WSL-QS「MURASAKI SHONAN OPEN」ブラジルのルエル・フェリペ優勝。大橋海人が2位入賞
(神奈川県藤沢市/湘南海岸 2015年 7月18日、土曜日)2015ワールド・サーフ・リーグ(WSL)ジャパン・リージョナル・ツアー/ メンズ・クオリファイ・シリーズ(QS)1,500「MURASAKI SHONAN OPEN 2015」は大会最終日。
台風が去り、そこに吹き込む南風、オンショアどん吹き。天気は曇りで晴れ間も出るが、雨が時折降るコンディション。波は胸肩。しかし、オンショアの風波なので力はない。
波が割れるのはアウトだが、ミドルは深いためタルクなる。なので、インサイドまでつなぐためにはパンピングの繰り返し。干潮の12時に向け流れもできて、波の見極めが勝敗を左右した。
前日までの台風からのビッグスウェルはサイズダウン。南~南西風が強めに吹き、風波が混じりながらのまとまりのないコンディションのなかで、コンテストはラウンド5から再開。ついにクライマックスを迎えた。
ラウンド5では、四国の優勝者である辻裕次郎、第2位だった仲村拓久未、昨年のイベント勝者である松下諒太、一昨年のイベントチャンピオンの大野修聖といった期待の日本人選手が次々と敗退する展開となった。
ラウンド6では、ここまでのフォームサーファーであったミッチ・パーキンソンや、デーン・ハミルトンをはじめ、日本の新井洋人、田中英義が敗退。
クオーターファイナルからはマンオンマン。大注目のカノア五十嵐をはじめ、今大会唯一のパーフェクト10をスコアしたブラジルのルエル・フェリペや、ディラン・グッディール、イアン・クレーン、カラニ・ボールそして渡辺寛、喜納海人、大橋海人が勝ち上がった。
そしてセミファイナルには、大橋海人とカノア五十嵐、ルエル・フェリペと喜納海人の4名が勝ち上がった。SFヒート1ではルエル・フェリペがエクセレントの8ポイントを含むヒートスコア15.00で喜納海人を破り、ファイナル進出。
カノア五十嵐と大橋海人のセミファイナル
SFヒート2では、今大会の最大のハイライトとなるカノア五十嵐と大橋海人のふたりによる素晴しいバトルが繰り広げられた。
事実上ファイナルとも言うべき、そのヒートは、スポンサーであるムラサキスポーツをはじめとする地元応援団のパワーを味方に付けた大橋海人が、フォアハンドの激しいリエントリーで6.00をスコアしてヒートを開始。
そして、カリフォルニアで日本人の両親とともに暮らし、アメリカだけでなく、世界にその名を轟かせているカノア五十嵐も、物凄いフォハンドで大きなスプレーを上げて6.50をスコア。その戦いの火蓋が切って落とされた。
優勝候補筆頭であったカノア五十嵐。波を逃しプライオリティを失い、その直後の波を大橋海人が奪う。その波で大橋海人は、バックハンドによるオフザトップのスラッシュで7.50をスコア。ここがこのヒートのターニングポイントとなった。
会場は大橋海人の大声援で盛り上がる。すかさず、レフト方向に板を走らせたカノア五十嵐。インサイドまで上手くリフォームするセクションに当て込み、クローズセクションでリエントリーをメイク。それがエクセレントの8.50となり、カノアがヒートをリードする。
ヒート残り5分、レフトのセットをつかんだ大橋は、素晴しいストレートアップと焼け付くようなカーヴィング・ドリフトをコンビネーションさせてエク セレントな8.25をスコア。更に残り時間1分で再びビッグなリエントリーを魅せた大橋海人は駄目押しとなる7.80をスコア。
アメリカン・ヤング・スターとの凄まじいハイスコア・バトルを制した大橋は、大勢の地元サポーターたちの前でついにファイナル進出を果たした。
大橋海人とブラジルのルエル・フェリペのファイナル
ファイナルは、大橋海人とブラジルのルエル・フェリペの戦い。フェリペがバックハンドのソリッドなビッグ・スナッ プをコンビネーションさせ、エクセレントに近い7.75をスコア。
大橋は、カノアとのセミファイナルがピークだったのか、フェリペは更にエクセレントな8.25をスコアして、大橋をコンビネーション・シチュエーションに追い込む。
しかしネバーギブアップの大橋海人。レフトのセットをつかんで、深いボトムターンからのバーティカルなストレートアップ、ハイスピード・リエントリーに、ビッグ・パワフル・カーヴィングのコンビネーションで、ファイナルの最高点となる8.65ポイントをスコア、反撃を開始する。
残り時間17分。フェリペは8.25 と7.75でヒートスコア16.00でリード。大橋は12.65。逆転に必要なスコアは7.35となった。さらに大橋は、ヒート残り時間6分30秒のところで、再び目の覚めるようなサムライ・チャージを魅せて7.25ポイントをスコア。
巻き返しを図った大橋だったが、ここで惜しくもタイムアッ プ。エキサイティングなファイナルを制したフェリペが、『MURASAKI SHONAN OPEN 2015』のチャンピオンとなった。
大橋海人、本当の意味での復活。
ちょうど1年前、昨年の湘南オープン直前に、遠征先の南アフリカで足首を骨折するというアクシデントに見舞われ、イベント欠場を余儀なくされた大橋海人。
それから厳しいリハビリの日々が続き、超人的な回復力をみせて9月には試合に復帰。しかし、これまで思うような結果が出せずにいた。そんな大橋にとって、今回の準優勝は、本当の意味での復活と言えるのだろう。
「本当に優勝できなかったのは残念でしたけど、フェリペのような上手い選手と戦えて光栄でした。この大会はプロジュニアから初めて、2位が続いてたので、今回は優勝したかったんですが、怪我から復帰してモチベーションも上がっているので、再び世界を目指して頑張りたいです。」とコメントした。
WSLジャパン・リージョナル・ランキングでは、初戦で優勝した辻裕次郎が僅差でトップをキープ。そして、今回2位となった大橋海人がランキング2位に浮上。
怪我以前より、更に磨きがかかったサーフィンを披露した大橋海人。
再び世界のステージで活躍する大橋海人が見たい。
湘南海岸において、プロフェッショナル・サーフィンの ショートボード、ロングボード、ボディーボード、アート・ショー、ミュージック・ ショーなど、国内最大のビーチ・イベントとして開催される「MURASAKI SPORTS presents SHONAN OPEN 2015 supported by NISSAN」。
■開催日程:2015年7月14日(火)~7月20日(月・祝/海の日)
※パークエリアイベント:7月18日(土)~20日(月・祝)
※ビーチエリアイベント:7月14日(火)~20日(月・祝)
※JPBA BODYBOARD PRO TOUR:7月19日(日)~20日(月・祝)
撮影:山本貞彦
オフィシャルサイト
http://www.worldsurfleague.jp/
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仲村拓久未。波を捕まえられず、苦戦。後半、エアー、リエントリーと持ち前のスキルで挽回するも、時間が足りずR−5で敗退。
辻裕次郎。昨日から喉のリンパが腫れて、つばを飲むこともできず、力が入らないままの試合だった。最後の逆転ライドでは、足に力が入らず無念の敗退。
大橋海人。セミファイナルでは持ち前のスキルに加え、ここ湘南での経験と応援団の後押しで、神がかり的に波をゲット。優勝候補のカノアを逆転してファイナルへ。
Luel Felipe。大きい波から小さい波まで。波を見る目が優れていた。さらに脚力。バネがあるので、力の無い波でも自分でスピードをつけられる。これはレールサーフィンができることの証。
WSL QS1500「Murasaki Shonan Open」
優勝:Luel Felipe (BRA)
2位:Kaito Ohhashi (JPN)
3位:Kaito Kino (HAW),Kanoa Igarashi (USA)
5位:Kan Watanabe (JPN),Dylan Goodale (HAW),Ian Crane (USA),Kalani Ball (AUS)