文、写真、李リョウ
しばらく休刊していた「サーフィンライフ」が活動を開始した。この4月には復活となる499号目が発行されて、書店でも平積みで陳列されている光景を目にするようになった。そこで当サーフメディアでは、編集長に就任した小山内隆氏(おさない たかし)に旧サーフィンライフとの違いや、これからの方向性を渋谷に新たに構えた編集部のオフィスでお聞きした。
「編集方針は0ベースから始めて良いと言われたんです。つまり、いままでとは全く内容の違う本を作ることもできたんですよ」と、かつてはサーフィンライフやスノーボード誌の編集を手がけたキャリアのある小山内は続けた。
「でも雑誌を取り巻く現在の環境を考えたとき、本を支えてくれる読者のことをもう一度見つめ直そうという結論に達したんです」
つまり新しいスタイルの本を作ることも可能であったけれど、あえて旧サーフィンライフが続けてきたスタイルをベースとして継承していくという方向性に立ち戻ったのだという。
「じゃあ読者って誰だろうと考えたとき、それは週末に海に通うのを楽しみにしている一般サーファーではないか、じゃあそういう一般サーファーの友達のような本。
つまりサーファーが作るサーファーのための本というよりも、これからサーフィンを始めてみようかな、もうちょっとサーフィンを深く知りたい、もう少し上手くなりたい。そういう人たちのための本を作ることにしたんです。
週末サーファーはストイックなハードコアサーファーですしね。基本的に休日の海にブレイクしている波だけでしか、彼らはサーフできないわけですから」
そう編集長からご説明されて改めて新サーフィンライフのページをめくってみるとテクニック講座のテーマはなんとパドルだった。
「次号はテイクオフの予定です。それとサーフボードの再考です。サーフボードを初めて注文するそのワクワク感がお伝えできればと考えています」
先に記事でも取り上げた、新創刊のサーフマガジンと、今回復活したサーフィンライフ。両方をご覧になった読者ならば、二極化と言えるほどテイストの全く異なったサーフィン雑誌であることは一目瞭然だ。
これまでもサーフィンライフとサーフィンワールドという2つの月刊誌が長年日本のサーフィン業界には存在していた。
それは、それぞれ読者に訴える部分の違うサーフィン専門誌だった。お互いに存在意義のあるもの同志として切磋琢磨を繰り返し日々成長を続けた。そして、ここに再び日本のサーフシーンを担うメディアとして注目されている2誌が誕生したことになる。
この二極化は、今の情報化社会において、多様化するサーフスタイルを象徴するものかもしれない。サーフィンライフのテイストが好きな読者、サーフマガジンのテイストが好きな読者。一つの雑誌だけでは抱えきれないほど、年齢層、スタイルとサーフィンの世界も広がりを見せているということ。
ただ世界的に考えても、米サーフィンマガジンが廃刊に追いやられる世の中。出版不況と言われるなかで2誌が生き残っていくことは、並大抵の努力では成し得ないことだろう。どちらが良い悪いではなく、今の新しい視点で生まれたサーフィン専門誌に期待し、陰ながら応援していきたいと思う。