前田マヒナ、川合美乃里、田代凪沙、脇田紗良がR4進出。パンティン・クラシック・ガリシア・プロ開幕

前田マヒナ WSL / Poullenot

 

撮影&現地リポート:永島未知子 WSLウイメンズQS6000「Pull&Bear Pantin Classic Galicia Pro」の初日が8月27日(月)スペイン、ガリシアのパンティンビーチで開催された。

Pull&Bear Pantin Classic Galicia Pro 2018 Highlights: Big Scores on Opening Day

 

まだ深い霧がかった朝9時にファーストコールがされると9時15分からラウンド1がスタート。1ヒート20分の時間設定でこの日はラウンド3まで全てのヒートが終了。1日で合計30ヒートが行われる長い1日となった。

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パンティンビーチの波はビーチから見て向かって右、岬に遮られながら入るうねりがつくる、形のよいライトブレイクが評判の場所。とはいえ、午前中はスウェルの関係でビーチ中央がブレイク。そこから12時のロータイドをはさみ、午後になるとオンショアがますますきつくなる。

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ようやく太陽の光がオレンジ色を帯びる夕刻になると、右側がヒット。規則的に入るマシーンウエイブのような波に、サイズは1mほどと小さいながらも見応えのあるヒートに。会場の熱気もギャラリーの人数も、時間が経つごとに増していった。

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日本人選手の出番はラウンド2より。今大会にクレジットしているのは計10名。ヒート順に名前をあげていくと西元エミリー、田代凪沙、松田詩野、脇田紗良、都築有夢路、西元ジュリ、そしてラウンド3から川合美乃里、前田マヒナ、橋本恋、黒川日菜子となる。

 

出場選手の総数は101名。つまり「Pull&Bear Pantin Classic Galicia Pro」の出場選手の1割は日本人。さらにこれはQS6000という出場できる選手が限られているレベルの高い大会。日本人女子選手の全体のレベルアップがうかがい知れるだろう。

 

 

さて、その中でラウンド4まで駒を進めたのが前田マヒナ、川合美乃里、田代凪沙、脇田紗良の4名。

 

前田マヒナ WSL / Poullenot
前田マヒナ WSL / Poullenot

前田マヒナのラウンド3ヒート4はちょうどパンティンらしい右側、ライトブレイクが定着し始めた時間。ファーストライドのバックハンドでいきなり7.5ポイントをスコアすると、勢いをそのままにトップ通過を果たした。

 

川合美乃里はその前のヒート2。このとき波のブレイクポイントはまだビーチ中央。ラウンド2から勝ち上がった田代凪沙も同じヒートとなった。午前中から吹いていたオンショアはより厳しくなり、技を入れられる波を選ぶのが難解。しかしラウンド2を経ている田代は序盤から攻め、途中経過で1位。その後、川合美乃里も追いかけながら、他の選手も含め3名で順位を交代していくような展開。

ミノリとナギサ
ミノリとナギサ

 

最後の3分では田代がトップもリードしているのは0.27ポイント。その時点で川合が勝ち上がるのに必要なのは2.80ポイント。そのまま時間は経過したが、残り15秒のところで川合がテイクオフ。ターンしながら最後まで丁寧に乗り繋いだ。

 

ポイントコールがされるより前にヒート終了の合図の方が早く、結果はお預け状態。短いようで長い数秒が経つと、4.43のスコアがアナウンスされ3位から逆転。日本人選手の2名がラウンド4へと勝ち上がった。

 

川合美乃里「割れている場所が沖の方で、よくない波に乗ったら戻るのに時間がかかってしまう。コケたくない、早く決めたいと思ったけど、最初の2本をよくない波に乗ってしまった。でも残り15秒の時点で、自分がプライオリティを持っていたので、(見えていた)裏の波に乗ろう、と思って乗った。自分のサーフィンができなかったので、ラウンド4は自分のサーフィンをしたい」

 

 

田代凪沙
田代凪沙

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田代凪沙「ラウンド3が自分の中で壁だった。ラウンド2のときは(サーフィンが)安定していたけど、このラウンド3では足がガクガクしてしまいうまくフィニッシュまでできなかった。自分のサーフィンができなかったけど、勝ててよかった。ラッキーで勝てたと思う。ここ1年ぐらい試合で勝ててなかった。ラウンド4は現役のCT選手との対戦でもあるし、ここまできたら思い切りやります」

 

脇田紗良 WSL / Poullenot
脇田紗良 WSL / Poullenot

 

脇田紗良はラウンド2を逆転通過。終了間際に乗った1本で深いターンを1発入れると、それに点数が付いた。少し危うさを感じさせる勝ち方だったが、それに比べるとラウンド3は調子が良かったよう。波も岬の手前でライトブレイクがほぼ規則的にやってくるという状況。3本目ではファーストターンから乗り繋いでインサイドよりのブレイクで2本ターンをすると7点台をスコア。ギャラリーからも自然と拍手が起こり、脇田のサーフィンのうまさが光ったヒートとなった。

 

脇田紗良
脇田紗良

脇田紗良「海藻が絡むのでノーリーシュで入りました。だからコケたら(板が)流されちゃうと(緊張感を持って)思っていたけど、波が入ってきたので安心してできました。3本目はファーストターンがそこまで入ってないと自分で思ったけど、点数が出た。ラウンド2のときは1人だけ最初違う場所で乗っていて、その焦りが出てしまった。(自分はウーメンズの開催前に行われた)プロジュニアにも出たけど、あまり。でも板を変えたら調子がよくなりました。次はラウンド4。初めてのラウンド4まで上がれたので、頑張ります」

 

 

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西元エミリー
ロータイドに向かう時間帯のヒーロで本日行われた試合の中、一番波が小さいヒートのうちの一つだった。「波を待ってしまった」と、負けてしまった直後なのに答えてくれました。

shino松田詩野
ラウンド2を通過するもラウンド3では他の3選手が右側にいるも、1人だけビーチ中央を選んだ。その作戦が裏目に出てしまったのかもしれない。しかしフォトジェニックなサーフィンは印象に残っただろう。

amuroysuzuki都筑有夢路
惜しかった! 序盤から積極的に攻め1本1本まとめていくも、最後に逆転されラウンド3へ進めず。しかし初めての場所、初戦でそこまで積極的に波に乗る姿に、時代は変わったと思わされました。

julienishimoto西元ジュリ
ラウンド2から進んだラウンド3はライトブレイクが規則的に入ってくる夕方の時間帯。1本乗っていくごとに調子を上げていったようにみえたが、ヒート相手に恵まれなかったかもしれない。

 

橋本恋
5点台をスコアするも、バックアップの1本までに辿り着けなかった。悔しいヒートでした。

 

黒川日菜子
日本人女子の中で一番最後のヒート。それでも朝から会場入りをし、ヒートごとに変わるパンティンの波の様子を見続けていたことでしょう。待ち時間の長さとその間に起こる波の変化。それが、波選びを迷わせてしまったかもしれません。

 

会場入りしている稲葉玲王と西慶司郎
会場入りしている稲葉玲王と西慶司郎

 

2日目について
明日8月28日(火)からはメンズがスタート。ファーストコールは9時。グレードはQS3000だが、つい先日までアメリカ東海岸で行われていた「Vans Pro」で1位、2位となった大原洋人、稲葉玲王をはじめ新井洋人、西慶司郎、田中大貴、仲村拓久未、西優司、都筑百斗が参戦。

 

波のサイズも上がることが予想され、ウーメンズとは違った試合が楽しめる1日になるだろう。またウーメンズのファーストコールは11時を予定。トップシードが出てくるラウンド4からとなり、よりエキサイティングな試合になる。日本人の活躍に目が離せない大切な1日になるだろう。

 

 

世界を目指して戦い続ける、日本のサーフ・アスリートたちの活躍を期待し、エールを送り続けたい。がんばれ!日本!

 

 

メンズ:http://www.worldsurfleague.com/events/2018/mqs/2786/pantin-classic-galicia-pro

ウイメンズQS:http://www.worldsurfleague.com/events/2018/wqs/2785/pantin-classic-galicia-pro