ディスカバリーインドネシアⅡ スンバその1「トラブルこそが、その旅の思い出」

ディスカバリーインドネシアⅡ〜スンバ、その1「トラブルこそが、その旅の思い出」 


 

再開された「ディスカバリーインドネシア」。東西南北、四方を海に囲れ、年間を通じて良質なスウェルが打寄せるインドネシアの知られざる波の魅力に迫る。 2シーズン目を迎える今年も、世界が認める有数なサ-フィンデェスティネ-ションをクロ-ズアップし、年間で5つのロケーションを紹介していく予定。 未だ見ぬ魅惑のサーフスポットへの旅を楽しんで欲しい。

 

 

1万3千もの島々から成り立つインドネシア。島の正確な数は2013年に至るまで政府ですら把握していなかったという。そういえば以前、インドネシアの島の数を調べたときには1万7千だったような記憶がある。近年まで政府ですら正確な島の数を把握していなかったというのはいかにもインドネシアらしくていい。おおらか、大雑把、いい加減?  物事には『見方』というものがある。

 

同じ事象においても人によって、それぞれ印象が違ってくる。私はインドネシアのバリ島で暮らしているのだが、インドネシア人というのはおおらかで、大雑把で、いい加減で、それでいて最高に素敵な人たちだというのが私の印象だ。

 

 

 

そんなインドネシアの経済は豊富な資源に支えられながら急速な発展を遂げている。石油、石炭、天然ガス、金、そしてサーファーにとってはなんといっても『波』。インドネシアに押し寄せる豊富な波はこの国の経済発展の一端を担っているといえるかもしれない。

 

もしもバリ島に波がなかったら・・・ きっとここまでの観光地化は成されていなかっただろう。メンタワイやGランド、ニアスなど元来国内においても片田舎だった村が外国資本によりリゾート化されているのは一重にワールドクラスの波のおかげといっていいだろう。

 

 

インドネシアにはまだまだ未開のサーフスポットが存在しているといわれている。その中には一級品の波も残されているはずだ。世界中からサーファーが押し寄せて来ているバリ島ですら続々と新たなスポットが見つかっているくらいだ。近年に至るまで政府ですら把握しきれていなかった多くの島に人知れずワールドクラスの波がブレイクしていてもなんら不思議はないのだ。

 

 

 

トラブルこそが、その旅の思い出

 

そんなインドネシアの未開の波を求めて旅をするというなんとも心トキメク企画の存在を知ったのは2014年の夏の日のことだった。『Discovery Indonesia』と銘打たれたその企画は、サーフィン専門の旅行会社OMツアーと波情報サイト『波伝説』の共同企画として実行されようとしていたのだ。

 

旅にはトラブルがつきものだ。もちろんないに越したことはない。しかし時としてトラブルは旅にスパイスを利かせてくれる。振り返ってみるとトラブルこそが、その旅の思い出として強烈な印象を残していたりするものなのだ。

 

 

この旅もトラブルとは無縁とは言い難い幕開けとなってしまった。『Blue. Magazine』のライターとしてこの企画に参加させてもらえることになった幸運に感謝しつつ、Discovery Indonesiaの最初の旅に向けてバリの自宅から車で空港に向かおうとしていた矢先に最初のトラブルが見舞われた。

 

私の車を遮るように見知らぬセダンが駐車されているではないか・・・つまり車を出すことができない状態。まだ夜も明けきらない暗闇の中、途方に暮れて立ち尽くすしかなかった。今まで一度も起こらなかった事態が大切な旅の朝に起きてしまうという不運に頭をかしげながら急遽タクシーを手配し、サーフボードを屋根にくくりつけて空港に向かうことにした。

 

 

私のトラベルバックを載せた飛行機は私を乗せることなく飛び立ってしまった。

 

トラブルは立て続けに起こった。空港のチェックインカウンターでロングボードが積めるか否かわからないと怪訝そうな表情をされ、その場で搭乗時刻ギリギリまで待たされることになってしまったのだ。じりじりと迫る出発時間。いつまでたっても出ない結論。載るのか?載らないのか?そんな押し問答の果てに、結局ロングボードは私の手元に戻ってきてしまった。ロングボードを空港に預け、急いで搭乗ゲートに駆けつけてみるとそこには私が乗るはずだった飛行機の姿はなかった。

 

 

私のトラベルバックを載せた飛行機は私を乗せることなく飛び立ってしまった。搭乗ゲートで事態をうまく飲み込めず、早くもこの日2度目となる呆然立ち尽くし。

波乱含みで始まったこの旅に不吉な予感を抱きつつ、次の便への振替交渉を行うべく再びあの忌々しいチェックインカウンターへと踵を返したのであった。

 

つづく

 

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有本圭(ありもと・けい)

バリ島在住プロサーファー。2000年〜2007年までJPSA(日本プロサーフィン連盟)ロングボードツアーでシード選手として活躍。その後、雑誌、webなどで執筆活動を行い、サーフィンや旅をテーマに啓蒙活動を行っている。

有本圭のブログ→ http://sw-players.com/

 

 

Nobu Fuku / 福与 乃二彦

サーファー&フォトグラファー。最高の波を求め1994年にインドネシアのバリ島へ移住。バリ島をベースにインドネシア各地で水中撮影をメインに活動、 サーファーの視点から自然の素晴しさを伝える作品創りに努める。

Nobu Fuku Photography  http://www.nobufuku.com/

 

協力:波伝説ガル-ダインドネシア航空BLUEOMtour