田中大貴がラウンド5、野呂玲花がラウンド2進出。WSL-QS1500「Pro Anglet」大会2日目

明日に繋げた田中大貴

 

WSLヨーロピアン・サマー・レッグ第3戦、QS1500「Pro Anglet」の大会2日目。朝7時30分のファーストコールから始まり、最後のヒートが終了したのは21時近く。その間、設けられた休憩は満潮時刻を挟んだ夕方の2時間のみ。

 

波が小さくなってしまう前に少しでも多くの試合を進行させようという主催者側の目論見から、2日目は延べ15時間の長丁場となった。まさに日の出から日没まで。陽が沈むのが遅いフランスだから成立することでもある。

 

野呂玲花
野呂玲花

 

本日行われたのはメンズのラウンド3、ラウンド4、それにレディスのラウンド1。堤防を挟んだ南側のポイント(ル・クラブ)が割れ出すのを待って、最初から行われていた北側のポイント(サブルドール)とともに2バンク開催が午前中から採用された。

 

田中大貴
田中大貴

日本人はメンズ4名、レディス3名が登場。そのうち大会3日目まで駒を進める事ができたのは、メンズ田中大貴、レディス野呂玲花という男女それぞれ1名ずつの計2名。田中大貴はラウンド5が、野呂玲花はラウンド2が明日に控えている。

田中大貴
田中大貴

 

その他の選手は残念ながら2日目で姿を消すことになってしまったが、それぞれの試合を選手たちのコメントとともに、戦績とともに振り返ってみたい。

 

粟田海(あわだ かい)

kai

 

ラウンド3を3位で敗退。途中まで2位につけていたが、最後の最後に抜かれてしまい、0.24ポイントの差で惜しくも3位に。

 

「前半で6.83のスコアが出たときいい波に乗ったなと。そのあと7〜8分ぐらい時間があいて、バックアップのスコアを出すことのできる波に乗れたけど、3回目のターンで引っかかってしまった。勝ち抜けられるヒートだっただけに…。イギリスから始まったこのヨーロッピアン・サマー・レッグの自分の3戦をまとめると、もっとできたなという(後悔の)気持ちはある。波を見て、他の人の試合を見て勉強して、この経験を次に生かします」

 

粟田海

 

勝ち星を上げることは今年もできなかったが、去年の試合終了後に話したときと比べると、今年は話す内容がしっかりしていて、数値で振り返るなど具体的。それを本人にいうと去年、実は高熱を出していたとのこと。しかし体調管理も試合のうち。今年は体調を崩していないうえ、弟を始め他の選手たちと一緒に行動を共にしている。頼もしさが増した。来年もまたヨーロッパに戻ってきて次こそリベンジしてほしい。

 

川俣海徳(かわまた かいと)

kaito

 

「危なかった〜」といいながらラウンド3をトップ通過。その勢いとノリがどこまで通用するのか注目だったが、一転、トップシードが登場したラウンド4で勉強する事となった。

 

「ラウンド4は全然できなかった。プライオリティ、ポジション、波選び、どれも難しかった。ただここで終了するのが今の自分の限界かといわれれば、いけなくはなかったんじゃないかと。日本に帰ったら普段の練習から心がけるようにします。フランスに来てよかった」

 

kawamata

 

この春に高校を卒業し、単身で乗り込んだ初めてのフランス。にも関わらず、ラカナウでは宿を適当に取ってしまい、途中で他選手の宿にお世話にならせてもらったり、ラカナウからアングレットまでの行き方に苦戦したりと、試合以外のことでも「わからされた〜」という海徳。

 

試合ではそんな裏側を感じさせない活躍を見せたが、コンテストは情報戦の側面も持っていると思われる。特に海外で行われる試合では。その情報をもっとうまく収集できるようになるのも大切かもしれない。だからちゃんと事前に検索しなさい(笑)。

 

野呂海利(のろ かいり)

 

kairi

 

ヒートで一番のスコアを出しながらラウンド3をトップ通過。調子は良さそうだったが、ラウンド4で悔しい3位。

 

「ここ勝ちたかったのですが、赤(Ramzi Boukhiam、QSランキング30位内、勢いがあり今大会で大注目されているモロッコの選手)がうますぎた。2番でもいきたかったですが決めきれなかった。次はいっぱい波に乗って決められるようにしたい」

 

norokairi

 

イギリスで2位になり、その前のJPSA田原戦でも2位と、戦績だけみると急上昇の海利くん。その理由は板が身体に合ってきたのが大きいという。ここ2〜3年で身長が伸び続け、オーダーする板の完成タイミングと身長が合わなかったらしいが、それも解消された。しかし板が合っただけでファイナルまで全員が進められるとは考えにくい。また好成績を収めたことで、注目度は自然と増す。

 

 

「よく聞くのがマネーラウンドまで進めればいいな、という目標。でもそうすると大体が進めない。だから優勝を狙う。今回も優勝を狙っていたのですが、波まわり、ヒート運も悪かったかなと。このアングレットに来るまでの試合でファイナルにいったことで、プレッシャーはあまり感じてなくて、むしろ大丈夫な方(笑顔)。目立つのも好きだし、勝ち出した方が注目されるから。それに田原からなにか負ける気がしなかった。調子いいな、だけではない何か、コントロールできない何かを感じた。多分誰にもそんな経験があると思う。そしてそれは今後も続きそうな気がする」

 

 

気負いなくサラっと言うところに、資質を感じる。次戦は9月のフィリピンだそう。そこでの活躍に注目だ。

 

橋本恋(はしもと れん)

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波選びに苦戦していたがヒート中盤で何度か手を上げ、状況をアナウンスしてもらうよう求めるなど、最後まで積極性があったが、残念ながらいい波に乗れずラウンド1で敗退。

 

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「負けちゃいました。波が難しかったです。乗ったけど、いい波に乗れなかったのと、自分が思っていた作戦と合わなかった。前のヒートを見ていたら1発より2発入れる方が点数が出てるように感じたので2発狙いでいった。けどそれができなかった。1発入れる方が自分のライディングができていた。アナウンスも聞こえなくて、どんなライディングに点数が出てるのかも分からなかったし。(即座に)でもそれはいい訳ですね(と否定)。自分のサーフィンができなかったのが敗因です」

 

さらにこのアングレットでは緊張してしまったそう。大きい試合の方が緊張しないという恋ちゃん。来週に行われるスペインは大きな試合なので、そこで本領発揮できることを期待しています! 

 

田代凪沙(たしろ なぎさ)

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途中までは2位につけていたものの、スコアを出せずに最終的に3位に。ラウンド1で敗退。

 

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「入る前に思っていたところと違う場所に波がきた。いい波に乗れなかった。いつも以上にもっとよく波を見ておくべきだった。それと自分のヒートがおこなれた南側のポイント(ル・クラブ)では一度も入ってなかった。ずっと北側のポイント(サブルドール)、もしくはその先で入っていて、試合で初めて入った。(堤防挟んで隣なのに)波の性質が全然違う。また陸で見ているときは引いてたけど、入ったときは上げ出して、乗っていてあれ、(ショルダーが)張ってこない? 悔しいです。これから張ってないときの波の練習もしないと」

 

凪沙ちゃんもアングレットは終了したが、次はスペイン戦が待っている。

 

そこでは「もっと積極的な試合運びをしていきたい。乗らずに終わってしまうこともあるので、自分から動いて波を探して乗っていきたい」と。ヨーロッパが好きと、あるインタビューで答えているのを拝見したが、残りの試合で1つでも多く勝ち、日本へ戻るころにはヨーロッパをもっと好きになっていることを願います。

 

 

2日目にして半数以上の日本人の出番は終了してしまった分、残る2人に期待だ。

 

田中大貴
田中大貴

 

田中大貴「とりあえずラウンド4を無事アップ(1位通過)でき正直少しホッとしました。なぜなら、やっぱり濃い陽ヒートだったからです。ここを乗り越えられたのは自分の中で大きな一歩になったと思います。明日ももちろん油断できる相手ではありません。しかしこの調子をキープし、最高のパフォーマンスができるように頑張り、ラウンドアップし続けていきたいです」

 

reika

野呂玲花「ラウンド2はいい波を2本揃え、落ち着いた試合運びでラウンドアップしたいです」

野呂玲花
野呂玲花

大会3日目のファーストコールは8月24日の現地時間8時30分(日本時間15時30分)。フランスのアングレット、シャンブルダムールで開催。明日でファイナルまで行いたいという話も耳にした。どうやら明日が正念場となりそうだ。

 

オフィシャルサイト:

http://www.worldsurfleague.com/events/2017/mqs/1925/pro-anglet