デーン・レイノルズの『SAMPLER』の裏側にある期待に対する重圧と苦悩 


 

 

ツアーをセミリタイヤし、フリーサーファーというスタンスとなった今でも世界トップレベルのハイパフォーマンスで、絶大な人気を誇るデーン・レイノルズ。父親となったばかりのデーンは、「フィジー・プロ」にワイルドカードで出場。現役ツアラー達と互角のサーフィンを見せて、ラウンド5まで勝ち上がり大活躍だった。


そんなデーンのフリーサーフ映像『SAMPLER』は、カイ・ネヴィルの「Cluster」で未使用となったB級映像を集めたもの。とはいえ、10分余りの映像はデーンの魅力がタップリ詰まったもの。最高ですが、如何ですか?

 

しかし、作り手側としては納得のいく作品に仕上げるには、当然ながら相当な気苦労があるようで、今回デーンが、そんなところを切々と語っているので、一部を紹介してみたい。



 

 

「僕は、友達の感想を聞くために、先日この『SAMPLER』へのリンクを電子メールで送ったんだ。すると、彼は、『とってもクールだよ』と素っ気ないテキストを返信してきた。僕は『全然、興奮が感じられないな』と、彼に返したんだ。


彼は、『僕にとって、まったくのB級映像だ』と返信してきた。そして、その翌日もっと多くのことを期待していたというような長い説明を彼は送ってきた。


僕は返信した。『君のメールに僕は混乱させらている。それじゃ君は失望しちゃったと言っているのかい? 僕はそれが好きだし、全く気にならない… それはB級だよ。でも、それを見ることを人々に強要することは無いし、それにお金を払わせるものでもない。期待はずれか、くそ野郎が。』

 


 

期待というものは、何んてストーク・キラーなんだろう。

 

いつでも何かする時、その期待は、次にすること全てが、いままで以上のものでなければならないという事。わかってるのかい? そんなことが如何に持続不可能であるということを。

 

この原理で生じたプレッシャーは、僕を緊張させ、焼き焦がし、ついには砕け散り、隠れて、落ちて、締め出される。しかし、それはどうでも良くなる。それは僕が最高のサーフィンをした時だ。その時、人の期待なんて全く考えなくなる。

 

この「サンプラー」は、カイ・ネビルの「cluster.」に使われなかった昨年のサーフィンのコレクションだ。そうさ、それはB級だ、だけど駄目じゃない。

 

僕は誇りに思っている。いつでもベストなわけじゃない。

波はいつもパーフェクトなわけじゃない。多くの期待は多くの失望につながるんだ。

自分が持っているもので出来ることをやればいいんだ。

サーフィンはアートだ。勝者もいなければ敗者もいない。

サーフィンに正しいやり方も悪いやり方もない。


でもマジで、どうでもいい。スポンサーの期待は忘れ、見る人の期待は忘れるんだ。何も期待するな。ベストを尽くして、心をクリアにしよう。

カリスマスケーターのイーサン・ファウラーが言うように、『やりたいようにしなさい。そうすれば良くなるだろう。良くしようと望まなければ、良くならない。自分がどうするかで、糞でも何千倍に輝き光る』