ブラジルが団体優勝。糟谷修自はカッパーメダル獲得。大江なぎさ大健闘6位。日本9位。ISA世界マスターズ

Team Brazil / Photo: Jersson Barboza

サーフシティ・エルサルバドル – 2024年10月24日

2024年サーフシティ・エルサルバドルISAワールドマスターズ・サーフィン選手権(WMSC)の最終日。ブラジルがマスターズチームの世界チャンピオンに輝いた。

素晴らしい波がブレイクする中、エル・スンザルの長いライトポイントに4~5フィートのウォールがラインナップ。40歳以上の世界トップサーファーの中から世界チャンピオンを決めるには、まさに理想的なコンディションだった。

 

 

女子の3つの部門すべてでハワイが完全制覇を果たし、2連覇中のディフェンディングチャンピオン・ハワイは銀メダルを獲得した。2度の優勝経験を持つオーストラリアは銅メダル、そしてフランスはマスターズチームで初のメダルとなるカッパーメダルを獲得した。

 

Team Brazil / Photo: Jersson Barboza

 

ブラジルは6つの部門のうち5つの部門でメダルを獲得し、男子マスターズ(40歳以上)ではディエゴ・ロサが金メダルを獲得。

ロベルタ・ボルゲスジョジョ・デ・オリヴェンサはそれぞれ女子カフナ(60歳以上)と男子グランドマスターズ(50歳以上)で銀メダルを獲得し、アンドレア・ロペスジャクリーン・シルバはグランドマスターズとマスターズでそれぞれ銅メダルを獲得した。

 

ディエゴ・ロサ. 写真:Jersson Barboza
ディエゴ・ロサ. 写真:Jersson Barboza
ディエゴ・ロサ 写真:パブロ・フランコ

 

「世界チャンピオンだなんて、本当に嬉しいし、興奮している。今、世界の頂点に立ててとても幸せだ」とロサは語った。

「チームの皆もとても喜んでくれている。私たちは1週間ずっと一緒に頑張ってきた。ブラジルにいる連盟にもとても感謝している。彼らは私たちをここへ連れてくるために本当に頑張ってくれた。そして、私たちはここで最高のパフォーマンスを見せているのです」

 

 

ロサのパワフルなバックハンドは、グーフィーフッターの強豪であるギルバート・ブラウン(CRC)とヒラ・テリナトウファ(TAH)の2人、ISAワールド・サーフィン・ゲームズ(WSG)の2度金メダリストを上回った。

 

ブラウンはロサに強力な勝負を仕掛けたが、終盤の攻防でコスタリカ人がわずかに必要なスコアに届かず、銀メダリストとなった。

 

テリナトウファはリズムをつかむことができず、銅メダルに終わった。決勝戦で唯一のレギュラーフッターとなったタイレル・ジョンソン(南アフリカ)は、今週ずっと際立っていたが、カッパーメダルに甘んじる結果となった。

 

ベッキー・ベンソン、チーム・ハワイ / 写真:パブロ・フランコ

 

ハワイ女子が完全制覇! ベッキー・ベンソン、ロシェル・バラード、メラニー・バーテルスが優勝

 

 

女子サーフィンの3つの異なる世代を代表するベッキー・ベンソンロシェル・バラードメラニー・バーテルスは、それぞれが象徴的なプロサーファーとしてのキャリアを築き、本日、3人全員がワールドチャンピオンに輝いた。

 

ベッキー・ベンソン、チーム・ハワイ Credit: ISA / Sean Evans

 


67歳のベンソンは、52年前の1972年に初めてISAの大会に出場し、1976年には初のプロサーフィンツアーの一員として参加した。そして今日、彼女は女子カフナ・ワールドチャンピオンの初代王者となった。

1977年にWSLチャンピオンシップツアー(CT)で3位に輝いたベンソンだが、資金不足によりプロとしてのキャリアを早々に終えることとなった。

ハワイ出身の彼女は、それ以来、このスポーツにおける女子の状況がどれほど変化したかを非常に高く評価しており、WMSCでの競技のあらゆる側面を愛していた。

 

「1位でここに立てているなんて信じられない。とても嬉しい」とベンソンは言った。「これはたくさんの祈りが届いた結果です。神に感謝します。ISAにも感謝します。この素晴らしいイベントを開催してくれたエルサルバドルのサーフシティにも感謝します。

もし父がいなかったら、自分は今ここにいません。サーフィンもしていなかったでしょう。父はずっと自分を支えてくれました。母もそうです。これは彼らのための勝利です。彼らが見てくれていることを知っています。」

 

 

ロシェル・バラード、チーム・ハワイ / 写真:ショーン・エヴァンス
ロシェル・バラード、チーム・ハワイ / 写真:パブロ・フランコ

 

2012年のマスターズ世界チャンピオンのバラードは、彼女の部門で際立っており、常にエクセレントなスコアを出し続けており、決勝でもそれは変わらなかった。8.00でオープニングを飾り、すぐに8.90で応えたハワイアンは、他の3人のファイナリストを寄せ付けなかった。

 

2度のマスターズ世界チャンピオンに輝いたヘザー・クラーク(RSA)のパワフルなバックハンドは、バラードの正確性に最も迫ったが、南アフリカ出身の彼女は銀メダルに甘んじ、アンドレア・ロペス(BRA)が銅メダル、シリ・コタ(USA)がカッパーメダルを獲得した。

 

長年にわたり女子サーフィンのチャンピオンであり、2004年にはWSLワールドタイトルを犠牲にしてまで、このスポーツ界で強力な支援団体を立ち上げた53歳の彼女が、史上初の女子グランドマスターズ・ワールドチャンピオンとなったのは、まさにふさわしい結果であった。

 

「私はそのすべてを誇りに思っています」とバラードは言った。「女子サーフィンで、より深い根付きと躍動感が生まれるのは気持ちが良いものです。

私たちの世代、その前の世代、さらにその前の世代のすべての人々。それが今日の道を切り開いてきたのです。ですから、過去やルーツを決して忘れてはいけません。なぜなら、それは今に受け継がれているからです。そして今、私たちが皆、ひとつにまとまることが重要です。」

 

メラニー・バーテルス(HAW)写真:ショーン・エヴァンス
メラニー・バーテルス(HAW)写真:パブロ・フランコ

 

バラードの世代の影響を受けて育ったサーファーであるメラニー・バーテルス(HAW)が、今日、自身初の世界タイトルを獲得した。

 

イベントを通して最高スコアをいくつか記録し、ヒートごとのインタビューでも情熱的なコメントを残すなど、バーテルスは絶好調だった。 WSGで2度銀メダルを獲得している42歳の彼女は、エルサルバドルで金メダルを獲得する決意を固めていた。

 

CTで共に時間を過ごしたWSLワールドタイトル2位のセレナ・ブルック(AUS)とジャクリーン・シルバ(BRA)の両選手、そしてISA WSGのベテランであるリスベス・ヴィンダス(CRC)を相手に、バーテルズは圧倒的な強さを発揮した。

 

ファイナルではリズムをつかむまでにいくつかの波を要したが、一度つかむと、彼女のパワーは比類なく、8.67と7.93を記録し、7.57を上回った。ブルックは序盤に7.33、終盤に6.07を出し、銀メダルを獲得した。シルバは銅メダル、ヴィンダスはカッパーメダルを獲得した。

 

 

スコット・シンドラー、オーストラリアチーム / 写真:ショーン・エヴァンス

 

エリック・グラシエがフランスにマスターズ初の金メダル。スコット・シンドラーはオーストラリアの伝統を受け継ぐ

 

エリック・グラシエ(FRA)写真:Jersson Barboza

 

イベントを通してスコアを伸ばし続けたエリック・グラシエ(FRA)は、男子カフナ・ファイナルで自己最高となる9.33というスコアをマークした。

 

62歳のグラシエは、2010年のカフナ世界チャンピオンのロドニー・ボールドウィン(AUS)やサーフィンのレジェンドであるアレン・サルロ(USA)、糟谷修自(HAW)からの強力な挑戦にもかかわらず、ファイナル全体を通してコントロールを維持し、フランスに初のマスターズ・ワールドタイトルをもたらした。

 

ボールドウィンの銀メダルは、過去のイベントで獲得した金、銅、銅メダルと合わせ、カフナ全種をコンプリート。サルロの銅メダルは4つ目のメダルとなり、糟谷修自は初のメダルとなるカッパーメダルを獲得した。

 

「何歳であっても、どんなレベルであっても、ワールドタイトルを手にすることは、自分にとって一生の思い出となる瞬間です。世界中から集まった素晴らしいサーファーたちとサーフィンできることは本当に嬉しいことです。ヒート中であっても、彼らはとても敬意を示してくれます。誰もが順番を守り、お互いに競い合うというよりも、サーフィンで勝利を収めるチャンスなのです。」

 

 

糟谷修自が初のメダル獲得。

 

チームハワイで出場した糟谷修自。Credit: ISA / Sean Evans

 

ハワイ代表で男子カフナ(60歳以上)に出場していた糟谷修自は、ファイナルまで勝ち上がりエリック・グラシエ(FRA)ロドニー・ボールドウィン(AUS)アレン・サルロ(USA)と対戦。

ヒートはグラシエが9.33、ボールドウインが8.27というエクセレントをスコアして開始。糟谷もラウンドハウス・カットバックで4.57をスコアするもコンビネーションで3位を強いられる展開。ヒート終盤にはサルロに逆転されて4位でフィニッシュ。ハワイ・チームの銀メダル獲得に貢献した。

大江なぎさ、大健闘6位。

 

大江なぎさ Credit: ISA / Sean Evans

 

日本チームで唯一最終日まで勝ち上がった大江なぎさ。女子グランドマスターズ(50歳以上)リパチャージ3はハードな環境下での試合で点滴を打ちながら満身創痍で挑んだ。

ヒートでは元CTサーファーで2010年マスターズ・ワールドチャンピオンのヘザー・クラーク(RSA)が2本のエクセレントで他を圧倒する中、2位争いを演じた大江は、スタートからクリーンな波を捉えて、4.60と4.17をスコア。

大江なぎさ Credit: ISA / Sean Evans

 

しかしヒート終盤に逆転され、最後まで果敢にチャージを見せたが4位でフィニッシュ。今大会は日本選手最高位となる6位でフィニッシュとなった。

大江なぎさは、JPSA公認プロサーファーとし10年程活動後、長女を出産。妊娠出産を機にプロを引退。現在は家族でサーフィンを楽しみながら、アマチュアコンペティターとして夫婦でNSAの試合を転戦している。

日本チームの皆さん本当にタフな戦いを頑張り抜いたと思います。本当にお疲れ様でした。

 

日本選手結果

男子マスターズ(40歳以上):友重達郎 16位
男子グランドマスターズ(50歳以上):坂本應尚 11位
男子カフナ(60歳以上):久野孝 8位


女子マスターズ(40歳以上):清永亜希子 11位
女子グランドマスターズ(50歳以上):大江なぎさ 6位

スタッフ:大石純也、大村奈央

 

 

結果

チームランキング

金メダル – ブラジル

銀メダル – ハワイ

銅メダル – オーストラリア

カッパー – フランス

日本:9位

女子マスターズ(40歳以上)

ゴールド – メラニー・バーテルズ(HAW

シルバー – セレナ・ブルック(AUS

ブロンズ – ジャクリーン・シルバ(BRA

カッパー – リズベス・ヴィンダス(CRC

男子マスターズ(40歳以上)

ゴールド – ディエゴ・ローザ(BRA

シルバー – ギルバート・ブラウン(CRC

ブロンズ – タイレル・ジョンソン(RSA

カッパー – ヒラ・テリナトウファ(TAH

女子グランドマスター(50歳以上)

金メダル – ロシェル・バラード(HAW)

銀メダル – ヘザー・クラーク(RSA)

銅メダル – アンドレア・ロペス(BRA)

カッパー – シリ・コタ(USA)

男子グランドマスター(50歳以上)

金メダル – スコット・シンドラー(AUS)

銀メダル – ジョジョ・デ・オリヴェンサ(BRA)

銅メダル – パブロ・ディアス(PUR)

カッパー – ダニ・ガルシア(ESP)

女子カフナ(60歳以上)

金 – ベッキー・ベンソン(HAW)

銀 – ロベルタ・ボルジェス(BRA)

銅 – バーバラ・ロエッガー(PUR)

カッパー – サンドラ・イングリッシュ(AUS)

男子カフナ(60歳以上)

金 – エリック・グラシエ(FRA)

銀 – ロドニー・ボールドウィン(AUS)

銅 – アレン・サーロ(USA)

カッパー- 糟谷修自(HAW)

 

■2024 ISA WORLD MASTERS SURFING CHAMPIONSHIP

名 称  2024 ISA WORLD MASTERS SURFING CHAMPIONSHIP
主 催  国際サーフィン連盟(ISA)
期 間  2024年10月18日(金)~10月24日(木)※現地時間
開催地  El Sunzal El Salvador(エルスンザル/エルサルバドル)

大会URL     https://isasurf.org/event/2024-isa-world-masters-surfing-championship/