text:EMIKO COHEN
ハワイ産まれノースショア育ちのプロサーファー、カラニ・デイビッドがコスタリカでサーフィン中に死亡した。享年24歳。
カラニと言えば、サーフィンの世界だけでなくスケーターとしても才能を発揮した人物だ。ちなみに11度の世界チャンピオンを獲得したケリー・スレーターもインスタ上で彼がいかに才能に溢れていたかだけでなく、努力家であったと言うことをコメントしている。
“Kalani was one of the most talented ever surfer/skater on Earth, constantly pushing the limits every time he was on his feet”
「カラニは地球上で最も優れたサーファー・スケーターの一人だった。板に立つたびに限界以上のことをやろうとしていた」
実際にカラニが残した経歴も輝かしい。14歳という若さでISAワールドジュニアチャンピオンシップで個人優勝とチーム優勝の両方をタイトルを獲得。スケーターとしては、XーGAMEのハイプロファイル選手として名声を浴びていた。ようするに、悲劇から一番遠いところに存在する若武者、であるはずだった。
それなのになぜ、こんな事になったのか? 実は、彼、数年前からWPW(ウォルト・パーキンソン・ホワイト)症候群に付きまとわれていた。
WPW(ウォルト·パーキンソン·ホワイト)とは、生まれつきある病気で、心臓に余分なほどの異常な電気経路があるせいで、大抵は10代から20代の間に、非常な面倒な症状が頻繁に現れるようになると言う。
一般的に言われている症状は、時折発作的に、心拍数の異常な上昇、動悸や息切れ、てんかん発作だ。
最初にその症状が彼の身に降りかかったのは、2016年のこと。地元オアフ島にいる時に、友達に意識を失い6時間もうつ伏せになっているところを発見された。
その時、顔からばたりと地面に倒れただけでなく、心臓の動きも止まったと言うことを、回復後、雑誌Surferのインタビューの中で、あからさまにした。その後も、何度となく、てんかん発作を起こすようになった。
「もし、サーフィン中に発作が起きたら、、、」究極な状況の中で彼は約1年前、バレルのサーフィン写真と共に彼は、このようなコメントをインスタ上に残している。
“With these seizures I keep having my neurologist said no driving and no surfing until I stop having them. I mean I could surf but, if I was to have one and don’t get saved in time I’ll either die or become a vegetable because I don’t have enough air to my brain.
“I keep getting lucky, I had a seizure driving and the other in the water within a couple months. The past couple years been having seizures sleeping and just Angels watching over me cause idk how I keep getting so lucky and living thru it all. Time to get this stuff in order so I can move ahead in life, at least I can skate and fish!”
Been getting asked a lot about my situation so wanted to let everyone know how it is for me right now. I been putting these health issues to the side because I couldn’t believe it,but doing that has made it worse.
My life has completely changed and it’s not rejection, it’s redirection haha thanks everybody for the love just stoked to be alive and well. It’s not about what you want it’s about what you have and making the best out of it
「神経科医はてんかん発作が収まるまで、運転もサーフィンもするなと言う。というか、サーフィンはできるんだ。けど、もしサーフィン中に発作が起きて、すぐに助けてくれる人が周りにいなかったら、溺れる。結果、脳に十分な空気が入らないので、死んでしまうか、植物人間になるかのどちらかだと言う。
幸運なことに、ここ数ヶ月は、水中でではないところで、発作が起きている。ここ数年の発作は眠りながらだったが、まるで今ここに生きていられる奇跡は、天使に見守られているとしか言いようがないんじゃないかな。今はしっかり事実を受け止めて、前に進むしかないと思ってる。
少なくともスケートと釣りはできるんだから。俺の状況についてよく聞かれるから、今回こうしてみんなに今の俺の状況か知らせたかったんだ。今までこの病気のことを考えたくもなかったから背を向けていたけど、結局辛いだけだった。
俺は今こう思うんだ。”it’s not rejection, it’s redirection ”「変わり種ではなく変わり目」(笑)そう受け取るようにしているよ。
みんなありがとう、俺はこうして生きてるし、良い方向に向かっていることが最高に嬉しいんだ。要るすに、何をしたいかが問題ではなく、あるものを最大に生かして何ができるか、そこなんだよな!」
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9月17日。その時が来てしまったのである。コスタリカの海でサーフィン中に起きたてんかん発作が理由で、一生を閉じることになってしまった。
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小さい頃の家庭環境はあまり良いものではなかったとも聞かされている。病気のことだけでなく、さまざまな重荷を背負いながらも、懸命に自分を生きた彼を、地元の知り合い同士である我が家の娘サリーは「あんな良い人に会ったことないくらいナイスガイだった。セルフヒールングに目覚めていたとは聞いたけど」と褒め称えている。
独立心。勇気。感謝。彼のインスタには、逆境を受け入れながらも、人生をフルに生きた彼の姿がいつまでも残され、きっと多くの若者たちに勇気を与え続けるだろう。彼のご冥福を心から祈るばかりである。。
MAHALO