田岡なつみはQF進出。浜瀬海は5位。WSLロングボード・ツアー第3戦アブダビ・ロングボード・クラシック

田岡なつみ

フダイリヤット島、アブダビ、UAE(2024年9月28日土曜日) – 2024年ワールド・サーフ・リーグ(WSL)ロングボード・ツアー第3戦となるアブダビ・ロングボード・クラシック presented by Modonは、今日も新しいサーフ・アブダビ施設で、パーフェクトな3フィートの波の中、女子のオープニングラウンドと男子のクオーターファイナルが行われた。

 

Highlights from Day 2 of the Abu Dhabi Longboard Classic presented by Modon

 

女子オープニングラウンドのヒートはすべてトップシードの選手が勝利し、エルサルバドルへのシナリオはファイナルデーに持ち越されることとなった。

クオーターファイナルの各ヒートは、トップ8のシード権獲得に大きな影響を与える。男子クオーターファイナルでは、明日のビッグコンペティションデーを前に、出場選手が最終の4人に絞られ、さらに2つの予選枠が確定した。

 

ワールドチャンピオンのブルームフィールドとティリーがファイナルデーに進出

 

ホノルア・ブルームフィールド(HAW)© WSL / Damien Poullenot

 

ホノルア・ブルームフィールド(HAW)は、最初の2本の波で強さを発揮し、元ツアーの主力選手であるオフェリー・ア・クーエン(FRA)とルーキーのクロエ・コールマン(USA)の好調な滑りを見事に上回り、クオーターファイナルに進出した。

 

しかし、3度のWSLロングボードチャンピオンの彼女は、次の2本の波でさらにスコアを伸ばした。最初のレフトで8.00(10点満点中)をキープしたブルームフィールドは、2本目のライトで8.33を追加し、ヒートトータル16.33(20点満点中)という素晴らしいスコアで重要なイベントをスタートさせた。

 

ホノルア・ブルームフィールド(HAW) © WSL / Beatriz Ryder

 

「良かったです。幸いにもコンテスト前に8回ほど練習用の波に乗ることができたので、それがとても役に立ったと思います」とブルームフィールドは言った。「正直なところ、常に変化しているように感じますね。だから予測ができないです。

今日のように、ライトで風が吹くとは思ってもみませんでしたが吹きました。だから少し難しかったですが、それと楽しく向き合い、自分が何ができるか見てみようと思います最初のラウンドを乗り越えるのは、いつでも嬉しいものです。」

 

現在ランキング4位につけブルームフィールドは、ウェイブプールで開催された唯一のロングボードツアーイベント、2021年のクエルボ・サーフ・ランチ・クラシックで優勝し、10ポイントを獲得した経験があり、今大会では優勝候補の筆頭として出場。 トップ8入りを目指す25歳の彼女にとって、今回の勝利は大きな力になるだろう

 

レイチェル・ティリー(USA)© WSL / Tommy Pierucki

 

初めてのウェイブシステムで戦う2015年WSLロングボードチャンピオンのレイチェル・ティリー(USA)はこの波に上手く順応した。26歳の彼女は、この日最も高いシングルウェイブ・スコアのひとつとなる8.50をスコアし、ケアニ・カヌロ(HAW)とビクトリア・ヴェルガラ(FRA)を破るという快挙を成し遂げた。

 

レイチェル・ティリー(USA)© WSL / Tommy Pierucki

 

史上最年少ワールド・ロングボード・チャンピオンのタイトルを持つティリーは、トップ8入りを確定させ、ワールド・ロングボード・チャンピオンシップ・ブラケット内で有利なシードを確保するのに一歩近づいた。

同じくクオーターファイナルに進出した田岡なつみ(JPN)とともに、アブダビで優勝すれば、現在のツアーリーダーであるソレイユ・エリコ(USA)から第1シードを奪うチャンスがある。

 

レイチェル・ティリー(USA)© WSL / Damien Poullenot

 

「あのヒート前はすごく緊張していたんです」とティリーは言った。「これは本当に異なるフォーマットです。ひとつは出場前にやるべきことを把握しておくこと。そして、ヒートの数時間前に会場入りして、フリーサーフィンをしたり、何かをする場所がないことです。まったく異なる環境です。

ゼロからスタートしているような気分で、あのヒートを終えられて、本当に良かったです。8.50に関しては、エクセレントレンジを出したかったんです。それが目標でした。幸いにも、最後の2つの波では、1つはエクセレントレンジを持っていることがわかっていましたし、もう少しプッシュすることもできました。勝ち上がれて嬉しいですし、確実に自信につながります。」

 

田岡なつみ© WSL / Beatriz Ryder
田岡なつみ© WSL / Damien Poullenot
田岡なつみ© WSL / Beatriz Ryder

 

田岡なつみ(JPN)は、オープニングラウンドでマリア・フェルナンダ・レイエス(PER)とクリスタル・ハレット(RSA)と対戦。現在ランキング3位の田岡は、ミスのない安定感のあるライディングを披露。

ライトもレフトも2本目で攻めの姿勢を見せて、トップスコアを確保。トータル15.00をスコアして、全く危なげない強さでクオーターファイナルへ勝ち上がった。

 

今回ワイルドカードで出場の井上楓は惜しくも敗退。© WSL / Tommy Pierucki

 

トップ8のカットライン際にいるフランスのレモインとグロスピロンは好調なスタートを切る

 

アリス・リモイン(FRA)© WSL / Tommy Pierucki

 

このイベントに臨むにあたり、フランスのアリス・リモイン(FRA)とゾーイ・グロスピロン(FRA)は、ランキングで8位と9位という不安定な位置にいた。両サーファーとも、来月エルサルバドルで開催される2024年のワールド・ロングボード・タイトルを争うチャンスを得るには、今日のヒートでの勝利が必要だった。

 

リモインは、4つの波のうち3つの波で8ポイント台の素晴らしいライディングを披露し、この日の最高ヒートスコアとなる16.77(20点満点)を記録した。27歳のリモインは、タリー・ホワイト(AUS)というトップシードの選手から最も厳しい戦いを強いられた。

 

ヒート中、ほとんどの時間、ホワイトがリードしていた。彼女の素晴らしいスタイルとテクニックにより、トータルスコア14.06をスコアし、リモインは最後の波でスコアを出す必要があった。

最初のレフトで転倒したが、スコアが必要なことを理解していたリモインは、長いリスクの高いノーズライドをクリティカルセクションでキープし、8.47をスコアして勝利を収めた。

 

アリス・リモイン(FRA)© WSL / Beatriz Ryder

 

「そうですね、プレッシャーがすごくあったから、かなり大変だったけど、うん、ベストを尽くして良い波に乗りたいですね。」とリモインは言った。

「今の自分のサーフィンにはかなり満足しています。プールでサーフィンできるなんて最高です。女子はみんな同じ波に乗れるので、素晴らしいし、波も最高です。波に乗っているときは本当に楽しいです。コンテストに参加しているとは思えないほどです。大好きです。」

 

ゾーイ・グロスピロン(FRA)© WSL / Beatriz Ryder

 

オープニングラウンドで、グロスピロンはエマ・ペリエ(AUS)とカリフォルニア出身のアヴァロン・ガル(USA)と対戦した。ガルは、KSWCテクノロジーを利用した2021年のクエルボ・サーフ・ランチ・クラシックで、ファイナルに進出した4人のサーファーの1人であり、6ポイント台を2回スコアして、今日のヒートリーダーとなった。

 

グロスピロンは最初の波で、スタイル、ハイパフォーマンスなターン、クリティカルなノーズライドをうまく組み合わせ8.23ポイントをスコア。しかし、ビアリッツ出身の彼女はガルを破るためには最後の波で4.43ポイントが必要だった。やや安全策を取ったものの、目の前のチャンスを最大限に生かしたいという思いから、グロスピロンは5.53ポイントをスコアし、クオーターファイナルへの出場権を獲得した。

 

ゾーイ・グロスピロン(FRA)© WSL / Damien Poullenot


「このコンテストは自分自身との戦いだと思うので、落ち着いていました」とグロスピロンは語った。「波全体をサーフィンし、あまりあせらずに波をコンプリートしなければならないことは分かっていました。大きなスコアは必要ありませんでしたが、少なくともスコアは必要でした。

 

これが最後になるかもしれないと自分に言い聞かせ、ただ楽しんで終わらせようと思いました。波のタイミングは分かっていたので、ただ全力で波に乗りました。

この波をもっとサーフィンできる機会があることにとても興奮しています。エルサルバドルに行きたい気持ちはありますが、まずはアブダビで楽しみたいです。素晴らしい設備と波があり、スタッフもとても親切です。今はただ、ここでの生活を満喫しています。

 

グロスピロンは、ワールド・ロングボード・チャンピオン決定戦への出場権獲得まであと一歩のところまで迫っている。24歳の彼女はレギュラーシーズンの最終イベントに2年連続で出場しており、2023年には、順位を上げることはできなかったが、今日のヒート勝利により、2024年のチャンスは広がった。

 

 

アブダビ・ロングボード・クラシック最終日に向け男子ベスト4が決定。

 

浜瀬海(日本)© WSL / Beatriz Ryder
浜瀬海(日本)© WSL / Beatriz Ryder

男子クオーターファイナルのスコアは、波のミドル・セクションにあるクリティカルなチューブセクションが鍵となった。

 

グーフィーフッターのスティーブン・ソイヤー(南アフリカ)とレギュラーフッターの浜瀬海(日本)の対戦は、最初の波でそイヤーがワイプアウト。浜瀬も最初の波でサーフボードを折るアクシデントが発生した。

 

急遽バックアップボードでレフトの波を乗ったが、プレッシャーを物ともせず素晴らしいバレルをメイク。 浜瀬は8.90という高得点をマークした。

 

浜瀬海(日本)© WSL / Beatriz Ryder
スティーブン・ソイヤー(南アフリカ)© WSL / Beatriz Ryder

 

しかしソイヤーも2本目のライトでは、バックハンドのバレルで8.97をスコアしてアンサーバック。浜瀬はニード9.17と追い込まれた。浜瀬のレフトのラストライドでは8.23とスコアを塗り替えることができなかったが、その差は僅か0.27。

 

2018年のWSLロングボードチャンピオンのソーヤーに敗れたが素晴らしい戦いを演じ、5位入賞という次に繋がる結果を残した。

 

カニエラ・スチュワート(HAW)© WSL / Beatriz Ryder

 

バレルを最も有効に使ったのは、カニエラ・スチュワート(HAW)だった。彼は、エルサルバドルでの予選通過に強烈なアクセントを添え、、今大会でこれまでの最高ヒートトータルスコアをスコアしてロジェリオ・ジェイ・アール・エスキヴェル(PHL)を破り、2024年のワールド・ロングボード・タイトルを争うチャンスを掴んだ。

 

現在ランキング2位のロジェリオ・ジェイ・アール・エスキヴェル(PHL)も最終戦に出場が確定。© WSL / Beatriz Ryder

 

オープニングラウンドのヒートと同様に、スチュワートはこれまでのどのサーファーよりも深くバレルの中に入る革新的なテクニックを活用した。そのクリエイティビティが功を奏し、ライトで9.33、レフトで8.27というスコアを出し、合計17.60という結果に結びついた。

 

カニエラ・スチュワート(HAW)© WSL / Tommy Pierucki

 

「ただひたすら、自分がどうするかなど考えずに、神にすべてを委ねるようにと、ひとつひとつの波に祈っていました」とスチュワートが語った。 「あの波でトップになれて最高に嬉しいです。JRは本当にいいサーファーですからね。

いつだって、サーフィンに行って、『よし、ここでこれをやるぞ』なんて考えたことは一度もない。だから、体と心が導いてくれるままに任せたんです」

 

ジョン・マイケル・ヴァン・ホーヘンシュタイン(HAW) © WSL / Damien Poullenot

 

ジョン・マイケル・ヴァン・ホーヘンシュタイン(HAW)とサム・クリスチャンソン(RSA)の両者は、何度もバレルをメイクしようとして失敗し、ヴァン・ホーヘンシュタインがメイクしたたった1本の波がヒートの結果を決定づけた。

イベント開始時のランキングで4位につけていたヴァン・ホーヘンシュタインにとって、セミファイナル進出は、ワールド・ロングボード・チャンピオンシップ・イベントでシード権を大幅に上げることを意味する。

 

カイ・サラス © WSL / Damien Poullenot

 

また、その日の最後のヒートでは、デクラン・ワイトン(AUS)がエルサルバドルでの出場権を逃し、カイ・サラス(HAW)に勝利を譲るという結果になった。

 

現世界ロングボードチャンピオンのサラスは、クオーターファイナル進出で出場権を獲得しており、明日のファイナルデーではイベント勝利とシード順位のジャンプアップを目指し、ロングボード世界タイトル防衛に向けて戦う。

 

またソイヤーの今大会の結果は、トップ8の確定と、現在の順位から脱落する選手がいるかどうかを左右する重要なものとなる。

サーフシティ・エルサルバドル・ロングボード・チャンピオンシップ出場者

 

本日のコンペティション終了後、2024年のサーフシティ・エルサルバドル・ロングボード・チャンピオンシップへの出場が確定し、2024年のロングボード・ワールドタイトルを争う2名の男子選手が決定した。

明日のファイナルデーに向けて、女子は残り5名、男子は2名の出場枠となっている。ロングボードツアーの3つのイベントのベスト2の成績がクオリファイの対象となる。タイブレイクの判定基準はヒート勝利数、次にヒートごとの平均スコアとなる。

 

女子トップ8予選通過者
– ソレイユ・エリコ(USA)
– レイチェル・ティリー(USA)
– 田岡なつみ(JPN
5つのスポットが残っている

男子トップ8予選通過者
– テイラー・ジェンセン(USA) – 第1シードが決定
– ロジェリオ・ジェイ・アール・エスキヴェル(PHL)
– ベン・スキナー(GBR)
– ジョン・マイケル・ヴァン・ホーヘンシュタイン(HAW)
– カイ・サラス(HAW)
– カニエラ・スチュワート(HAW)
残り2枠

 

詳細はWorldSurfLeague.comをご覧ください。

 

アブダビ・ロングボード・クラシック女子オープニングラウンド結果:
HEAT 1:ホノルア・ブルームフィールド(HAW)16.33ポイント対オフェーリー・ア・クーエン(FRA)13.00ポイント、クロエ・コールマン(USA)6.43ポイント
HEAT 2: メイソン・シュレマー(USA)12.67 DEF. 井上楓(JPN)10.70、キラ・モルナール(AUS)9.36
HEAT 3: ゾーイ・グロスピロン(FRA)13.76 DEF. アヴァロン・ガル(USA)12.66、エマ・ペリエ(AUS)6.17
HEAT 4:ソフィア・カルハネ(HAW)15.43 :シヴェ・ジャラード(ASM)10.06、アンケ・バリー(USA)9.80
HEAT 5:レイチェル・ティリー(USA)15.50 :ケアニ・カヌロ(HAW)9.00、ヴィクトリア・ヴェルガラ(FRA)7.40
HEAT 6:アリス・リモイン(FRA)16.77 対 タリー・ホワイト(AUS)14.06、エミリー・カリー(GBR)7.20
HEAT 7:田岡なつみ(JPN)15.00 対 マリア・フェルナンダ・レイエス(PER)11.70、クリスタル・ハレット(RSA)6.33
HEAT 8: ケリス・カレオパア(HAW)15.47 プアマカメ・デソト(HAW)11.50、ナタリア・ワンダーリッヒ(HAW)6.80

アブダビ・ロングボード・クラシック女子クオーターファイナル対戦表:
HEAT 1: ホノルア・ブルームフィールド(HAW)vs. メイソン・シュレマー(USA)
HEAT 2: ゾーイ・グロスピロン(FRA)vs. ソフィア・カルハネ(HAW)
HEAT 3: レイチェル・ティリー(USA)vs. アリス・リモイン(FRA)
HEAT 4: 田岡なつみ(JPN)vs. ケリス・カレオパ(HAW)

アブダビ・ロングボード・クラシック 男子クオーターファイナル結果:
HEAT 1: カニエラ・スチュワート(HAW)17.60 対 ロジェリオ・ジュニア・エスキヴェル(PHL)15.33
HEAT 2: スティーブン・ソーヤー(RSA)17.47 対 浜瀬海(JPN)17.20
HEAT 3: ジョン・マイケル・ヴァン・ホーヘンシュタイン(HAW)11.83 DEF. サム・クリスチャンソン(RSA)6.16
HEAT 4: カイ・サラス(HAW)14.50 DEF. デクラン・ワイトン(AUS)13.50

アブダビ・ロングボード・クラシック男子セミファイナルの組み合わせ:
HEAT 1:カニエラ・スチュワート(HAW)vs. スティーブン・ソイヤー(RSA
HEAT 2:ジョン・マイケル・ヴァン・ホーヘンシュタイン(HAW)vs. カイ・サラス(HAW

 

オフィシャルサイト:Abu Dhabi Longboard Classic

Presented By Modon

Hudayriat Island, Abu Dhabi, United Arab Emirates