大逆転優勝で森大騎と吉川広夏グラチャン獲得「クリオマンション 茅ヶ崎ロングボードプロ」

大逆転優勝で森大騎と吉川広夏グラチャン獲得「クリオマンション 茅ヶ崎ロングボードプロ」 


2016年グラチャン吉川広夏と森大騎

 

 

2016年10月2日(日):JPSA ジャパンプロサーフィンツアー2016 ロングボード第5戦 「クリオマンション 茅ヶ崎ロングボードプロ」が、神奈川県茅ヶ崎市パークで終了。最終戦に相応しい、誰もが予想だにしないドラマチックなエンディングは、会場を埋め尽くしたギャラリーたちを感動の渦に巻き込んだ。

 

コンディションは昨日から更にサイズダンスが進み、ジャストヒザのセットモモでの勝負。とは言え地形の良いパークは日本のトッププロがハイパフォーマンスを見せるには充分なキャンバスを提供した。

 

 

素晴しいハングファイブを魅せ、男子優勝は森大騎

 

 

コンテストは早朝から男子のラウンド3から再開。そして、クオーターファイナルでは、ランキングトップの畑雄二が敗退する波乱の展開となった。

 

この結果で、自力でのグラチャン獲得が無くなった畑雄二。その扉は森大騎と堀井哲に開かれた。しかし、さらに彼らが王冠を手にするためには、ファイナルに残り、1位か2位になることが条件だった。

 

 

茅ヶ崎パワー全開! ロコサーファーの牧野拓滋が大逆転でファイナル進出。 


プロキャリア4度目のファイナル進出は地元茅ヶ崎で

 

男子セミファイナルのヒート1。グラチャン争いの堀井哲が圧倒的なサーフィンでトップのポジションをキープ。残り5分で3位に追い込まれた茅ヶ崎代表の牧野。

 

 

師匠である藤沢ジョージさん、柾木太郎さんと歓びを分かち合う牧野

 

 


地元応援団からの願いが通じたのか、彼の元にグッドライトが届き、テイクオフと同時にハングファイブ。素早くステップバックしてリエントリーをメイクして大逆転。2008年の「静波プロ」以来8年ぶりとなる、プロキャリア4回目のファイナル進出を決めた。

 

ファイナルでは思うような波を掴めず4位となった牧野だが、海から上がって来た牧野は優勝選手の出迎えのような歓迎を受けた。今回の牧野に底力を発揮させた大応援団のパワーは、この茅ヶ崎というエリアが素晴しいサーフィン・コミュニティーの存在する場所であるということを再認識させるものだった。


 

ヒーロー牧野拓滋を囲んで茅ヶ崎サーフィン協会のみなさん

 

 


吉川広夏と田岡なつみ対決 


3年連続グラチャンの記録を樹立した吉川広夏

 

ロータイドからのあげ込みを待って、女子のセミファイナルがスタート。グラチャン争いの吉川と田岡はセミファイナルのヒート1と2にクレジット。

 

日本一のノーズライドを魅せる吉川広夏

 

 

吉川広夏はスタートからぶっちぎりのパフォーマンスでファイナル進出。緊張からか大会初日から「なっちゃんスマイル」が見られない田岡なつみは、セミファイナル前のウォームアップセッションで足をひねったと言い、片足を少しひきずりながら出場。

 

それでも、しっかりと田岡はトップスコアを揃え、初ファイナル進出を決めた橋本梨花にトップを譲るも2位でファイナルへ勝ち上がった。

 

2位でファイナル進出した田岡なつみ

 

 

 

ファイナルもスタートから魅せた吉川広夏

 

 

 

ファイナルは、吉川と田岡に加え、今回好調な菅谷裕美とルーキー橋本梨花が顔を揃えた。

 

このファイナルは、吉川広夏にとって3年連続のグラチャンを獲得出来るチャンスとなったが、それは厳しいシチュエーションとなった。このファイナルで吉川がグラチャンを手に入れるには、優勝するしか道は残されていなかったのだ。

 

田岡なつみはレフトの波に的を絞った

 

 

状況からは田岡が有利なシチュエーションではあったが、そこは何度も修羅場をくぐり抜けて来た吉川広夏。タフなハートでチャージした。一方、初のグラチャンが目の前の田岡なつみは、いつもの伸び伸びした笑顔の演技が見られず、緊張が伝わって来るほど、演技に精彩を欠いた。

 

勝利が決まりガッツポーズの吉川広夏

 

 

そんな追われる田岡はひとり左側にポジショニング。吉川広夏はオープニングから見事なハング5で5.25をスコアして、波数も少ないコンディションでアドバンテージを取り、そのままトップを独走。

 

残り時間5分。サーフボードを替えて、2位に浮上した田岡なつみにピッタリとマークする吉川。しかし吉川はヒート終了間際にバックアップを4.00に塗り替え、リードを広げて試合終了。



優勝でグラチャンも手中に収めW勝利の吉川広夏

 

崖っぷちの吉川広夏が、エキサイティングなファイナルを制して今季3勝目。ランキングトップだった田岡なつみを大逆転し、JPSA史上初となる3年連続のJPSA女子ロングボード・グランドチャンピオンを獲得した。


 

植村未来が持つ2年連続3度のグラチャン記録を破った吉川広夏。カリフォルニアが自分を変えたと言う吉川は、サーフィンテクニックに加え、そのスタイルも磨きがかかり、洗練されたパフォーマンスを身に付けたと感じた。今年、海外遠征を数多く経験したことで、試合運びも安定。メンタル的にも強さを身に付けた吉川は最強のサーフィンアスリートとなった。


 

森大騎、2年連続のグラチャン逆転勝利。 


 

吉川同様、優勝してグラチャンも手に入れた森

 

男子のファイナルでは、森大騎、堀井哲というグラチャン争いのふたりに、17歳の高校生プロサーファーの塚本将也、茅ヶ崎パークをホームとし、ここの波を知り尽くしたベテランの牧野拓滋が顔を揃えた。


小波でもしっかりとマニューバーを描く森

 

 

オープニングウエイブを掴んだのは堀井哲。ライトブレイクをバックハンドで5.25をスコアして開始する。地元応援団の大声援に応え、牧野もハング5をフォアハンドで決めてコンプリート。

 

塚本将也も今回大健闘の3位。

 

 

今シーズンは優勝こそ無いものの、ランキング2位でこの最終戦に挑んだ、2度のグランドチャンピオンである森大騎。長いハングファイブからのビッグリエントリーという素晴しいコンビネーションを見せて、6.5というファイナルのハイエスト・スコアをマークする。

 

昨日、エクセレントをマークした塚本将也。ファイナルデイもバネのあるラディカルなパフォーマンスを披露。バックハンドで4.25をスコアする。

 

グラチャンも目前の堀井、得意のバックハンドのハングファイブとカーヴィングのコンビネーションで、4.15をスコアしてトップに躍り出る。

 

2位の堀井哲をブロックし、先輩の森の援護射撃をする塚本

 

 

ヒート終盤、今回のダークホースである塚本将也がセットにチャージ。コミットメントのあるコンビネーションマニューバーで4.75をスコアして、2位へ浮上。

 

3位に追い込まれた森大騎が再びスピードのあるコンビネーション・サーフィンで5.85をスコア。大逆転で一気にトップに躍り出る。2位の堀井はニード7.1と完全に追い込まれ、そのままタイムアップ。森大騎が優勝して、3度目となる2年連続のグランドチャンピオンを獲得した。

 

波打ち際で大声援をおくった茅ヶ崎応援団

 

 

森大騎と吉川広夏のドラマチックな優勝でのグラチャン獲得で、今シーズンのJPSAロングボードサーキットは終了。常連の選手が上位に勝ち上がるマンネリ感のあるロングボードシーンだが、最終戦で大活躍を見せた塚本将也をはじめ、新しい選手の開花を感じ、来シーズンが楽しみなJPSAロング最終戦となった。

 

 

 

JPSA ジャパンプロサーフィンツアー2016 ロングボード第5戦 「クリオマンション 茅ヶ崎ロングボードプロ」結果

男子優勝:森大騎、2位:堀井哲、3位:塚本将也、4位:牧野拓滋

女子優勝:吉川広夏、2位:田岡なつみ、3位:菅谷裕美、4位:橋本梨花

グランドチャンピオン:森大騎、吉川広夏

ルーキーオブザイヤー:橋本梨花、西崎公彦
茅ヶ崎市町賞として茅ヶ崎のアロハシャツが優勝者の森大騎に贈呈

今回は参加者全員にアロマバンドがプレゼントされ多くの人がビーチクリーンに参加
クリオ・マンションのビーチクリーンに参加した人には更に抽選でビーチクルーザーや豪華賞品が贈られた。
ファイナルで優勝しなくちゃならないんです。と笑顔で答えたぴろたん。見事にやってのけた。
セミファイナルでは牧野に逆転負けを食らったユージン
ランキング4位でグラチャンも夢ではなかった秋本祥平はクオーターファイナルで敗退
牧野拓滋とともに地元の大声援で勝ち進んだ田沼亮はラウンド3で破れた。
カレントリーダーだった畑雄二。2度目のグラチャンも目前だったがQFで惜しくも敗退。
前回の鵠沼に続き、惜しくも優勝を逃し、グラチャン獲得も叶わなかった堀井哲。しかし来シーズンは間違いなく台風の目となる選手となることは間違いない。
今回安定したノーズライドでセミファイナル進出を果たした齋藤久元。彼も来シーズンに繋がる結果を最終戦で残した。
スポンサーの協力があってのコンテスト開催。来年もこの茅ヶ崎で素晴しいコンテストが開催されることを願いたい。

これで今シーズンのJPSAロングは終了。来シーズンは、どんな素晴しいドラマが生まれるのか。今から楽しみだ。


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JPSAロング最終戦「クリオマンション 茅ヶ崎ロングボードプロ」吉川広夏vs田岡なつみ


撮影:佐原健司 http://kenjisahara.com/

 

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