンに対応したトレーニングから、ビーチブレイクでのサーフィントレーニングに変更するため、オーストラリアなどで長い時間を費やしてきた松田。その成果が現れて、当て込むポジションもよりクリティカルになった。
「昨日よりも朝はサイズアップして、いい波かなっと持ったんですけど、時間が経つにつれて波も下がってきて、難しいコンディションになって。あまり良い波がつかめなかったんですけど、ヒート練習としては学べたので良かったです。
午後から風が入ってきて、波選びが難しかったんですが、そういったコンディションでも、手前と沖の波を使って波を探すことの大切さを改めて感じました。

今回は世界戦へ選考の試合なので、試合に勝つ負けるという順位ではなくて、みんなのベストを出したサーフィンが見たいという感じでした。
普段の試合だったら相手をブロックしたりとか、自分が勝ち上がるための点数とかを探しに行ったりするんですけど、今日は自分が点数出すというよりも、自分がベストを探して、ジャッジが何に点数を出しているのかっていうのを集中してやってほしいと言われました。
自分的には、もう少し波に乗ってチャンスを作りたかったんですけど、昨日と今日のコンディションが変わった中で、違いを自分でも実感できたので良かったなと思います。
こういう波でもパワーゾーンでターンするのが大事だと思って、それでフィニッシュのセクションでしっかりターンしてスプレーをあげるとか、そういったところを評価しくれていると思ったので、それを狙いました。」
今回行われたビーチクリーンに対して「私たち選手は自然の環境がある中で競技ができているので、サーフィンの良さとかを広めていきたいですね。」

チャレンジャー・シリーズ日本人1位で2025年ISAワールド・サーフィンゲームの女子日本代表の3枠のうちの一つで内定を得ている都筑有夢路。残りの出場枠は今回の合宿からの推薦枠と、QS日本人1位の選手に割り当てられる。
「昨日より少し波のサイズが上がって、朝のジュニアをやっている時間帯は、やりたいなって感じでしたけど、潮も引いたり風も出てきたりして、難しいコンディションになったんですど、友達と一緒にヒートができて楽しかったです。
難しいコンディションだったので、良い波に乗って、その波にしっかり合わせたライディングは点が高いなと感じました。まだ調整中なんですけど、更にスピード、パワー、フロー全部をレベルアップさせて、もっと早いサーフィンがしたいです。」
サーフィンがオリンピック競技になって、スポーツとして見てほしい気持ちがあるので、ビーチクリーンを通して、サーファーとして海に毎日入って練習させてもらっているので、海に対する感謝の気持ちで一生懸命やりたいと思います。

中塩佳那は、WJCで準優勝し国内のS・LEAGUEの女子初代チャンピオンも確定。現在QSアジア・ランキングも4位に付けており、QS日本人1位の選手に割り当てられる、2025年ISAワールド・サーフィンゲームの女子日本代表の3枠のうちの一つを目指す。
「波の時間によって変わっていたので、難しいコンディションでした。そのなかでも自分のライディングが、もっと出来るなって思ったんですけど、まとめながら試合ができたので楽しかったです。
普段当たらないメンツで試合するっていう、いつものQSとかとは違う心境の中で戦っていたので、今後の試合に繋げられる強化合宿だったなと思います。
とにかくいまはCSにクオリファイして、CSを戦ってCTで戦いたいなって思っていますし、それ以外にも自分は大学に行っているので、大学で学んだことを活かして、今のジュニアの選手だったり、育成とかに携わっていけたらなって思っています。
今スポーツコーチングを学んでいて、サーフィンに特化した教授とかはいないんですけど、他の競技のコーチングをしている人の授業だったりするので、サーフィンにどうやって生かせるかを考えながらやってます。」
今回のビーチクリーンのスポンサーである「蝶理株式会社」は繊維・化学品・機械の複合型専門商社。「地球人の一員としてより良い社会の実現」を企業理念とし「波乗りジャパン」をスポンサード。競技サーフィンを応援してくれています。https://www.chori.co.jp/






